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私の旅日記
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2012年
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千光寺公園〜「文学のこみち」〜
六時になると上の千光寺で刻の | ||||||||||||||||||
鐘をつく。ごーんとなると直ぐ | ||||||||||||||||||
ゴーンと反響が一つ、又一つ、又一つ、 | ||||||||||||||||||
それが遠くから帰ってくる。 | ||||||||||||||||||
其頃から昼間は向島の山と山の | ||||||||||||||||||
間に一寸頭を見せている百貫島の | ||||||||||||||||||
灯台が光り出す。それはピカリと | ||||||||||||||||||
光って又消える。 | ||||||||||||||||||
造船所の銅を溶かしたような火が | ||||||||||||||||||
水に映り出す。 |
海が見えた。海が見える。 | |||||||||
五年ぶりに見る尾道の海はなつかしい、 | |||||||||
汽車が尾道の海へさしかかると、 | |||||||||
煤けた小さい町の屋根が提火のように、 | |||||||||
拡がって来る。 | |||||||||
赤い千光寺の塔が見える。 | |||||||||
山は爽やかな若葉だ、緑色の海向こうに | |||||||||
ドックの赤い船が、帆柱を空に突きさしている。 | |||||||||
私は涙があふれていた。 |
盤石坐す可く松據る可し | |
松翠缺くる處海光露わる | |
六年重ねて来たる千光寺 | |
山紫水明指顧に在り | |
萬瓦半ば暗くして帆影斜なり | |
相傳う残杯未だ傾け去らず | |
首を回らして苦(ねんごろ)に諸少年に嘱す | |
記取せよ先生曽て酔いし処と |
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