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富山で路面電車の「過去・現在・未来」を見る

−富山地鉄富山市内線・富山ライトレール・富山市内電車環状線化計画の現地を訪問して−



TAKA  2006年08月19日




水辺を走る富山ライトレール @競輪場前〜岩瀬浜間




 「富山ライトレール」と言えば今や交通・鉄道に興味の有る人たちで知らない人は居ないでしょう。富山市が主体となりJR西日本の富山港線を改築し「富山ライトレール」と言う実質的には"日本初のLRT"と言える軌道系交通機関を作り、本年4月29日に開業し各所から非常に注目を集めています。
 私自身は富山に関しては、富山ライトレールの事業発表直後である2004年5月に他のサイトのオフ会で富山・高岡を訪問し、その際に 富山港線も訪問 しています。その為全く知らない都市と言う訳ではなく興味も有りました。
 そういう訳で、富山ライトレール開業に伴い「過去との比較を含め一度は見てみたい」と思っていました。しかし仕事の関係上なかなか遠出が出来る状況に無い中、GWは仕事の絡みで飛び石連休になり遠出を断念する状況になってしまいなかなか富山を訪問する機会が訪れませんでした。その様な中で夏休みに何とか時間を取る事が出来たので、一念発起して新潟県・富山県の交通関係の場所や観光を交えて1泊1日と言う強行軍でしたが、富山ライトレールを訪問する事ができました。
 今回はせっかくの富山訪問だったので、短い時間でしたが富山ライトレールだけでなく今富山で起きつつある変化を全体的に見ておきたいと思い、「富山地鉄富山市内線」「富山ライトレール」「富山市内電車環状線化計画」の3点をセットに訪問すると同時に、富山の中心市街地を散策し現地の状況を駆け足ですが見てくることが出来ました。

 「今回の富山市内訪問行程」(関係の場所のみ抜粋)
 ・富山駅前10:20→「富山地方鉄道 富山市内線」→大学前10:35〜10:40→「富山地方鉄道 富山市内線」→丸の内10:46
 ・丸の内〜市民プラザ〜西町(徒歩で環状線建設予定地散策)
 ・西町11:12→「富山地方鉄道 富山市内線」→南富山駅前11:21〜11:37→「富山地方鉄道 富山市内線」→富山駅前11:54
 ・富山駅北12:30→「富山ライトレール」→岩瀬浜12:54(駅周辺およびカナル会館訪問)
 ・13:16→「富山ライトレール」→奥田中学校13:35→「徒歩で新設軌道区間を見学」→富山駅北14:15

 今回の訪問は極めて駆け足でしたが、富山ライトレールを中心に色々得る事が出来た訪問で有ると言えます。その事について以下において「過去(富山市内線)・現在(富山ライトレール)・未来(市内線環状化)」の3つに分けて述べたいと思います。
 一体富山では今回開業した富山ライトレールを起爆剤に都市・交通に何が起きて何が変ろうとしているのでしょうか?又今後の富山の都市・軌道交通の抱える課題は何なんでしょうか?その点を中心に述べて見たいと思います。

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 「基礎的資料」

 (富山市の概要)
項目面積距離人口世帯数DID人口密度
数値1,241.85k㎡東西60.7km・南北43.8km420,804人145,821世帯4,329人/k㎡

 (富山ライトレール・富山地鉄市内線の概要)
項目営業キロ1日当たり輸送人員車両数運行本数運行間隔停留所数営業係数
富山市内線6.4km10,100人/日17両(単車)188往復/日昼間5〜10分毎20箇所74.5
富山ライトレール7.6km6,073人/日(4/29〜5/31)7編成(連接車)66往復/日昼間15分毎13箇所

 ※上記表に関しては、下記「参考資料」路面電車新時代LRTへの軌跡・富山市HP・富山ライトレールHPより抜粋・引用し作成しています。

 ☆関係地域の地図及び航空写真 ・富山市内線沿線  地図   航空写真
                ・富山ライトレール沿線(富山駅周辺) 地図   航空写真  (岩瀬浜周辺)  地図   航空写真

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 (1)  「過去編」"昭和の時代が色濃く残る路面電車"の富山地鉄富山市内線の状況は?

 (2)  「現在編」"This is revolution !?" 富山ライトレールは路面電車をLRTに昇華させたのか?

 (3)  「未来編」"富山市内電車環状線化計画"の完成は富山にコンパクトシティを実現させ街を活性化するのか?

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 今回富山を訪問して感じた事は表題の通り「富山には路面電車・LRTの過去・現在・未来が共存している」と言う事です。
 富山に今有る市内交通、旧態依存の路面電車である富山市内線・LRT先進国の欧米に追いついた富山ライトレール・未来的かつ先進的な都市構想コンパクトシティと中心市街地活性化実現のツールとして考えられた市内線環状化構想は、正しく路面電車・LRTの過去・現在・未来の姿を示していると言えます。
 最終的に都市にとって公共交通のLRTは「理想の都市実現のツール」に過ぎません。優れたLRTが有っても街に人を惹き付ける物が無ければ都市は発展しません。又都市に魅力があって人が集まっても人を運ぶ公共交通が便利でなければ大きな弊害(車による公害・移動時の乗換抵抗等のロス)が発生します。その点から言えば魅力有る優れた都市とLRT等の優れた公共交通は「持ちつ持たれつ」の関係に有ると言えます。
 今富山はその姿を目指していると言えます。富山ライトレールも「LRTと都市計画の連携で町の活性化を計る事」を目論んでプランニングされて実行されている事は間違い有りません。しかし其れは一番肝心な「コンパクトシティ」の核である中心市街地、つまり富山駅南側の西町・総曲輪地区には未だ広がっていません。
 つまり富山ライトレールの成功を全市に広げるのが、2013年のJR高架化完成による富山ライトレールと富山市内線の接続とその頃を目標に整備される構想の市内線環状化です。これが成功すると同時に中心市街地活性化の方策が上手く行けば、正しく「LRTと都市計画が揃って中心市街地活性化を実現させ富山市の中核を作り出す」と言う理想的形態を完成させることになるでしょう。

 「現在編」の富山ライトレールの表題の言葉"This is revolution !?"は、私が富山ライトレールに乗るために富山駅北口広場に付いた時見た風景に対して感じた私の偽らざる第一印象です。
 実際富山駅北口の開発と富山ライトレールは、開発事業の方が先に完成しており計画的にはリンクしていません。ですからあの風景はバラバラに作り出されたが上手く調和して偶々あんな未来都市的な風景になったと言うのが実情です。しかしそのような考えを持たず単に「路面電車・LRTを乗りに来た」と言う事であの風景を見ると、「感激した・驚いた」と言う第一印象を抱くと思います。
 しかし私がその風景を見て抱いた"This is revolution !?"はよくよく分析してみれば、本文で述べて来た様にまだ未完成で有る事は、富山の路面電車・LRTを過去・現在・未来の時系列で分析をしてみれば明らかです。
 ですから"This is revolution !?"で有る事は間違い有りませんが、同時に「現在、革命、なおいまだ成功せず」(藤村久雄著:革命家孫文 より)と言う状況なのです。富山で起きている"revolution"は未だ辛亥革命の状況であり、革命の完成と言う真の結末はこの後に有ると言えます。正しくこれから必要なのは「およそ我が同志たるもの・・・その貫徹を求め、引き続き努力せよ」(藤村久雄著:革命家孫文 より)と言うぶれない貫徹心で有ると思います。
 今富山市が富山ライトレールで実現させ、市内にも導入しようとしているLRTと都市計画のリンクによる、中心市街地の活性化とコンパクトシティの実現は方針として間違えていません。ですから必要なのはブレなく実現させる貫徹心と継続性です。今のコンセプトとそれ考えが有れば、富山の中心市街地の活性化とコンパクトシティの実現は時間が掛かれども達成できると思います。

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 「参考資料・参考HP」
 (参考資料)
 ・「路面電車新時代 LRTへの軌跡」 (服部重敬 著)  ・「路面電車ルネッサンス」 (宇都宮浄人 著)
 ・鉄道ピクトリアル2000年7月増刊号「路面電車〜LRT」  ・鉄道ピクトリアル1997年9月号「富山地方鉄道」
 ・鉄道画報2006年6月号「ライトレール最新事情」
 (参考HP)
 ・ 富山市役所  HP             ・ 富山地方鉄道  HP
 ・ 富山ライトレール HP           ・ フィーダーバス  HP
 ・ まちづくりとやま  HP          ・ 富山県交通政策研究グループ  HP
 ・ 総曲輪通り南地区市街地再開発組合  HP

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富山都心線「セントラム」開業関連記事(2010.01.05)
『富山で路面電車の「過去・現在・未来」を見る』で「未来」と書いた都心環状線が「富山都心線 セントラム」として2009年12月23日に開業しました。
その「富山都心線 セントラム」について、開業後現地を訪問してきて訪問記を書きましたので、合わせて御笑覧頂ければ幸いです。
セントラム開業で『TOYAMA INNOVATION』は加速するのか? −2009年12月23日 富山市・富山地鉄「富山都心線」 セントラム開業−

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 「オマケのグルメ話」

 今回の富山市内訪問では、「昼食位は何処かで富山の名産を食べよう」と思っていました。しかし8月なのでホタルイカ・寒ブリは時期では有りません。岩牡蠣は時期ですが富山湾の岩場は西の氷見か東の親不知に行かないとないので富山市内で岩牡蠣と言うのも如何かと思い、「何か名産を食べたい」とスケジュール・時間・場所等を含めて総合的に考え悩む事になりました。
 色々と迷った挙句に「富山市内線・富山ライトレール訪問の間に食べれる」「結構有名で美味しそうだ」「リーズナブルに富山でしか食べれない白えびが食べれる」と言う点から、JR富山駅駅ビル「マリエとやま」3階の「 白えび亭 」で食べることにしました。
 「白えび亭」では「白えび丼定食」と「ホタルイカ沖漬け」を頼み占めて2,100円でした。肝心な味は白えび自体が淡白な物なので「生より揚げた方が美味しいかな」と言う感じはしましたが、ご飯に錦糸卵の上に生の白えびを載せた白えび丼はワサビ醤油をチョットかけて食べると非常に美味しかったです。
 もっと高級店に行けばもっと美味しい物を食べれたのかもしれませんが、味・立地・コストパフォーマンス等を総合的に勘案すると「なかなかポイントが高いかな!」と言う感じがしました。JRで富山に入られる方は通る場所なので機会が有れば是非寄って見て下さい。「高級志向」の方にはお勧め出来ませんが、1人での食事ならお勧めです。

  

左:富山駅ビル「マリエとやま」3階の「白えび亭」     右:「白えび亭」の白えび丼定食 

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