このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

マレーシア11 KLタワー(その1)

 前ページの テレビ公開録画 を見てからビルの外に出て数分も立たない内に雨が降り出した。いわゆるスコールというやつだ。さすが東南アジアという叩きつけるような激しい降りである。路上に出てしまったため、身動きが取れない。こんなことならビルの中にいたほうがよかった、と後悔した。

 
スコール

 やむなくタクシーに乗ってホテルに戻る。時刻は17時30分頃であったと記憶している。とりあえず部屋に戻って、雨が上がるのを待った。
 ところが、いくら待っても雨が止まない。前日も夕方から雨が降り始め、傘を持たない僕はホテル内の夕食を余儀なくされた。 初日 はチェックインが遅かったこともあり、ホテル内のバーで当社スタッフと飲んだのを思い出した。せっかくクアラ・ルンプールまで来て、三日連続でホテルの夕食とは味気ない。
 19時になっても雨が止まないが、意を決して外出することにした。どうしてもKLタワーに登り、クアラ・ルンプールの夜景を見たかったのだ。

 ここで、世界のタワーベスト10を確認しておきたい。データは こちら を参考にしました。このページによると、KLタワーは世界第5位に位置する。東京タワーは19位、 ソウルタワー は残念ながら30位にランクインできなかった。

順位名称高さ位置竣工
CNタワー553mカナダ1976年
オスタンキノ・タワー(モスクワテレビタワー)537mロシア1967年
東方明珠電視塔
その1   その2
468m中国1994年
ミラードタワー(Borj-e Milad)435mイラン2003年
KLタワー421mマレーシア1995年
天津テレビ塔415m中国1991年
セントラルラジオ&テレビタワー(北京テレビ塔)405m中国1992年
キエフテレビタワー385mウクライナ1973年
ヘルブランディータワー(Gerbrandy Tower)375mオランダ1961年
10タシケントタワー375mウズベキスタン1985年

 19時頃にホテルのフロントに行き、傘を売っているか尋ねたところ、売り切れという回答であった。やむを得ずタクシー乗り場に行き、運転手に尋ねたところ、KLタワーの入口まで行けば雨に濡れずに済むという。とりあえず入口まで行くことにした。
 ホテルから5分ほどでKLタワーに登っていく坂まで来たところ、交通整理員が路上に立っていた。交通整理員がタクシーの方までやって来て、運転手と話をした。運転手が僕に行った。

 「お客さん、今日はここで通行止めだよ。」
 「えっ、何があったんですか?」
 「よく分からないけれど、VIPが来ているとこういうことがあるんだよね。でも営業はしているので、歩いてなら登れるよ。」

 そうは言っても、外はかなり強い雨が降っている。傘なしでは歩けない。ここでビショビショになったら、翌日からの観光にも差し支えるというものだ。車中で交渉が始まった。

 「じゃあ、傘を売っている店に行ってください。」
 「この辺には店はないね。」
 「ブキッ・ビンタンまで行ったら有るのでは?」
 「結構時間がかかるよ。」

 僕は最後の手段を採った。

 「じゃあ、あなたの傘を貸してください。」

 さすがに運転手も意表を衝かれたようだったが、トランクから傘を取り出してきた。
 
 「ここで待っているから行ってきな。1時間100リンギット(=3,000円)だ。」

 一瞬高いと思ったが、彼も1時間営業できないのだから止むを得まい。僕の人生で一番高い傘を持って、坂を上り始めた。KLタワーの入口までは10分ほどかかったろうか。確かにタワーの入口は、雨に濡れずに乗降可能であった。

 KLタワーの営業開始は1996年10月1日である。展望台は地上276メートルの高さである。ただし、タワー自体が標高94メートルのブキッ・ナナスという丘の上に立っている。
 入場料を払って、エレベーターでタワーを登る。展望台に着くと、イヤホンを渡される。イヤホンは各言語が取り揃えられており、僕は一言も話していないのに、日本語のイヤホンを渡された。誰が見ても日本人という格好でもしていたのだろうか。イヤホンのスイッチを入れると、日本語の説明が流れるのだが、これがかなりブロークンな日本語であった。

  夜景は正直言ってそれほど綺麗というわけではない。東京や横浜のようにネオンの輝く街が広がっている都市であれば見応えがあるのだが、クアラ・ルンプールは繁華街のブキッ・ビンタンであってもそれほど明るいわけではない。市街地自体もそれほど大きいわけではない。

ペトロナス・ツインタワー

下から見たKLタワーブキッ・ビンタンから見た
KLタワー

 外に出てみると、雨は小降りになっていた。傘を差さなくても歩けそうなほどである。坂を下りていくと、運転手がタクシーの前で待っていた。20時を回っているので、腹も減っている。僕はタクシーに乗り込んで運転手に行った。

 「ブキッ・ビンタンまでお願いします。」



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