このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

 

 

 

 

PART3

 

● 3日目 【06.05.19】(ブリーク⇒ベルン)

 

 ブリークではレストランを兼ねる古びたホテルで一泊。起きたら頭が痛く参った。少し治まったところで朝食を採りにレストランに降りる。1リットル瓶に入ったオレンジジュースを飲み干したら元気になった。風は冷たいが空は明るい。


 今日はベルンへ向かう途中にあるホーテンという駅の近くで撮影をした後、スイスの首都ベルンへ向かうことにする。夕方にチューリッヒを出る夜行列車に乗るため、それまでにはチューリッヒへ行かなくてはならない。大きな荷物もチューリッヒ駅のロッカーに預けたままだ。駅に向かうまで路地裏を散策。ブリークの駅でホーテンに停まる列車を調べると、何と1時間以上無い。もう街はある程度散策してしまったのでどうしようかと思ったが、ここブリークは鉄道の要所。次から次へとやってくるインターシティーやユーロシティー(どちらも特急)をカメラに収める。


 そうしているうちに、ホーテンへ向かう列車の時刻がやってきた。入線してきたのは機関車に牽かれた3両の客車列車。車内に入るとなぜか埃っぽい。日本のかつての急行型車両と同じようにボックス席が並ぶ。ボックス席のテーブルにはこれから乗車するBLS鉄道の路線図が記されている。ブリークを発車。左手にFO(フルカ・オーバーアルプ鉄道)とローザンヌ方面へ向かうSBB(スイス国鉄)の線路を見下ろすように高度をとる。空は上天気。連なる山。眼下に広がる街。スイスにはこれ以上の絶景がいくつもあるのだろうが、この車窓もダイナミックですばらしい。しばし車窓に釘付けとなる。列車は山の中腹を沿うように走り、目的地のホーテンに到着。5〜6人の下車客があった。私以外は背中にリュックを背負ったハイキング客だ。


 少し道に迷ったが、撮影地に到着。快適な列車に乗っていると気付かないが、よくもこんなところに鉄道を敷けたものだと感心してしまう。この場所は崖の中腹を人工的に削った道であり、背後と足元は切り立った崖そのものだ。そこに掛かる大きな石橋が有名な撮影地。ここで数本の列車を撮影。列車を待っていると時折、ハイキングをする人が通りかかる。今日は快晴。「ハロー!」と声を交わす。表情は皆、楽しそうな笑顔だ。

 

ホーテンのお立ち台にてホーテン駅長?


 3時間ほどでこの地を引き揚げ、今度はスイスの首都ベルンへ向かう。ホーテン駅へ戻ると、ホーテン駅長の黒猫さんがホームを巡回中。運賃代わりにポテトチップスを渡すも、軽くあしらわれ、噴水の囲いに跳び上がってしまった。13時過ぎ、ホーテンから普通列車に乗車。終点でもある隣のゴッペンシュタイン駅でインターシティー(国内特急)に乗り換える。この先、鉄道は延長14.6Kmのレッチェベルクトンネルに入る。しかし並行する道路はここで行き止まり。ゴッペンシュタインとカンデルシュテークの間は、カートレインにクルマを積んでトンネルを抜ける。


 15時の少し前、ベルンに到着。ビルの中にあるためホームは薄暗いが、さすが首都だけあって、各地方への列車がひっきりなしに発着している。駅を出てアーレ川に掛かる橋をこちらもひっきりなしに行き交う列車を撮影する。川面までは50〜60メートルはあるだろうか。こんな橋が駅のすぐ横にある。首都とはいえ、地形的には恵まれてはいないと思われるが、スイスには不利な地形を橋やトンネルで見事に克服している街がいくつもある。

 

アーレ川に掛かる橋時計台とオールドトラム

 

 メインストリートのマルクト通りを歩く。突き当たりはベルンのシンボル時計塔。ジブリ映画に出てきそうな絵に書いたような街並みだ。このマルクト通りを赤いトラム(市電)が忙しく往復している。最新型のトラムは静かで、音も無く接近してくるので、線路の近くを歩くのには注意が必要だ。通りの両側は4〜5階建ての石造りの建物が続く。通りに面した1階はアーケードになっていて、いろんなジャンルの店が軒を連ねる。街の風景を見ているとテレビゲームに出てくる鋼の剣や怪しい魔法で作られた薬が売ってそうな雰囲気だが、中に入っている店はブティックや宝飾店など、最新のブランドショップであったり、レストランや生協であったり様々だ。建物それぞれが持つ地下の倉庫に店を構えているところもある。それにしてもこのアーケードの情景は、他の古い街並みには無い影と光の対比を生み、独特な情景を創り出している。通りの真ん中に建つ噴水も見逃せない。ベルンには100もの噴水があり、それぞれに施されている装飾が美しい。トラムの線路は噴水を避けるように噴水の周りでは大きく膨らんで敷かれている。時計塔は真正面から陽に照らされ、金色の針が輝いている。いい時間にここへ来られた。


 石畳のメインストリートの先端まで歩いて引き返し、市庁舎と大聖堂を見学。大聖堂の裏は見晴台になっていて、ローヌ川に掛かる道路橋と、眼下の河岸に連なる家々の茶色い屋根が見渡せる。地図では1本隣の道が、実は落差50メートルくらいある。

 ひと回りして駅へ戻る。この重厚な街並とは対照的に、近代的な建物の駅だ。やってきた2階建てのインターシティーでチューリッヒへ向かう。先頭はフェラーリなどで有名なイタリア人工業デザイナー、ピニン・ファリーナがデザインした電気機関車。このやさしい丸みを帯びた機関車が、今ではスイスの風景に溶け込んでいる。

 

 18時過ぎ、滑るようにチューリッヒ中央駅に到着、コインロッカーの荷物を引き上げ、再びホームへ。ベルリン行きシティーナイトライン「ベルリーナ」号は既に入線していた。これから夜行列車の旅が始まる。

 

 

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