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万世大路(旧国道13号線)
(2006 秋編)
福島県福島市
2006・10・14 来訪

呑気な旧道散策の時間は終わった。

ここより先は
生か、死かのサバイバルロードとなる。

果たしてドコまでカブと共に突き進む事が出来るのか?

それ以前に無事に帰る事は出来るのか!?

つーかね、自分も一瞬この画像がドコの写真だったかわからないぐらい緊迫が無いわけだけど、実際この場面はかなり切羽詰っているんですよ。

とにかく隣の画像をスクロールしてみて欲しい。
ここ、人一人分しか路面残って無いんだよ!
で、両側とも川に築堤が削られ切り立った斜面になってるの。
下までの高さ目測で10〜15mぐらい?
3階建ての建物程の高さがあるわけ。

・・・・・・

落ちたら  きっと  痛いぞ。
一本橋築堤を進行中。

ちなみにですね。
ここを訪れる4日前ぐらいまで自動二輪免許の合宿に行ってたんですよ。
当然、そこで一本橋の教習を受けているわけです。

でもね、教習所の一本橋とは違ってここには
草も生えてるし、小石も落ちてるし、
第一に落ちたら重傷です。

とにかく慎重に通過。
徒歩と同じか、それ以下のスピード。
両足は地面につけたまま、引きずるように進む。
こういう所は臆病すぎるぐらいが丁度いい。

全神経をとんがらせながら、ゆっくり、ゆっくり前へ出る。
そしてなんとか一本橋築堤を突破する事ができた。

ホッと息をなでおろす。

だが、ここは地獄の一丁目の入口でしかなかった!
ただ今、ジャングル進行中。

R418 以来の衝撃だな。

しかし、唯一の安心材料は登山道レベル程度とはいえ草が刈り払われている事。
車道としては完全に死んでいる万世大路だが、
登山家達の間では栗子山へのアプローチ道として細々とではあるが今だに使われている。
当然、自分の様な『廃道屋、又は穴屋』がアイツを目指す為にココを通り抜けている。
突然、視界が開ける。
大平橋である。
ツーリングマップルやヤフー(アルプス社)の地図だと、ココからちょっと過ぎた辺りまで記載されている。

てか、さっきの一本橋築堤でアウチやろ。
ちなみに橋と路面のつなぎ目部分の脇も素敵に削れてます。
橋の上でちょっと小休止。
車体のいろんな部分で小枝が引っかかっている。
自分が出てきたはずの背後には森があるだけ。
当然、これから進むべき全面も森です。

ただ橋の上だけがバカみたい平穏。
太平橋を渡って少し行った所。
この下には暗渠があり、元・路面を流れていた沢も暗渠から出てきた水路へ流れ込んでいる。
だがその為に路面が谷側へ落ち込むような形で削られてしまい、ちょっと危険。
一瞬、一車線分の幅員を取り戻したかのように見えるが、実際の所は沢の流れ『道』となっているだけである。

でも、考えようによってはとても美しい光景。

この時点ではまだ多少の余裕もあったのだが・・・。
ちょっともう、ココに車が走っていた光景 想像できないなァ。

道じゃないです。
単なる細長い沼地です。

沼地で立ち往生しないよう慎重かつ迅速に通り抜ける。

しかし、この先も阿鼻叫喚の世界が広がる。
すっちゃかめっちゃかです。

訳わかりません。
なんなんでしょう?
僕、なんでこんなトコいるんでしょう。
ていうか、何でこんな所にカブがいるんだYO!
草木にもみくちゃにされつつ前進していると、再び橋が現れる。
これは坑甲橋。
やっぱり橋の上だけ平和な空間が流れている。
しばし橋の上で現実逃避。

ショボイ携帯カメラではここの美しさは捉えられなったが、
間違いなくココからの景色は素晴らしかった。
標高を上げて、いよいよ秋本番の世界へ入ってきた訳だ。

自分の置かれている状況を忘れ、紅葉を楽しむ。

しかし、横を見れば・・・。
色とりどりの悪魔達が僕の前に立ちはだかっているのさ。
取りあえず刈り払いの道は続いている。
これだけが頼り。
これがなければ遭難しているのと変わらん。
ついに倒木が現れる。

ウィリーやらなんやらで倒木を乗り越えるテクでもあれば良いが、そんなものは持ち合わせてはいない。
普通に手で車体を持ち上げ乗り越えさせるという、原始的な力技で突破。

しかし、その後も定期的に倒木は現れ、そのたびに体力を消耗させる。
九十九折れ区間に突入。
ここさえ乗り切ればは目前のはず。
が、ここから先が一番苦しい区間となる。

うねる灌木の群れ。
まるでそれが『死霊のダンス』に見える。
肉体を失いしモノ達が獲物を見つけ獲りつかんが如く・・・。
放置された古タイヤ。
ここを通る人々が必ずといって良いほど目に付く物である。
何年間ここにあるのだろう?
急な上り坂。
徒歩の人やチャリの人には厳しいだろう。
こういう所では『原動機付き』はありがたい。
が、その分重量があり身軽さに欠けるというデメリットがある。
徒歩ではただ跨ぐだけの倒木が、『車両持込』の場合はとんでもない重労働になるのだ。
今まで便利な道具だった物が、一気にお荷物・足手まといになる。
それでも一本・二本なら良い。
十本以上ともなると、もうウンザリだ。
しかも斜面を登りつつ、更に倒木を乗り越えさせるのはホントしんどい。
エンジンの力も借りつつ倒木を乗り越えさせるのだが、それもアクセルのかけ具合を間違えると車体は暴走。
激しくエンジンを倒木に叩きつける結果に。
あわてて、状態をチェックする。
こんな所でのマシントラブルは『死』に直結する。

けっして焦ってはいけない。
慎重に物事に対処すべきだ。

しかし、疲労と過ぎ行く時間が無意識に焦りを呼ぶ。

奴は・・・
奴はまだなのか!

しかし、万世大路はあざ笑うよう僕に苦難を叩きつける。
倒木、その向こうに倒木、そして更に向こうにも倒木。

・・・・・。

・・・もう、カブ放り出していいですか?

続く

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