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  宣伝カー編page1 2 3 4 5 6

戦後の一時期、宣伝車で全国を巡回する、という広告方法が流行した時期があります。いわば、車のチンドン屋。バスシャシーにひときわ目立つ特注ボディーを架装して、商品を積んで巡業したようです。私の世代では、つくば博の「サイエンストレイン」を見に行ったのが近いイメージでしょうか。

これらの宣伝カーは、テレビの普及によって、広告の主流がテレビCMに移っていき、衰退してしまいました。

ナショナル テレビジョンカー

この「宣伝カー編」の開設のキッカケとなった一枚の写真。

下町を行く不思議な形の宣伝車と、それを追いかける子供たち。

見たことのない時代ですが、とても心引かれる風景でした。

(昭和28年5月 大阪市天王寺区)


【 出 典 】昭和 二万日の全記録 第10巻
講談社/平成2年2月24日
ナショナル テレビジョンカー

上の個体の公式写真です。カラーリングはトリコロールのいわゆる「ナショナルカラー」でしょう。

全体的なディテールは50年代前半の米車に範を取っているようです。グリルはデソート風、膨らんだリヤフェンダー、キャデラック的な前フェンダーの飾り板…。屋根上の膨らみは拡声器だと思われます。ナショナルラジオのネオンも凄いです。昭和28年1月5日に大阪にてデビューしました。

車内には17インチ白黒テレビと丸型洗濯機が見えます。三種の神器。


【 出 典 】松下電器歴史館 展示写真
ニッポンビール 宣伝カー
白とオレンジのニッポンビールの宣伝カーはいかにも新鮮な感じに満ちている。この宣伝カーの左側は大きく開くとたちまち店が出来上がり、ビールやジュースのサービスには好適。車内には調理台冷蔵庫からテレビジョンまで付けている豪華な車。尚シャシーはトヨタ、ボディーは京成車体である。


ニッポンビール(昭和24〜昭和38年)とは、現在のサッポロビールです。

上で紹介したナショナルテレビジョンカーとディテールや構造が酷似しており、同一工場にて架装された可能性があります。


しかし運転席は四方がガラス張りで、しかもエンジンが大きく席を占めているため夏季はかなり暑いことであろう。もっともこれは宣伝カー一般に云えることであり今後は改革せねばならない。


写真でもエンジン覆いが確認できます。普通のキャブオーバーバスよりも巨大に見えます。天井も一部ガラスのため、夏場はストーブ付きの温室のようだったかもしれません。


【 出 典 】スピードライフ(誠文堂新光社)/1953年9月号
カトラスさん提供
大洋漁業 宣伝カー
魚肉ソーセージなどで有名なマルハの宣伝カー。

南氷洋の鯨、北洋のサケマスと昭和30年代の水産大国、日本の勢いを見るようです。大洋ホエールズという球団もありましたね。

サイドのモールの入り方は'54〜'57のビュイックをお手本にしているようです。テールフィンも生やして、いかにも米車風ないでたち。

看板には「若さと健康に 溢れる栄養のハム ソーセージ」と書いてあります。素朴なキャッチフレーズです。



【 出 典 】大洋漁業八十年史
大洋漁業株式会社/昭和35年12月25日
トヨペット キッチンカー
車の中に冷蔵庫あり、ガス調理台ありのこのキッチン・カーは、大洋漁業が宣伝カーをかねて製作したもの。外観もデラックスでシャーシはトヨペットダイナ 納入は山口トヨタである。


思いがけず、マルハの宣伝カーの詳細がわかりました。マル仲さん、ありがとうございます。顔は'57ダッジに酷似しています。屋根のスピーカーグリルの中央の(は)マークが何とも言えません。山口ということは、下関の事業所へ納入されたものだと判ります。


【 出 典 】モーターファン(三栄書房)1959年8月号
マル仲さん提供
大洋漁業 宣伝カー
遠洋漁業の出航を見送る宣伝カー



上の個体と同じかと思いきや、よく見ると全然違うデザインでした。サイドには缶詰の広告が入っているようです。

グリルデザインは
'59フォード風?屋根の膨らみは、やはり拡声器のようです。











【 出 典 】大洋漁業八十年史
大洋漁業株式会社/昭和35年12月25日

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