このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
大井川鉄道の旅その1
ネットでの事前調査では、近くに牧之原公園というのがあって
なかなか良い景色が見られるとのことであった。
時刻表で、1時間待ちというのは承知していたので、暇つぶしに
寄ってみようと思っていたので、案内板に沿って歩いて行く。
坂を少し降りると次の案内板が右に向いている。顔を向けると
こ…怖っ。
早朝の静かな空気の中、吸い込まれそうな暗がりと、向こうに見える
湿り気のある緑が陰鬱な気分にさせる。
しかし、とりあえずは体験してみようと歩いて行く。さて、公園は
どこだろう。新たな案内板はあるのだがいまいちよくわからない。
少し急な狭い道を登って行く。向こうに小さな山々が見えてそれなり
に良い景色である。しかし、坂を登りきったら誰かの家の横っぱら
に出て無断で入り込んだ気分で驚いてしまった。しかも住宅街の中に
出てしまって、案内板もないのでここから公園を探している間に
始発に遅れてしまいそうだったので、ここでリタイア。
駅にすごすごと戻る。JR金谷駅入口のベンチで一休み。
横には大井川鉄道金谷駅が見える。まだ開いていない。
駅、といっても見た目はプレハブの建物で、看板が無ければとても
駅には見えない。夏休みなどは大勢の家族づれなどがここを訪れる
のだとは俄かに信じがたい。
始発は6:14。現在6:00。まだ駅が開く気配は無い。
只見線でさえ始発の1時間前には開いてたけどなあ、と少し可笑しくなる。
6:05…定休日、なわけない。おーーい、もうすぐ始発ですけどー。
少々焦り気味の私だったが、やっと駅のドアが開いた。
駅員さんにフリー切符を買いたいと言うと、始発ではまだ販売する駅員
さんがいないので(この人は運転士でした)次の新金谷で買って下さい
とのこと。ええっ!降りないといけないの?予定が狂っちゃうよう〜。
困ったなあと思いつつ、ホームへ向かう。すると
ズームカーキターッ!
一気にテンションが上がる。懐かしいなあ…って乗ってないけど(爆)
でも子供の頃の記憶に残る南海カラーなのでなんとなく懐かしい。
そしてかぶりつき。
窓が長年の風雪のせいでかなり汚れているのと、昔のガラスなので透明度
が低い。う〜ん、残念。
電車は、私と2,3人ほどの乗客を乗せて出発。ほぼ独り占め状態。
見えにくいながらも最前列の車窓を楽しもうとじっと見据える。
レールが草に埋もれている・・・・・・紀州鉄道の時よりパワーアップ
しているではないか。そして・・・揺れる。体格の良い男性に両肩を
つかまれて縦横にシェイクされるくらいの派手な揺れだ。腰も浮く。
これで脱線しないのが不思議。
運転士さんが無線で誰かと会話をしている。どうやら私の切符の件らしい。
ふと振り向いて「支払い、丁度あります?」と聞いてきたので大丈夫です
と答えると、また運転士さんは駅の人と何か話した。すると新金谷に
着いた時に駅員さんが切符を持ってホームまで来てくれた。
私は急いでドアの所に行って支払いを済ませると、切符の他に時刻表と
パンフも一緒にもらった。
これで予定通りに行ける。よかったあ、と胸をなでおろし、また車窓を
楽しんだ。
次の代官町という駅は、簡素なホームがあるのみで、しかもコンクリ
なのに草が生え放題。どうみても廃線跡の駅だ。
石和という駅では、踏切の音がやけにかわいくて懐かしい感じ。
この次の神尾という駅までは他の駅と比べて距離がある。
神尾に着くと、ここは川のそばにある駅だが、まるで秘境駅のような
雰囲気だ。一応道は見えるがここから人家のある場所までどのくらい
距離があるのだろうかと思う。
神尾を出るとすぐにトンネルに入るのだが、何故かトンネルに入ると
かなりスピードを落とす。真っ暗な中を今にも止まりそうなスピードで
走るので恐怖感がある。
抜里という駅を過ぎると、大井川を渡るカーブする鉄橋がある。
テレビなどで紹介する時にはお馴染みの場所だ。
下でカメラを構えている人の姿も見えた。
地名を過ぎてすぐ、冗談のように建っている“日本一短いトンネル”
を通る。
次の塩郷は、近くに吊橋があることで有名。吊橋から眺める大井川は
さぞ美しいことだろう…でも行かないけど。何があっても行かないけど。
だって高いの怖いもん(きっぱり)
ということであっさりスルー。
でも今回のテーマは“駅を味わう”ことだ。
最初に降りた駅は駿河徳山。あれ?その先に行かないの?と
思われるかもしれないが、今日の予定はここからなのだ。
ここには駅員さんが一人いて、地元の人と楽しそうに会話を
していた。
この駅の近くに学校があって、途中から乗ってきた学生たちはここで
皆降りて行く。その中に混じって私も下車。
駅の外を見たり、中をじっくり見たりと存分に“駅を味わって”みた。
ゆったり時は流れ、駅はただ佇むだけ…急かされない時間のありがたみ
を感じる。天気はますます良くなってきた。予報では曇りだった。
次の駅に向かう。やってきたのはまたも南海。
ここは田野口という駅で、無人駅だ。駅舎の横に割と広い駐車スペース
がある。利用率は高いのかもしれない。
駅の前には小さな商店がある他は何も無い。歩いてみようかとも
思ったが、ほんとに何も無さそうだったので止めた。
だ〜〜〜〜〜〜〜〜れも来ない。駅を占拠している気分だ。ほんとに
いいのかなと思う。
次は、駅が目的、というよりお腹が空いたのでさっきここに来るまでに
車窓から見えた『食事処』の看板があった駅に降りようと思い、次に
やってきた電車に乗る。来たのは近鉄だ。昔は特急として
走っていた車両なので、シートもそれなりで、さっきの南海より揺れが
少ない。
川根温泉笹間渡駅に降りる。
早速食事処へと向かう。コテージのようなところが開いていて 土産物も置いてある。受付の人に聞いてみる。
「あの〜、この辺りで食事の出来る施設はありますか?」
すると
「あー、ごめんなさいね、今日は第一火曜だからどこも閉まってるわ。」
な
な
なにーーーーーっ!!
思えば簡単な晩御飯を食べた以外にまともに食事してないんですけど。
め、メシ・・・・・・・・・
何だか貧血気味になった私はフラフラと駅に戻ろうとそこに向かう道を
歩いていた。近くに農作業をしているご夫婦がいたが、私の姿を見かけると
「やってなかったでしょ?」
ととどめの一言。
「月に一回ここら休みになるのよ。周りの飲食店も休んじゃうしねえ。」
と更にとどめ。
いくらなんでもそこまで調べてなかったもんなあ・・・・
思い切り打ちのめされた私は、駅で次の電車を待つことにした。
本でも読んで動かずじっとしておこうと思ったら、しばらくして
品の良さそうなご婦人がやってきた。
上品な笑みで「こんにちは♪」とあいさつされたので、こちらも
挨拶。暑いわねえ、などという事から、電車が来るまで色々と話を
して、良い時間つぶしになった。
やってきた近鉄に乗り込んで、いよいよ新金谷へ。
今回の駅巡りと共にメインイベントのSL乗車の為である。
前章
大井川鉄道の旅その2
大井川鉄道の旅その3
大井川鉄道の旅その4
ホームへ戻る
このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |