このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
大井川鉄道の旅その4
早朝、起き出して天気を確認した。まだ青空が覗く天気に安堵しつつ
着替えて、朝食が用意された部屋へ向かう。
テレビで天気予報とにらめっこしながらごはんを食べて、部屋に
戻ると、事前に考えていた今日の予定をやめようかなあと、気持ちが
グラつきだした。
最近すっかり体力がなくなった私はここでも、疲労がたまっている
のを痛感していた。
駅巡りをやめて温泉にでも浸かりにいこうか…そう思ったのだが
体力が無くなっていくばかりの今後、こういう旅ももう出来ないだろう
と思ったら、今の内に行っておかねばと気を持ち直した。
宿の人にお礼を言って、奥泉駅に向かう。
バスに乗って千頭に着くと、本来乗るはずだった井川線の乗り場に
立っていた駅員さんに許可をいただいて、井川線構内に入り
写真を撮った。ボロボロになったSLが、何だかとても切なくて
「お疲れ様でした」と言いたくなった。
駅員さんにお礼を言って井川線改札を出て本線のホームに入った。
待っていたのは近鉄。南海ももう一回乗りたいなあ…
駅巡り第二弾の最初は青部駅。
ここは周りの景色と合わせると、一番好きな駅かもしれない。
駅を降りて、初めて散策する気が起きた。
茶畑の間の道を歩くと、向こうに何やら不穏なものが見えた。
吊橋がっ!
いやいやいやいや…はっはっは。絶対渡らないから。
・・・でも一回くらい試してみてもいいかな?
せーの
右、左・・・・・・・踏み出したその足がすぐに
無ー理。と、そのまま後ろへ下がった。
やるんじゃなかった…軽い後悔にさいなまれながら、駅に戻ろうかと
思った時、ふと横に舗装されていない道路が目に入った。
どうせ時間はまだあるし、ちょっと行ってみようかと
歩き出した。すると、しばらくして左に曲がる道が見えた。
先を見ると川原に出るようだ。
(大井川に出られる☆)と思い、そちらへ向かう。
大きな石がごろごろしている非常に歩きづらい川原に出た。
川の傍に行って大井川に触れるかなあと期待しながら歩いて
いったが、護岸工事をしていて、川には寄れなかった。
諦めて、駅に戻る。
空を見たら、まだ青空が覗くものの、雲の流れが早くて
ああ、台風が近づいてるんだなあと憂鬱になる。
最早恒例の“誰もいない”駅のベンチで呆けていると、お婆さんが
一人駅にやって来た。こんにちはと挨拶して世間話をしていると
おじさんがやってきた。お婆さんは、顔なじみのおじさんと
話をしていたが、その会話はまるで「まんが日本むかしばなし」
のようであった。景色とあまりにシンクロするので異世界に
やってきたかなと錯覚しそうだった。
先にやって来た千頭行きの電車に、お婆さんとおじさんは乗り込んで
行ってしまった。また一人・・・
そして来たのはまたもや近鉄。車両的にはいいけど南海の
バインバインと跳ねるのももう一回体験したいなあ。
家山駅に到着。SLとの接続があって、やって来たSLには
遠足で来ていた小学生が乗っていた。素直な子供たちと
爽やかに手を振りあって別れて行く。
日常生活ではありえない風景だ。
家山駅は、桜の時期に絶好の見どころとなる。今は青々と茂った
木々を楽しむのみである。
出来れば全駅下車したいくらいだったが、この後の予定もあるので
金谷まで直行する。
個人的には充分すぎるほど堪能させていただき、思い残すこともない
くらいである。
JR金谷駅に戻って18きっぷに日付印を押してもらおうと思ったが
駅員がいないのでそのまま改札を通る。
静岡まで戻って、熱海行きに乗り換える。そこでふと思った。
友人に会う約束の時間まではまだ余裕がある。
せっかく熱海に止まるのならちょっと降りてみよう。
駅前に温泉があるといいなあ、と期待しながら下車した。
実際は分からないが、見た限りでは駅近温泉は見当たらなかった。
まあいいやと思って近くの商店街に入る。
ふかしたての温泉まんじゅうを売っていたので、1個買って
ほおばる。うまーーい☆これだけでも下車した価値はあるな。
そしてぶらぶら散策してみたのだが、それにしてもシャッター
が降りている店が多い。
さすがに雨が降り出したので
駅に戻って土産物を見たりして過ごした。
熱海からは快速アクティーが止まっていて、そこからは乗り換えも
なく快適に大都会へ電車は走って行く。
台風の影響をモロに受けて天気が晴れ→雨→晴れ→雨と目まぐるしい。
待ち合わせていた友人と食事に行く。沖縄料理なのだが、私は
お店で沖縄料理を食べるのは実は初めてであった。
いくらかの偏見はあっという間に吹き飛んだ。
四国のうどんと並ぶカルチャーショックを受け、のけぞりながら
うまいうまいと安っぽい感想を叫びつつ遠慮なしにがっついた。
なにより
今回の旅で一番まともな食事だったのだ。
満足以上の気分になって店を出ると、すっかり常連のとある店へ
向かった。
楽しく時間を過ごして、夜は更けていった・・・・・・・・・
そして
次の日。
テレビでは台風がいよいよ近づいていることが繰り返し
伝えられていた。
予定を繰り上げるほかなく、友人と優雅な食事をして
話し足りない中、切り上げて友人の見送りを受け、帰路についた。
新幹線に乗り込むと、電光掲示板には「静岡〜掛川間が強風の為
運転を見合わせています」との表示が。
(やばい、止まる、帰れない)と青ざめたがその時は仕方ないと
自分に言い聞かせた。
すると、静岡に差し掛かった頃に運転再開となり、私の乗った
新幹線が抜けたあと、また運転休止になっていた。うまい具合に
すり抜けて、奇跡的に無事新大阪まで帰ることが出来た。
家に着くと、関東地方は大荒れに荒れていた。間一髪の帰宅であった。
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大井川鉄道の旅その1
大井川鉄道の旅その2
大井川鉄道の旅その3
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