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悲願は急坂を越えた〜神戸くるくるバス
その1・「くるくるバス」のこれまで
住吉台県住前にて |
※この作品は「【検証】近未来交通地図」に掲載されたものを補筆、改稿したものです。
初出:2004年2月〜4月
特記なき写真は2005年5月撮影
●「くるくるバス」のこれまで
2004年2月21日から、神戸市東灘区の六甲山腹にある住宅街を対象とした、都市再生本部の「全国都市再生モデル事業」として、「くるくるおでかけネットワーク」調査事業が始まりました。
コミュニティ・サポートセンター神戸(CS神戸)
みなと観光バス
NPO法人、コミュニティ・サポートセンター神戸(CS神戸)による、急坂が多いが交通機関がない東灘区の六甲山麓の交通不便地域の解消を目指した取り組みであり、特に住吉台は1970年代の開発以来、公共交通が無いまま、人口減少と高齢化が進むなかで、バス路線の新設はまさに長年の悲願でした。
受託・主催はCS神戸で、みなと観光バスのマイクロバスをチャーターして、JR住吉駅から渦森台(渦が森)、住吉台の両住宅地へ2系統のコミバス「くるくるバス」を走らせて、交通環境の改善を検討していく事業です。
2月21日から2月29日までは無料ですが、3月1日からは200円となり、3月一杯の試行です。
この手の社会実験で有料制と言うのは先例が無かったのですが、後述する通り見事な結果を残して、約10ヶ月後には本運行にこぎつけるに至りました。
住吉台から渦森台を望む | 住吉台から浜手方向を望む |
この渦森台、住吉台は標高200〜300メートルに位置し夜景の名所としても知られていますが、JR住吉など平野部が海抜数メートルということもあり、標高差は半端じゃありません。渦森台へは阪神御影、JR住吉からの市バス38系統が毎時4〜6本、またJR甲南山手、JR本山からの31系統も毎時2〜4本あり、中腹の住吉山手、鴨子が原へは阪神御影、阪急御影からの19系統が毎時4〜6本カバーしており、表面的には交通事情は悪くないようにも見えます。(鴨子が原から渦森台へは急勾配になるためバスはルートを分けている)、ただ、住吉台はバス便が全く無く、渦森台へのバスを途中の赤塚橋や渦森橋で降りて「300段階段」などに代表される山道をのぼるしかありません。そして自転車やスクーターは事実上使えませんから、クルマかバスしかないので、バスの役割が大きくなっています。
渦森台から下ってきた市バス31系統 |
渦森台はバスが表面上はありますが、このバス系統、停留所間隔が妙に長いです。JR住吉の次の東灘区役所前を出ると住吉川に沿って登り一方で、白鶴美術館を過ぎると半端じゃない勾配が続きますが、それでも住宅が途切れないというのに500メートル程度のバス停間隔では厳しいです。坂道発進の都合があるとはいえ、神戸市バスの場合、渋滞や信号停車でこの程度の坂道発進はザラであり、特に公団住宅とその上に一戸建てエリアが続く渦森台に入っても渦森台2丁目、渦森台3丁目、渦森台の3個所では疎に過ぎるとしかいいようがない状態でした。
こうした中、事実上市バスの勢力圏ともいえるエリアにNPO主導のコミュニティバスが登場したのです。
コミュニティバスといえば自治体主導が通り相場のところ、その自治体が「お留守」だったエリアに進出したコミュニティバスというのは異色で、しかも国土交通省ではなく内閣官房・都市再生本部関連の「事業」であると言うのも異色です。
突如彗星のように現れ、予想外の成績を残したこのコミュニティバスの印象は強かったのですが、実験終了から10ヶ月近く経った2005年1月23日、住吉台への路線はついに「住吉台くるくるバス」として本運行を開始しましたが、それまでの経緯はコミュニティバスの歴史に残るものになるでしょう。
以下、社会実験当時の姿と、現在の姿をご紹介していきます。
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有料化でどう変わったかへ
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