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一年ぶりの福島側坑口。
雨天の廃道を突き進み、
2度と通りたくねェ、とさえ思っていた「一本橋」を渡ったのも
全てはまだ見ぬ福島側最深部を拝む為。
万世大路特別編、最終章。
オフロードバイクから水上バイクと化した4台のバイクをとくと見よ!
栗子隧道、福島側坑口へ到達。 だが、この探索の真の目的はこの穴の奥にある。 | |
一年前と変わらず、坑内は地底湖となっていた。 静かな闇の中に水滴の音だけが響く。 坑内の奥は乾いているとの事だが、 少なくとも肉眼では、闇の奥底まで水没しているように見える。 「ホント、中へ入る気なんですか?」 と、とら氏。 まあ、普通に考えて水没した廃隧道をバイクごと突っ込もうとは思わない。 だが、今回の最大の目的こそそれなのだ! そして、MR氏が動く。 「ま、ちょっと 零度号、栗湖へ出撃! 坑口前の土盛りから滑り落ちるように坑内に突入した零度(レイド)号。 排気音が凄まじい水飛沫と共に大音量で坑内に響く! 水面に船舶の如く航跡をなびかせ、零度号は暗黒世界を突きすすm・・・ ぷすん。 ( ゜д゜) ・・・エンジントマッタ。 えええええええええっ、だ、大丈夫なんすかァァ!! 水没したまま沈黙する零度号! 「零度号、栗子の新たなオブジェと化す。」 と言う最悪事態すら頭に過ぎる。 が、焦らずセルを廻すとエンジン再点火。 復活した零度号は再び水面を進み、ついに陸地へと到達した! 「ココが陸地でーす!」 | |
MR氏が陸地を確認した所で、第2陣の熊五郎氏が突入。 続いて自分、そして最後にとら氏も突入していく。 かくして全員もれなく水上の人となった。 とにかく、最初が深い。 栗子隧道は山形側からのサミットから、ややきつい勾配で福島側から下ってくる形になっている。 坑内には二つ小屋隧道のような異常出水は無いもの、 外から入り込んだ水が土盛りによって塞き止められて水没しているようだ。 その為、雪解け水が大量に入り込む春先は水深が1m近くあったり、 かと思えば夏場に雨が降らない日々が続けば水が消えている事もあるという。 | |
この日は言えば、最深部はオフ車ならばステップ部分に水がかかる、かかからないかぐらいの深さ(水深25cmぐらい?)。 この時より、前回の方がやや水深が浅かったが、やはりカブで突っ込まなかったのは正解だったとおもうw(間違いなくエンジン水没) 車高の高いオフ車でも大量の水飛沫を浴びる事となり、ずぶ濡れになる事は避けられない。 が、すでに我々は道中に雨で十分に濡れてきているのでもはや怖いもの無しであった。 むしろ一つのアトラクション? | |
陸地へ到着。 水没区間を抜けると、一転して全く水気のない乾いた空洞が広がる。 殆ど崩れている所も無く(実は小崩落している箇所があるが)、ただ単に照明の付いていない現役の隧道とすら思えるほどだった。 この先、絶望的な終焉が待っているというのに。 | |
4台のバイクが無機質なコンクリの坑内を照らし出す。 それはライトの照射範囲の限界まで続き、その先は闇へと溶ける。 一見、単調に見える世界に実は貴重な道路遺構が残されていたのだ。 とら氏のセローが照らし出す坑壁には、一部分不自然に突起した箇所がある。 この突起こそ、この万世大路にとって、ここが最も重要な箇所である事を物語る物なのだ | |
2006年の初夏にヨッキれん氏が探索した際に発見された福島・山形の県界標。 この峠道の存在理由とも言うべき箇所を示す重要遺構でありながら、ヨッキれん氏によって発見されるまで、誰にも気付かれずにひっそりと闇に埋もれていたのだ。 今だ、万世大路は県境越えは可能であった。 ただし、僅か数百mのみの山形県入りであるが。 | |
4器のヘッドライトが永劫の闇を打ち砕く。 果たしてこの隧道がこれ程までの光に照らされたのは何年ぶりの事なのだろう? 大型車すら離合可能な巨大な坑内であるが、 今、内燃機関をもつ車両でここに来れるのは 苦難を乗り越えてきた2輪車のみ。 その困難な道程の果ての終着地が今眼前に照らされる。 | |
福島側、閉塞地点到達。 | |
こちらはMR氏撮影の同じく閉塞地点前の画像である。 こちらの方がやや暗めに写っているが、 反面この場所の雰囲気を良く伝えている。 膨大な土砂の上には巨大な空洞。 この空洞の存在が山形側閉塞点では不思議と感じなかった恐怖心をここでは感じさせた。 何せ、家一軒軽く収まってしまうような巨大な空間がポッカリ頭上に開いているのだ。 この崩落の後には更にとどめと言うべき壊滅的な崩壊が待ち受けており、 その頭上には小さなビルがすっぽり入るというような未曾有の大穴が開いているようだ。 自分のようなチキンはこの第一崩落を確認するだけで精一杯だ。 まるでここは、巨人の体を切りつけ贓物が抉り出されたような気味の悪さがある。 | |
さて、2つの前の画像にも写っているように、閉塞地点前にはここに訪れた勇者達の『証』が幾つか残されている。 なかでも、印象深い物は『ORR』の置石。 「 ORRの道路調査報告書 」管理人へなり氏が訪れた際に残していったものである。 そもそも、この人がバイクで万世大路へ行った、と言う事実があったからこそ自分もアタックしてみようと思い立ったのだ。 これを我が目で見る事こそ廃道アタッカーとしての最大の目標の一つであった。 | |
我々もせっかく来たので、痕跡を残す事に。 MR氏と熊五郎氏は事前に作成していた記念板を置いていく事にした。 とら氏は他の方と同じように置石を。 自分は・・・。 実は熊五郎氏の記念板の裏に書き込みさせていただきました。(準備悪いな自分) | |
さて時間もなくなってきた事だし、早々に撤収。 一応、山形県にいた訳でサミットを越え、福島県へ。 再び、『栗湖』へ飛び込んでいく。 栗湖脱出シーン動画↓(熊五郎氏撮影) http://www.geocities.jp/wxfff590/DSCF3402.AVI 最後ふらついていますw さて、行きは『特攻隊長』を務めたMR氏。 帰りはが逆に殿での突入となった。 忘れ物が無いか、一度身の回りをチェックするMR氏。 準備を整え、湖面へとダイブ! しかし・・・ 再びMR氏襲う悲劇。 「あ〜〜〜!つめたァーーいッ!!」 零度号、再び水面で沈黙。 「やるなァ。」 ポツリ、とら氏。 たしかにネタとして『おいしい』が・・・ 水面で立ち往生は嫌だw 行きの時はあっさりかかったエンジンが、今度は数度セルを廻してもかからない! MR氏の焦りを弄ぶように点火を焦らす零度号。 あの瞬間、零度号に三島閣下の念が舞い降りたのか? ほら、三島閣下って福島県民イジメ大好きだし・・・。 しばらくしてようやく復活した零度号。 しかし、まだMR氏はやや不安げ。 数度、吹かしてようやく始動。 その後、一気に水面を駆け抜け、最後に土盛りを乗り上げて全員帰還となった。 ちなみに、このMR氏の悲劇を写した動画が こちらのブログ に公開されています | |
隧道前で軽く一息ついた後、山を下り始める。 日も暮れ初め、雨も強くなってきた。 行きで引っかかった障害物に帰りも引っかかる自分。 全く一人だったらどうなっていた事やら。 ぺースこそ行きより早いものの、 やはり帰りと言うのは『既に通った場所』と言う油断が出てしまい致命的なミスを呼ぶ事もある。 前回の一本橋が良い例だ。 で、その一本橋。 帰りは一度、リアに乗せていた荷物を降ろし空荷の状態で押して行こう、と言う事になった。 行きと同じく熊五郎氏のサポートを受け、恐々ながら何とか渡り切った。 その後、降ろした荷物を殿のMR氏に渡していたので徒歩で再び一本橋を渡る。 零度号のリアに装備された荷箱の上に更に載せられていた自分の荷物。 いやー、これは不安定そうだ。 MR氏に荷物を受け取りに来た事を告げると・・・ 「何故、この状態でチャレンジさせてくれないッ!」 と、何故か怒られますたw チャレンジャー過ぎッス・・・。 | |
一本橋を過ぎ、太平集落跡へついた頃にはすでに辺りは夕闇の中。 この先は林道クラスまで路面状態が復帰しているとはいえ、 雨でぬかるんで滑りまくる。 全くをもって油断ならない。 しかし、自分がトロトロ走っているのに対し、 廃道から抜けたとら氏・熊五郎氏は水を得た魚のようにこのウェット路面を駆け抜けていく。 うーん、スゲー。 自分にとって、栗子隧道両閉塞点へ到達した事の他に、 オフ上級者の走りを見れた事もまた今回の収穫であった。 殿のMR氏に見取られながら、(時々変なところでオタついて迷惑かけながら) ようやく西栗子トンネル坑口前へと帰還した。 丸一日賭けた万世大路合同アタック。 この濃密な一日に終わりが来る。 お互いずぶ濡れかつ、泥まみれでグチャグチャだ。 でも笑顔。 また再び出会う事を誓い、それぞれの家路へと去っていった。 さて自分はこの後、山形の親戚宅へと向かう。 その前に、ちょっと汚れ過ぎなバイクを 多少マシな状態まで拭いてから向かう事にした。 ちなみに親戚には廃道ではなく「まったり林道を走った」と言うコトにしておいてある。 だが翌日、一晩泊って親戚宅を出る際に見送りに来た叔父が おもむろにスプロケット後に手を突っ込み何かを取り出した。 「いやー、イイトコ行って来たんだねェ」 それは大量に絡み付いていたツタや小枝だった。 ・・・とっても、イイとこです。 万世大路特別編 完 | |
万世大路特別編 出演者&画像提供 MR(Macx-Rider)氏 熊五郎氏 とら氏 自分 参照サイト ウィキスペディア 旧道倶楽部 近畿大学四谷ギャラリー DTM ちぃちゃんプレゼンツ! 日本の廃道 日本の道 山さ行かねが 最後まで読んで頂きありがとうございました。 |
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