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2007・9・3〜6郷愁(大井川鉄道)と最先端(東京)の旅
前章
思い切りバカンス気分全開で、キャリーバッグをコロコロ転がしながら
職場へ「おはようございまーす♪」
そして、あっという間に終業の時間。
これから、今日の内に兵庫県から岐阜県の大垣という所まで
鈍行で向かわなければならない。ダイヤ的には十分余裕が
あったので、簡単に晩御飯を済ませてからJRに乗り込んだ。
大阪に着いて、米原行きを待つためホームに向かうと、そこには
既に仕事帰りの人々が長蛇の列を作っていた。
座れないことは初めから承知の上だったが、せめて空間の余裕が
あればなあという期待を持っていた。
ところが
列車が来ると、既に車内は満員。この中に更に我々が加わるのか。
ゾっとしながら、開いたドアになだれ込む。
ドアのそばに補助席がついた所があり、せめてそこに座れるかと
思ったら、椅子が降りない。
「?」と思ったが、降りないものは仕方がない。諦めて壁にもたれ
かかる。しかし車内は超混雑。足がつりそうだ。
色々重心を変えてみるがその場しのぎにしかならない。
足全体に痛みが広がり汗がにじむ。
長いなあ〜…
途中、いくつかの駅に停車するが、降りた人の分だけ乗ってくるので
混雑は一向に解消されない。
ここで体力消耗するのは嫌だなあ、とうんざりしていると
草津という所でようやく車内に余裕が出た。と思ったら
「…が解除されましたので、補助席をご使用下さい」
といった旨のアナウンスが流れた。
あ、そういうことだったのね(^_^;)
やっと補助席を降ろして人心地つく。
うつらうつらしているうちにほどなく米原に着いた。
ここで大垣行きに乗り換える。先日、修羅場を見たあの路線だ。
列車は既に到着していたが、発車まではまだ時間がある。
しかし、先日のことで学習している私は、すぐにその列車に
乗りこみ、座席を確保。するとそのすぐ後に、かけこんで
くる人が大勢やってきて、あっという間に満席に。
日帰り旅行やっといて良かった…
大垣に到着。ここから、静岡駅まで『ムーンライトながら』という
夜行列車に乗る。だが、『ながら』が来るまでまだ大分時間がある。
どうせなら、一度駅を降りてみようかと思い、青春18きっぷを
駅員に見せて改札を出る。駅前に貨車が飾ってあった。
無性にラーメンが食べたくなった。夜中に急に欲しくなるってことが
たまにあるが、丁度そういう気分になった。
大垣を降りると目の前は大きな商店街だった。パっと見たところでは
シャッターが降りている光景しか見えないが、せめて一軒くらいラーメン屋の
明かりが見えるはずだと思い、歩いてみる。
ガラガラ…キャリーバッグの音がやかましく感じるほど静かだ。
誰もいない。何もない。暗い。
左右を見る。何もない。暗い。
前後を見る。何もない。暗い。
空しくなった。そそくさと駅に戻る。ああ、ラーメン…食べられないと
なるとかえって恋しくなる。
せめて蕎麦でも駅の中にあればなあ。
ファーストフード店などがわずかに開いていたが22:00を過ぎると
きっちり営業が終わってしまった。
夜行が止まる駅なのに小腹を満たす店の一つもないとはあまりに
寂しいなあ。夜中に麺をすすって旅に備えるのも醍醐味の一つじゃないか。
いかん、愚痴っぽくなってしまった。
駅の待合室で、まだまだ来ない夜行を待つために暇つぶしのための本を
取り出す。
随分前に買ったが、殆ど読まずにほったらかした本だ。ページが
進む進む。
その間に、色んな列車が止まったり、通過したりしたが、その度に
顔を上げて見てしまった。本能?
そしていよいよながらが来るというアナウンス。
私は3号車に乗り込んだ。
私がとった切符、この3号車は他HPの旅行記などを読んでいると
ハズレらしい。詳しい理由は省略するが、ただ実際は私が他車両と比較
していないこともあって、そんなに気にならなかった。
騒音対策のヘッドフォンが良かったのか?
そもそも、寝られることなんて期待してなかったのでそういう考え方も
幸いしたのかもしれない。
それでも、高速バスに比べれば快適な空間である。あの圧迫感がないのと
高速道路の不快な振動が無いのだ。静岡までうつらうつら…
静岡?
ながらは東京まで走っている。何故静岡という中途半端な所で
降りるのか?
列車の静岡到着時刻は丑三つ時、つまり夜中の2時頃である。始発まで
3時間もある。私の他にも何人か降りたが、皆すぐに駅を出て
どこかへ消えていってしまった。
駅にいるのは駅員以外は私一人。ぽっつーん。
だだっぴろい構内で一人始発を待つのは、ここから7駅ほど西に
戻ったところにある金谷という駅に行くためである。
大井川鉄道に、始発から乗り込むためにこういう方法を選んだのだ。
先日の長良川鉄道でも、終点まで行って帰るだけの旅になって
その前の東北旅行も、途中下車が殆ど出来なかった。
今までは、それでも満足していたが、さすがに物足りなくなってきて
“駅を味わう”体験をしてみたいと思い、その為のスケジュールが
こういうことになったわけである。
しかし、構内にただ一人。心細い…とは不思議と思わなかった。
ただ、もしかして不審人物と駅員に思われないだろうかという不安が
あった。ベンチに腰かけてまたもや本を取り出す。
ほんとはベンチに横になって少しでも体力を温存出来れば良いのだが
いくら誰もいないからといって無防備すぎるのと、恥ずかしいというのが
あって、ひたすら読書にいそしんだ。
しょっちゅう貨物列車がものすごい轟音と風圧を運んでくる。
銀河も止まった。
静岡の真夜中は…寒かった。ほんとに寒くて鼻水も出てくる始末。
奇跡的に売っていた“あったか〜い”コーヒーを飲んでも一時しのぎに
しかならない。
頭をよぎるのは、あつあつのラーメン。ああ、ラーメン…
お腹も空いてきた。寒い、ひもじい、あと何だったかな、じゃりん子チエで
おばあが言っていた(死にたくなる時)って。
あと1時間…長いなあ。本も辛くなってきた。
あと30分…
すると、ぽつぽつと人が現れた。空も白んできてようやく世の中が動く
という実感が湧いてきた。
救いの女神、始発列車がやっとやって来た。
乗り込んだらクーラーが効いている。まぐろの気分。しっかり冷凍。
金谷到着。
日はすっかり明るくなり、心配だった天気もまずまず。
だが、大井川鉄道の始発までまた1時間待ち。時間つぶしに眺めが
いいという近くの公園に行ってみることにした。
大井川鉄道の旅その1
大井川鉄道の旅その2
大井川鉄道の旅その3
大井川鉄道の旅その4
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