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コンクリート造の工作物の解体等作業主任者こんくりーとぞうのこうさくぶつのかいたいとうさぎょうしゅにんしゃ







講習の流れ、感想等

 労働安全衛生法第14条、労働安全衛生法施行令第6条十五の五により、事業者は、コンクリート造の工作物(その高さが五メートル以上であるものに限る。)の解体又は破壊の作業について、コンクリート造の工作物の解体等作業主任者技能講習を修了した者を作業主任者として選任し、その者の指揮のもとに作業を行わせなければならない、と定められている。
 担当講師は講習科目4科目毎に入れ替わり、 (株)髙山工業 の鈴木講師、(株)中橋工務店の中川講師、 (株)アーバン黒岡工業 の代表取締役:岡部辰夫 講師他、1名の計4名であった。受講者の顔ぶれは、二日間座学なんだから私服で来ればイイものの、いつもの作業着(汚れたニッカ)姿の茶髪の兄ちゃん(未成年?)や、長年建設業で飯を食って来た風格バンバンのお顔が真っ黒(赤?)なオジサン(何で今更資格取得?)、はたまた、新米の 建築士 だろうか。高そうな革のジャケットと靴でキメ、香水の香りを漂わすイケメンと女性も居る…といった、第二次産業(現場、下請け等)と第三次産業(建築士、ゼネコン等)の乖離、格差社会・経済格差を痛感してしまう技能講習であった。
 近年、市街地の再開発、老朽化した施設の建て替え等に伴って、コンクリート造の工作物の解体工事が多く行われているが、これらの工事において、屋根やスラブの崩壊、壁の倒壊災害、又解体用機械による衝撃災害等、重症に至るケース災害の発生があとを絶たない。こうした事故の防止、安全確保に努める事が、コンクリート造の工作物の解体等作業主任者の使命である。
 …「設計〜建築より、解体なんて簡単だろ」という、安易な先入観は先ず排除願いたい。周辺のビルや建物(地下を含)等の工作物に対して、何の悪影響も危害も与えずに、又周辺の住民や通行人に対し、何の公害・迷惑も与えずに、当該工作物のみを安全、且つ正確に解体する事がどれだけ難しいか。 高層建築物や超高層建築物 、土圧が関与する 地下工作物 、よう壁、橋梁・橋脚等々が老朽化し、解体する事を想像して頂ければ、解るかと思われる。
 だが、面白い事に、解体工事の際、資格者の選任がコンクリート造の工作物の解体等作業主任者のみで「OK」といった、解体工事は以下の通り「無い」に等しい(よう壁の解体、程度)。最も主流な建築物の解体工事等には、別の種類の資格、資格者(技能講習修了者)の選任が必要となる。

解体工作物の種類・構造と作業主任者の選任
工作物の種類構 造作業主任者の選任
建 物RC造・S造・SRC造・混合造(HPC造)S造であっても、外壁、屋根、又は床にALCやPCa等のコンクリート系パネルが使用されており、且つ、解体する部分の高さが5m以上の場合は「コンクリート造の工作物の解体等作業主任者」の選任が必要。又、S造・SRC造・HPC造の鉄骨部分の解体作業に際しては「 建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者 」の選任が必要。
橋 梁鋼橋鋼橋架設等作業主任者 」の選任が必要。
コンクリート橋コンクリート橋架設等作業主任者 」の選任は不要だが、「コンクリート造の工作物の解体等作業主任者」の選任が必要。
煙突・塔RC造・S造S造であっても、RC造の基礎部を高さ5m以上に渡って解体する場合は、「コンクリート造の工作物の解体等作業主任者」の選任が必要。又、S造部分の解体作業に際しては「 建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者 」の選任が必要。
よう壁・その他RC造地中を含め、解体する部分の高さが5m以上の場合は、「コンクリート造の工作物の解体等作業主任者」の選任が必要。
※解体工作物に石綿が使用されている場合は、「 石綿作業主任者 」の選任が必要。
コンクリート工作物解体工事の作業指針—作業主任者技能講習テキスト— 』22頁より集約し作成

 つまり、コンクリート造の工作物の解体等作業主任者はその名の通り、純粋にコンクリート造の工作物のみの解体しか出来ないのである。世の中には、コンクリートのみの打設で出来た、強度及び耐震性が軟弱な工作物など無いに等しい。高層建築物・地下工作物・よう壁・橋梁・橋脚のいずれも、鉄筋を配筋した型枠の中にコンクリートを打設した「鉄筋コンクリート(RC造)」や、建物の主要骨組である柱・梁の「鉄骨(S造)」骨組の周囲に鉄筋を配筋し、型枠を組んでコンクリートを打設して形成された「鉄骨鉄筋コンクリート(SRC造)」のものがほとんどである。
 よって、大抵の解体作業にあたってはコンクリート造の工作物の解体等作業主任者以外に、必然的に別の資格も必要となる。
(=コンクリート造の工作物の解体等作業主任者の資格のみでは、ほとんど仕事にならない)

 講習科目は4科目であり、コンクリート造の工作物に関して深く学ぶ科目は「作業の方法に関する知識」程度であった。その他、「工事用設備,機械,器具等に関する知識」、「作業者に対する教育等に関する知識」、「関係法令」は 作業主任者系技能講習 では毎度お馴染みである、重複した内容( 足場保護具・換気玉掛・合図クレーン ・電気等々に関する内容)が目立った。
 
 コンクリート造の工作物の解体等作業主任者の職務は…

1.作業の方法及び労働者の配置を決定し、作業を直接指揮すること
2.器具、工具、安全帯等及び保護帽の機能を点検し、不良品を取り除くこと
3.安全帯等及び保護帽の使用状況を監視すること

 …3つである。

 ちなみに、 建設業労働災害防止協会 東京支部 主催の技能講習の修了証受取方法は、受講者が指定する住所宛へ郵送する方法(講習初日に封筒を持参)のみである。従って、会社や所属事業所への郵送を回避する事が出来る。



使用テキスト等
題 名編 集発 行
コンクリート工作物解体工事の作業指針
—作業主任者技能講習テキスト—
建設業労働災害防止協会 H19.06.20.

  

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