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野村胡堂 (のむら・こどう) 1882〜1963。




銭形平次捕物控001 金色の処女  (青空文庫)
短編。三代将軍・徳川家光を毒矢で暗殺しようとした曲者(くせもの)の探索を命じられた岡っ引・銭形平次。家光が鷹狩りの帰りに大塚御薬園に寄って、本草家・峠宗寿軒(そうじゅけん)の娘・お小夜に会うのを楽しみにしていると知った平次だが、相思相愛の仲である両国の水茶屋の娘・お静を浚われてしまう。御薬園へ潜入した平次は、奇怪なる犠牲(いけにえ)の儀式を目の当たりにする…。果たして平次は家光とお静の命を助けることができるか? 「やい、女、あの娘を何うした」、「知らない」、「いや、知っている筈だ、言えッ」──。得意の投げ銭で悪党をやっつける捕物の名人・銭形平次の活躍を描いた人気捕物シリーズの第1話。手に汗握る展開が楽しい。

銭形平次捕物控002 振袖源太  (青空文庫)
短編。日本橋の呉服屋「福屋善兵衛」の兄妹たちが、五のつく日ばかりに誘拐(かどわか)されるという奇怪な連続事件。捜査に乗り出した銭形平次だが、まんまと曲者に四番目の娘・お糸を浚われてしまう。最後である五番目の息子・栄太郎が狙われる五日がやって来るが、果たして平次に策はあるのか? 「黙ってお縄を頂戴して、五人の兄妹の在所(ありか)を言えッ」、「お、言ってやろう。が、言ったら最後五人とも助からぬぞッ」、「何だと」。手柄を欲しない銭形平次の“失策(しくじり)”が素晴らしい。大衆娯楽捕物小説の一編。

銭形平次捕物控003 大盗懺悔  (青空文庫)
短編。人間業とは思えない見事な手口で、仏像や茶碗などを盗みながら、数日後には元の持ち主に返すという不思議な盗賊・風太郎。一体何のために盗んで、何のために返すのか? そして盗品を返しに来る謎の美女が風太郎の正体なのか? 銭形平次が苦戦する中、旗本・赤井左門の屋敷から徳川家光のお墨付きが盗まれてしまい…。「それにしても、縮尻(しくじり)平次と言われる人気者のお前が、若い娘をこんなムゴイ目に逢わせるのは何うしたわけだ」──。平次の良き理解者である筆頭与力・笹野新三郎が素晴らしい。

銭形平次捕物控004 呪いの銀簪  (青空文庫)
短編。屋形船の中で柳橋の芸妓が銀簪(かんざし)を右目に突き立てられて殺された。銭形平次と張り合って手柄争いをしている石原の利助は、芸妓の馴染みである材木問屋・布袋屋萬三郎や船頭の直助を疑うが、芸妓殺しと全く同じ手口による殺人事件が連続して発生したことで、下手人は別にいることが明らかになる…。なぜ曲者は評判の美人ばかりを残忍な方法で殺害するのか? 平次の様子を探る謎の女が犯人なのか? 「親分、この四本の簪のうち、平打(ひらうち)の二本だけは真物(ほんもの)の銀だが、あとの二本は真鍮(しんちゅう)台に銀流しをかけた、飛んだ贋物(いかもの)ですぜ」、「何?」──。意表の展開が面白い捕物帳シリーズの一編。

銭形平次捕物控006 復讐鬼の姿  (青空文庫)
短編。磔柱(はりつけばしら)を背負った血だらけの男に追われたり、庭に人間の生首がブラ下がっていたりと、不気味な嫌がらせを受けるようになった吟味与力・笹野新三郎の家の人々。捜査を始めた岡っ引・銭形平次だが、許婚(いいなずけ)のお静と新三郎の幼い息子・新太郎を誘拐されてしまう。若くて評判の平次がどうにも気に入らない先輩の岡っ引・利助は、新三郎の妻・お国に嫉妬心のある笹野家の奉公人・お吉を捕縛してしまうが…。「何の怨(うらみ)でこんな非道なことをする——、俺を怨むのは兎も角、罪も科(とが)もない新太郎やお静をこんな目に会せて済むと思うか——」。犯人の意外性と危機一髪の展開が楽しめる娯楽捕物帳シリーズの一編。

銭形平次捕物控007 お珊文身調べ  (青空文庫)
短編。ガラッ八の八五郎を連れて「文身(ほりもの)自慢の会」に参加した銭形平次だが、参加者たちがスリの被害に遭うという騒動が起きてしまう。十二支の文身の美女を縛り、拷問にかける石原の利助だが…。悪党「十二支組」の仲間が次々と殺害されている事件との関連は? 曲者の正体はあまりにも意外な人物だった! 「馬鹿にしちゃいけねえ、十二支組のお珊(さん)姐御だ。臭い息なんか掛けると罰が当るよ」。十二支組の秘密を突き止める銭形平次の活躍を描いた捕物小説の一編。江戸時代の文身事情が興味深い。

銭形平次捕物控009 人肌地蔵  (青空文庫)
短編。冷たいはずの石地蔵の肌が人間のように生温かくなり、しかも地蔵の台石の上に置いた鐚銭(びたせん)が一分金に変化するという不思議から大評判になった“人肌地蔵”。その地蔵がある巣鴨の黒木長者に泥棒が入り、土蔵から三千両という大金が盗まれてしまう。当主・孫右衞門の妾・お仙と番頭・藤三郎を捕まえる銭形平次だが…。「ガラッ八。もう一度やり直しだ、一緒に来い」、「えッ」、「藤三郎やお仙は雑魚(ざこ)だ、この裏にはもっと凄いのが居る」。石地蔵の秘密と千両箱の隠し場所が面白い。娯楽捕物小説の一編。

銭形平次捕物控010 七人の花嫁  (青空文庫)
短編。神田、日本橋近辺の花嫁ばかりが次々と攫(さら)われるという奇怪な事件。捕物の名人・銭形平次も乗り出し、花嫁の見張りをするが、曲者(くせもの)にまんまとしてやられてしまう。誘拐(かどわ)かされた花嫁たちを救うため、許婚(いいなずけ)のお静に囮(おとり)になってもらうという苦渋の決断をする平次。愛する平次のために、曲者に攫われてしまった花嫁・お静の運命と、子分の八五郎(ガラッ八)を叱り飛ばし、追い出してしまった平次の真意は…。「私は親分のお力を信じきって居ります。高田お薬園の手入の時だって、お茶の水の空屋に吊された時だって、親分は見事に救って下すったじゃありませんか」。安定した面白さの捕物シリーズの一編。

銭形平次捕物控011 南蛮秘法箋  (青空文庫)
短編。質屋の田代屋又左衛門が、入浴中に何者かに毒矢を射られて、片腕を切断するという大怪我を負った。さらに、猛毒が仕込まれた水がめの水が原因で、田代屋の人々が何人も死亡するという事件も起きてしまう。田代屋の家督を巡る内輪揉めだと思われた事件は、意外な展開をみせ…。「平次、これは大変な事だ、一刻も早く曲者の在所(ありか)を突き留めて百樽の毒薬を取り上げなければならぬぞ」──。由井正雪・丸橋忠弥らによる「慶安の変」に絡んだ大事件を解決する銭形平次の活躍を描いた捕物シリーズの一編。

銭形平次捕物控013 美女を洗ひ出す  (青空文庫)
短編。やくざ者の綱吉が、背後から一と突きに刺されて殺された。縄張りの御用聞き・友次郎は、水茶屋の評判娘・お常を巡って綱吉と恋の競争をしていた大工の棟梁・辰五郎を捕縛してしまう。かつて辰五郎に世話になったガラッ八の八五郎は、銭形平次に助けを求める。捜査に乗り出した平次だが、朝から晩までお常の茶屋に入り浸るようになってしまい…。「お常坊、久し振りだな」、「あら、親分さん」、「どうしたんだ、お常坊、大層な変りようだな」、「——」。何もかも呑み込んだ平次の処置が素晴らしい。人気捕物小説の一編。

銭形平次捕物控014 たぬき囃子  (青空文庫)
短編。近頃大騒ぎになっている本所の連続強盗事件を捜査することになった銭形平次。どこからともなく聞こえてくる狸囃子(たぬきばやし)の音にまぎれて、のこぎりで雨戸に穴を開けて侵入するという犯人の手口。本所七不思議の一つである狸囃子の音の出どころを追跡する平次だが…。「親分は」、「俺は行くまでもないだらう、狸はもう罠(わな)に落ちて居るんだ」──。本所の御用聞き・石原の利助の娘・お品のために、利助に手柄をさせる平次の人情味と、下手人の細工を見事に見破る平次の頭脳! 捕物シリーズの一編。

銭形平次捕物控015 怪伝白い鼠  (青空文庫)
短編。お化けの出現に悩まされている糸物問屋「近江屋」の娘・お雛(ひな)。近江屋の寮(別宅)に泊り込んで警戒に当たるガラッ八の八五郎だが、お雛の幼い弟・富太郎が殺されてしまう。番頭の友二郎が寮に泊まっていく時に限って不吉なことが起きていることから、下手人は当然、友二郎だと思われたが…。「で、親分。子供はどうして殺したんです」、「それには俺も首を捻ったが、生爪が痛んでるのを見て解ったよ」。扉の閉まった仏壇がひとりでに開く謎! 犯行トリックを見破る銭形平次の明察! 人気捕物シリーズの一編。

銭形平次捕物控016 人魚の死  (青空文庫)
短編。海女(あま)に扮した裸体の美女二人(お松とお村)が水槽の中で戯れるという見世物が両国で大人気となるが、その見世物のさ中に、お松が水槽の中で腹を裂かれて死亡するという殺人事件が起きてしまう。お松に気のあった木戸番の百松は、水槽の中にお松と一緒にいたお村が下手人に違いないと思い込み、お村を殺害しようとするが…。「そこで下手人は誰だ——」、「二人の内の一人だ」、「誰と誰?」。殺害トリックが読みどころの捕物シリーズの一編。八五郎を一人前にしようとあえて突き放す銭形平次の優しさが素敵。

銭形平次捕物控020 朱塗りの筐  (青空文庫)
短編。大商人・石井三右衛門の財産を巡る騒動。寝たきりの三右衛門を看病している奉公人のお町は、大金の証文が入った筐(はこ)を銭形平次に預けるが、何者かに殺害されてしまう。石井家の相続人や奉公人たちを調べる平次だが、なかなか犯人を特定できない。そんな中、三右衛門が殺害されてしまう…。「平次、お前の望み通り、此処へ皆な集めたが、一体何を訊こうと言うのだ」、「へエ、この石井三右衛門一家の騒動は、ひどく手古摺らせましたが、漸く目鼻が付きました」──。意外な結末が面白い捕物シリーズの一編。

銭形平次捕物控022 名馬罪あり  (青空文庫)
短編。大場家の家宝である東照宮の御墨付を紛失してしまった旗本・大場石見(いわみ)の用心・相澤半之丞。乗っていた馬が濠に落ちるという騒動のさ中に、御墨付の入った文箱が何者かによってすり替えられてしまったのだ。事件を任されたガラッ八の八五郎は、半之丞の妾(めかけ)・お組の仕業だと推理するが…。「お前は駄目ばかり詰めて、肝腎の筋へは石を打たなかったんだ」、「へエ、譬(たとえ)が碁と来たね」。囲碁の賭けで、八五郎が親分、平次が子分になっちゃうくだりが笑える。鮮やかな収束の捕物シリーズの一編。

銭形平次捕物控023 血潮と糠  (青空文庫)
短編。何者かに毒殺された若い乞食が、百両という大金を持っていたことに興味を抱いた銭形平次は、男に毎日食事を運んでいた若い娘の存在を突き止める。男女の正体は、裕福な米屋「越後屋」の娘・お絹と手代の弥三郎で、二人は好き合っていたが、業病を苦にした弥三郎は、家を出て乞食になっていた。下手人が判明しない中、越後屋の主人・左兵衛が斬り殺され、甥(おい)の新助も手傷を負うという事件が起きて…。「だがね、親分、仲のいい夫婦だからいいようなものの、他人同士じゃ血と血が刃物の上で交(まじ)るのは縁起が悪いと言いますぜ」。平次と妻・お静のラブラブ・エピソードがトリックの伏線になっているとはお見事。捕物シリーズの一編。

銭形平次捕物控024 平次女難  (青空文庫)
短編。両国橋から身投げした女・お楽を救助した銭形平次は、三人組の大泥棒の一人である香三郎の妹であるがゆえに、世間から除け者にされているというお楽に同情を覚える。お楽の面倒を見るために、妻・お静を家から追い出してしまった平次だが、お楽が何者かに殺害されてしまう。死体の側に落ちていた櫛(くし)から、お静が下手人として疑われていると知った平次は…。「一体下手人は誰だ、平次、話して見るがいい、お前には解って居るようだが——」。平次とお静の夫婦の絆を描いて素晴らしい。捕物シリーズの一編。

銭形平次捕物控025 兵粮丸秘聞  (青空文庫)
短編。本草学者(医者)が相次いで行方不明になり、その後、死体で発見されるという奇怪な殺人事件。牛込の医者・一色道庵もさらわれるが、暫くして無事に帰される。どこかの大名屋敷の離室(はなれ)に連れ込まれた道庵は、殿様らしき人物から、古い丸薬の成分を分析し、その丸薬と同じものを作るよう命じられたという。謀叛の企てではないかと緊張する銭形平次だが…。「逃げるか平次」、「何をッ、これでも喰えッ」──。大名家に伝わる秘薬・兵粮丸(ひょうろうがん)に絡んだ事件の真相を描いた銭形平次シリーズの一編。

銭形平次捕物控027 幻の民五郎  (青空文庫)
短編。江戸中を荒し回っている怪盗・幻(まぼろし)の民五郎に狙われているという三千五百石の大旗本・荻野左仲(さちゅう)の愛妾・お紋。お紋が住む左仲の別荘に泊り込んだ銭形平次だが、幻の民五郎にまんまとしてやられてしまう。荻野家からお紋を遠ざけようと画策している左仲の義弟・高木銀次郎が果たして幻の民五郎なのか? 「卑怯だぞ民五郎、——俺は滅多に人を縛らねえが、手前のような悪党は勘弁して置けねえ」──。幻の民五郎の意外な正体を突き止めていく銭形平次の活躍を描いた捕物シリーズの一編。上々。

銭形平次捕物控028 歎きの菩薩  (青空文庫)
短編。両国の見世物小屋で、涙を流すと評判になっている活人形(いきにんぎょう)の普賢菩薩の秘密とは──。仏師・一刀斎勘兵衛が袋叩きにされて殺された。勘兵衛の商売敵であり、活人形の作者である彫物師・雲龍斎又六が怪しいと睨んだ銭形平次だが、又六は何者かに殺害されてしまう…。勘兵衛の元妻で、見世物小屋で働いていた美人のお倉を拷問にかける平次の真意は? 「親の敵討が許されるものなら、伜(せがれ)の敵討だって許されないという理窟はあるまい」。平次の慈悲深さに超感動! 捕物小説の一編。

銭形平次捕物控030 くるひ咲  (青空文庫)
短編。麹町の畳屋弥助の職人・丈吉が、右眼に畳針が突き刺さった状態で井戸端で死亡しているのが発見された。縄張りの御用聞・朱房の源吉は、丈吉の自殺と判断するが、ガラッ八の八五郎は納得いかない。畳屋の隣に住む若い女・お町が井戸に飛込んで自害し、さらに畳屋の息子・駒次郎が何者かに殺害されるという事件が起きて…。「駒次郎を殺した下手人は、朝顔の垣を除けて大廻りして逃げて居る。こんな優しい人殺しは珍らしかろう」──。銭形平次の推理と人情が存分に味わえる。人気捕物小説シリーズの一編。

銭形平次捕物控031 濡れた千両箱  (青空文庫)
短編。深川の材木問屋「春木屋」から谷中の清養寺に寄進された、三つの千両箱に詰められた三千両が消失した。墓の中から千両箱が発見されるが、中身は砂利が詰められていた。何者かが小判の詰まった千両箱と砂利の詰った千両箱をすり替えたのだ。誰がどの状況ですり替えたのか? そして三千両の隠し場所は? 「冗談だろう、親分。二本差が怖かった日にゃ田楽が喰えねえ。こう見えても江戸の御用聞だ、矢でも鉄砲でも——」、「もう解ったよ、八、さア出かけよう」。銭形平次の推理が冴え渡る捕物帳シリーズの一編。



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