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岡本綺堂 (おかもと・きどう) 1872〜1939。


岡本綺堂<1>     ★ 岡本綺堂<2>     ★ 岡本綺堂<3>     ★ 岡本綺堂<4>


半七捕物帳47・金の蝋燭  (青空文庫)
短編。金の伸べ棒を芯(しん)にした蝋燭(ろうそく)を何本も抱えた女が、両国の仮橋から身投げした。江戸城で出来(しゅったい)した御金蔵破りとの関連を疑う半七だが、まったくの見込み違いだったと分かり失望を感じる…。「この野郎め、おぼえていろ、あたしが死んでも、蝋燭が物を云うぞ…」。夫婦喧嘩が絶えなかった金貸しの宗兵衛と女房・お竹…、宗兵衛の妾(めかけ)・お光…、錺屋(かざりや)の増蔵…。金の蝋燭に絡んだ秘密(作られた目的や出どこ)が面白い捕物帳シリーズ第47話。

半七捕物帳48・ズウフラ怪談  (青空文庫)
短編。「おうい、おうい」。駒込の富士裏で闇夜に聞こえる怪しい声──怪談の正体を突き止めに出掛けた剣術の師匠・岩下左内だが、何者かに斬り殺されてしまう。左内と一緒に出掛けた門弟の二人(伊太郎と喜平次)が怪しいと睨んだ半七は、「色」と「慾」に眼が眩(くら)んだ事件の真相を突き止める。「おれにゃあちゃんと判っている。それはズウフラだ」、「和蘭(オランダ)渡りで遠くの人を呼ぶ道具…。吹矢の筒のようなもの…。成程それに違げえねえ」。得意の怪談を絡ませた展開が面白い捕物帳シリーズ第48話。

半七捕物帳49・大阪屋花鳥  (青空文庫)
短編。日本橋北新堀の鉄物屋(かなものや)「鍋久」の主人・久兵衛と結婚した浪人・磯野小左衛門の娘・お節。突然に乱心した彼女は、久兵衛を殺して、身投げしてしまう。実はお節は生きていて、泳ぎの上手な替え玉が殺人を実行したと推理する半七。「相手は半介で、こっちは半七だ。どっちの半が勝つか、腕くらべだ」。島破りの元遊女・大阪屋花鳥が牢内で若い女たちをおもちゃにして、毎日うなぎ飯を食べさせているという話を聞いた半七は…。駆け出し時代の半七の活躍を描いた捕物帳シリーズ第49話。

半七捕物帳50・正雪の絵馬  (青空文庫)
短編。絵馬の蒐集(しゅうしゅう)に熱狂している油屋「丸多」の主人・多左衛門は、由井正雪(ゆいしょうせつ)の絵馬を入手して得意満面。しかし、その絵馬は、和田の大宮八幡から盗み出したものだった。これを種にお城坊主の次男・万次郎に強請(ゆす)られる破目になった多左衛門は、正雪の絵馬を抱えて家出してしまう…。絵馬屋の主人・重兵衛の悪巧みと、痴情の果ての悲劇…。「こいつもなかなかの謀叛人だ。由井正雪が褒めているかも知れねえ」。蒐集狂(マニア)の皆さん、凝り過ぎにご注意を。捕物帳シリーズ第50話。

半七捕物帳51・大森の鶏  (青空文庫)
短編。川崎の初大師へ参詣に行った帰り、大森の茶店に立ち寄った半七は、中年増の女が鶏(とり)に襲われるという現場に出くわす。女が軍鶏(しゃも)屋「鳥亀」の女房・お六であること、女の亭主が昨年変死していることなどを知った半七は、鶏の一件との関連を調べる。そんな中、鈴ヶ森の仕置き場のそばで、若侍が何者かに殺されるという事件が出来(しゅったい)して…。「鈴ヶ森の人殺しは、ひょっとすると鳥亀の一件にからんでいるかも知れねえな」──。駆け落ちカップルの悲劇を描いた捕物帳シリーズ第51話。

半七捕物帳52・妖狐伝  (青空文庫)
短編。「狐が来た…。狐が来た」。悪い狐が出ると評判の鈴ヶ森の縄手で、小料理屋の息子・巳之助が女に化けた狐と遭遇し、京の商人(あきんど)・伝兵衛が天狗に化けた狐に嚇された。鈴ヶ森に化けて出る狐の正体を探索する半七は、品川に碇泊している黒船と、両替屋でドルを両替えする女との関連を突き止める…。「成程、ズウフラ怪談ですね」、「探偵話にほんとうの凄い怪談は少ないもので、種を洗えばみんなズウフラ式ですよ」──。怪談の真相が面白い捕物帳シリーズ第52話。 →「半七捕物帳48・ズウフラ怪談」

半七捕物帳53・新カチカチ山  (青空文庫)
短編。三千石の旗本・浅井因幡守(いなばのかみ)が、妾(めかけ)のお早や女中たちと共に水死した。因幡守が乗っていた屋根船に何者かが細工をして、沈没させたのだ。よくありがちな本妻と妾の確執から出来(しゅったい)した事件なのか? 事件の真相を調べる半七だが、武家屋敷が相手の仕事なだけに捜索は難航する。そんな中、例の屋根船を舞台とした心中事件が起きてしまう…。「今更のことじゃあないが、女に惚れられると恐ろしい」──。旗本屋敷の秘密とその災厄を描いた捕物帳シリーズ第53話。

半七捕物帳54・唐人飴  (青空文庫)
短編。「あの羅生門横町で…。又、人間の腕が…」。青山の羅生門横町で人間の片腕が発見された。腕に残っていた唐人服の袖から、被害者は唐人飴屋の男だと思われたが、彼の両腕は確かに満足に揃っていた。青山で女役者の一座による芝居を見物した半七は、事件の有力な手掛かりを掴むが、またしても同じ場所で人間の片腕が発見される…。女の弟子ばかり取っている常磐津の女師匠・文字吉の秘密とは? 泥棒か隠密かと噂された唐人飴屋の正体が面白い捕物帳シリーズ第54話。

半七捕物帳55・かむろ蛇  (青空文庫)
短編。江戸で虎列剌(コレラ)が流行する中、「かむろ蛇」の祟りの伝説がある小日向の氷川神社へ参詣に出掛けた煙草屋「関口屋」の娘・お袖だが、不吉にも怪しい切禿(きりかむろ)の少女を目撃してしまう。その後、女中のお由が頓死するなど変事が相次ぎ、お袖も煩い付いてしまう。果たしてお袖はかむろ蛇に呪われてしまったのか? 「人を呪わば穴二つとか云うのは、まったくこの事でしょう」。怪談がかりの悪巧みと、思いもよらない仕損じ…。迷信と怪談とコレラをうまく絡ませた捕物帳シリーズ第55話。

半七捕物帳56・河豚太鼓  (青空文庫)
短編。「菊園の子息玉太郎は仔細あって拙者が当分預り置き候──」。神田明神下の葉茶屋「菊園」の男の子・玉太郎が何者かに誘拐された。忠義者だと評判の玉太郎の乳母・お福が怪しいと睨んだ半七だが、彼女は行方不明になってしまう…。河豚(ふぐ)太鼓を売り歩くお福の弟・佐吉…、お福の元夫で道楽者の次郎吉…、売卜者(はっけみ)の白雲堂幸斎…。誰が善で、誰が悪か? 「はは、馬鹿な奴め。自分で陥し穽(あな)を掘っていやあがる」──。誘拐の動機が意表で面白い捕物帳シリーズ第56話。傑作。

半七捕物帳57・幽霊の観世物  (青空文庫)
短編。照降町(てりふりちょう)の下駄屋「駿河屋」の女隠居・お半が、浅草の幽霊の観世物小屋で変死した。幽霊に驚いてのショック死だと思われたが、半七は駿河屋の養子・信次郎に眼をつける。お半と信次郎にはそれぞれ愛人がいた…。「なんだ、てめえは…。変な物に化けやあがって、ふてえ奴だ。そっちの幽霊もここへ出て来い。おれは御用聞きの半七だ。どいつも逃げると承知しねえぞ」──。出口まで辿り着いたら景品が貰えるという、当時のお化け屋敷の仕組みが面白い。捕物帳シリーズ第57話。

半七捕物帳58・菊人形の昔  (青空文庫)
短編。団子坂の菊人形を見物しにやって来た外国人たちだが、女掏摸(すり)の「蟹(かに)のお角(かく)」に紙入れを掏(す)られた上に、この騒動のどさくさで、乗って来た西洋馬も何者かに盗まれてしまう。一方、団子坂の坂下の草原で、狐使いの老女・おころが殺されるという事件も出来(しゅったい)して…。二つの事件の関連を調べる半七だが…。「いつぞやお話をした『正雪の絵馬』と同じように、道楽が昂(こう)じると、とかくに何かの間違いが起こり易いものです」──。捕物帳シリーズ第58話。

半七捕物帳59・蟹のお角  (青空文庫)
短編。前回「菊人形」の一件で、散々な目に遭った外国人・ハリソン夫婦が何者かに殺された。横浜まで出張った半七は、ハリソンの飼い犬がむごたらしく殺されたこと、写真屋の島田と、彼の情婦である「蟹(かに)のお角(かく)」が、ハリソンの家に出入りしていたことを突き止める。額に「犬」という字を書かれて大川に放り込まれた死体との関連は? 「この一件には犬が絡んでいるに相違ねえが…」、「去年の団子坂は狐使いでしたが、今度は犬ですね」──。お角の“乱脈”ぶりが凄い捕物帳シリーズ第59話。

半七捕物帳60・青山の仇討  (青空文庫)
短編。江戸へ芝居見物にやって来た佐倉の百姓・金右衛門だが、敵(かたき)討ちと称する殺人事件が起きたばかりの青山で、何者かに斬りつけられた上に、娘のおさんが浚(さら)われてしまう。金右衛門の親類である米屋「下総屋」の主人・茂兵衛を調べる半七は、二つの事件の関連を突き止めていく…。「そりゃあ貴方(あなた)、わたくしだって、人を縛るばかりが能じゃあない。時にはこういう立役(たちやく)にもなりますよ。はははははは」。若い男と遊女の心中の顛末(てんまつ)も交えて描く捕物帳シリーズ第60話。

半七捕物帳61・吉良の脇指  (青空文庫)
短編。五百石取りの旗本・福田左京と妾(めかけ)のお関が、中間(ちゅうげん)の伝蔵に殺害された。「吉良(きら)の脇指でかたき討ちをしたら、世の中も変わったものだと、泉岳寺にいる連中が驚くかも知れねえ」。敵(かたき)討ちを果たしたいと一途に思い詰めるお関の弟・鶴吉に同情した半七は、伝蔵のありかを捜すが…。「畜生、どこに隠れていやあがるか」──。「お台場銀」(お台場築造のため幕府が発行した一朱銀)がきっかけで事件が解決する件(くだり)が鮮やか。捕物帳シリーズ第61話。

半七捕物帳62・歩兵の髪切り  (青空文庫)
短編。幕府の歩兵隊の者が二十日ばかりの間に十一人も髷(まげ)を切られるという奇怪な事件が出来(しゅったい)した。何者がなんの為にそんないたずらをするのか? さらに、元芸者のお園の家(うち)に二人組の押し込みが入り、彼女の髷を切るという「歩兵の髪切り」を真似た事件も起きてしまう。髷を切られた歩兵の一人・鮎川丈次郎が、茶屋女のお房と恋仲で、ならず者であるお房の兄・米吉とも知り合いであることを掴んだ半七だが…。「おれが調べるのじゃあねえ。この十手が調べるのだ」。捕物帳シリーズ第62話。

半七捕物帳63・川越次郎兵衛  (青空文庫)
短編。「今日じゅうに天下を拙者に引き渡すべし」──。江戸城表玄関に現れた気違い男の身柄を引き取った町奉行所だが、男に縄抜けされてしまう。男の菅笠に書かれた川越の次郎兵衛という名前を手掛かりに、男の行方を捜す半七は、浅草の菓子屋の若旦那を強請(ゆす)る女衒(ぜげん)の女房・お葉の存在を突き止める…。「今になって考えると、江戸三百年のあいだに、どんな悪戯をしても、どんな悪洒落をしても、江戸城の大玄関前へ行って天下を渡せと呶鳴ったものはない。全くこれが天下を渡す前触れだったのか知れませんね」──。川越次郎兵衛のとんだ災難を描いた捕物帳シリーズ第63話。

半七捕物帳64・廻り灯籠  (青空文庫)
短編。自分の手柄で召捕った罪人・金蔵が牢抜けしたと知った気の弱い岡っ引・三河屋甚五郎(三甚)は、金蔵の仕返しを恐れて、恋人のお浜と一緒に雲隠れしてしまう。先代の世話になった義理もあり、まだ若くて未熟な三甚を救ってやろうと考えた半七は、彼の隠れ場所を見つけ出すが、人違いでお縄になってしまう…。「御用だ。神妙にしろ」、「おい、違うよ、違うよ。おれは半七だ、三河町の半七だ」──。コミカルなストーリー展開が最高に面白い捕物帳シリーズ第64話。人間万事廻り燈籠。

半七捕物帳65・夜叉神堂  (青空文庫)
短編。お開帳がある時に飾られる奉納の造り物。その大兜(かぶと)の金銀の細工に使われた慶長小判と二朱銀が何者かに盗まれた。夜叉神堂に奉納する張子(はりこ)の鬼の面が入った箱をあさる怪しい女を吟味する麻布の岡っ引・竜土(りゅうど)の兼松だが…。「勘太。なにしろその箱をぶちまけて検(あらた)めてみろ。銀のほかに小判が出るかも知れねえ」、「親分、ありましたよ。猫に小判ということは聞いているが、これは鬼に小判ですぜ」──。渋谷(麻布)の長谷寺(ちょうこくじ)を舞台とした捕物帳シリーズ第65話。

半七捕物帳66・地蔵は踊る  (青空文庫)
短編。小石川の高源寺の「縛られ地蔵」が踊り出すという不思議な噂が立つ中、「縛られ地蔵」に縛り付けられた女の他殺体が発見される。しかも、庫裏(くり)の土間に寝かせておいた死体が紛失してしまい…。「地蔵が踊るのじゃあねえ、踊らせるのですよ」、「そうだろうな」。踊る地蔵の秘密(からくり)と、紛失した死体の行方は? 欲心と色情にまみれた事件の真相を描いた捕物帳シリーズ第66話。

半七捕物帳67・薄雲の碁盤  (青空文庫)
短編。六百五十石取りの旗本・小栗昌之助の屋敷の門前に晒された若い女の生首。しかもその首は、いわく付きの「薄雲の碁盤」の上に乗せてあった! 被害者は質屋「伊勢屋」の主人・由兵衛の妾(めかけ)・お俊だと見当をつける半七だが…。「だが親分。例の首はお俊じゃあ無さそうですぜ。誰に聞いても、お俊にあばたはねえと云いますから」、「そりゃあそうだが、まあ、もう少しおれに附き合ってくれ」──。女の顔にあったあばたの真相は? みんなこれでダマされる? 捕物帳シリーズ第67話。

半七捕物帳68・二人女房  (青空文庫)
短編。府中の闇祭りを見物しに出掛けた四谷坂町の酒屋「伊豆屋」の女房・お八重が行方不明になった。同じ晩、四谷塩町の呉服屋「和泉屋」の女房・お大も姿を消した。和泉屋の息子・清七と調布の女郎・お国が起こした心中事件との関連は? 着服、密通、監禁…、悪い奴らのオンパレード! 「じゃあ、この友蔵の家(うち)に転がされていた女は、伊豆屋の女房か、和泉屋の女房か、あなたはどっちだと思います」──。捕物帳シリーズ第68話。 →江見水蔭「怪異暗闇祭」 →久生十蘭「顎十郎捕物帳23・猫眼の男」

半七捕物帳69・白蝶怪  (青空文庫)
長編。正月の暗夜に飛ぶ怪しい白い蝶を目撃した武家・黒沼伝兵衛の娘・お勝。その後、お勝は病気になり、蝶の正体を探ろうとした伝兵衛は怪死してしまう。伝兵衛の隣家に住む長三郎は、黒沼家の跡目を相続した幸之助が、姉・お北と密会していることを知る。行方不明になった姉を捜すが…。「きっと知らねえか。知らなけりゃあ訊かねえまでのことだ。おれも黙っているから、おめえも黙っていろ」、「もう黙っちゃあいられねえ」、「それじゃあ云うか」、「云うよ、云うよ」──。神田の岡っ引・吉五郎(半七の養父)の活躍を描いたスピンオフ作品+シリーズ最終話──。お北、長三郎、留吉(吉五郎の子分)など、巧みに視点を変えながら描くことで臨場感が増し、いつもより長い話ながら、最後まで一気に読ませる。半七と吉五郎の関係についてはシリーズ第2話「石燈籠」を読むべし。



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