このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

TOP総覧index廃道index序章
国道121号線
大峠
(八谷新道/米沢街道)

山形県米沢市〜福島県喜多方市
平成20年11月2日 来訪


唐突だが『ルシフェル(もしくはルシファー)』という堕天使をご存知であろうか?

ルシフェルはキリスト教において、元々高位の天使でありながら神に背き
天界から追放され落とされそのまま魔界の王『サタン』となったとされている。
この『サタン』と言う名前には上記の通り「魔王」を表す意味以外に
もう一つ、余り知られていない別の意味を表す名称を持っているのだ。

その意味とは・・・



『妨げる者』

まさにこの元・落石フェンスは『大峠のサタン』であった。

人間を護る為に人間によって生み出された心強き守護者であった落石フェンスだが、
新道開通と共に見捨てられ永きに渡り放置された結果、
最終的にこの道を通行不能に追い込んだ「魔王」成り果てたのだ。

この『大峠のサタン』は文字通り我々にとって恐るべき「妨げるモノ」であった。






東北の厳しい冬。
この吹き曝しの山の上ではいかに強固な作りの防護フェンスといえども、人の手を離れれば、いとも簡単に崩れ去る。
いっそ完全に崩れ去ってくれれば、それ程困難な障害にもならなかっただろう。

しかし元々の「強固さ」が仇となり、中途半端な形でフェンスが崩れている為にその進行ルートは著しく狭められる。

いや、狭められる程度ならまだ良い。
それならばまだ前進する余地があると言う事なのだから。














完全に崩れ落ちた防護フェンス。
倒れ込んだ鉄骨を一つずつ乗り上げる毎に、下からガツンガツン激しく突き上げられる。
決して楽な区間ではないが、少なくともここは何とか自力で前進することが出来る。

問題はsin氏が立っている辺りからだ。

あの場所からは鉄骨が完全に倒れておらず、中途半端な位置で倒れこんでいるのだ。




















見事鉄骨と鉄骨の間に嵌って立ち往生。
前の鉄骨は浮き上がっていて自力で乗り上げる事が出来ず、
後もバイク自体の自重で持ち上げられない。

どうにもならなくなったので、一旦下車。
エンジン+数人係の力技で何とか脱出。

が、脱出した先には更に厳しい角度で浮き上がる鉄骨が立ち塞がる。


















倒れこむ鉄骨だけではない。
横からも容赦なく鉄骨が襲い掛かる。
リアの無駄にデカイ荷物が引っかかったりして果てしなくストレスが溜まる。

更に千切れたフェンスも何気に恐ろしい。
金網の切れ先は鋭く尖っており、SJ30氏も思わず苦言を呈するほどのツルペタタイヤであったセローさんにパンクの恐怖が襲い掛かる。












最難関ポイントではkimi氏、熊五郎氏、SJ30氏、黒jim氏、そして自分と5人がかりでようやくクリア。
まさに人海戦術ここにあり、と言った感じである。

単独では此処は絶対行きたくないし行けない。
僕には余りに過酷な場所。
最も250ccクラスでは最軽量級であるセローさんであっただけまだマシだったのかもしれない。

反対に今回のメンバーでは最重量と思われるTTーR(零度タンク付き)のMR氏は地獄を見る。











浮き上がる鉄骨を根元の方から回って突破を試みる。
が、結局は結構な段差を乗り上げねばならないのは変わりなく、やはり数人がかりで強引にバイクを押し上げる。
しかし、自重があるので中々上へと上がってくれない。
しかも、足元は瓦礫やら落葉やらで全く安定しないので、力が入りづらい体勢となり更に体力を使わざる得なくなる。

僅か数十センチ、ただ歩くだけなら数秒しかかからぬ鉄骨の頂点を数分の格闘の末、ようやくへ登りつめ乗り越える事が出来た。











全身の力を使い果たしうな垂れるMR氏。

後日、この時の経験から先代の愛車から受け継いだレイドタンクから、通常のノーマルタンクに取り替えたと言う。

挑戦者にバイクカスタムの方向性すら変えさせる恐るべき大峠。
ちなみに06年にはこの場所でMR氏は旧・零度号のエンジンが破損してオイルが駄々漏れ状態になると言う恐怖体験をされている。

やはりコイツは『魔王サタン』の名に相応しい廃道である。















殆んどの人が突破に苦労していた鉄骨ゾーン。
だが、GasGasを操るsin氏はその軽量さと車体特性を生かして事も無げにクリア。

パンクしていてもガチのトラ車は違うぜ!


しかしまあ、全国津々浦々に廃道があり、いろんな通行不能にさせた崩壊があるがこのように防護施設がトドメをさしたという場所も珍しいだろう。

そういや、ちょっと思ったんだが『大峠のサタン』って、やっぱ擬人化すると こんな感じの姿 になると思うんだがどうだろう?









極悪鉄骨ゾーンを抜けると、そこは崩れかけたホッパーが残るススキの広場だった。
鉱山の付属施設であるホッパーがドーンと国道上に鎮座しているというのも凄いことだが、そもそもこのR121自体が県境越えの交通手段としてより、鉱山道路としての性格の方が強かったらしい。

かつては積み出された鉱石を積んだトラックが何台も止まっていたであろう広場にバイクを止め小休止。

ドリンクホルダーに手を伸ばし、先日の夜に宇都宮のコンビニで買った小岩井コーヒーを飲・・・、ってねえぢゃん!!
うわァ、ちょっとマジッスか。
いや、しょせんポン置きのホルダーで何にも固定されていない訳なので、あんだけの障害物乗り越えてくりゃあ、どっかに吹っ飛ぶのも当然な訳だが、無いとわかると必要以上に欲しくなる。

あああああああああああ、水分欲しいいいいいいいいいっ!!!

と、その時、再び荷崩れし始めたリアキャリアのバックの中に青く輝く何かが目に入る。
・・・そういえば!
キャリアに引っ掛けたネットはずしバックのファスナーを開けると、そこにはみずみずしいパッケージが眩しいアクエリアス。

そうだ、そういえば紅白さんからアクエリアスを戴いてたんだ!
キャップを開け、一気に喉へと流し込む。
うんめえエeeeeeeeeeeeeee!

ホント、この時この場にはいない紅白さんが神に思えました。

ありがとう、紅白さん!


しかしまあ、気温はおそらく10℃前後だと言うのにこの上なく暑い。
全身汗だくで、最早ジャケットなんか着てらんねぇ、って感じだ。
他の人も同じようで、標高1000M近い晩秋の山の上で薄着の人間がうろうろしていると言う不思議な光景。
だが、鉄骨ゾーンで多くの人を率先して手助けしていたモトラ氏は更に上回っていた。

上半身、裸。
熱い。











一方、強大なる敵との戦いで少なからずの被害も

MR氏のオーバーパンツに穴。
何かに引っかかったと言うより、高熱により溶けて穴が開いたといった感じだ。
どうやら、バイクを持ち上げさせた時に高熱を帯びたマフラーがあたってしまったようだ。

高熱を発しているのはバイクだけではない。
みーんな、体中から湯気を発してまるでオーラのようだ。

それだけ厳しい戦いだったと言う事だろう。





























しかし、苦しい戦いを耐え抜きに勝利した我々を祝福するかのように山の向こうから虹が顔を覗かせた。

最早、峠の隧道まで我々に立ち塞がるものは無い。
後は勝利に栄光に向かって走り抜けるのみ。
さあいくぞ〜〜・・・と思ったその時、MR氏から驚愕事実が



「いや、まだ崩壊鉄骨ゾーン終わってないよ。」



・・・なんですと?






三島閣下バンザーーイ!!

ホントマジっスか、まだ続くんですか。
これが現実ですか?
なんていうか手加減って言葉知らないんですか?
ちょっとね、もうカンベンしてください。

予期せぬ事態に混乱する自分をよそ目にSJ30氏は
「じゃ、オレちょっと先に行って休んでる。」
とクールに呟き籔の向こうへ消えていく。
つーか、「ちょっと先に行く」技術なんてねーぞォォーー。



こうして再び「魔界」へと突入。
ぐはーーーー。
<





鉄骨に躓き転倒する「ニコスペ」TT−R。
更にタイヤが鉄骨と地面の間に嵌り、二進も三進も行かなくなり悪戦苦闘。

本当にここは魔界である。
人が立ち入るような場所ではない。
ましてやバイクで入ろうなんざ正気の沙汰ではない。

転倒や障害物との激突で各種パーツが吹っ飛んでいくが、ついでに頭のネジも数本飛んでいったかもしれない。
なんつーかオブライダーズハイって奴ですか?
全身にアレな物質が駆け巡り、鉄骨乗り越えのガツンドツンの振動がえらくキモチイイぜ!









とても爽やかに人としてコワれ始めた矢先、ついに正真正銘に最大の難関・崩壊落石フェンスゾーンを突破した!

今度はフェイントではない
赤く錆びた鉄骨は最早影を見せない。
よっしゃー、一気に隧道まで駆け抜けて・・・

ズトン。

・・・ん、今の一体・・・ナニ?

籔に隠れて良く分からなくなっているが、実は数cmほどだが路面が崩れ谷側に落ち込んでいるポイントがあったのだ。
で、一瞬だけだが完全にリアタイヤが滑落状態になっていたのである。

たった1秒ほどの出来事で当時は自分も良く理解できていなかったが、実は今回の探索で最も最大最悪のピンチを迎えていた。
しかも、その時周りには誰もおらずたった一人。
・・・もしもあの時勢いが足らなかったら、誰にも気付かず谷底行き・・・

あ、危ないトコだっだwww





ともかく、とりあえずこうして生きてゴール地点「バイクゲージ」までたどり着けました。
バンザーイ!

いや、ほんとね、二度と行きたくねぇ!
恐るべき廃道でした。

ようやく四輪も通れるまともな道に回復。
実際の所、ダートで酷道規格の狭い幅員なんだが、此処までの道程と比べたらそれこそ高規格道路にも等しい。

ちなみに「先に行って一息」していたSJ30氏は一息入れたついでに、獣道状態の廃鉱山道で遊んでたりしてた。
ほんともう、次元違うわ。

バイクゲージ付近で再び小休止した後、会津へと抜けんが為に隧道へと向かう。


















一瞬真っ直ぐに見える道だが実は丁字路。
かつてはこの場所に福島県界を示す白看板があったのだが、2004年ごろ辺りに崩れ落ち谷底へと落ちていったようだ。
直進は廃鉱山道路、国道は右折である。
山の斜面に隠れた道の先には・・・






















会津と米沢を境界である大峠隧道。

・・・ウワサどおりそっけない隧道だなァ。













続く

総覧へ TOPへ戻る
廃道INDEXへ
掲示板
1

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください