六日ヶ原砂丘(黒砂)
このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

  八丈島の見所スポット林道探索の書 〜今日もどこかで林道ざんまい〜 
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     3 無線中継所
     4 服部屋敷
     5 不受不施僧の墓
     6 中将院の石室
     7 人捨て穴

     8 湯浜遺跡

実に興味がそそられる六日ヶ原砂丘へはここから・・・

樫立の向里地区から海岸に向かうと海岸沿いに黒砂とも呼ばれる六日ヶ原砂丘があります。 しかし、 地図でその付近を眺めると断崖の続く海岸線が続き、標高233.9mの無名な山の表記がある以外に平地などはありません。むしろ、砂山などできそうにもない急斜面が広がっています。

「そんな場所に砂丘が?」とかなり興味をそそられてしまいます。というわけで都道から海岸方向にしばらく進んだこの場所が六日ヶ原砂丘への入口でした。






黒砂とも呼ばれる六日ヶ原砂丘の入口案内板

黒砂入口
登立ヶ原(ヌタクチガハラ)水辺公園を通り、
六日ヶ原(黒砂砂丘)へ至るコースです。
旧都道の水辺公園や黒砂砂丘で展望が楽しめます。
八丈町

注意
黒砂(六日ヶ原砂丘)山頂付近の登山道が崩落し、通行できない場所があります。
ROAD CLOSED
滑落事故につながる危険があるため通行をご遠慮ください。
皆様のご理解、ご協力をお願いします。






本当に砂丘などあるのか・・・と不安に陥る小径

砂丘入口を示す案内板の脇から登り坂の舗装路を400mほど進むと、 やがてこのような山道じみた小道になってしまいました。ここも以前は鋪装されていて車が通行できたらしいですが、現在はこのような状況・・・。僅かに鋪装の痕跡が残っています。

駐車スペースがないため、車でやって来た場合は案内板の立つ入口からの徒歩を強いられてしまい、訪れる観光客もあまりいなさそうな雰囲気ですが、舗装路の途中で歩いて引き返して来た数人の観光客とすれ違いました。






小径はやがて連続した急な登り坂に・・・
鬱蒼として閉塞感抜群な森に続く小径をたどって進むと、やがて周囲がパッと明るく開けますが、同時にその先は細かな砂利砂の急な登り坂となっていました。予期せぬ山登りに不満たらたらですが、我慢して登っていくしかありません。






登り坂の途中でいきなり現れる眺望に唖然としてしまいます
脚にきてしまうような急な登り坂を進んでいきますが、それでも振り返るとこのような素晴らしい眺望が! 乙千代ヶ浜へと続く海岸線と、さらに遠方には小岩戸ヶ鼻の半島までもが見渡せました。今のところ砂丘の意味がまだよく分かりませんが、とにかく眺めだけは最高です。大きく開けた空の広さに爽快感も抜群!

なお、前方の海岸線に見えている小さな水色の点は乙千代ヶ浜のプールですが、逆に乙千代ヶ浜からもこちらが見えています。






樫立ての集落の様子もここからバッチリ!

登り坂の途中では海岸の景色はもちろん、森の樹木に埋もれるような樫立集落の家々を見下ろすこともできました。緑に囲まれて点在する箱庭みたいな民家の眺めがとても美しいです。これにはちょっと感動してしまうかもしれません。






小径のすぐ脇は落ちたら絶対に助からない砂の斜面!

あひゃ〜!! 途切れることなく続く急坂の小径を登っていくと、やがて路肩は恐ろしげな断崖斜面に! 道から海面までの高さは180mもありますが、垂直な崖と言ってもいいほどの急斜面に黒い細かな粒の砂が積もっています。状況はアリ地獄の穴の斜面を想像すると分かりやすいかもしれません。

一歩でも路肩から足を踏み外せば、砂に足を取られてあっという間に転げ落ちてしまうことでしょう。見下ろす眺めは最高に素晴らしいですが、かなり怖いです。






なだらかで歩きやすそうにも見える砂の斜面は断崖絶壁へのワナです

六日ヶ原砂丘は砂丘といっても平坦地に砂が積もっているような普通の砂丘ではないんですね。海岸の断崖絶壁に面した急な斜面に砂が堆積している凶悪な砂丘でした。

地面の濡れている雨天後はもちろん、風の強い日にはあおられてバランスを崩す恐れもあり、かなり危険なので近づかないほうがいいでしょう。ちなみに画像左の手前にころがっているのは、以前は設置されていた転落防止のパイプ柵の残骸です。






黒砂の正体は急激に冷やされた溶岩の砂礫

黒砂の正体は火山の噴火で空中に飛び散った溶岩が急激に冷えた細粒態の砂礫。それをスコリアと呼び、砂礫が降り積もった丘をスコリア丘と呼よびます。

ハワイ島のマウナケア山頂周辺や伊豆半島の大室山、阿蘇山の米塚などがスコリア丘としてよく知られていますが、八丈島の三原山(東山)周辺でもいくつかのスコリア丘が形成されたそうです。その中には堆積したスコリアが海岸線に露出した場所もあり、それが六日ヶ原砂丘です。砂丘や黒砂といっても、いわゆる砂ではなくてコンペイ糖のような細かな砂礫の粒なんですね。

八丈島のような島嶼では海岸付近で噴火が起きた場合、溶岩が海水と接触してマグマ水蒸気噴火が発生します。そして水冷によって溶岩が急激に冷やされるのでスコリアや軽石が残るそうです。 三原山の過去約1万年前から約3700年前までの間の噴火は6回ありましたが、スコリアの放出が確認されているのは1回だけ。






どこが道なのかよく分からないほど荒れていました

左手は断崖絶壁となった急斜面を進みますが、道は荒れまくっていました。入口の案内板に「山頂付近登山道が崩落し・・・」と記されていましたが、 現状はその通り。遠く洋上に八丈小島が浮かぶ景観は大変素晴らしいですが、それにしても道が悪過ぎです。

お年寄りや小さな子供連れでここを進むのはかなり無謀かと・・・。






あからさまに危険極まりない崩落現場

案内板で警告している山道の崩壊地点です。道床がごっそりとえぐれて斜面の砂がその下へとこぼれ落ちていました。歩行スペースが消失しているので、山側の斜面上手を迂回しましたが、ズルズルな砂に足を滑らせたら一巻の終わり状態です。

なお、六日ヶ原砂丘の道は下り坂を降りて進む帰りの方が勢い余って滑りやすいので注意して下さい。それと訪れる際には履いていく靴にも注意が必要! サンダルや革靴、ハイヒールなどは自殺行為。歩きやすくて滑りにくい運動靴がいいと思います。






斜め45度の急斜面で断崖へと向かってずり落ちている砂の斜面

崩落地点で斜面の下方を眺めてみるとこんな感じです。すぐ先の断崖の縁までズルズルな砂の急斜面が続いていました。 ここを滑り落ちたら、 傾斜角度45度の急斜面の途中で止まれる可能性は限りなくゼロ!

奇跡が起きて途中で踏みとどまれても、アリ地獄のような急斜面をよじ登るのは難しいと思います。やっぱりポーンと崖下の海に投げ出されて終わりです。






かなり危ない断崖に突き出た絶好のお立ち台

さらに登って進んで行くと展望台のように突き出た地点もありました。あの先端から海を眺めたらさぞかし素晴らしかろうと思いましたが、その手前にはまたしても深くてズルズルな黒砂の斜面が・・・。


八丈島でもトップクラスの景観が望める黒砂こと六日ヶ原砂丘

危険だらけな六日ヶ原砂丘ですが、そこから眺める太平洋は最高に美しいです! 陽に照らされて光り輝く黒潮の海面・・・運が良ければクジラの姿が見られるとかで、 時間の経つのも忘れて見入ってしまいました。

四方を海に囲まれた八丈島には、海の絶景を望めるビューポイントがいくつもありますが、六日ヶ原砂丘から眺める海の素晴らしさはおそらくトップ3に入ると思います。観光客もほとんどやって来ないので、誰にも邪魔されずに絶景が楽しめます。






道端に倒れたまま放置されていた黒砂の石標

海の絶景を眺めながらさらに登っていくと「黒砂(六日ヶ原)」と記された石標が倒れて転がっていました。道が崩落して訪れる人も途絶えてしまい、いつしかこんな状態になってしまったのでしょう。現在はどこにも転落防止の柵は無くなっているし・・・






倒れたままで放置されていた黒砂の石標

本来の道筋はさらに続いているそうですが、たどって進めたのはここまで。急傾斜の地滑り対策の植林地に行き着いて道は自然消滅しています。 標高233.9mのスコリア丘の山頂には国土地理院の三角点が設置されていますが、そこまで道は続いておらず、登っていくことはできないようです。
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