銀座線のいろいろ
銀座線情報 銀座線は昭和2年12月30日開通と日本で最初に作られた地下鉄で、「東洋唯一の地下鉄」とのキャツチでした。渋谷・赤坂・銀座・日本橋・上野・浅草とメジャーな所を通っており、日中でも3分おき、ラッシュの朝夕は2分おきのフリケンシーで大変便利です。地上から浅いところに線路がありホームへ行きやすく、待ち時間がないので近くに歩いて出掛ける感覚で乗車できます。
万世橋駅開通のポスター |
上野浅草開通のポスター |
今日も銀座線は走る(渋谷駅発車) |
銀座線には著名デパートがいっぱいです。 路線 正式名称3号線銀座線(ぎんざせん)、距離は14.3キロ、駅数は19駅、駅番号G−XXです。大変便利な所を走っており、定期券の場合全区間でも1ヶ月通勤定期8,250円(最短区間6,000円)ですので、区間を余分に買っておくのも手です。→
駅(渋谷−新橋)
、→
駅(新橋−浅草)
大正14年9月27日着工(地下鉄起工第1号杭が打込まれる)、昭和2年12月30日営業開始です。その時の工事は大倉土木(現大成建設)です。 複々線区間(重複区間) 渋谷−赤坂見附間は銀座線と半蔵門線が平行して走っています。この区間に限りどちらの定期券でも乗車できます(なお半蔵門線は外苑前には止まりません)。この区間外の三越前は適用外です。 半蔵門線の工事は銀座線と交差・近接していて難工事でした。また、砂層で70年を経過したため銀座線のトンネルの床下や壁に30センチほどの空隙が部分的にあり、モルタル(CB、セメントベントナイトモルタル)と薬液(溶液型、懸濁型水ガラス系)を注入して補強しました。 ちょっと半蔵門線と競争してみました。 地下鉄線 | 渋谷−赤坂の時間 | 日中のフリケンシー | 外苑前停車 | 乗りやすさ | 渋谷で座れるか | 銀座線 | 7分(外苑前も停車) | 3分おき | ○ | 地表から浅い | 始発 座れる | 半蔵門線 | 7分 | 5分おき | × | 地表から深い | 乗換客期待 |
なお、半蔵門線には半蔵門駅折り返しの電車もあります。
当初、田園都市線は銀座線を延伸して対応する予定でしたが、容量的問題から半蔵門線を新設し渋谷−赤坂見附間を複々線化し、田園都市線との相互乗り入れ運転で対応しました。
近年、東武伊勢崎線方面が銀座線、日比谷線ともタイトなので、2003年3月に水天宮ー押上間開業で東武線相互乗り入れ開始と銀座線のバックアップを行っています。 銀座線車両情報 電車 ちょっと小さめの幅2.6、長さ16m、3枚ドアの車両(01系、車種は数字で表します)で、6両編成(モーター付き3両、なし3両)で運行しています。ストライプのカラーはオレンジ色です(有楽町線は金色、黄土色)。初代はベルリン地下鉄を模範にしたレモンイエロー色で出発しました。
東京地下鉄基準のアルミ製で車内はサロン風です。足を投げ出さないようにという床の色を変えたところがカーペットの様な雰囲気をかもしだします。座席はソファーのようなバケット式で、ゆれても滑らず快適です。荷物棚も針金細工が洒落ています。1985年にローレル賞(鉄道友の会選考)を受賞しました。
山椒は小粒でもぴりり。車体が四角いので圧迫感がない。しかもカベを薄くし車幅を確保しています。車両の連結部分にドアが付いているので室内の音が静かです。 |
扉の上の駅名表示装置。液晶表示ではないが、全路線表示で一覧性があるので現在位置が把握でき便利。外国の方にもやさしい設計です。→
つくばエクスプレスの表示画面
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サロンのような車内、フットラインのツートンカラーがカーペットの様な雰囲気 |
ソファーのようなバケット式の座席。ゆれても滑らず座り心地がいい。 |
洒落た針金細工の荷物棚
アールデコ風がいいです。透過性が高いので圧迫感がありません。新型電車はその伝統を受け継ぎガラス製を採用しました。
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新型電車10000系
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銀座線の足(台車)です。黄丸の付いた車軸を両端の積層ゴム→
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で3次元方向のクッションを行っており、カーブに強いという特色があります。他の形式の台車(モノリンク)→
画像
もあります。→
銀座線の足(台車)
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地下鉄開通80周年記念車両、虎ノ門駅 |
ラッピング車両、東京地下鉄道のマークを付けている |
過去の車両 戦前なのに、なんとATS(列車自動停車装置、打子式ATS)を装備していました。線路の打子が立ち上がり、万一の場合電車のブレーキ(自動復帰式トリップコック)に当たり非常ブレーキが作動します。
信号装置も6両編成、90秒間隔運転(停車時間20秒)で設計されていたすごさです。
東京地下鉄初代車両(1000形1001号車)(地下鉄博物館)
木製のように見えますが全鋼鉄製です。車内は間接照明を世界で最初に採用。→
室内画像
戦争中は防空対策で腰部を緑に塗り替えた。 |
東京高速鉄道車両(100形129号車)(地下鉄博物館)
電気ブレーキ(モーターで発電しその抵抗力でブレーキをかける)、前部屋根の換気装置が特色。
戦争中は防空対策で屋根を焦げ茶に塗り替えた。 |
打子式ATS装置、線路の右側の白いのが打子(地下鉄博物館)。 |
線路右の白いのがブレーキ(突き当たり弁、自動復帰式トリップコック)、万一の場合ブレーキにあたり非常ブレーキが作動する(地下鉄博物館)。 | | ←新旧電車が仲良し。浅草駅地下の壁画より
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レールが3本 赤い靴(集電靴)履いていた銀座線
屋根の上にはパンタグラフがなく、レールの外にある給電レール(第3軌条、サードレール、配電レール)から台車横に付いている赤色の集電装置(コレクターシュー、集電靴)で電気をとります。電圧は600Vです。
サードレールは原則として線路の両外側、半径200m以下のカーブの場合は曲線の外側、駅の場合はホームの反対側に設置してあります。
サードレールの寿命は大変長く、初代のレールは66年間働き続けました。鉄製ですがレールは太いので電気抵抗が少なく銅線には負けませんし、架線切断事故もありません。首都圏では横浜市営地下鉄→
画像
が同様の方法を採用しています。
電車にパンタグラフをつければ架線設置区域でも走行可能で、信越本線碓氷峠のアプト式電気機関車、外国にもその例があります。
地下トンネル内の最高速度は65キロ程度ですが、線路が広軌(1435mmで新幹線と同じ、標準軌)なので急カーブもスピードを落とさず55キロ〜45キロ程度で曲がれるので俊足快適です。
左から反対側の線路、その配電レール、配電レールの始端(エンドアプローチ)、ガード付きレール、奥に配電レールの終端、
黄色い2本の電線は無線電話用(列車無線誘導線電線)(丸の内線)。トンネル内は通常の電波が飛ばないためです。 |
台車の横に付いている赤色の集電靴(コレクターシュー)。ここから電気をとります。
この台車(緩衝ゴム式、住友金属FS520、FS020)はカーブに強い構造をしています。黄丸のついた丸い部分が車軸、その両横の黒色がアコーディオン状の板状のゴムで車軸の前後左右上下方向のバネです、その上がブレーキシリンダー。 |
変電所からサードレールに電力を供給するための電線(き電線)とレールの結合部分。(地下鉄博物館) |
電力供給するための電線(き電線)、コンクリート壁に延線されているケーブル。(丸ノ内線中野車庫) |
電車の制御方式は熱を出さないトンネルに優しい方式 銀座線の電車は制御に半導体を使用しており、チョツパ方式(半導体により電源のオンオフを高速に繰り返して直流モーターを制御)と、VVVFインバーター方式(電圧と交流周波数を変えて交流モーターを制御)の2方式があります。昔の熱を出す方式(抵抗制御)ではなくトンネルの温度を上げません。 停止は自動運転 自動的に駅の定位置に停車します(TASC、タスク、駅定位置停止制御装置、Train Automatic Stopping Controller)。駅に近づき動作が始まるとスピードメーターのそばのTASC動作がランプが表示されます。ATO(自動列車運転装置、Automatic Train Operation)の部分機能です。
通常の運転(力行時)は手動運転です。チーンとベルが鳴り、スピードメーターの周りに出せる速度がインディックスで表示され(社内信号付速度計、25キロ以上、5キロ刻み)、それにしたがって運転します(CS−ATC、Cab Signal Automatic Train Control、車内信号式自動列車制御装置、CS−ATS)。もちろん地下道内には信号機はありません。
運転台から半蔵門線側が見える。自動停止で停止したところ。 | 運転台
すっきりしたディスクトップタイプです。
運転装置は前後スライド方式(前後動、横軸式)2ハンドルです。
左はマスコン(アクセル)、右はブレーキ
動作は電車の動く方向と逆で、マスコンは運転士から見て手前が加速(1−4)、ブレーキは奥が制動(1−7、非常、抜取)です。
運転方向のレバーは手前がバック、奥が前方向です。
マスコンとはマスターコントローラーハンドルの略です。 |
銀座線の地下 耐震補強 阪神・淡路大震災の被害状況を考慮し、必要な箇所を耐震補強してあります。箱型地下道内の中柱の補強方法の一つとして、工場で作ったコンクリート製(プレキャストコンクリート)の補強枠を中柱の間に設置し、この状態で中柱を補修補強し、さらに補強枠と一体にして耐震構造にしています。 コンクリートのはく離対策としては、トンネルのコンクリート壁面に遠赤外線を照射して温度差ではく離を検知します(アクティブ赤外線法)。損傷した箇所をウォータジェット工法等で除去し(はつる)セメントモルタルで断面修復します。 | ←銀座線の中柱耐震補強
虎ノ門駅新橋方向新橋側の中柱に施工されている部分。 |
鉄骨の柱 鉄骨は銀座線の特色で、鉄骨が枠になっていることから鉄かまち(鉄骨かまち、框、鉄構框、鉄骨ラーメン)とも言います。タイタニック号みたいなビョウ(リベット)が堅牢感をただよわしています。鉄骨は錆びなければ寿命は大変長いそうです。
戦前に作られた赤坂見附駅には丸ノ内線側にも鉄骨があります。実は日比谷線銀座駅付近にも、戦前作られた銀座線との交差部分の日比谷線の中柱にも鉄骨が使われています。
虎ノ門駅の鉄骨支柱、(旧東京高速鉄道) |
赤坂見附駅の丸ノ内線側鉄骨支柱、(旧東京高速鉄道)。戦前に作られた部分を拡張しました。→
工事中鉄骨画像
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田原町駅の鉄骨支柱、(旧東京地下鉄道の最初の部分)。鉄骨の重量は1本5〜9トンある。
この最初の区間で使用した材料は鉄骨1万トン、セメント8万トン、砂利3千5百立方メートル、工法は鉄骨鉄筋併用のコンクリート箱型、中央に支鉄柱。
ビル。橋桁等で巨大堅牢な鉄材を使用したのは類がなく、永遠かつ絶対に安全が補償されているとのことでした。 |
幻の日比谷線の鉄骨支柱。
日比谷線銀座駅の戦前造られた銀座線交差部の中目黒方面側線路。手前が中柱鉄骨でビョウが見える。黒色の柱の標識はW11と書いてある。その後ろが補強壁。鉄骨フレームの上に支承台を作り銀座線の橋桁をのせた。戦前の鉄骨はここだけ。
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昭和9年工事画像(地下博)
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防水対策(地下鉄の線路は坂になっている) 水がたまらないように地下の線路は坂になっています。低い所にポンプ室を置いて溜まった水を汲み上げます。
水がトンネルに入らない様いろいろな工夫をしてあります。
溜池山王駅の防水扉。このあたりは昔池だったため、水がたまりやすい。 |
入口の水防施設のチェツク。水が入口からトンネルに入らない様、止水板(防水板)設置訓練をしている。丸ノ内線中野富士見町駅 |
丸ノ内線の水門(防水扉)、右側がトンネル、垂直の溝に板を入れ水がトンネルに入らないようにする。左側の6本のパイプはポンプ用、丸ノ内線中野車庫入口、→
中野車庫
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東西線南砂町の防水扉。このあたりは標高が低いので万一のため入口に水門がある。丸いハンドルが付いている。→
東西線木場駅の防水扉画像
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ポンプ、南北線麻布十番駅 |
防水ゲート、地下鉄博物館 |
停電対策 電力は各路線毎に複数ある変電所で受電しており、送電経路損傷等により一部の受電系統が停電した場合は他の系統から供給して、列車の運行を確保します。電力不足の場合は駅冷房等を停止してまかないます。
仮に全部止まってもバッテリー(蓄電池)、駅によってはさらに発電機を装備しています。 東京地下鉄とは 東京地下鉄 帝都高速度交通営団から東京地下鉄株式会社になりました。実は昔の名前に戻っただけなのです。正確には東京地下鉄道株式会社と漢字1文字長い名前ですが。
なお、高速鉄道とは地下鉄等のことをさします。路面電車より高速という意味です。 メトロ メトロはフランス語で地下鉄の意味とのことですが、イギリスの世界最初の地下鉄はメトロポリタン鉄道ですし、メトロポリタンには首都、ロンドン、大都市の意味があります。日本の首都=帝都とは考えすぎかもしれませんが、そういうイメージを感じてしまいます。
実は昭和11年創刊の「メトロ時代」という女性向け月間PR誌(タウン誌)を配っていました。「メトロニュース」は昭和35年4月10日の創刊です。→
ニュース画像(地下博)
帝都高速度交通営団 都心部の地下鉄事の統合ということで昭和16年7月4日設立しました.
出資者は政府、東京都、東横電鉄、東武鉄道、京成電鉄、京浜電鉄、小田急電鉄、西武鉄道、京王電軌、武蔵野鉄道、国鉄共済組合、
譲り受けたものは東京地下鉄、東京高速鉄道の地下鉄路線と免許です。
戦争が終わっても残り続け、財政投融資を受けるため民間の出資をなくし、計画した地下鉄網を作り続けほぼ完成し目的が達成されたので民営化されました。
東京地下鉄の車両のマーク(社紋)(地下鉄博物館) |
東京高速鉄道の車両のマーク(社紋)、Sのデザインが旧営団のマーク(昭和35年3月1日改定)と似ている気がします。(地下鉄博物館) | | ←現存する東京地下鉄道のマーク。浅草雷門ビル地下鉄入り口にある。ちょうちんの下にあり、両脇に龍がいる。 |
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駅(渋谷−新橋)
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駅(新橋−浅草)
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車庫
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連絡線
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台車
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サービス
丸ノ内線 →
戦前着工した丸ノ内線
日比谷線、千代田線、半蔵門線、南北線、(つくばエクスプレス) →
銀座線の助っ人たち
東西線、有楽町線、都営浅草線、三田線、新宿線、大江戸線、りんかい線、横浜市営地下鉄 →
地下鉄フアミリーたち
副都心線(13号線) →
副都心線
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