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安房の市町村合併のその後

 

住民と自治誌2002年6月号に「 合併した途端に財政破綻」昭和の大
合併を資料にさぐる
を寄稿した館山市議の神田です。

寄稿では、昭和の合併における「拙速な合併の失政の教訓を現在の
合併論議のなかでしっかり生かすことが大事だと考えています。二
度と同じ失敗はあってはならないことと胆に命じています。」とし
ました。この結果について2年間のご報告です。

館山市議会は、昭和の合併の失政の教訓を踏まえて、合併のあり方
についての論議を深めてきました。

私は、地元紙に安房11市町村合併の問題点として、
余りにも広すぎ
ることや鴨川市の巨額債務問題を明らかにした寄稿
をしました。

館山市も事実確認のために鴨川市に資料提供を求めましたが、
鴨川市長が私への攻撃などで論点をすりかえ、その資料提供を拒
むなどのなかで、協議は進まず、安房11市町村合併任意協議会は解
散となりました。(2002年12月)

その後、鴨川市と隣接する天津小湊町を除いて、9市町村であらた
に館山・安房9市町村合併協議会(法定協議会)が立ち上げられま
した。(2003年4月)

合併協立ち上げの当初は、合併すれば市町村長や特別職の数が減
り、国から特例債の恩典もあり、これに乗らなければ財政的に損だ
という論調が強まりました。

私は、
9市町村合併の問題点を考えるとして、地元紙に財政問題を
中心に寄稿
しました。

9市町村が合併して財政的に成り立つためには、総合支所方式は無
理なこと、小中学校を大幅に統廃合しなければならないこと、職員
数を大幅に削減しなければならないこと、それでもなお財政的に難
しい場合も想定され、増税や住民サービスの切り捨てなど大規模に
進めなければならないことなどを財政数値を具体的に示しました。
このことを知らずに合併して財政破綻したのが、昭和の合併の教訓
であることを論じたのです。

合併協議のさなかに、町村ではいわゆる駆け込み事業が大規模に進
められはじめました。合併新市の財政見通しなしに、とにかくわが
町わが村のために今のうちにやってしまえというわけです。

このため、館山市議会は
「いわゆる大型事業について」の決議 をお
こない、一億円をこえる事業は各市町村の事前協議とすることを全
会一致で決議し、その申しいれを市長に求めました。(2003年9
月)

この決議を館山市長は、市町村長会議(非公開だが議事メモ等があ
る)ではねじまげて「あれは一部の議員の策動で議会の多数は、私
を支持している」と説明したと伝えられています。市議会の決議は
市長と町村長によって完全に無視されました。

こうしたなかで、1月には新市の名称問題で紛糾しましたが、8町
村が連合し多数決で新市の名称を「館山でなければ何でも良い」と
「南房総市」に決めてしまいました。

合併協議会はその立ち上げの段階で、合併方式は編入か新設かで難
航しましたが、多数決は採用しないことを条件に新設にするとして
始められた経緯がありました。

現在の合併協議には財政問題について、町村との共通理解がないも
とで、多数決で押し切られるとすれば1対8で館山市の意思は完全
に無視されることになります。館山市議会は、町村の駆け込み事業
に何の歯止めもかからないもとで、このまま合併すれば財政破綻必
至だと危機感を深め、2月には
合併協議会からの離脱を24対1の圧
倒的多数で決めて市長に申し入れ
ました。

合併に固執する市長だったために、このころから町村への説明と市
議会への説明、住民への説明が全く違うなどの
虚言、食言が大変目
立つようになりました


このため、町村長からも市議会に対するリーダーシップが全くない
と信用を失い、町村側から合併協解散が決議される状況となりまし
た。4月30日に最後に残された館山市議会でも解散を決議し合併協
は正式に解散となりました。

この2年余に安房郡市11市町村任意合併協議会が2002年12月に解
散、新に館山・安房9市町村合併協議会が、2003年4月に立ち上げら
れましたが、これも今年の4月に解散となりました。
二つの合併協議会のなかで、私が主張し一貫して重視してきた問題
は、財政破綻した昭和の合併の教訓を忘れないということでした。
この思いは館山市議会の圧倒的多数の意思となり、議会の論戦など
から市民の多くがその懸念を抱くようになっていきました。

50年前の昭和の合併で財政破綻した歴史を探り、その教訓を現代の
合併協議に生かすということは大変大きな意味を持つことになりま
した。

(月刊「住民と自治」誌への私の上述の投稿が8月号に掲載されました。)

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