このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

旅のあれこれ文 学


『新古今和歌集』

   新古今和歌集 巻第二

      春歌下

   山さとにまかりて、よみ侍ける
山里の春の夕ぐれ来てみれば入相の鐘に花ぞ散りけり

   題不知
ながむとて花にもいたくなれぬれば散る別れこそ悲しかりけれ

   新古今和歌集 巻第三

      夏歌

   だいしらず
西行法師
道の邊に清水流るゝ柳蔭しばしとてこそ立ちどまりつれ

   新古今和歌集 巻第六

      冬歌

   陸奥國にまかりける時、よみはべりける
夕されば潮風こして陸奥の野田の玉川千鳥鳴くなり

   百首歌たてまつりしとき
藤原定家 朝臣
駒とめて袖打はらふかげもなしさののわたりの雪の夕暮

   新古今和歌集 巻第七

      賀歌
仁徳天皇御歌
高き屋にのぼりて見れば煙たつ民のかまどはにぎはひにけり

   新古今和歌集 巻第八

      哀傷歌

みちのくにへまかりける野中に、めに立つさまなるつかの侍りけるを、とはせ侍りければ、「これなん中將のつかと申す」とこたへければ「中將とはいづれの人ぞ」ととひ侍りければ、「實方朝臣の事」となん申しけるに、冬の事にて、しもがれのすゝきほのぼのみえわたりて、折ふし物がなしうおぼえ侍りければ
西行法師
くちもせぬ其の名ばかりを留め置きて枯野の薄形見にぞみる

   新古今和歌集 巻第十

      哀傷歌

壬生忠岑
あづまぢのさやの中山さやかにも見えぬ雲井に世をやつくさん

家隆朝臣
古郷に聞きし嵐の聲もにず忘れね人をさやの中やま

   新古今和歌集 巻第十五

      戀歌五

   みちのくにのあだちに侍りける女に、九月ばかりにつかはしける
重之
おもひやるよそのむら雲時雨れつゝ安達の原に紅葉しぬらむ

   新古今和歌集 巻第十七

      雜歌中

   和歌所歌合に、關路秋風といふ事を
攝政太政大臣
人すまぬふわの關屋のいたひさしあれにしのちはたゝ秋の風

   あづまのかたへ修行し侍りけるにふじの山をよ
   める
西行法師
風に靡くふじの煙の空に消えて行方も知らぬわが思ひ哉

   新古今和歌集 巻第十八

      雜歌下

うみならずたゝへる水の底までにきよき心は月ぞてらさん

   前大僧正慈圓、文にては思ふほどの事も申しつく
   しがたきよし、申し遣はしてはべりける返事に
前右大將 頼朝
陸奥のいはでしのぶはえぞしらぬかきつくしてよつぼの石ぶみ

西行法師
またれつる入相の鐘の音すなりあすもやあらばきかむとすらん

   和泉式部、みちさだにわすられてのち、ほどなく
   敦道親王かよふときゝてつかはしける

うつろはでしばし信太の杜をみよかへりもぞする葛のうら風

   返し
和泉式部
秋風はすごくふくとも葛のはのうらみ顔にはみえじとぞ思ふ

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