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俳 書

『しぐれ会』(寛政2年刊)


   四来奉納
尾張名護屋
桐の実の黒きよりシクレそめに鳧
   臥央

なからへは一もと草に初時雨
    暁台

頃日のわか耳うとし小夜霽
   古帆

枯枝や液雨こらへて鳩一羽
    木朶
  浜松
枯野見とおほしきひとりふたり哉
   徐生

十王の鏡に凄きしくれかな
   柳也
  入野
夜しくれや格子吹出す吹革の火
   方壺

燈火にかゝりて消しぬ小夜しくれ
   白輅

老はかり鎖せる御代や冬籠
    官鼠
  田島
浅茅生の霜に便なき螽かな
   蛙声
  猿島
凩や片われ月のいかめしき
    丈水
上野前橋
雪車の裏いさ叩かせん初液雨
    素輪
津径(ママ)
かゝまれは一畳広し冬籠
   里桂
  田房
初しくれ古人を友に寝ぬ夜哉
   古声
筑前福岡
岩間やひしけて莟むつはの花
   梅珠

寒菊やことなる色も好ますて
   蝶酔
  飯塚
塵塚に独活の芽匂ふ小春哉
   素柳

枯蓮の音を時雨に聞夜かな
   依兮

梟やしくるゝ跡の枝になく
    対竹

茶の花によしあしもなし筒の水
   菊男
  浪華
日をあとに粟津をを前にシクレ(※「雨」+「衆」)けり
   尺艾

わか恋は松をしくれの十二日
   旧国
  
しくるゝや浮世の人の飲くらひ
   瓦全

月雪の道の枝折や十二日
   木姿

   此日は、丹後の天の橋立の一声塚に、
   百年忌の営みあるにつらなりけるか、
   遙に粟津の会上をおもふて

シク(※「雨」+「衆」)るゝや爰も波よする松のもと
    蝶夢

   一坐捻香
  三井
夜たゝ鳴鳥や蘆屋の幾しくれ
   千影
上毛高崎
旅にやまて其跡とひぬ枯尾花
    雨什

   遅来追加
甲斐小原
肌ぬいて時雨の中の木挽かな
   石牙

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