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18−2. 竜馬がゆく(その10) いろは丸事件(その2)編  



 以下の通り、 前ページ の「いろは丸」は、伊予大洲藩の所有である。
 
 なにしろ竜馬のばあい、海援隊長になっても隊に予算があるわけではない。
 自然、ひとの褌ですもうをとるという智恵ばかりが湧いてくる。要するに、ブローカー稼業であった。
 「よかろう」
 と、何日目かに、伊予大洲藩士国島六左衛門は承諾した。
 「わが大洲がいかに山国であっても蒸気船のいっぱいや二はい、肱川の河口に繋いでおいてもわるくはあるまい。」




 < 大洲城天守閣復元工事 >
 2002年12月22日。3連休を利用して、僕は四国へ向かった。もちろん往復の飛行機は、出張で貯めたマイレージサービスだ。今回のテーマは城巡りである。現存している十二天守閣のうち、四つが四国に有る。松山城と 高知城 は既に訪問していたので、今回の目的は丸亀城と宇和島城である。
 2日目は、高知で起きた後、まず宇和島城に行き、それから松山に泊まるという行程であった。ただ、それだけだと時間が余る。宇和島から松山の間に観光できるところはないか、と探したのが大洲市である。僕の持っている資料によれば、大洲市は、以前NHKの連続テレビ小説「おはなはん」のロケ地として有名だったが、「東京ラブストーリー」のロケ地としても使われたそうだ。ちなみに、僕は「東京ラブストーリー」の原作にいたく感動したのだが、ドラマは3週目で挫折した、ということを付記しておきたい。やはり鈴木保奈美はミスキャストだったのではないだろうか。そういうわけで、どのようなシーンで大洲が登場したのか、僕は知らない。
 
 大洲駅から大洲城址までは歩いて20分ほどの距離である。天守閣は残っていないが、櫓がいくつか残っている、というのがそのときの僕の知識であった。肱川の眺めは実にすばらしく、橋の上で撮った写真がこれだ。
 
肱川の眺め
愛媛県大洲市
予讃線伊予大洲駅 徒歩20分

 このとき、肱川の左側に、箱型の建物があるのが見えた。何かビルでも作っているのだろうか?とそのときは思った。疑問に思いながら歩いていくと、看板を発見した。そこには、「大洲城復元工事のため、大洲城址は立入禁止です。」というようなことが書いてあった。先程の箱型の建物は復元中の大洲城のようだ。
 僕はがっかりした。せっかく来たのに、城址に入ることが出来ず、櫓も見学できないのか。せめて、石垣だけでも見ておくか、と思って歩いていった。片方の入口から城址に近づいたところ、やはり金網が張ってあって、立入禁止になっていた。中を覗いてみると、工事用具や資材が置かれており、とても見学できそうではない。無念である。引き返そうか、と思ったところ、家族連れが中で写真を撮っていることに気付いた。従業員の家族か?と一瞬思ったが、それにしては数が多い。
 反対のほうの入口まで行ってみたら驚いた。その日は偶然、一般公開の日だったのである。僕は、この信じられないような僥倖を、神様に感謝した。日頃は、仕事の忙しさやいまだに独身でいることに関し、神様に文句を言うことの多い僕だが、このときは反省した。真面目に生きていれば、いつかいいことがあるものだ。
 
 受付で資料を受け取り、内部に入ってまたまた驚いた。なんと、大洲城は木造で復元されていた。戦後再建された城は鉄筋もしくは鉄骨がほとんどであり、木造による再建は、僕の知る限りでは 白石城 くらいである。ちなみに両城とも再建工事を担当したのは㈱間組である。説明者の方によれば、日本の城を再建したのは、㈱間組がほとんだということである。
 使用している木材のうち40%が地元の檜であり、残り60%が木曽檜だそうだ。平成12年1月12日、大洲藩主加藤家の菩提寺の一つである、如法寺で樹齢250年と推定される檜を切り出し、それを一番重要な柱に使用しているそうだ。僕が城を見るたびに感動しているのが、その木組みの精巧さである。コンピューターのない時代にどうしてあのような設計が出来たのか、電動工具のない時代にどうしてあれほど正確な柱や梁を作ることができたのか、そしてどのように持ち上げたのかなど、昔の人の叡智には心から感動する。

1階
 
復元される大洲城は4層4階建てだが、現在工事が進んでいるのは2階までだ。1階の見学を終えた後で2階に上っていくと、大洲市長のガッツの入ったコメントを大書した垂れ幕が見える。

復元は
木にこだわった
天守閣
大洲市長 桝田興一

2階

2階

 大洲城復元工事が完成するのは平成16年7月。大洲城天守閣再建検討委員会が発足したのは平成6年だというから10年がかりのプロジェクトである。無事に再建されたときに行くのはもちろんだが、出来れば工事中の一般公開の日にもう一回訪問したいところである。

 

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