このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

 

 

 

 

PART6

 

● 7日目 【06.05.23】(ゾースト⇒フランクフルト)


 朝食を採りに一階のレストランに降りる。窓の外、薄曇りのゾーストは既に活動を始めていた。一晩世話になったホテルをチェックアウトして、ゾーストの街を歩く。スーパーにおもちゃ屋、雑貨屋などを冷やかし、ホテルの前に戻ってきた。ホテルは街の中心、マルクト広場に建つ木組みの立派な建物。本屋にあったゾーストを紹介する絵はがきにも登場している。

 ゾーストを出発。すぐにアウトバーンに乗って次なる目的地を目指す。今日のタイムリミットは夕方、18時。同行のT君、M君は今日帰国する。帰りの飛行機の都合で、この時間にはフランクフルト空港に着きたい。まず、寄ったのはウッパータールという街。この街は世界最古の懸垂式モノレールが走ることで有名。アウトバーンを降り、ウッパータールの街へ入ると、早速、鉄塔を並べたようなモノレールの線路が見えてきた。さすがに重厚な造りで歴史を感じるが、走っている車両は黄色いボディーの比較的新しいものだった。


 ウッパータールを出発して、デュッセルドルフ、ケルン、ボンと大きな街を過ぎ、コブレンツでアウトバーンを降りる。この先は一般国道を走る。最高速度は100キロ。このあたりはライン川の景勝地。川の両岸が小高い山に囲まれ、山の中腹には中世の古城がいくつも建つ。川沿いに連なる街の景観も素晴らしく、点在する古城とともに美しく保存されている。道路に平行する線路を長い編成の特急列車が追い越していった。この美しい風景の中を走る列車をカメラに収めたくてここまでやってきた。最初に寄ったのはザンクト・ゴアの街。街の中心に建つ白壁の教会がシンボル。この街を見下ろすように建つ古城、ラインフェルス城に登る。テラスに出ると眼下にザンクト・ゴアの街が一望できた。街を貫くように、複線の線路が敷かれており、ここを特急から貨物列車までひっきりなしに走る。ライン川自体も運河としての役割を果たしているが、両岸を平行して走る鉄道も重要な交通機関だ。この路線はフランクフルトからボン、ケルンを結ぶ幹線である。テラスはカフェになっているので、コーヒーを飲んで一息つく。と言いたいところだが、ひっきりなしにやってくる列車に一同落ち着かない。

 

ゾーストのホテル(右側)ラインフェルス城のテラスから


 ザンクト・ゴアを後にし、再びライン沿いを走る。すぐに見えてきたのは、伝説の魔性の岩「ローレライ」。川が急に曲がったところに、絶壁の崖が突き出ている。この場所はライン川を行く船の座礁事故が多かったところで、それを「ローレライの岩に宿る妖精の歌に聴き惚れた水夫が、舵を誤って切り事故を起こす。」(なんかKYみたいなフレーズになってしまいましたが…)という伝説になったのだ。岩のてっぺんにドイツ国旗がお子様ランチのように立っている。正直、岩そのものはこの旗が無かったら見逃してしまうかもしれない。


 次に尋ねたのは、オーバーヴェーゼルの街。この街にはドイツのみならず、世界的に有名な鉄道写真の撮影地がある。この街も中世の城壁に囲まれ、いくつもの監視塔も残っている。この石造りの城壁と塔の間をすり抜けるように走る列車を撮らない手は無い。オーバーヴェーゼルの街に入ろうとすると、不意に目の前の踏切が降りた。日本の踏切のように「カンカンカンカン」という音は無い。赤いランプが付いて遮断機が下りるだけ。が、閉まってからなかなか列車が来ない。待つこと3分、やっと通過。しかし閉まったまま。それから2分後、対向列車が通過。ドイツの踏切は気長に待たなくてはならない。踏切を渡った先がすぐ目的のお立ち台(撮影地)。鉄道マニア三人、至福の時を過ごす。

 

オーバーヴェーゼルの塔すり抜け

 

 これで時間いっぱい。フランクフルト空港に戻ることにする。しかし、あと少しだけ、ライン川ドライヴは続く。右手はライン川、プファルツ城、エーレンフェルス城、ねずみ城、ねこ城などなど、ガイドブックと対照しながら眺める。左手には木組みの家が立ち並ぶ古い街並みが現れては消えていく。このあたりはまだまだ歩きたい街がいっぱいある。最後はアウトバーンに乗って、そのまま空港へ。「RENT-A-CAR RETURN」の表示がある入口へ滑り込む。荷物を降ろしてカウンターへ。T君、M君とはここでお別れ。二人ともまだ帰りたくないという表情。大きな荷物を引きずり、二人はチェックインカウンターへ。そして私は、長距離列車発着ホームへ。


 私のタイムリミットはあと2日ある。さて、どこへ行こうか? 実はこの先の予定は立てていなかった。ならば、初日に飛行機が欠航になって行けなかったシャフハウゼンへ行ってみたい。しかし、ちょっと距離がある。時刻は19時前、しかし初夏のドイツは日が高い。明るいうちに途中まで移動して、明日の朝、シャフハウゼンを目指そう。ホームの発車標に目をやると、カールスルーエ行きのICEがまもなく発車。これに乗ってみる。


 最速の「ICE3」に乗って、フランクフルトから2時間弱。カールスルーエに到着。21時前、やっと薄暗くなってきた。駅の構内は広い。写真を撮ろうと、降車客に逆らって車両の先頭を目指して歩いていると、「出口は反対だよ!」と、何人もの人に声を掛けられる。おせっかい焼きのドイツ人、言わずには居られないのだろう。でも、そのやさしさは嬉しい。泊るホテルも当然決めていなかったので、駅を出て正面のこじんまりしたホテルを訪ねてみる。しかし、鍵がかかっていた。同じ建物の裏に回ってみると、バーになっていて盛り上がっていた。マスターに泊りたい旨を告げると、パスポートと引き換えに、2本の鍵を渡された。入口の鍵と、部屋の鍵だった。部屋は申し分なく広くて清潔。59ユーロ。バーに戻って「OK」のサイン。宿が決まると気分も落ち着く。

 

 

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