このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
富士急行線は、全線26.6kmの間に約500m上る山岳路線です。三つ峠を過ぎたあたりから断続的に40‰の急勾配が現れます。路線研究室では、大月から河口湖まで、各駅の配線図、駅間距離、標高などを調査し、路線全体の特徴を把握します。各駅を写真で紹介している別ページの「駅点描」もご覧ください。
配線図
下に掲げた配線図を見ながら検討してみよう。
単線路線で重要なのは交換可能駅の配置状況であるが、富士急行線の場合、交換駅間の距離が不均等である。最長は三つ峠、下吉田間で5.3km、最短は都留市、谷村町間の0.8kmである。これがダイヤを興味深いものにしている。
また、勾配が急なことも富士急行線の特徴で、標高358mの大月から857mの河口湖まで、26.6kmの間に499mを上る。全線を通して平均18.7‰になる山岳路線である。特に三つ峠、寿間では大きく2回、山側に弧を描いて勾配を緩和しているものの40‰の急坂である。下吉田、月江寺間にも短距離ながら40‰区間があり、富士山が近づいたことを実感させる。
JRの場合、勾配の限度は35‰としており、富士急行線の条件がいかに厳しいものかが分かる。私鉄の中には箱根登山鉄道の80‰、南海電鉄高野線の50‰といった路線もあるが、いずれも出自が観光用、参拝用といった特殊な路線であり、住民の足となってこれだけの急坂に挑んでいる鉄道は貴重な存在である。
駅についてみると、普段何気なく利用している富士急行線であるが、少し変わった駅もある。
田野倉駅と東桂駅は、相対式2面2線の交換駅であるが、ホームが千鳥に配置されており、上下ホームの間に通路がある。何ゆえこういう形になっているかは不明。
また、交換駅には短い側線(現在ほとんど使われていない)のある駅が多い。田野倉・都留市・東桂・三つ峠・下吉田の各駅であるが、かつての貨物扱いの名残であろうか。
富士吉田駅のスイッチバックは勾配緩和が本来の目的ではなく、当初の構想で山中湖を経由して御殿場へ路線延伸を計画していたときの遺産。経済情勢の変化などにより1953年、山中湖とは逆方向の河口湖線が開業したため。
富士急行線の駅で特徴的なのは無人駅の少なさである。地方私鉄、JR地方線ともに駅の無人化が進んでいる。富士急行線では、18駅中無人駅は5駅(上大月・赤坂・十日市場・寿・葭池温泉前)しかない。主要駅には駅員を配置しているが、その他は駅舎と一体となった住宅に住む「ママさん(おばちゃん)駅長」に業務を委託している。駅に人がいてくれる安心感は計り知れない。
「富士急線は頑張ってるなー」
<表示説明>(富士吉田駅の例)
【23.6】=大月からの距離(km)
←1.4→=隣接駅との距離(km)
809=標高(m)
駅点描
(各駅の表情です) |
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