このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください
(有)渡邊酒造場 宮崎県宮崎郡田野町
(2005.02.28)
この焼酎に使用されている“
ダイチノユメ
”とはどのような甘藷なのか・・・。一般的には「聞き慣れませんから、多分新品種なのでは?」と思われるでしょう。はっきり言ってそうです(爆)。新品種です。この品種の系統造成の背景には、焼酎の消費拡大によって原料を奪われ苦境にあるでんぷん工場の救済があり、同じような方向性で育成された品種として平成12年に登録が取れた“コナホマレ”がある(宮崎でもこのでんぷん用甘藷を実際に焼酎製造に用いているメーカーさんも存在)。しかしながらこの“コナホマレ”、でん粉生産能力はとても良い反面、貯蔵中の腐敗や病気に弱いというウィークポイントを抱えていた。こういった点を踏まえて、でんぷん生産能力は“コナホマレ”のように優れており、かつ貯蔵性、病虫害抵抗性の改良を追求した結果がこの“ダイチノユメ”というわけ。ちなみに、いもの外観、病害虫抵抗性、貯蔵性は母系の「九系117」より、高でん粉・多収という性質は父系の「ハイスターチ」より受け継いでいる。
先日の
研修会
の際に
「新しい甘藷品種を用いた焼酎の可能性」ということで九州沖縄農業研究センター畑作研究部の
片山健二主任研究官
が他の“ジェイレッド”や“ムラサキマサリ”と共にこの“ダイチノユメ”について紹介されたが、今までのコガネセンガンを用いた焼酎とは違った香味、風味があって面白いと思ったそうだ。その時の話ではこの新品種を試験的に焼酎を仕込んだ蔵元が宮崎にいくつかあるという。
そのうちの一つの蔵が“
旭 萬年
”を醸す田野町の
渡邊酒造場
である。実は新品種で焼酎を仕込んだ焼酎が販売されるということは、あの
偉大な本
の“
無濾過・芋 旭 萬年
”の項で紹介されていたので存じ上げていたのだが、2005年分の“
無濾過
”と販売時期が重なりそうであったので非常に迷ったのです。どちらを買おうか。あぁ・・・。
そうやって悩んでいたら、いつの間にかレギュラーの“無濾過”は発売されてしまい、それから遅れること数週間でこの“
大地の夢
”が発売となった。こうなったら迷わず新製品を買わねばならないのだ。錬金術で野口英世博士を3枚ほど錬成し、発売開始2日後にやっと我が家の敷居をまたいだ。焼酎自体は、先日“
偉大な本の著者
”である
こばやしさん
が来宮された際に
幸一朗専務
が持参されていた同品を飲むことができた。ややぴりりとするところはあるが、直球に伝わる甘みは「美味い!」の一言だった。さて、家にやってきてから1週間ほど静置したことですから、歓喜のあまり瓶を振り回したことでグデグデになった酒質もようやく収まったことでしょう。じっくり飲みますか。
この歳になると冬場は寒くてですね、どうもお湯割りに走りがちなのだが、まずは生で。スッキリと甘いという感じだ。ジョイホワイトの“
Angel's Whisper
”と同系統の風味と言ったのは
石原けんじ大佐先生
であったか。言われてみると確かに似ている。お湯割りでこれを飲んだときに「こんな味があった!」と思ったものがあったのだが、それは大根っ葉。爽やかで苦甘い風味にあのギザギザの青い葉っぱを思い出したのだ。生、お湯割りに続いて今度は直燗で飲んでみましょうかねぇ・・・。この時点でちょっと酔っぱらってしまったのだが、それは置いておこう(爆)。黒千代香で燗を付け、ちょうど酔い頃合いのところで鍋から上げた。猪口にちょこちょこ・・・。少し含むと凝縮された甘みが口の中ではじけるのですね。こりゃ美味いや・・・。
そうして2月最後の晩はふけていくのでした。
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