このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
TOP > 西鉄路線バス写真集 > 第32弾 後藤寺バスセンターの黄昏(2016年9月30日 バスセンター閉鎖に添えて) |
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筑豊有数の産炭地の玄関口として60年。 この街が歩んだ、昭和の栄華と衰勢の軌跡と共に、人々を迎え、送り出した、西鉄バスのタアミナル。 平成28年9月30日の閉鎖を目前に、黄昏を迎える。
天神高速バスターミナルから「筑豊特急」で約1時間半、峠を2つ超えたその先に広がる人口約5万人の田川市。 昭和の半ばまでは、周辺町村と併せ数多くの炭坑を有し、日本の経済成長を支え続けた筑豊の3大都市の一つです。 この街の中心部の一つ、後藤寺(ごとうじ)に西鉄バスが発着する田川地区最大拠点が、この後藤寺バスセンター。 60年もの間、この街で起こった出会いと別れの玄関口として役目を果たしてきましたが、 2016年9月30日、老朽化によりついにバスセンターとして閉鎖されることとなりました。 黄昏を迎えた西鉄バス随一の「近代歴史遺構」の記録です。
※撮影に際しては、安全に留意し、三脚・フラッシュ・ストロボを使わずに撮影しています。 ※肖像権等への配慮から、運転士、乗客、通行者、自家用車のナンバープレートについて、ぼかし等の画像加工を行っています。 | ||||||
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JR日田彦山線と後藤寺線の分岐駅である田川後藤寺駅から歩いて1分。 商店街を抜けたところに、一見では廃墟と見間違わんばかりの、周辺の建物より巨大に見える建造物。 それが後藤寺バスセンターです。「ぬっ」とバスが出てきます。
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ターミナルに足を踏み入れると、タイムスリップしたかのような昭和に包まれます。 バスセンターの上、3階までは映画館が入居していたそうで、シアター式の客席に合わせた屋根の作りになっています。 出口に向かって開口部が徐々に高くなる独特のデザイン。 乗り場案内板の空白は、廃止路線の痕跡。市内路線や周辺市町村とを結んでいた路線たちは、 21世紀に入って間もないころ、廃止の嵐が吹き荒れ、今では4分の1以下にまで本数を減らしました。
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バス乗り場は9本。そして手前と奥の2レーン。 乗り場によって、手前のレーンを使用するものと、奥のレーンを使用するものが分かれます。 写真の方城循環線は手前のレーン。 なお、待合室と有人切符売場、案内放送は、2015年に閉鎖されました。
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このバスターミナルを発着する系統を、簡単にご紹介します。
「筑豊特急」・・田川伊田〜田川後藤寺〜飯塚〜八木山バイパス〜都市高速〜福岡天神 田川地区のみならず、筑豊地域で最大の幹線系統。高速道路は経由しませんが、全便高速タイプの車輛で運行されます。 市内乗降も可能であることが物語るように、対天神だけでなく、飯塚対田川の都市間、市内の買物や通学需要も旺盛です。 2009年のバイパス直行系統(速達便)の新設や、毎時3本程度以上の運行+朝夕ラッシュ時にはさらに増便など、 中心市街地の空洞化やモーターリゼーションの影響を受けがちな地方都市にありながら、 西鉄お得意の高頻度運行で需要をしっかりと掴んでいるようです。
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執筆時点で急激に数を減らしつつある、S型高速車も、少数ながら最後の活躍を見せています。 買い物帰りのおばあちゃんが、ハイデッカーに乗って市内で乗降していく光景も、ここでは当たり前のことです。
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「小倉〜田川快速」・・田川後藤寺〜香春〜中谷〜小倉砂津 田川と小倉を、約1時間半かけて結ぶ快速路線。毎時1本程度が運行されます。 以前は毎時2〜3本が運行され、急行車や新車(新中古車)が専属で投入される、市内路線とは別格扱いの路線でしたが、 北九州市内に入るまでは快速に対応する各停系統も存在しません。 今でもわずかに方向幕車輛が残っています。
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「市内・近郊路線」・・1番金田平原団地、3番真岡、10番添田、23番金田駅 最後にご紹介するのが、この市内路線。 添田方面こそ、休日ダイヤでも毎時1本が走っていますが、それ以外の路線は、2時間おきの運行。 かつては、行橋・英彦山・直方と各方面に路線が伸びていましたが、人口の減少や、 平成筑豊鉄道の大幅な増便や駅の新設に合わせるように、バスの便数は減少していきました。 添田方面は、近年新設された菓子工場まで路線が延伸されるなど、明るいニュースも・・!
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以上のバスが9つある乗り場から発着します。 お察しの通り、既にバスが発着しない乗り場もあり、かつての広大な乗り場もがらんとしています。 他にギャンブル施設への臨時バス等も発着しています。バスセンターに入る、西鉄観光塗装のC型観光車。
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バスセンターの入口方面を臨む。 下の道から坂道を上がり、ぐいと右に曲がってターミナルに進入します。 この上り口、最近筑豊特急に投入されたエアロエースにとっては天井の高さに余裕が無いそうで、最徐行でターミナルに入ります。 『ターミナル会館』の切り文字も、良い感じの痛み具合。。
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続いて、ターミナルの出口を臨む。 すぐ近くに後藤寺駅に繋がる四つ角交差点があるため、タイミングを計ってバスが出発していきます。 なお、近くに歩道橋があり、出発するバスをハイアングルで撮影できますが・・、 コンクリ片がバラバラと飛び散り、整備された歩道橋に慣れていた身としては、ちょっぴりスリリングです。
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真新しいターミナルや、機能だけを重視したターミナルには無い、 無駄や人情を感じてしまう昭和中期の建物。老朽化のため閉鎖・・と聞いて納得せざるを得ませんでした。
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夕刻16時半、ターミナルに夕日が差し込む頃。 しかし、この後藤寺ターミナルがもう一つの顔を見せるのは、夜。 薄寂しさと退廃の中に、どこか感じる温もり。 | ||||||
夜編に付いては、また別編でご紹介させて頂きます。
魅惑の後藤寺バスセンター。ご来訪は、ぜひ西鉄の特急バス&快速バスで!
また、後藤寺周辺についての詳しい歴史考証に付いては、下記サイトをぜひご参照ください。 | ||||||
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