町を歩いていると、時々琺瑯製の看板に出会うことがある。
かつては、商品をアピールする方法は極めて限定され、商品を購入するとき、基本的に直接店先に足を運ばなければ品定めが出来ないものであった。
加えて、近年のようなインターネットも、増してや大型電飾看板すら無かった時代には、大衆の眼に触れられる商品宣伝手段は新聞・雑誌広告程度であり、地道に的を広げて知名度を上げるには、安価な小型琺瑯看板を多数設置するのが効果的であったわけだ。
もっとも今見られる琺瑯看板は、錆が浮き、または色褪せ、商標自体も存在しないものが多く、現代ではほとんど用をなしていないのが事実である。建替えが進み行く中で、或るものは家々の隙間に追いやられ、また他のものは解体とともに処分されてしまう。
新造されない限り、どんどん減ってきているのが実態である。
琺瑯看板をはじめ昔の看板には郷愁が詰まっている。その長さ50センチ弱ほどの細長い一面に、メーカーは意匠を凝らした。書体にこだわり、目立つようにレイアウトにも独特の趣向が見られる。今となってはそれがもはや滑稽な感を抱かせるのだが、そこが琺瑯看板の魅力である。
このコーナーは郷愁小路の付録としての位置付けであり、町並探索の副産物に過ぎないため、世に見られるHPのように琺瑯看板を専門に扱っているものに比べると他愛もないものですが、暇つぶしにご覧下さい。
最終更新 2004/07/19 か行(2)に7点、た行(2)に6点追加掲載 |