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俳 書
『俳諧荵摺』(等躬編)
| 猶見たし花に明行神の顔 | 芭蕉 |
| 行脚にて | |
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ひとつぬきて後におひぬ更衣
| 芭蕉 |
| 雑秋 | |
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蔦の葉は昔めきたる紅葉哉
| 芭蕉 |
| 孟冬 | |
| 商人(あきうど)のはかまみじかき時雨哉 | 何云 |
| 冬枯れや只おば棄の夜の榾
| 素英 |
| 岩城小奈浜 | |
| 駒痩て旭に眠ル冬野かな | 由之 |
| 凩に濁り次第の清水哉 | 可伸 |
| 我宿の三径は | |
| 一かたは雪あさましき厠かな | 等躬 |
| 梅ひとり後に寒き榾火(ほだび)哉 | 三千風 |
| みちのくの名所名所心におもひこめて、先関 | |
| 屋の跡なつかしきまゝに、ふる道にかゝり | |
| て、いまのしら河も越えぬ。頓ていはせの郡 | |
| にいたりて乍単斎等躬子の芳扉を叩。彼陽関 | |
| の出て故人に逢なるべし。 | |
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風流のはじめやおくの田植歌
| 芭蕉 |
| 此日や田植の日なりと、目馴れぬことぶきなど | |
| 有てまうけせられ侍りければ | |
| 旅衣早苗に包食(めし)こはん | 曽良 |
| いたかの鼓菖蒲(あやめ)折すな | 芭蕉 |
| 夏引の手引の青そ(草冠+「芋」)くり懸て | 等躬 |
| 此二子、我草屋に莚しき、しばらく物し給ふ | |
| ほどに、馴し武蔵のむかしむかしより、今の心 | |
| の奥のゆくりなき事語るまゝに、安積郡浅香 | |
| 山、あさかの沼は爰よりいづくの渡りにかな | |
| ど尋ね給ふめる。浅香山は日和田といふ駅を | |
| 越えて、一里塚あなるみぎりにて侍る。あさ | |
| かの沼はあやしげなる田の溝などを今は申め | |
| るにぞ。いにしへ藤中将の伝へられし花かつ | |
| みの草のゆかりも、いづれのなにとしる人侍 | |
| らはずと答ながら | |
| 茨(ふき)やうをまた習ひけりかつみ草 | 等躬 |
| 市の子どもの着たる細布 | 曽良 |
| 日面(ひおもて)に笠を並ぶる涼みして | 芭蕉 |
| しら河の関をこゆるとて | |
| ふるみちをたどるまゝに | |
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西か東か先早苗にも風の音
| ばせを |
| 誰人やらん、衣冠をたゞしてこの関を越たま | |
| ふといふ事、清輔が『袋草帋』に見えたり。 | |
| 上古の風雅、誠に有難おぼえ侍りて | |
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卯の花をかざしに関のはれ着哉
| 曽良 |
| 須か川の駅より二里ばかりに石河の滝といふ | |
| 有よし、行てみん事を思ひ催し侍れど、この | |
| ごろの雨にみかさ[まさ]りて河を渡る事か | |
| なはずといひてやみければ | |
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五月雨は滝降うづむみかさ哉
| 芭蕉 |
| 二日三ほど経て、此滝にゆかん事をのぞめ | |
| れば | |
| 杜鵑(ほととぎす)滝まで送る声とゞけ
| 等躬 |
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