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野村胡堂 (のむら・こどう) 1882〜1963。




銭形平次捕物控032 路地の足跡  (青空文庫)
短編。金持ちの遠州屋のお内儀(かみ)・お安が屋根の上の物干から落ちて死亡した。遠州屋は主人が先ごろ非業の死を遂げていて、跡取りはまだ五つの徳太郎であることから、遠州屋の財産を狙った者の犯行だと考えられた。主人の義弟である道楽者の六郎…、命を狙われている甥の金之助…、お安の妹である気性者のお里…、事件時に二階にいた番頭の佐吉…。下手人は誰だ? 「子供は神様のようなものだから、人の腹の中まで見抜くんだね」。細工しすぎて墓穴を掘るの巻。銭形平次の活躍を描いた捕物小説の一編。

銭形平次捕物控034 謎の鍵穴  (青空文庫)
短編。見ず知らずの美女から、謎の記号が書かれた結び文を預かった銭形平次の子分・ガラッ八の八五郎だが、それがために危険な目に遭ってしまう。八五郎に付きまとって、結び文を狙っていた女・お吉(両替商「近江屋」の番頭・佐太郎の妾)が何者かに殺害され、さらに、近江屋の主人・七兵衛が毒殺されるという事件も起きる。例の結び文を八五郎に渡したのは、七兵衛の妻・お峯だった…。「これは大層慾張った賽銭箱だネ」。謎の記号の意味を突き止め、難解な事件を解決していく銭形平次の名推理。人気捕物小説の一編。

銭形平次捕物控035 傀儡名臣  (青空文庫)
短編。腹を切ろうとしていた旗本・安倍丹之丞の用人・石田清左衛門を、すんでの所で思い止まらせた銭形平次。清左衛門が丹之丞から預かっていた大事な二品(家康のお墨付と家宝の短刀)が、いつの間にか何者かによって偽物とすり替えられてしまったのだ。丹之丞が江戸へ帰って来る明日までに捜し出すことができるか? 事態は意外な展開に…。「これこれ何処へ行くのだ、清左衛門。誰も其方に暇(いとま)をやるとは言わぬぞ」──。忠義な名臣・清左衛門の姿が清々しい。銭形平次の活躍を描いた捕物シリーズの一編。

銭形平次捕物控040 兵庫の眼玉  (青空文庫)
短編。遊山船に乗って、花見酒をしていた旗本・大村兵庫が、何者かに矢で眼を射られて、大怪我をした。愛妾である女中・お町を疑い、折檻する兵庫。人身御供のお町を助けるため、下手人探しに本腰を入れる銭形平次だが…。楊弓の名人であり、兵庫に怨みのある意外な人物は? 「あれは一度斬られて死んだ男の幽霊で御座います」。無暗に人を縛らない銭形平次らしい収束が素晴らしい。

銭形平次捕物控042 庚申横町  (青空文庫)
短編。非道な金持ちや、評判の悪い武家屋敷ばかりを荒し回っている怪盗「千里の虎」を追跡している銭形平次とガラッ八の八五郎。何度も「千里の虎」に出し抜かれ、悔しい思いをしている平次は、「千里の虎」が逃げ込んだ小石川の路地「庚申(こうしん)横町」の住民たちを調べ、手掛かりを掴んでいく。遂に「千里の虎」の正体を突き止めたかに思えたが…。「長い間十手捕繩を預かって、今度のような見当違いをしたのは始めてだ、岡っ引は自惚(うぬぼ)れちゃいけないな」──。意表の展開が楽しい銭形平次シリーズの一編。

銭形平次捕物控043 和蘭(おらんだ)カルタ  (青空文庫)
短編。子供が浚(さら)われる事件が日本各地で多発する中、金座の勘定役・石井平四郎の息子・勇太郎が誘拐(かどわか)された。船を使って子供たちを南洋へ売り飛ばしていた密売組織を突き止めた銭形平次だが、救出した子供たちの中に勇太郎はいなかった。平次が落胆する中、犯人から身代金を要求する脅迫状が届いて…。「八、ちょいと字を書いて見る気はないか」、「からかっちゃいけません。親分、字を書かされるような悪事をした覚えはありませんよ」──。息がぴったりの平次と八五郎の人情譚が本当に面白い。

銭形平次捕物控047 どんど焼  (青空文庫)
短編。正月の二日の夜、乾物問屋「相模屋」の若旦那・勘次郎が、離屋(はなれ)の二階の部屋で、何者かに出刄庖丁で刺されて殺害された。勘次郎の妻・お清に気のあった手代の与母吉(よもきち)をしょっぴく縄張りの岡っ引・小網町の仙太。お清から、女好きの勘次郎と行儀見習いのお浜の関係を聞かされた銭形平次だが…。「今年は火の用心の御布令(おふれ)があって、江戸の町ではどんど焼が御法度だそうですよ」──。密室殺人事件に挑む銭形平次の活躍を描いた捕物シリーズの一編。奇抜な殺害方法が実に面白い。

銭形平次捕物控048 お藤は解く  (青空文庫)
短編。深川木場の分限者・甲州屋萬兵衛が、家の風呂場で殺害された。甲州屋の家の者たち(若旦那の萬次郎や、妾のお直、支配人の伝之助など)を調べる銭形平次だが、甲州屋の行儀見習いである十九の娘・お藤の的確な推理と証言によって、皆の無実が証明されていく…。「冗談じゃないぜ、親分、殺し手が無くなった日にゃ、引込みが付かないじゃないか」、「八、俺にはよく解ったよ、これは自害でなきゃ鎌鼬(かまいたち)かも知れないよ」──。平次の“縮尻(しくじり)”を黙認する吟味与力・笹野新三郎がめちゃ格好いい。

銭形平次捕物控050 碁敵  (青空文庫)
短編。神田相生町の河内屋又兵衛の孫・喜太郎が殺害された事件を調べる銭形平次。又兵衛の娘・お米の夫である浪人・馬場要や、又兵衛の末娘・お富の許婚(いいなずけ)である油屋の佐吉らを調べるが、なかなか手掛かりが掴めない。そんな中、第二の殺人事件が起きてしまう…。「お早う御座います、親分さん」、「昨夜は夜っぴて碁だったそうだね」、「へエ——悪い道楽で、面目次第も御座いません」。下手人の犯行トリックを看破する銭形平次の手腕! 囲碁の勝敗が決め手となる展開が面白い。人気捕物シリーズの一編。

銭形平次捕物控051 迷子札  (青空文庫)
短編。左官・伊之助の娘・お北から、行方不明になった五つの弟・乙松の探索を頼まれた銭形平次。伊之助が、捨て子の乙松を生みの親に返して礼を貰ったと推察した平次は、事件をうっちゃっておくが、伊之助が何者かに斬り殺されたと知り、悔恨を覚える。お北のために敵を討ってやろうと決心した平次は、乙松の生みの親を突き止め、大身の旗本家の秘事を暴いていくが…。「親分、敵は討ったんですか」、「討ち兼ねたよ。見事に返り討さ」。お北のために奮闘する平次の活躍ぶりと人情味を描いて感動的。捕物シリーズの一編。

銭形平次捕物控054 麝香(じゃこう)の匂い  (青空文庫)
短編。柳橋で芸者遊びをする板倉屋の旦那・伴三郎たち。真っ暗な部屋の中で「目隠し遊び」をしている最中、伴三郎の用心棒である白旗直八が、目隠しをしたまま斬り殺され、幇間(たいこもち)の左孝が二階から突き落とされてしまう。芸妓のお勢やお駒を巡る色恋が原因なのか? 「この下手人は、三輪の兄哥(あにい)が睨んだ板倉屋でもなきゃ、名乗って出たお前でもないのさ。まア/\俺に任せて置きな」──。三輪の萬七との、負けたら坊主頭の捕物対決の結末は? 銭形平次の活躍を描いた捕物小説シリーズの一編。

銭形平次捕物控056 地獄から来た男  (青空文庫)
短編。地獄から来たという、顔が傷だらけの男の訪問に、思わず驚く銭形平次。その男は、江の島の崖から何者かに海へ突き落とされ、奇跡的に生き還った金物問屋「徳力屋」の主人・千之助であった。行方不明であった間に、身代も許嫁も横取りされてしまった千之助から、下手人の探索を依頼された銭形平次だが、思いの外、苦戦を強いられてしまう…。「今日は御用聞じゃねえ、人相見だよ。証拠のねえところから下手人を挙げるんだ」、「へエ——」。銭形平次は人相見でも一流だったのね。犯人探しが面白い捕物小説の一編。

銭形平次捕物控057 死の矢文  (青空文庫)
短編。恋人である植木屋・松五郎の娘・お駒に宛てた矢文を射た大店「相模屋」の若旦那・新助だが、その矢が誤ってお駒に当たってしまい、お駒は死亡してしまう。松五郎が相模屋に怒りを爆発させる中、新助が植木鋏で喉を突かれて殺されてしまう。当然、犯人は松五郎だと思われたが…。「この騒ぎは最初から間違いだらけさ」、「えッ、お駒は人に殺されたと言うんで?」。隣から飛んで来た矢が上向きに死体に突き刺さっていた謎…。意外な犯人を突き止めていく銭形平次の名推理。きっぷがいい松五郎がキャラとして面白い。

銭形平次捕物控059 酒屋火事  (青空文庫)
短編。鎌倉町の三村屋など、酒屋ばかりを狙った連続放火事件を調べる銭形平次。事件当夜、不審な行動をしていた三村屋の主人・安右衛門の甥・仲吉に嫌疑が掛かるが、安右衛門の娘・お町の勇気ある証言によって無実が証明される。三村屋に怨みのある者の犯行なのか? それとも、お町に気のある者の仕業なのか? そして、酒屋ばかり放火する理由は? 「恐ろしい相手だ。何をするか判らない野郎だ。気を付けろ、八」──。重罪である放火犯人を特定していく銭形平次と八五郎の名コンビ。人気捕物シリーズの一編。

銭形平次捕物控060 蝉丸の香爐  (青空文庫)
短編。大店の主人・玉屋金兵衛が大名から借りた「蝉丸の香炉」が紛失した。玉屋の息子・金五郎の恋人・お糸(古道具屋・与次郎の娘)が疑われるが、何者かによって香炉は玉屋に戻される。誰が香炉を盗み、誰が香炉を戻したのか? 「親分、大変だぜ」、「なんだ八」、「番頭が殺されましたよ」、「え?」。御用金が盗まれた二十三年前の事件との関連は? 銭形平次の活躍を描いて面白い一編。

銭形平次捕物控062 城の絵図面  (青空文庫)
短編。奥州のさる大藩の国家老・石津右門と江戸留守居・大垣伊右衛門から助けを求められた銭形平次。幕府に居城修復の許可を得るために必要な大事な城の絵図面が紛失してしまったのだ。絵図面を描いたお城大工の棟梁・柏木藤兵衛が責任を感じて自害してしまう…。絵図面を盗んだ意外な人物は誰だ? そしてその犯行動機は? 「来るがいい。俺には漸く曲者の正体が解ったよ。──神棚の絵図面を偽物と置き変えた人間の、顔を見せてやる」──。銭形平次、得意の投げ銭が炸裂! 人気捕物小説シリーズの一編。

銭形平次捕物控064 九百九十両  (青空文庫)
短編。高利貸しもしている鍼灸師の多の市が、検校の位を得るために、生活を切り詰めてまで溜め込んだ九百九十両が何者かに盗まれてしまった。多の市の娘・お浜に頼まれ、事件を捜査する銭形平次だが、なかなか犯人の手掛かりが掴めない。そんな中、多の市が住む長屋の隣人・お角が殺されてしまう…。「もう一人、置床の柱に小判が入っている事を知って居る者があった筈だ。それを思い出しさえすれば、盜人はすぐ捕まる——が」。二転三転する犯人探しと、盗まれた小判の行方がめっちゃ面白い。捕物シリーズの一編。

銭形平次捕物控065 結納の行方  (青空文庫)
短編。多額の借金を返済するため、美人で評判の娘・お関を、金持ちの仏具店「江島屋」へやむなく嫁がせることにした酒屋「大黒屋」の主人・常右衛門。しかし、結納として江島屋から大黒屋へ運ばれた三つの千両箱の中身が、小判から砂利に変わっていたから、ビックリ! 「言ってくれ、——三千両の大金は、人一人を気違いにする。——早く言ってくれなきゃ、此上とも騒ぎが大きくなるぜ」。三千両と砂利を瞬時に入れ替えたトリックと、三千両の意外な隠し場所が面白い。捕物名人・銭形平次の活躍を描いたシリーズの一編。

銭形平次捕物控066 玉の輿の呪  (青空文庫)
短編。上総・勝浦の領主・植村土佐守に見初められ、妾(めかけ)になることが決まっていた雑司ヶ谷の茶店の娘・お菊が、湯屋の路地で喉笛を掻き切られて殺された。縄張りの岡っ引・三つ股の源吉は、お菊と関係のあったノラクラ者の徳松と、お菊と一緒に銭湯に行っていた義姉・お吉を容疑者として捕まえるが…。「それじゃ、下手人は誰なんだ」、「大方判っている積りだ。今晩、——いや、明日の晩、お菊の法事をして貰って、その席で話そう」──。意外な下手人を突き止める銭形平次の見事な推理力! 人気捕物小説の一編。

銭形平次捕物控071 平次屠蘇機嫌  (青空文庫)
短編。何やら怪しいと睨んだ料理屋「さざなみ」に、酔客のフリをして潜入した銭形平次は、入り口の輪飾りや二階の障子の一枚が、なぜか裏返しになっていることを突き止める。大晦日に開店したのに、正月二日には閉店してしまった不思議と、粗品の手拭の模様の謎に挑む平次だが…。「なア、八、本当のところ江戸中で一番儲かる仕事を教えてくれ、頼むぜ」、「泥棒でもするんですね、親分」、「何んだとこの野郎ッ」、「親分、危いじゃありませんか」──。平次と八五郎の“つかみ”が最高に面白い。人気捕物シリーズの一編。

銭形平次捕物控073 黒い巾着  (青空文庫)
短編。高利貸し「山崎屋」の隠居・勘兵衛が絞殺され、五千両の大金が盗まれた。さらに、勘兵衛の孫である十歳の勘太郎も殺されてしまう。紛失した勘太郎の巾着が、番頭の和助の荷物から発見されるが、果たして和助が下手人なのか? 勘太郎が言った「六十三は今日だね」とは何を意味するのか? 「こんなわけのわからない時は、信心に限るよ。観音様を拝んでいるうちに、結構な智慧が浮かばないとも限らない」──。見事な謎解きで五千両の隠し場所と犯人を突き止めていく銭形平次の活躍を描いた捕物シリーズの一編。

銭形平次捕物控075 巾着切の娘  (青空文庫)
短編。巾着切(きんちゃくきり=すり)に三百八十両という大金を取られてしまい、両国橋から身投げしようとした横山町の大店「増屋」の養子・徳之助とその恋人・お富を間一髪で助けた銭形平次。もと巾着切だったお富の父親・彦兵衛の話から、下手人は描き菊石(あばた)の東作という兇賊であることが判明する。大金を取り返すため、悪党仲間であった東作と交渉する彦兵衛だが…。「金を抜いて娘をくれと抜かしやがったな。手前(てめえ)は江戸の巾着切の面汚しだ。弁天様のやうな娘を、そんなモモンガアの餌にしてたまるものか。少しは目が覚めたか、馬鹿野郎ッ」。愛娘のために一世一代の働きをする彦兵衛が本当に格好いい。感動。人気捕物小説の一編。

銭形平次捕物控076 竹光の殺人  (青空文庫)
短編。「平次、狸穴(まみあな)まで行って見ないか、竹光で武家が一人殺されたんだが」。与力・笹野新三郎に誘われ、浪人・福島嘉平太が殺された事件を調べる銭形平次。見事な洞察力で殺害トリックを見破った平次は、福島と同じ藩の武士であった隣人・岩根半蔵と福島の奉公人・藤吉の二人を捕まえるが…。さる大藩で起きた金蔵破りに絡んだ殺人事件の意外な結末は? 「どうして、あの野郎がそんな馬鹿なことをする気になったらう」、「人の心の恐ろしさだよ」。人間の思い付く一番タチの悪い罪! 捕物帳シリーズの一編。

銭形平次捕物控077 八五郎の恋  (青空文庫)
短編。神田、日本橋、下谷へかけて、通り魔のように荒し廻る神出鬼没の兇賊に手を焼いている銭形平次。兇賊の被害に遭った裕福な浪人・中江川平太夫の娘・お琴に恋をしているガラッ八の八五郎のために、平次は八五郎を用心棒として平太夫の家に泊まり込ませるが…。下手人は、軽業小屋の倉松か、易者の大谷道軒か、それとも? 「ところで、八」、「へエ——」、「あの娘はどうだえ」、「ヘエ──」、「まだモノにならないのか」。連続強盗事件の解決と八五郎の恋の顛末を絡ませた展開が実にうまい。捕物シリーズの一編。



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