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旅のあれこれ

『利根川図志』(赤松宗旦)

赤松宗旦 は下総相馬郡布川村(茨城県利根町)の開業医。

安政4年(1857年)秋、『利根川図志』全6巻で出版。

柳田國男 校訂。

布施辨財天社


布施は江戸より松戸 小金 を經て、水海道へのゆくてなり。田中に孤山あり。古は湖中の島なりとぞ。辨財天を祀る、東麓に窟(いはや)あり。別當を紅龍山松光院東海寺といふ。眞言宗常陸ノ國大塚護持院末なり。寺寳に蟠龍石あり。此處は關東三辨天の一にして、詣人羣集し、戸頭の渡舟を望み、曙山の櫻楓を眺めて、頗る勝景と稱するに足れり。

取手宿


江戸より水戸に行くの官道にして、地名は山の上に大鹿氏の砦有りしに因れるなるべし。此處の聞人澤近嶺の家は新町に在り。油屋與兵衛といふ。

琴平神社


地藏堂の西に在り。その間路の左右に乾隍(からほり)の迹あり。さればこの地、城の大手なるべし。境内に空居心經碑あり。又ここの地に於て毎年八月十日、祭禮相撲ありていと賑へり。

べつたりと人のなる木や宮相撲   一茶

津宮河岸


香取神宮一の鳥居水中に建てり。(是より香取へ陸十六丁)。三社参詣の人、この河岸より上り神宮へ參詣す。津宮の名義は、當所に竈神社といふありて、香取志に、奥津彦神・奥津姫神を祭れり。此神は古事記に、須佐之男命の孫大年神の子なり。延喜式に、竈神仁座、従五位上大邑刀自、次に小邑刀自云々。やしろをもと津宮といふ。

香取大神宮


下總國香取郡、正殿經津主大神、神代よりの御鎮座にていと古き神なり。事は香取志に詳かなれば略之。

海雲山長勝禪寺


二町目より入る。馬場の兩がは松の並木、山門に十六羅漢を安置す。佛殿は南向十間四面、右大將殿の建立なり。堂のかたはらに臥龍松、前に文治梅あり。

鹿島大神宮


常陸國鹿島郡鹿島郷、正殿武甕槌神(たけみかつちのみこと)、相殿神、右は經津主命、左は天兒屋根命を祭れり。 神代の昔より、この所に鎮座(しづまりまし)し大神にて、いともいともふるき事なり。風土記に、淡海大津朝(天智天皇なり)初遣使人神之宮爾以來、修理不絶云云としるせり。猶委しき事は鹿島志に詳かなれば略す。

萬葉集に 霰降鹿島の神を祈りつゝ皇御軍(すべらみくさ)に我はきにしを

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