このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください
芭蕉の句
行春を近江の人とおしみける
出典は
『猿蓑』
(去来・凡兆共編)。
「
望湖水惜春
」と前書きがある。
元禄3年(1690年)3月、
義仲寺
の「無名庵」滞在中に詠まれた句。
滋賀県栗東市の
コミュティセンター大宝
、大津市の
義仲寺
広島県廿日市市の
山田邸
に句碑がある。
山田邸の句碑
『蕉翁句集』
(土芳編)は「元禄四未ノとし」とする。
『去来抄』
には「
おしみけり
」とある。
行春を近江の人とお
(を)
しみけり
ばせを
先師曰、「
尚白
が難に、「「近江」は「丹波」にも、「行春」は「行歳」にもふるべし」といへり。汝いかゞ聞侍るや」。去来曰、「尚白が難あたらず。湖水朦朧として春をお
(を)
しむに便有べし。殊に今日の上に侍る」と申。先師曰、「しかり。古人も此国に春を愛する事、お
(を)
さお
(を)
さ都におとらざる物を」。去来曰、「此一言心に徹す。行歳近江にゐ給はゞ、いかでか此感ましまさん。行春丹波にゐ
(い)
まさば、本より此情うかぶまじ。風光の人を感動せしむる事、真成哉」
ト
申。先師曰、「汝は去来、共に風雅をかたるべきもの也」と、殊更に悦給ひけり。
『去来抄』
長浜市の
酢区民館
に句碑がある。
行春を近江の人とおしみける
翁、石山寺の奥
幻住庵
に在せる頃、そこの門人等を春を惜しめる湖水の湖水の眺望也。此句を惜ミけりと出せる集あり。一句の惜けるといはされハ立す。けりけるけれ三ツの心得あるへし。師によりて習へし
『芭蕉句解』
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