このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
野村胡堂 (のむら・こどう) 1882〜1963。 |
『銭形平次捕物控078 十手の道』 (青空文庫) |
短編。島原藩の家臣だった浪人・志賀内匠(たくみ)が行方不明になった。内匠の母・加世と妻・お関から探索を頼まれた銭形平次は、内匠の主君であった暴君・高力(こうりき)左近太夫の魂胆を突き止める。諸藩の怨みを買っている左近太夫は、参勤交代で無事に帰国するため、内匠を身代わりに使おうとしていたのだ…。「志賀様、——妻の道、母の道、臣の道の外に、十手の道のあることも覚えて置いて下さい」。三万七千石の大名を相手に奮闘する町方の岡っ引・銭形平次の姿が素敵に格好いい。人気捕物シリーズの一編。 |
『銭形平次捕物控079 十七の娘』 (青空文庫) |
短編。界隈で評判の十七の娘二人(荒物屋のお今と三河屋のお三輪)が相次いで殺された。お今の婚約者であり、お三輪とも付き合っていた植木屋の専次が下手人だと思われたが、そんな中、三人目の犠牲者が…。十七の評判娘ばかりが殺害されるという奇怪な連続事件の意外な真相は? 「お前のような太い奴はないぞ、そんなひどい事をして知れずに済むものか、神様も仏様も見放したんだ、覚悟するがいい」──。銭形平次の活躍を描いた捕物シリーズの一編。世の中みんなガラッ八のような人間ばかりなら平和なのにね。 |
『銭形平次捕物控080 捕物仁義』 (青空文庫) |
短編。四五人の男たちを集めて素読(そどく)を教えている浪人・皆川半之丞が、実は謀叛の企てをしているのではないかと疑う銭形平次。ガラッ八の八五郎を稽古の名目で半之丞の浪宅に通わせるが、八五郎は行方不明になってしまう。さらに、半之丞の妹・お京が殺害されるという事件も起きて…。半之丞の素性と“土”の謎! 分限者・長崎屋の土蔵の秘密! 「親分、驚いたぜ、——御用聞がなぐり込みの片棒をかつぐなんて」、「シッ、黙って居ろ、——これは御用聞の仁義さ」。今回も素的に面白い銭形平次シリーズの一編。 |
『銭形平次捕物控081 受難の通人』 (青空文庫) |
短編。元鳥越町の大地主・丸屋源吉の女房・お雪が毒死した。何者かが朝食の味噌汁に毒を入れたのだ。戸棚の上の重箱の中にあった岩見銀山の鼠(ねずみ)捕りの毒を盗んだのは誰なのか? なかなか下手人の特定ができない中、美男で浮気者の源吉と関係のある女たち(小唄の師匠・お角、水茶屋の女・お楽)が、次々と災難に遭う。智恵のある下手人に手を焼く銭形平次だが…。「いや、少しも解らなかったよ。どんなに巧(たく)んだ悪事よりも、少しも巧まない悪事の方が解り難い」──。人気捕物小説シリーズの一編。 |
『銭形平次捕物控082 お局お六』 (青空文庫) |
短編。箱根まで湯治旅(実は大事な目的のある旅)に出掛けた銭形平次だが、旅の途中で、名代の道中師・お局(つぼね)のお六に財布を掏られてしまい、藤沢の宿で相部屋となった二人組の浪人に命を狙われてしまう…。駿府へ運ばれる幕府の御用金を狙う悪党一味に取り囲まれてしまった平次、大ピンチ! 「有難えて、親分に金を貸すのは生れて始めてだ。大判や小判はねえが、穴のあいたのならうんとあるぜ」──。平次に心惹かれるお六の悲しい運命…。ガラッ八の八五郎、大活躍の巻! 人気捕物シリーズの一編。 |
『銭形平次捕物控083 鉄砲汁』 (青空文庫) |
短編。古道具屋で二分で買った脇差が十両で売れたと大喜びするガラッ八の八五郎。なぜ遊び人の吉三郎は、ナマクラだと知りながら、大金を出して八五郎の脇差を買ったのか? 疑問を抱いた銭形平次は調べ始めるが、吉三郎は鉄砲汁(河豚の毒)にあたって死んでしまう。吉三郎を毒殺した犯人を追跡する平次だが、命を執拗に狙われてしまう…。「馬鹿ッ、そいつを呑むと命がねえぞ」、「えッ」。河豚(ふぐ)鍋のトリックと牙彫(けぼり)の根付(ねつけ)の秘密を解明していく銭形平次の活躍を描いた捕物シリーズの一編。堪能。 |
『銭形平次捕物控090 禁制の賦』 (青空文庫) |
短編。内弟子・一色友衛の要望で、吹くと祟りがあると言い伝えのある秘曲「禁制の賦(ふ)」を演奏する笛の名人・春日藤左衛門だが、その最中に、姉娘・お百合が何者かに縄で絞め殺されてしまう。お百合が妹娘・あやめと間違えられて殺されたと知った銭形平次は、藤左衛門にもう一度「禁制の賦」を吹かせて、事件当時の状況をそっくり再現させるが…。「それは誰だ。親分、言って下さい。その娘の命を狙ったのは誰だ」、「あれ、——あれが下手人ですよ」。意外な犯人を突き止める銭形平次の活躍を描いた捕物小説の一編。 |
『銭形平次捕物控091 笑い茸』 (青空文庫) |
短編。隅田川で舟遊びをするお大尽の磯屋貫兵衛たち。貫兵衛の振る舞いで赤酒(葡萄酒)を飲んだ取巻きや芸者たちが乱痴気騒ぎをする中、なぜか船頭の三吉が船底の栓を抜いてしまう。三吉と取巻きの七平が水死体となって発見されるが、三吉の腹巻から百両の小判が見つかり、七平は何者かに背中を刺されていた。赤酒に笑い茸の粉を入れた貫兵衛が下手人だと思われたが…。「そいつは大笑いだ、——呑まない毒酒を呑んだ振りをして、七人揃って気違い踊りと馬鹿笑いをするとはふざけたものだな、伽羅(きゃら)大尽の馬鹿納めには、なる程そいつは良い狂言だ」。さすがの銭形平次も驚いちゃう、意表すぎる展開が面白い捕物シリーズの一編。 |
『銭形平次捕物控097 許嫁の死』 (青空文庫) |
短編。大地主「伊丹屋」の若旦那・駒次郎の嫁になることが決まっていた彼此屋(かれこれや)「十三屋(とみや)」の娘・お曽与(そよ)が、湯屋の帰りに何者かに絞め殺された。駒次郎から下手人の探索を依頼された銭形平次は、お曽与を追い回していたやくざ者の勘三郎や、駒次郎の嫁になりたがっていた小唄の師匠・お舟を調べ上げる。お舟の従兄(いとこ)である居候の和助がお曽与殺しを白状するが…。「和助さん」、「——」、「和助さん、——お前さんは馬鹿ねえ、——でも本当に有難うよ」。女に“男性”の不安を感じさせなかった陰気な男の秘めた情熱が印象的。凶器である三尺帯を巡って二転三転する展開が面白い人気捕物帳シリーズの一編。 |
『銭形平次捕物控098 紅筆願文』 (青空文庫) |
短編。旗本・横山主計(かずえ)の屋敷の祠から発見された紅筆で書かれた二十五字の謎の仮名文字。銭形平次が解読すると「若殿お命を速やかに縮め給へ、穴賢(あなかしこ)」という呪いの願文が現れ、主計から犯人だと疑われた後妻・お勇が身の潔白を主張して自害するという事件が起きてしまう…。「御苦労だな、平次」、「恐れ入ります」、「何か手掛りは見付かったか」、「何んにも解りません」、「紅筆で仮名文字を書いたから、女の仕業と考えるのは少し早合点だな。現に叔父上はそれでしくじったたのだ」、「御尤もで」。屋敷内に住んでいる者の仕業に違いないが、果たして願文を描いた悪戯者は誰なのか? 犯人探しが楽しめる捕物帳シリーズの一編。 |
『銭形平次捕物控099 お篠姉妹』 (青空文庫) |
短編。湯島の山名屋五左衛門が自邸の離屋(はなれ)で何者かに刺殺された。五左衛門の妾(めかけ)にされてしまう妹・お秋を救い出すため、五左衛門と交渉していた水茶屋の女・お篠や、お秋の許婚であり、五左衛門に積年の恨みがあった青年・宗次郎に嫌疑が掛かるが…。下手人は二百両の金を一体どこに隠したのか? 「八、もう一度やり直しだ。こんなに他愛(たわい)もない殺しで、こんなに骨を折るのは珍らしい。下手人になり手が多過ぎたよ」──。さすがの推理力を見せる銭形平次の活躍を描いた捕物小説の一編。 |
『銭形平次捕物控100 ガラッ八祝言』 (青空文庫) |
短編。裕福な酒屋・多賀屋勘兵衛の娘・お福と婿の錦太郎の祝言が行われる中、お福が何者かに刺殺された。身の危険がある錦太郎に頼まれて、ガラッ八の八五郎が偽者の婿を演じていた最中の出来事であった。下手人が弄したアリバイ工作を看破した銭形平次は、なぜか祝言を続行させるが…。「貧乏になるのも洒落れているぜ。世帯の苦労をさせると、第一娘がもう少し悧口になるよ、貧乏の味のよさを知らないのが金持の落度なんだ」──。意外すぎる展開が楽しい娯楽捕物小説の一編。銭形平次の鮮やかな裁きがお見事。 |
『銭形平次捕物控113 北冥の魚』 (青空文庫) |
短編。半年前に死んだ木場の材木屋「上州屋」の主人・荘左衛門が遺した何万両という大金がどこを探しても見つからず、やきもきする上州屋の人々。そんな中、大金の隠し場所を突き止めたという跡取り息子・荘太郎の弟・勇次郎が何者かに殺されてしまう。与力筆頭・笹野新三郎の知恵を借りて、大金の隠し場所を突き止めた銭形平次だが…。「それじゃ下手人も解ったんですか、親分」、「解った心算(つもり)だが、証拠が一つもない」、「誰です、親分」、「お前が考えたこともない人間だ。——その癖恐しい人間だよ」、「へエー」──。荘左衛門の遺書に書かれた「日比魚(ひびうお)」の三字の謎と意外な犯人は誰だ? 宝探しが面白い娯楽捕物シリーズの一編。 |
『銭形平次捕物控121 土への愛著』 (青空文庫) |
短編。吝(けち)で無慈悲で強欲な人物ゆえに、多くの人から恨まれていた雑司ヶ谷の大地主・寅五郎が殺された。事件を調べている目白の岡っ引・三ツ股の源吉から助けを求められた銭形平次は、子分のガラッ八の八五郎に捜査を任せるが…。二十年もの間、寅五郎にただでこき使われていた義弟の金次郎が下手人なのか? それとも、先祖代々の田地を寅五郎に取られてしまった作男の松蔵が下手人なのか? それとも? 「有難い。それであっしは、磔刑(はりつけ)になっても怨(うらみ)はない。親分、この通り」、「止してくれ。俺はまだ人に拝まれるほど劫(ごう)を経ちゃ居ねえ」──。銭形平次の人情味が素晴らしい。感激。娯楽捕物帳シリーズの一編。 |
『銭形平次捕物控138 第廿七吉』 (青空文庫) |
短編。武家出らしい女・浪乃の家に曲者が忍び込み、同居する中老人・市太郎が殺害された事件。家の下女・お菊が毎日、おみくじを引きに出掛け、おみくじを通して、若い男と連絡を取り合っていると知った銭形平次。浪乃が長崎奉行・久野将監の妻で、訳あって貸家にこもっていることを突き止めるが…。「ところで、父の敵だ。約束通り、教えて貰おうか、平次殿」。殺人事件の意外な真相が面白い。 |
『銭形平次捕物控139 父の遺書』 (青空文庫) |
短編。浪人・城弾三郎が刺殺された事件を調べる銭形平次。弾三郎は九州の藩で外国船の取締りをしていたが、抜荷がバレて藩を追放されていた。同役であった弾三郎から逆恨みを受けていた浪人・高木勇名が犯人なのか? 「あの病人が死ぬ二三日前に這い出して、平右衛門町まで行って人を殺せるわけはない。死ぬまで本当の下手人を庇って居るのだ」。いつもながら平次の人情味がいい。 |
『銭形平次捕物控150 槍の折れ』 (青空文庫) |
短編。小石川の大地主・成瀬屋の番頭・伝六が殺害された。成瀬屋に生け捕られ、刑死した大泥棒・蝙蝠(こうもり)冠兵衛の亡霊の仕業なのか? 成瀬屋に強い恨みを持つ人物を調べる銭形平次だが、成瀬屋一家惨殺を狙った毒殺事件が起きてしまう…。「やっぱり冠兵衛の幽霊?」、「馬鹿な事を。幽霊が人を殺せる道理はない」、「でも、あの槍の折れを胸に打ち込んだのは大変な力ですぜ」、「大変な力だ。人間業ではむずかしい。が、やっぱり二本足のある人間の仕業だ」──。高値安定の面白さ。人気捕物シリーズの一編。 |
『銭形平次捕物控157 娘の役目』 (青空文庫) |
短編。大泥棒・熊井熊五郎のせいで家が没落してしまった仕立屋の駒吉の娘・お秀から、熊五郎の捕縛を頼まれたガラッ八の八五郎。お秀に気のある八五郎は張り切るが、熊五郎の巧みな手口に捜査は難航する。そんな中、銭形平次のもとに、熊五郎からの犯行予告の手紙が投げ込まれ…。「お秀か、まだお前に喜んで貰うような話は無いよ」、「そんなことじゃ無いわ——あの、私にもお手伝の出来ることはありませんかしら」。平次の動向に詳しすぎる熊五郎の意外な正体は? 平次と八五郎の気の合ったやり取りが毎回楽しい。 |
『銭形平次捕物控253 猫の首環』 (青空文庫) |
短編。浅草安倍川町の米屋「俵屋」の隠居・孫右衛門が、離屋(はなれ)の寝間で何者かに殺害された。当主の矢之助とお舟の養子夫婦が、日頃から、寝たきりの孫右衛門と孫右衛門の実の娘・お柳を邪魔者扱いしていたことを知った銭形平次だが…。「猫の行水は珍らしいな」、「でも、血だらけだよ。可哀想に、御隠居様が殺されて居るのを見て、びっくりしたんでしょう。首環も何も振り落して、昨夜からどけえ行ったか、姿も見せなかっただよ」──。猫の首環から難事件を解決していく銭形平次の活躍を描いた捕物シリーズの一編。 |
『銭形平次捕物控255 月待ち』 (青空文庫) |
短編。月待ち(月を拝む行事)の夜に、金貸の久米野官兵衛が自宅の二階で殺害された。親殺しの容疑で官兵衛の娘・お玉が逮捕されるが、お玉は犯人ではないと見抜いた銭形平次は、官兵衛の家中の者たちを調べ、事件の真相に迫っていく…。短刀で胸を突かれて死んだにもかかわらず、血の出が少なかったのはなぜか? 「悪い奴と岡っ引、考えて見ると、病気と医者見てえなものさ、何処まで行っても切りが無いから、宜い加減のところで十手捕縄を返上して、高野の山へでも登るとしようか」。銭形平次シリーズの一編。 |
『銭形平次捕物控260 女臼(めうす)』 (青空文庫) |
短編。雑穀屋・四方屋徳右衛門の息子・徳太郎が、妻・お染を殺害した疑いで捕まった。徳太郎の無実を信じる四方屋の下女・お米の熱心さにほだされた銭形平次は、事件を調べるが…。土蔵の路地で情夫・松五郎と逢引きしていた不行跡なお染を殺した真犯人は誰だ? 七八貫目もある石臼を使った犯行トリック! 「やりますよ、それ、ヒ、フのミ——と」、「あッ」。結末が快い銭形平次ものの一編。 |
『銭形平次捕物控267 百草園の娘』 (青空文庫) |
短編。板橋にある薬園「百草園」の園主だった故・小峰凉庵の美しい一人娘・お玉を巡って、命がけの恋の競争をする凉庵の弟子・横井源太郎と打越金弥。二つの盃のうち、一つの盃のお酒に毒を入れて、運悪く呑んだ方が死ぬという、二者択一の恐ろしい「果たし合い」をする二人だが…。「知っての通り、俺は酒が好きじゃない、同じ毒酒で死ぬにしても、酒の肴が欲しい」、「贅沢を言うな、末期(まつご)の水に、肴は要るまい」──。一風変わった毒薬の「果たし合い」の意外な結果とカラクリが面白い銭形平次シリーズの一編。 |
『銭形平次捕物控294 井戸端の逢引』 (青空文庫) |
短編。飯田町にある小料理屋「柳屋」の客で、店の看板娘・お琴につきまとっていた旗本・大野田仁左衛門の倅(せがれ)・金之助が、柳屋の奥の一と間で何者かに刺殺された。お琴と井戸端で“逢引”していたさ中に起きた事件だったため、一人で捜査を担当することになったガラッ八の八五郎だが…。お琴とお糸の姉妹の意外な素性と、犯人の巧妙な犯行トリックは? 「己れ、飛んでもない言い掛りを申す奴、その分には差しおかぬぞ」、「昨夜、其方の伜金之助を殺したのも、天罰と気がつかぬか」──。銭形平次シリーズの一編。 |
『銭形平次捕物控296 旅に病む女』 (青空文庫) |
短編。赤坂田町の浪人・大沢彦四郎の妻・お徳が何者かに斬殺された。お徳が娘・お清の部屋で殺されたことから、お徳は、お清と間違われて殺されたのではないかと思われたが…。十日前、旅人に化けた若い女の泥棒を家に泊めてしまい、彦四郎が殺されそうになった事件との関連は? 「悪人の子は悪人と限らず、善人の子も善人ばかりじゃありませんね」、「おや、大層洒落(しゃ)れたことを言うじゃないか」──。次々と人を殺していく極悪非道な犯人を突き止めていく銭形平次の活躍を描いた捕物小説シリーズの一編。 |
『銭形平次捕物控297 花見の留守』 (青空文庫) |
短編。誰かに命を狙われていると脅えていた駒形の大地主・佐渡屋平左衛門が、鉄砲で撃たれて殺害された。家族や店の者たちが皆、花見船に乗って花見に出掛ける中、家で留守をしていた平左衛門を殺害したのは誰なのか? 「あっしは道学の先生じゃないが、人を呪わば穴二つとはよく言ったものですね」。犯人の手の込んだ犯行トリックを見破る銭形平次の活躍を描いたシリーズの一編。 |
『銭形平次捕物控298 匕首の行方』 (青空文庫) |
短編。相生町の酒屋「坂田屋」の養子・柳吉が離屋(はなれ)で変死した。素行の悪さから坂田屋を追い出されることが決まっていた柳吉は、憎んでいた手代・喜三郎を犯人に仕立てるため、犬の首の紐を利用したトリックで、他殺に見せかけて自殺したのではないか。事件は解決し、坂田屋の新しい養子に喜三郎がなるのだが…。「それじゃ、あのまま許してやるわけで」、「許しゃしないよ俺は——この銭形平次は何にも気が付かなかったのさ」──。平次らしい天晴(あっぱれ)な収束に後味さわやか。人気捕物小説シリーズの一編。 |
このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |