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高速性のインパクト





■ある私的事情

 平成22(2010)年度初頭現在、筆者は今までどおりの更新ペースを維持できない状況にある。過去にも多忙な時期はあったが、更新が滞るのはせいぜい 2ヶ月というところで、 3ヶ月目に突入するのは初めてのことである。なにしろ、書くべきネタはまだ山ほどあるわけで、かつてない状況になっている。

 かような状況になったのは、私的時間も忙しくなったことが効いている。実は、かつて何度も記事に登場した長男坊に関することである。

平成13(2001)年初頭   2歳龍ヶ崎線 ▽わずか2区間3駅 4.5km〜〜関東鉄道龍ヶ崎線
平成13(2001)年初頭   2歳小湊鉄道 ▽佳き時代の香薫〜〜小湊鉄道各駅停車
平成13(2001)年晩夏   3歳上田交通 ▼秋風のいざない〜〜上田交通の丸窓電車
平成17(2005)年初頭   6歳ガーラ湯沢 ▼新幹線でスキーに行ってみる〜〜ガーラ湯沢15年ぶり体験記
平成18(2006)年夏    8歳ドラえもん海底 ▼異色の異次元旅行〜〜ドラえもん海底列車
平成18(2006)年末    8歳札幌国際 ▼ヒコーキとバスでスキーに行ってみる〜〜札幌国際スキー場
平成19(2007)年末    9歳テイネオリンピア ▼通勤電車でスキーに行ってみる〜〜テイネオリンピア
平成20(2008)五月連休 10歳奈良公園 ▼公共交通利用による家族旅行で近畿に行ってみる
平成21(2009)九月連休 11歳USJ ▼混雑とのつきあい方〜〜USJ・京都・万博記念公園




 登場頻度が多い(苦笑)。それに、思えば大きくなったものだ(遠い目)。この長男坊に対し、父親として、相当な時間を割く必要が生じてきたのが昨今の状況である。

 ……ここまで書けば、おおよそ想像がつくであろう。そう、長男坊の中学受験が目前に迫ってきている。率直にいって、筆者自身は中学受験に極めて否定的な考えを持っていた。しかしながら、昨今の情勢下において、都内在住でいる限り、中学受験を回避する選択はありえない、という線まで「追い詰められている」と感じ、転向せざるをえなかった。

 転向した理由は主に三つ。ここでは詳述を避けるとしても、中高一貫の伝統校において、高校からの入学をやめた学校がいくつもある、という事実に愕嘆したのは決して筆者一人だけではないはずだ。本当は素直に義務教育を了えさせたいのに、本当はこんな早い時期から受験に駆り立てることなど不本意なのに、中学受験を回避するのはもはや奇特な領域という現状に、筆者は強い強い憤りを覚えている。





■ある学校まで行くために

 さて、本題である。中学受験にあたり多くの学校の情報を入手し分析している(これが更新が滞る理由の一つ)ところなのだが、山手線北側に立地するある学校(念のため校名は内緒)のパンフレットが興味深いデータを提供していた。

 曰く「平日の朝8:25までに本校正門に到着する場合の、各駅からの出発時刻(平成21年 5月調べ)」とのこと。早速、わが日暮里・舎人ライナーのものを見てみる。

日暮里舎人ライナー


 見沼代親水公園からは約一時間を要するわけだ。直線距離では近いはずなのに、遠回りの経路で乗換があるから、これくらいの時間がかかるのはしかたないかもしれない。では、同じ都内でも南部を見ればどうだろうか。

三軒茶屋


 三軒茶屋あたりで時間距離がほぼ同じである。ほか武蔵小山がほぼ同時刻だ。ただし、現時点では湘南新宿ライン武蔵小杉が開業しており、等時間距離線は武蔵小杉を軸としてさらなる広がりを示しているはずだ。JRの韋駄天ぶりには劇的なものがあり、首都圏の「地理」を大きく変えてきた経緯がある。

 JRの高速性は埼玉方面においてさらに際立つ。

蓮田


 なんと、蓮田の時間距離が見沼代親水公園と同じである。その学校の立地による部分があるとしても、JRの高速性おそるべし……という「事実」が示される断面ではないか。

 あらためて慄然とせざるをえない。もし日暮里・舎人ライナーなかりせば、足立区西部の時間距離は途方もなく遠かったはずである。そして、それは平成20(2008)年 3月29日まで「現実」にそうだったのだ。「陸の孤島」という喩えは、使い古されているものの、今日なお真に迫る表現といえよう。

 日暮里・舎人ライナーは間違いなく足立の財産である。日暮里・舎人ライナーが備える高速性のインパクトは沿線に恩恵をもたらしたし、将来に渡って恩恵をもたらし続ける。日暮里・舎人ライナーの橋といえば荒川鉄橋(扇大橋)がまず思い出されるところだが、実は「時間距離という大海原」に橋を架けたともいえるのである。





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