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第八章 雑則

(都道府県等が処理する事務)
第九十七条

 都道府県知事及び市町村長は、政令で定めるところにより、自衛官の募集に関する事務の一部を行う。
 2  長官は、警察庁及び都道府県警察に対し、自衛官の募集に関する事務の一部について協力を求めることができる。
 3  第一項の規定により都道府県知事及び市町村長の行う事務並びに前項の規定により都道府県警察の行う協力に要する経費は、国庫の負担とする。

(学資金の貸与)
第九十八条

 長官は、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に規定する大学(大学院を含む。)に在学する学生で、政令で定める学術を専攻し、修学後その専攻した学術を応用して自衛隊に勤務しようとする者に対し、選考により学資金を貸与することができる。
 2  前項の貸与金の額は、政令で定める。
 3  第一項の貸与金には、利息を附さない。
 4  長官は、学資金の貸与を受けた者が次の各号の一に該当する場合には、政令で定めるところにより、その貸与金の全部又は一部の返還を免除することができる。
 一  修学後政令で定める年数以上継続して隊員であつたとき。
 二  修学後隊員であつた者が公務に因る災害のため心身に故障を生じ、第四十二条第二号の規定に該当して免職されたとき、又は同条第四号の規定に該当して免職されたとき。
 三  死亡又は心身障害により貸与金の返還ができなくなつたとき。
 5  前四項に定めるもののほか、学資金の貸与及び返還に関し必要な事項は、政令で定める。

(償還金)
第九十八条の二

 防衛医科大学校卒業生は、当該教育訓練の修了の時以後はじめて離職したときは、当該教育訓練を修了した後九年以上の期間隊員として勤続していた場合を除き、当該教育訓練に要した職員給与費、研究費その他の経常的経費の学生一人当たりの額をこえない範囲内において、当該教育訓練の修了後の隊員としての勤続期間を考慮して政令で定める金額を国に償還しなければならない。ただし、次の各号の一に該当する場合は、この限りでない。
 一  死亡により離職したとき。
 二  公務による災害のため心身に故障を生じ、第四十二条第二号の規定に該当して免職されたとき、又は同条第四号の規定に該当して免職されたとき。
 2  前項の規定による償還義務は、本人の死亡により消滅する。
 3  長官は、心身障害により第一項の規定による償還ができなくなつた者に対しては、政令で定めるところにより、その償還すべき金額の全部又は一部の償還を免除することができる。
 4  前三項に定めるもののほか、第一項の規定による償還に関し必要な事項は、政令で定める。

(機雷等の除去)
第九十九条

 海上自衛隊は、長官の命を受け、海上における機雷その他の爆発性の危険物の除去及びこれらの処理を行うものとする。

(土木工事等の受託)
第百条

 長官は、自衛隊の訓練の目的に適合する場合には、国、地方公共団体その他政令で定めるものの土木工事、通信工事その他政令で定める事業の施行の委託を受け、及びこれを実施することができる。
 2  前項の事業の受託に関し必要な事項は、政令で定める。

(教育訓練の受託)
第百条の二

 長官は、防衛庁本庁の内部部局若しくは防衛大学校、防衛医科大学校その他の文教研修施設、技術研究本部若しくは契約本部において隊員以外の者について教育訓練を実施することの委託を受けた場合(内部部局にあつては、 防衛庁設置法 第十条第六号 に掲げる事務に係る教育訓練を実施することの委託を受けた場合に限る。)において相当と認めるとき、 防衛庁設置法 第二十八条の三 に規定する機関若しくは自衛隊の学校において外国人について教育訓練を実施することの委託を受けた場合において相当と認めるとき、又は政令で定める技術者の教育訓練を実施することの委託を受けた場合において他に教育訓練の施設がないと認めるときは、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、当該委託を受け、及びこれを実施することができる。この場合における当該隊員以外の者の処遇については、教育訓練に必要な限度において、隊員に準じて政令で定める。
 2  長官は、前項の場合においては、政令で定めるところにより、授業料を徴収することができる。
 3  長官は、第一項の規定により教育訓練を受ける外国人に対し、その委託者が開発途上にある海外の地域の政府である場合において、特に必要があると認めるときは、同項後段の規定にかかわらず、政令で定めるところにより、当該教育訓練の履修を支援するための給付金を支給することができる。
 4  隊員以外の者に対する教育訓練の委託の手続は、政令で定める。

(運動競技会に対する協力)
第百条の三

 長官は、関係機関から依頼があつた場合には、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、国際的若しくは全国的規模又はこれらに準ずる規模で開催される政令で定める運動競技会の運営につき、政令で定めるところにより、役務の提供その他必要な協力を行なうことができる。

(南極地域観測に対する協力)
第百条の四

 自衛隊は、長官の命を受け、国が行なう南極地域における科学的調査について、政令で定める輸送その他の協力を行う。

(国賓等の輸送)
第百条の五

 長官は、国の機関から依頼があつた場合には、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、航空機による国賓、内閣総理大臣その他政令で定める者(次項において「国賓等」という。)の輸送を行うことができる。
 2  自衛隊は、国賓等の輸送の用に主として供するための航空機を保有することができる。

(国際緊急援助活動等)
第百条の六

 長官は、国際緊急援助隊の派遣に関する法律(昭和六十二年法律第九十三号)の定めるところにより、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、隊員又は部隊等に同法第三条第二項 各号に掲げる活動を行わせることができる。

(国際平和協力業務の実施等)
第百条の七

 長官は、 国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律 (平成四年法律第七十九号)の定めるところにより、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、部隊等に国際平和協力業務を行わせ、及び輸送の委託を受けてこれを実施することができる。

(在外邦人等の輸送)
第百条の八

 長官は、外務大臣から外国における災害、騒乱その他の緊急事態に際して生命又は身体の保護を要する邦人の輸送の依頼があつた場合において、当該輸送の安全について外務大臣と協議し、これが確保されていると認めるときは、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、当該邦人の輸送を行うことができる。この場合において、長官は、外務大臣から当該緊急事態に際して生命又は身体の保護を要する外国人として同乗させることを依頼された者を同乗させることができる。
 2  前項の輸送は、第百条の五第二項の規定により保有する航空機により行うものとする。ただし、当該輸送に際して使用する空港施設の状況、当該輸送の対象となる邦人の数その他の事情によりこれによることが困難であると認められるときは、次に掲げる航空機又は船舶により行うことができる。
 一  輸送の用に主として供するための航空機(第百条の五第二項の規定により保有するものを除く。)
 二  前項の輸送に適する船舶
 三  前号に掲げる船舶に搭載された回転翼航空機で第一号に掲げる航空機以外のもの(当該船舶と陸地との間の輸送に用いる場合におけるものに限る。)
 3  第一項に規定する外国において同項の輸送の職務に従事する自衛官は、当該輸送に用いる航空機若しくは船舶の所在する場所又はその保護の下に入つた当該輸送の対象である邦人若しくは外国人を当該航空機若しくは船舶まで誘導する経路においてその職務を行うに際し、自己若しくは自己と共に当該輸送の職務に従事する隊員又は当該邦人若しくは外国人の生命又は身体の防護のためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。ただし、 刑法 第三十六条 又は 第三十七条 の規定に該当する場合のほか、人に危害を与えてはならない。

(日米物品役務相互提供協定に基づくアメリカ合衆国の軍隊に対する物品又は役務の提供)
第百条の九

 内閣総理大臣又はその委任を受けた者は、日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定(次項において「日米物品役務相互提供協定」という。)の定めるところにより、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、アメリカ合衆国の軍隊に対し、物品を提供することができる。
 2  長官は、日米物品役務相互提供協定の定めるところにより、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、アメリカ合衆国の軍隊に対し、役務を提供することができる。
 3  前項の規定による役務の提供に関し必要な事項は、政令で定める。

(後方地域支援等)
第百条の十

 内閣総理大臣又はその委任を受けた者は、 周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律 (平成十一年法律第六十号)又は 周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律 (平成十二年法律第百四十五号)の定めるところにより、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、後方地域支援としての物品の提供(前条第一項の適用があるものを除く。)を実施することができる。
 2  長官は、 周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律 又は 周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律 の定めるところにより、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、防衛庁本庁の機関及び部隊等に後方地域支援としての役務の提供(前条第二項の適用があるものを除く。)を、部隊等に後方地域捜索救助活動又は船舶検査活動を行わせることができる。

(海上保安庁等との関係)
第百一条

 自衛隊と海上保安庁、地方航空局、航空交通管制部、気象官署、国土地理院、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律(昭和六十一年法律第八十八号)第一条第三項 に規定する会社、東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社(以下この条において「海上保安庁等」という。)は、相互に常に緊密な連絡を保たなければならない。
 2  長官は、自衛隊の任務遂行上特に必要があると認める場合には、海上保安庁等に対し協力を求めることができる。この場合においては、海上保安庁等は、特別の事情のない限り、これに応じなければならない。

(自衛艦旗等)
第百二条

 自衛艦その他の自衛隊の使用する船舶は、長官の定めるところにより、国旗及び第四条第一項の規定により交付された自衛艦旗その他の旗を掲げなければならない。
 2  自衛隊の使用する航空機は、自衛隊の航空機であることを明らかに識別することができるような標識を付さなければならない。
 3  自衛艦その他の自衛隊の使用する船舶又は自衛隊の使用する航空機以外の船舶又は航空機は、第一項に規定する旗若しくは前項に規定する標識又はこれらにまぎらわしい旗若しくは標識を掲げ、又は付してはならない。
 4  自衛艦その他の自衛隊の使用する船舶の掲げる第四条第一項の規定により交付された自衛艦旗以外の旗及び自衛隊の使用する航空機の付する標識の制式は、長官が定め、官報で告示する。

(防衛出動時における物資の収用等)
第百三条

 第七十六条第一項の規定により自衛隊が出動を命ぜられ、当該自衛隊の行動に係る地域において自衛隊の任務遂行上必要があると認められる場合には、都道府県知事は、長官又は政令で定める者の要請に基き、病院、診療所その他政令で定める施設(以下本条中「施設」という。)を管理し、土地、家屋若しくは物資(以下本条中「土地等」という。)を使用し、物資の生産、集荷、販売、配給、保管若しくは輸送を業とする者に対してその取り扱う物資の保管を命じ、又はこれらの物資を収用することができる。ただし、事態に照らし緊急を要すると認めるときは、長官又は政令で定める者は、都道府県知事に通知した上で、自らこれらの権限を行うことができる。
 2  第七十六条第一項の規定により自衛隊が出動を命ぜられた場合においては、当該自衛隊の行動に係る地域以外の地域においても、都道府県知事は、長官又は政令で定める者の要請に基き、自衛隊の任務遂行上特に必要があると認めるときは、内閣総理大臣が告示して定めた地域内に限り、前項の規定の例により、施設の管理、土地等の使用若しくは物資の収用を行い、又は取扱物資の保管命令を発し、また、当該地域内にある医療、土木建築工事又は輸送を業とする者に対して、当該地域内においてこれらの者が現に従事している医療、土木建築工事又は輸送の業務と同種の業務で長官又は政令で定める者が指定したものに従事することを命ずることができる。
 3  災害救助法(昭和二十二年法律第百十八号)第二十三条の二第二項及び第三項並びに第二十三条の三の規定は、前二項の規定により施設を管理し、土地等を使用し、物資の保管を命じ、又は物資を収用する場合について、同法第二十三条の二第二項 、第二十四条第五項 及び第二十九条 の規定は、前項の規定により医療、土木建築工事又は輸送に従事する者を長官又は政令で定める者の指定した業務に従事させる場合について準用する。
 4  第二項に規定する医療、土木建築工事又は輸送に従事する者の範囲は、政令で定める。
 5  前四項に定めるもののほか、第七十六条第一項の規定により自衛隊が出動を命ぜられた場合における施設の管理、土地等の使用、物資の保管命令、物資の収用又は業務従事命令について必要な手続は、政令で定める。 6  第一項又は第二項の規定による処分については、行政不服審査法による不服申立てをすることができない。

(電気通信設備の利用等)
第百四条

 長官は、第七十六条第一項の規定により出動を命ぜられた自衛隊の任務遂行上必要があると認める場合には、緊急を要する通信を確保するため、総務大臣に対し、電気通信事業法 (昭和五十九年法律第八十六号)第二条第五号に規定する電気通信事業者がその事業の用に供する電気通信設備を優先的に利用し、又は有線電気通信法(昭和二十八年法律第九十六号)第三条第四項第三号に掲げる者が設置する電気通信設備を使用することに関し必要な措置をとることを求めることができる。
 2  総務大臣は、前項の要求があつたときは、その要求に沿うように適当な措置をとるものとする。

(訓練のための漁船の操業の制限又は禁止)
第百五条

 内閣総理大臣は、自衛隊の行う訓練及び試験研究のため水面を使用する必要があるときは、農林水産大臣及び関係都道府県知事の意見を聞き、一定の区域及び期間を定めて、漁船の操業を制限し、又は禁止することができる。
 2  国は、前項の規定による制限又は禁止により、当該区域において従来適法に漁業を営んでいた者が漁業経営上こうむつた損失を補償する。
 3  前項の規定により補償する損失は、通常生ずべき損失とする。
 4  前二項の規定による損失の補償を受けようとする者は、その者の住所地を管
轄する都道府県知事を経由して、損失補償申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。
 5  都道府県知事は、前項の申請書を受理したときは、その意見を記載した書面を当該申請書に添えて、これを内閣総理大臣に送付しなければならない。
 6  内閣総理大臣は、前項の書類を受理したときは、補償すべき損失の有無及び損失を補償すべき場合には補償の額を決定し、遅滞なくこれを都道府県知事を経由して当該申請者に通知しなければならない。
 7  前項の規定による決定に不服がある者は、同項の通知を受けた日の翌日から起算して三十日以内に、内閣総理大臣に対して異議を申し出ることができる。
 8  内閣総理大臣は、前項の規定による申出があつたときは、その申出のあつた日から三十日以内に、改めて補償すべき損失の有無及び損失を補償すべき場合には補償の額を決定し、これを申出人に通知しなければならない。
 9  前項の規定により決定された補償金の額に不服がある者は、その決定を知つた日から三月以内に訴えをもつてその増額を請求することができる。
 10  前項の訴においては、国を被告とする。
 11  第六項の規定による決定に不服がある者は、第七項及び第九項の規定によることによつてのみ争うことができる。
 12  前各項に定めるもののほか、第二項の規定による損失の補償の実施に関し必要な事項は、政令で定める。

(火薬類取締法の適用除外)
第百六条

 火薬類取締法(昭和二十五年法律第百四十九号)の規定は、同法第五十七条の三の規定にかかわらず、第二条から第四条 まで、第七条 、第九条第一項及び第二項 、第十条から第十三条まで、第十四条第一項、第十五条 、第二十条第二項 、第二十七条の二 、第二十八条、第三十条第一項、第三十一条第一項、第三項及び第四項、第三十二条、第三十三条第一項及び第三項 、第三十五条、第三十九条第一項 、第四十六条第二項 並びに第五十条 の規定を除き、自衛隊の行う火薬類の製造、貯蔵、運搬、消費その他の取扱については、適用しない。
 2  自衛隊の行う火薬類の製造、貯蔵、運搬、消費その他の取扱についての火薬類取締法(前項の規定により適用を除外される規定を除く。)の適用については、政令で特例を定めることができる。
 3  長官は、第一項の規定にかかわらず、自衛隊が取り扱う火薬類について、火薬類取締法 及びこれに基く命令の規定に準拠して製造、貯蔵、運搬、消費その他の取扱に関する技術上の基準を定め、その他火薬類に因る災害を防止し、公共の安全を確保するため必要な措置を講じなければならない。

(航空法等の適用除外)
第百七条

 航空法中第十一条 、第二十八条第一項及び第二項 、第三十四条第二項 、第三十八条第一項、第五十七条 から第五十九条まで、第六十五条、第六十六条、第八十六条、第八十九条、第九十条並びに第百三十四条第一項及び第二項の規定は、自衛隊の使用する航空機及びその航空機に乗り組んで運航に従事する者並びに自衛隊が設置する飛行場及び航空保安施設については、適用しない。
 2  航空法第四十九条 から第五十一条までの規定は、自衛隊が設置する飛行場について準用する。この場合において、同法第四十九条第一項中「第四十条(第四十三条第二項において準用する場合を含む。)の告示」とあるのは「防衛庁長官の告示」と、同法第五十条 中「当該飛行場の設置又は第四十三条第一項 の施設の変更」とあるのは「当該飛行場の設置又は変更」と読み替えるものとする。
 3  自衛隊の使用する航空機及びその航空機に乗り組んで運航に従事する者についての航空法第六章 (第一項の規定により適用を除外される規定を除く。)の規定の適用については、政令で特例を定めることができる。
 4  航空法第六十条 から第六十四条まで、第七十六条、第七十六条の二、第七十九条 から第八十一条 まで、第八十二条第二項、第八十二条の二 、第八十四条第二項 、第八十八条 、第九十一条 、第九十二条(第一項第三号に係る部分に限る。)及び第九十九条の二第一項の規定は、第七十六条第一項 の規定により出動を命ぜられた場合において、同法第七十九条 から第八十一条までの規定は、第七十八条第一項若しくは第八十一条第二項の規定により出動を命ぜられた場合又は第八十三条第二項 の規定により派遣を命ぜられた場合において、それぞれ政令で定めるところにより、自衛隊の航空機及び航空機に乗り組んで運航に従事する者並びに自衛隊の行なう同法第九十九条の二第一項 に規定する行為については適用しない。
 5  長官は、第一項及び前項の規定にかかわらず、自衛隊が使用する航空機の安全性及び運航に関する基準、その航空機に乗り組んで運航に従事する者の技能に関する基準並びに自衛隊が設置する飛行場及び航空保安施設の設置及び管理に関する基準を定め、その他航空機に因る災害を防止し、公共の安全を確保するため必要な措置を講じなければならない。
 6  長官は、前項の規定による基準を定めようとする場合には、あらかじめ国土交通大臣と協議するものとする。
 7  航空・鉄道事故調査委員会設置法(昭和四十八年法律第百十三号)第三条の規定は、自衛隊の使用する航空機について発生した同法第二条の二第三項の航空事故等(自衛隊の使用する航空機と自衛隊以外の者が使用する航空機との間に発生したものを除く。)については、適用しない。
 8  長官は、航空事故の防止のために有益であると認める前項の航空事故等に係る情報を航空・鉄道事故調査委員会に提供するものとする。

(労働組合法 等の適用除外)
第百八条

 労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号)、労働関係調整法(昭和二十一年法律第二十五号)、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)、船員法(昭和二十二年法律第百号)(第一条、第二条、第七条から第十八条まで、第二十条、第二十五条から第二十七条まで、第百二十二条から第百二十五条まで、第百二十六条(第六号及び第七号を除く。)、第百二十七条、第百二十八条(第三号を除く。)及び第百三十四条並びにこれらに関する第百二十条の規定を除く。)、最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)、じん肺法(昭和三十五年法律第三十号)、船員災害防止活動の促進に関する法律(昭和四十二年法律第六十一号)及び労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)並びにこれらに基く命令の規定は、隊員については、適用しない。

(船舶法等の適用除外)
第百九条

 船舶法(明治三十二年法律第四十六号)、船舶安全法(昭和八年法律第十一号)、船舶のトン数の測度に関する法律 (昭和五十五年法律第四十号)及び小型船舶の登録等に関する法律(平成十三年法律第百二号)の規定は、海上自衛隊(防衛大学校を含む。以下本章中同じ。)の使用する船舶については、適用しない。ただし、船舶安全法第二十八条 の規定中危険及び気象の通報その他船舶航行上の危険防止に関する部分は、海上自衛隊の政令で定める船舶については、適用があるものとする。
 2  海上自衛隊の使用する船舶は、内閣府令で定めるところにより、国の所有に属するものにあつては国籍を証明する書類を、その他のものにあつては海上自衛隊の使用するものであることを証明する書類を備え付けなければならない。

(船舶職員法 の適用除外)
第百十条

 船舶職員法 (昭和二十六年法律第百四十九号)の規定は、海上自衛隊の使用する船舶及びこれに乗り組んで船舶職員の業務に従事する隊員については、適用しない。

(海上自衛隊の使用する船舶についての技術上の基準等)
第百十一条

 長官は、海上自衛隊の使用する船舶について堪航性及び人命の安全を確保するため必要な技術上の基準及び配員の基準を定めなければならない。

(電波法の適用除外)
第百十二条

 電波法 (昭和二十五年法律第百三十一号)第百四条 の規定にかかわらず、同法 の規定のうち、無線局の免許及び検査並びに無線従事者に関するものは、自衛隊がそのレーダー及び移動体の無線設備を使用する場合については、適用しない。
 2  長官は、自衛隊がそのレーダー及び移動体の無線設備を使用する場合には、その使用する周波数について、総務大臣の承認を受けなければならない。
 3  自衛隊がそのレーダー及び移動体の無線設備を使用する場合には、前項に規定する周波数の使用に関し、他の無線局の運用を阻害するような混信を防止するため、総務大臣が定めるところに従うものとする。
 4  長官は、無線通信の良好な運行を確保するため、自衛隊がそのレーダー及び移動体の無線設備を使用する場合における無線局の開設及び検査並びに当該無線局で無線通信に従事する者に関し必要な基準を定めなければならない。

(道路運送法の適用除外)
第百十三条
 道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)第七十八条 、第九十四条 及び第九十五条 の規定は、自衛隊の使用する自動車のうち、政令で定めるものについては、適用しない。

(道路運送車両法の適用除外)
第百十四条

 道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)の規定は、自衛隊の使用する自動車のうち、政令で定めるものについては、適用しない。
 2  道路運送車両法の規定が適用されない自衛隊の使用する自動車については、長官は、保安基準並びに整備及び検査の基準を定めなければならない。
 3  道路運送車両法 の規定が適用されない自動車は、長官の定めるところにより、他の自動車と明らかに識別することができるような番号及び標識を付さなければならない。
 4  自衛隊の使用する自動車以外の自動車は、前項に規定する番号若しくは標識又はこれらにまぎらわしい番号若しくは標識を付してはならない。
 5  第三項の自動車に付する標識の制式は、官報で告示する。

(土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法 の適用除外)
第百十四条の二

 土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法 (昭和四十二年法律第百三十一号)の規定は、自衛隊の使用する自動車については、適用しない。

(銃砲刀剣類所持等取締法 の適用除外)
第百十五条

 銃砲刀剣類所持等取締法(昭和三十三年法律第六号)第二十八条の規定は、自衛隊の保有する銃砲については、適用しない。

(消防法 の適用除外)
第百十五条の二

 消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第十条第一項 の規定は、自衛隊が第六章 に定める行動に際して、又は自衛隊の演習場において、危険物を貯蔵し、又は取り扱う場合については、適用しない。
 2  長官は、前項の規定にかかわらず、自衛隊が貯蔵し、又は取り扱う危険物について、消防法 に準拠して貯蔵又は取扱に関する基準を定め、その他危険物による災害を防止し、公共の安全を確保するため必要な措置を講じなければならない。

(麻薬及び向精神薬取締法 等の特例)
第百十六条

 自衛隊の部隊又は補給処で政令で定めるものは、麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)第二十六条第一項及び第二十八条第一項又は覚せい剤取締法(昭和二十六年法律第二百五十二号)第三十条の九及び第三十条の七 の規定にかかわらず、麻薬又は医薬品である覚せい剤原料を譲り受け、及び所持することができる。この場合においては、当該部隊の長又は補給処の処長は、麻薬及び向精神薬取締法 又は覚せい剤取締法 の適用については、麻薬管理者又は覚せい剤原料取扱者とみなす。

(需品の貸付)
第百十六条の二

 内閣総理大臣又はその委任を受けた者は、自衛隊の航空機以外の航空機が自衛隊の飛行場に着陸した場合において他から入手するみちがないと認めるときは、次の飛行に必要な限度において、かつ、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、内閣府令で定めるところにより、これに対し液体燃料その他内閣府令で定める需品を無償で貸し付けることができる。
 2  前項の規定に基き内閣総理大臣が内閣府令を定める場合には、あらかじめ財務大臣と協議するものとする。

(食事の支給)
第百十六条の三

 自衛隊の周知宣伝のため必要があると認めるときは、隊員以外の者で自衛隊を視察し、又は見学するものに対し、防衛庁の職員の給与等に関する法律(昭和二十七年法律第二百六十六号)第二十条 の規定により隊員に支給される食事を適正な対価で支給することができる。
 2  前項に規定するもののほか、自衛隊の任務遂行に直接必要な装備品、船舶、航空機及び食糧その他の需品又は役務の調達に際し自衛隊の使用する船舶、庁舎、営舎その他の施設内において当該調達に係る作業に従事する隊員以外の者で、その附近において自ら食事をととのえることができないと認められるものに対しても、前項の例により食事を支給することができる。

(事務の区分)
第百十六条の四

 第百三条第一項及び第二項並びに第百五条第四項、第五項(申請書に意見を記載した書面を添える部分を除く。)及び第六項並びに第百三条第三項において準用する災害救助法第二十三条の二第二項 及び第三項、第二十三条の三 、第二十四条第五項 並びに第二十九条 の規定により都道府県が処理することとされている事務は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号 に規定する第一号 法定受託事務とする。

(委任規定)
第百十七条

 この法律に特別の定があるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、政令で定める。

(経過措置)
第百十七条の二

 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

第九章 罰則

第百十八条
 次の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
 一   第五十九条第一項 又は 第二項 の規定に違反して秘密を漏らした者
 二   第六十二条第一項 の規定に違反した者
 三   第六十二条第二項 の規定に違反して営利を目的とする会社その他の団体の地位に就いた者
 四  正当な理由がなくて自衛隊の保有する武器を使用した者
 2  前項第一号に掲げる行為を企て、教唆し、又はそのほう助をした者は、同項の刑に処する。

第百十九条
 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は禁錮に処する。
 一   第六十一条第一項 の規定に違反した者
 二   第六十四条第一項 の規定に違反して組合その他の団体を結成した者
 三   第六十四条第二項 の規定に違反した者
 四   第七十条第一項第一号 の規定による防衛招集命令を受けた予備自衛官又は 第七十五条の四第一項第一号 若しくは 第二号 の規定による防衛招集命令若しくは治安招集命令を受けた即応予備自衛官で、正当な理由がなくて指定された日から三日を過ぎてなお指定された場所に出頭しないもの
 五   第七十七条 又は 第七十九条第一項 の規定による出動待機命令を受けた者で、正当な理由がなくて職務の場所を離れ七日を過ぎたもの又は職務の場所につくように命ぜられた日から正当な理由がなくて七日を過ぎてなお職務の場所につかないもの
 六   第七十八条第一項 又は 第八十一条第二項 に規定する治安出動命令を受けた者で、上官の職務上の命令に反抗し、又はこれに服従しないもの
 七  上官の職務上の命令に対し多数共同して反抗した者
 八  正当な権限がなくて又は上官の職務上の命令に違反して自衛隊の部隊を指揮した者
 2  前項第二号若しくは第四号から第六号までに規定する行為の遂行を教唆し、若しくはそのほう助をした者又は同項第三号、第七号若しくは第八号に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、若しくはせん動した者は、それぞれ同項の刑に処する。

第百二十条
  第七十八条第一項 又は 第八十一条第二項 に規定する治安出動命令を受けた者で、次の各号の一に該当するものは、五年以下の懲役又は禁こに処する。
 一   第六十四条第二項 の規定に違反した者
 二  正当な理由がなくて職務の場所を離れ三日を過ぎた者又は職務の場所につくように命ぜられた日から正当な理由がなくて三日を過ぎてなお職務の場所につかない者
 三  上官の職務上の命令に対し多数共同して反抗した者
 四  正当な権限がなくて又は上官の職務上の命令に違反して自衛隊の部隊を指揮した者
 2  前項第二号に規定する行為の遂行を教唆し、若しくはそのほう助をした者又は同項第一号、第三号若しくは第四号に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、若しくはせん動した者は、それぞれ同項の刑に処する。

第百二十一条
 自衛隊の所有し、又は使用する武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物を損壊し、又は傷害した者は、五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。

第百二十二条
  第七十六条第一項 の規定による防衛出動命令を受けた者で、次の各号の一に該当するものは、七年以下の懲役又は禁こに処する。
 一  第六十四条第二項の規定に違反した者
 二  正当な理由がなくて職務の場所を離れ三日を過ぎた者又は職務の場所につくように命ぜられた日から正当な理由がなくて三日を過ぎてなお職務の場所につかない者
 三  上官の職務上の命令に反抗し、又はこれに服従しない者
 四  正当な権限がなくて又は上官の職務上の命令に違反して自衛隊の部隊を指揮した者
 五  警戒勤務中、正当な理由がなくて勤務の場所を離れ、又は睡眠し、若しくはめいていして職務を怠つた者
 2  前項第二号若しくは第三号に規定する行為の遂行を教唆し、若しくはそのほう助をした者又は同項第一号若しくは第四号に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、若しくはせん動した者は、それぞれ同項の刑に処する。


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