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2日目(’96.5.26)
・イギリスに入国。 一夜明けると、そこはロンドン、ヒースロー空港。とは言っても、飛行時間は15時間もあるから、実際、寝たのかどうなのか分からない・・・。とにかくロンドンに着いた!そこはもうヨーロッパである!ちなみにロンドンに着いたのは、定刻どおりの早朝、5時50分!!時差ボケなのか、頭はボーッとしている。 しかし、ボケた頭でやらなきゃならないことはいっぱいあるぞ!と、言い聞かせつつ、まずはお約束の入国審査、イギリスは厳しいことで有名。さすが日本と同じ島国である。長い列に並び、ショートした思考回路で、「何て言われるのかなあ・・・。」などと考えてるうちに、女性の審査官に手招きされて、カウンターに向かった。一言目から何を言われたか分からなかったが、こんなときのために用意しておいた、英語で書いた行程表が役に立った。地名のほかにも、飛行機や列車の時間、便名まで書いてある。その行程表を見せると、今度は「レイルウェーパス」とか「フライトチケット」とか言ってきたので、言われるがまま見せると、パスポートにハンコを押してくれた。他の人よりは時間がかかってしまったが、ほとんど英語をしゃべらなくても通過できた。中学、高校と、6年も英語を習って、しゃべらなかったのも呆れるが、まあ意思が通じたからヨシとする。荷物を受け取りゲートを出れば、晴れて自由の身だ。
・空港にて。 さて、空港ですることは、まだまだある。日本でトラベラーズチェックも作ってこなかった馬鹿な私は、とりあえず両替所へ、万札を「To ポンド」といいながら窓口に出せば、イギリスのお金が出てくる。簡単なものだ。空港の両替所ならレートも確実。この日はヨークへ観光に行くので、そのまま地下鉄(イギリスではアンダーグラウンドという。)で、キングスクロス駅に向かおうとしたが、両替所のすぐ隣に、国鉄(ブリティッシュレイル=BR、現在は分割民営化された。)のカウンターがあったので、例の行程表を見せつつ、「ヨーク、ワンアダルト、リターン」などと、単語を並べつつ切符を購入した。イギリスの国鉄には、いくつかの割引サービスがあり、この時は特に申告しなかったはしなかったが、ちゃんと割引された切符が出てきた。愛想のいい女性の応対で気分もいい、キングスクロス駅までの地下鉄の切符も、ここで買うことができた。
・ロンドンの地下鉄に乗る。 切符も買ったところで、地下鉄の駅へ移動。自動改札を通り、ホームへ降りると、既に電車が停まっていたが、行先が「CENTRAL LONDON」となっていた。「はて?そんな駅あったかな?」と、手持ちの地下鉄路線図を見るが、そんな駅は見当たらない。結局その電車は発車してしまったが、次の電車も同じ行先だった。「ロンドンの中心部行き」と、勝手に解釈してその、次の列車に乗り込んだが、まったくその通りだった。はじめて来た人でも分かりやすくした表示何だろうけど、日本の、たとえば「新大阪」から大阪の地下鉄「御堂筋線」に乗換えて、「心斎橋」へ行くのに、「なかもず」行きに乗る感覚に慣れているので、かえって分かりにくかったりする。電車は順調にロンドンの中心部に向かっていたが、「ロンドンの中心部」とは言っても、私が目指していたのは、「ピカデリー線」の「キングスクロス駅」なので、この列車が「何線の、何行き」ということはまったく分からない。日本のようなうるさい案内放送は無いので、「次は、何駅。」というのは、駅の表示を頼りにするしかない。幸いにも、ちゃんと「ピカデリー線」に入ってくれて。「キングスクロス駅」に着いた。先行きが思いやられるが、これが今回の旅の鉄道初体験になった。ところで、行先表示はどっちが便利かな?
・キングスクロス駅にて。 キングスクロス駅で、国鉄BRに乗換。ここから伸びる線路は、スコットランドの玄関口、エジンバラに至る。発車まで30分ほどあったので、まず、トイレに行った。トイレの表示に従って、階段を下りると、窓口がある。トイレは有料だった。黒人の男性にコインを渡すと、ゲートが開く。使用料はたいしたことないが、細かいお金がなかったら結構困るんじゃないかな、と思った。 続いて、コインロッカーに荷物を預けることにした。今日はまたロンドンに戻ってくるので、ここに預けておけばいい。コインロッカーの部屋に入ると、女性が何やら話し掛けてくる。最初、何言ってるか聞き取れなかったが、「オープニュアバッグ!!」と、言ってるのが、3回繰り返したとこでやっと聞き取れた。カバンを開けると、金属探知機で中身を調べられた。テロ対策である。荷物も預けたところで、ホームに向かった。
・IC225でヨークへ! ホームには、BRの顔。91型電気機関車を先頭にした、IC225、インターシティーが既に入線していた。ICはインターシティー。225は、最高時速225キロを意味している。先頭は黄色(これは警戒色だと思う。)、側面は赤、青、白のユニオンジャックカラーだ。現在は分割民営化で塗色が変わったらしいが、イギリスといえば、このカラーに馴染みがある。 日曜日の9:00発ということで、車内はなかなかの乗車率だった。改札(とはいってもゲートがあるだけで、係員に切符を見せるようなことはなかったが、)に近い後ろの車両から席が埋まっており、空いている席には、指定席を示す札が差してあった。ヨーロッパの鉄道は、車両ごとに指定席、自由席が決まっているのではなく、予約があったときのみ、座席に指定の札が差してある。札のない席は、すべて自由席なのである。(TGVなど一部の列車を除く。)先頭の方まで歩いて、やっと空席を見つけて座った。日本の在来線の普通車と同様の、2人掛けの席である。車両は案外、幅が狭く、線路の幅が標準軌にしては、日本の在来線より狭い印象だった。 9:00、定刻どおり、ロンドン、キングスクロス駅を後にして、一路、エジンバラに向けて列車は発車した。しばらくはロンドンの郊外を走る。日曜日だったため、工事のための徐行が多い。イギリス鉄道では、日曜日は保守、工事の日と決まっており、平日と、列車の所要時間が違う。この、キングスクロスを9:00に出る列車も、平日だと、ヨークへの到着時間が30分以上も早い。とはいえ、近郊を抜け、田園地帯に入るとスピードを上げ、高速列車らしい速さになった。揺れも少なく快調だ。島国なのに、日本みたいに家々が立ち並ぶ景色が続くことなく、広々とした田園風景だ。途中の停車駅では、長目の停車時間があったが、ローカル列車の写真が撮れたのでヨシとする。定刻どおり、12:11、ヨークに到着。
・ヨークといえば!! ヨークは、中世の面影を残す、城壁に囲まれた街。街巡りだけでも十分楽しめる街ではあるが、旅の目的は、他にあった。この街には、世界最大級の鉄道博物館がある。その名も、ヨーク国立鉄道博物館だ。この博物館のために、ここまでやってきた。大きなドームを持つ、ヨーク駅をひとまわりした後、博物館に向かった。ヨークの街は小雨が降っていたが、傘がいるほどではなかった。博物館への案内があちこちに出ていたので、迷うことなく博物館に着いた。
・ヨーク国立鉄道博物館 イギリスは鉄道発祥の国で、世界的に有名な鉄道車両も、ここに保存されている。その中でも、一番会いたかった車両が、蒸気機関車の世界最高速度記録を持つ、「マラード号」だ。美しいブルーに塗られた流線型の蒸気機関車で、時速203キロの記録がある。この記録を出したのは、1936年。新幹線が開通する、30年近く前の話だ。 その隣に展示してあるのは、鉄道創世記の蒸気機関車、「ロケット号」のレプリカで、カットモデルになっていた。このロケット号は、19世紀に、鉄道の父といわれる、「スチーブンソン親子」が作ったものを忠実に再現してある。シリンダーから伸びているロッドが、直接車輪を回す構造は、その後作られたほとんどの蒸気機関車に採用された。もちろん「マラード号」もそうだし、日本の「D51」だってそうである。 その他にも、王室専用列車をはじめ、貴重な数々な鉄道車両が保存されていて、一両一両見ていたら1日あっても足りないぐらいだった。どの車両も、新製車両のようにきれいに磨かれていて、今にも動き出しそうな雰囲気である。実際、特別運転などで運転される車両もある。また、博物館の一角には、現在保存に向けて整備中の車両も展示されていて、保存活動の大変さも紹介されていた。鉄道好きにとっては、この熱心な保存活動はうれしい限りである。今度、この博物館に来れるのはいつになるかわからないが、その時も、車両たちが変わらない姿で迎えてくれると確信できる。
・ヨークの街を歩く。 自分への(?)お土産をしっかり買い、名残惜しかったが、鉄道博物館を後にして、ヨークの街を歩く。雨足が強くなったので、持ってきたカッパを着る。結構な雨だったが、傘の花がそんなに咲かない。ヨーロッパの人はあまり傘をささないらしいが、ホントのようだ。まずは、「この街へ来ましたよ。」と、教会へあいさつに行く。街の中心部に程近いところに、ヨークミンスターという教会がある。ヨークのシンボルだ。日曜日ということで、礼拝する人も、観光に来た人も多かったが、聖堂の中に入ると厳粛な気分になるのは、どこの教会でも同じだ。旅の安全を祈りつつ聖堂を後にした。
ヨークミンスターからすぐのところに、「シャンブルズ通り」という、古い木造の建物が並ぶ路地がある。日本の宿場町のような雰囲気が漂うが、ここの建物達はちょっと変わっている。1階より2階、2階より3階と、上の階ほど、建物が道に張り出している。ガイドブックには、肉を吊るすために、こんな形態になったと書いてあったが、この建物をよく見ると、垂直、平行をまったく無視しているように見える。それとも計算されてこんなイビツな形になっているのだろうか?そんな建物が、何軒も続いていた。城壁に囲まれ、圧倒されるほど大きな教会があるこの街で、なぜか不思議の国に迷い込んだと錯覚するような路地である。ヨークのオールドシティーをひとまわりしたところで、駅に戻った。
・早着? この日は、ロンドンに戻って泊まる事になっていた。翌日はユーロスターで大陸に渡るからである。ヨーク発、16:38発のIC225に乗車。切符に、ロンドン着は19:16着と書いてあった。もちろん、時刻表にも同じ時刻が記載されていた。往路の列車の所要時間が3時間11分だったので、帰りの列車の方が速い。 いくつかの停車駅を過ぎた後、ビュフェでホットドッグと缶ジュースを買った。カウンターがあるだけのビュフェだが、街中のホットドッグ屋の小型版といった感じだった。座席に戻って食べるスタイルで、小さな紙袋に入れられて出てきた。時間は夕方だったが、緯度が高いせいで日本より日が長い。最後の停車駅を出ると、列車は猛烈にスピードを上げた気がした。しばらくして車内放送が入った。英語の放送なので、聞き取れたのは「ロンドン」という単語だけだった。列車の速度が落ちると同時に、目に入ったのは、朝見たロンドン郊外の風景だ。時計を見るとまだ19時を回ってない。どう考えても早いのである。列車はさらに速度を落とし、朝発った、キングスクロスの駅に滑り込んだ。再び放送が入った、今度は「25Minute」と、聞き取れた。時計を見ると18:50!!、なんと、25分も早くロンドンに着いてしまったのだ。これには驚いた。乗車中、時刻表と対象していたので、最後の停車駅を出た時刻は、間違いなく定時だった。スピードが上がったのは気のせいではなかったのだ。最後の停車駅の発車時間さえ守れば、他に困るお客さんはいないだろし、早く到着すれば得した気分になる人の方が多いと思う。それにしても、駅の通過時刻まで秒単位で決められている日本では、考えられないサービス(?)だ。
・イギリスのタクシー キングスクロス駅で、預けた荷物を受け取り、タクシーでホテルに向かった。イギリスのタクシーに乗ると、この国の治安の良さを改めて感じる。それは支払い。日本も含めて、普通タクシーの運賃を支払うときは車中だ。しかし、イギリスのタクシーは、目的地に着いたら客は車を降り、運転席の窓越しに運賃を支払うのだ。運賃表示も車内のメーターの他に、運転席の窓にある。運賃設定も初乗り運賃が、電車の5倍ぐらいの国と違って、気軽に乗れる値段だ。乗ったタクシーの運転手は、そんなに愛想が良いように見えなかったが、支払いのときにチップを渡したら、急に笑顔になって、上機嫌で帰っていった。ちゃっかりしているなあ・・・。さあ、明日はユーロスターで大陸だ!!
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