このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください
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気が付くと秋の盛り。
都城市街の中心部にほど近い志比田町にある
霧島酒造
の工場からはモクモクと白い蒸気が上がっているのが見え、付近は甘いかんしょの香りに包まれるのだ。また、時には蒸し上がったばかりを思わせるかんしょの香りの他にそのまま酔っぱらってしまいそうなくらい濃密な焼酎の香りが漂う。
その一方でちょっと郊外に出れば、同酒造向けに契約栽培を行ったかんしょ収穫の最盛期であったりする。家族、近隣総出で芋を掘り(・・・とは言っても大分機械が入り込んでいるが)、大きなフレコンへと積める。
このような光景は私個人としては永く残っていてもらいたい郷土の風景。 そのような都城市なのであるが、今年、ある変化があった。
全国的に見て、様々な社会構造上の事情が折り重なって都市への一極集中が進んでいる。その様な中で、自分たちの地元、郷土を見直そう・・・という試みが各所でなされているのが我が宮崎県を含めたこの国の現状ではないかと思う。事実、宮崎では県都への一極集中が見られるし、九州島内に視界を広げてみた時に鹿児島、北部九州への人や経済の流出があり、格差が広がっているようである。
都城市では市街中心部から全国展開をしていた総合スーパーが撤退して以降、市街地の活力が無くなったように思える。それ以前から商店街に閉まったままのシャッターは見えていたが、割と新しい商業ビルまで空きが見られるようになったのはここ最近の事でなかったか。そういえば経済系の私立の大学も撤退したのだった。・・・来年には造園に特化した私立大学のキャンパスが移転してくるが、どう地元に影響していくのだろうか。
・・・ちょっと話がずれてしまったが、都城盆地に変化があった。それが『
都城盆地博覧会
』の開催である。都城盆地に生活の基盤を持つ人でも見ている地域の姿は一元的である。盆地の人、自然、産業、食・・・と盆地を構成する様々な顔にスポットを当て、体験でもって地域の活性化に寄与していく。それを『都城盆地博覧会』、通称“ボンパク”という。最終的には半年に1回の頻度での開催を目指しているだそうだ。
いくつかの体験型のイベントの例を挙げさせて頂ければ、我が国を代表する家畜市場であるJA都城家畜市場の見学、同市高城町で意欲ある養豚家が生産する“観音池ポーク”とエクササイズを組み合わせた物、茶の釜炒り体験と美容を絡ませた物、市内各所の歴史勉強会・・・と多岐に渡る。
その中に市内の焼酎蔵元が醸した焼酎を味わうイベントがあることに気が付いた。“焼酎Myセレクション”。定員15名、参加料は2,800円ということでちょっと高めにも思える。だが、蔵元の顔ぶれを見てもこのような内容の物はなかなか見かけない。・・・これは参加しなければならないではないか。 てなわけでして、ミッション当日の10月10日。
「残業などするもんか!」と定時帰宅なお父さんは会場である
都城市ウェルネス交流プラザ
の前に立ったのである。
日本標準時にして午後6時40分の事であった。 いそいそと受付を済ませ、参加料を支払うと引き替えにバインダーと何枚かの紙をもらった。
なるほど、都城市には4つの蔵がある。県内最強の
霧島酒造
を筆頭に大浦酒造、
都城酒造
、
柳田酒造
(五十音順だお)である。それぞれの蔵が「これだ!!」とオススメする4銘柄を出品し、参加者は4蔵×4銘柄=16銘柄の中から気に入った銘柄の上位3つを選出する。加えて、つまみというかショケというか、準備された各種鶏肉加工品の中から気に入った同じく上位3つを挙げる・・・という内容のようである。
ちなみに、出品業者は以下の通り。焼酎→鶏肉加工品の順で紹介させて頂きましょうかね。 ■焼酎
・大浦酒造
“都桜(いも、25度)”
“都桜 復刻版(いも、25度)”
“藤市(玄米、25度)
“なかまといっぱい(麦、25度)”
・霧島酒造
“
霧島(いも、20度)
”
“
黒霧島(いも、20度)
“特別蒸溜(いも、40度)”
“志比田工場原酒(いも、36度)” |
・都城酒造
“
みやこんじょ(いも)
”
“黒麹仕込み みやこんじょ(いも)”
“みやこんじょ GOLD(麦)”
“あなたにひとめぼれ 黒(芋・麦etc)”
・柳田酒造
“
青鹿毛(麦)
”
“
赤鹿毛(麦)
”
“
駒(麦)
”
“べいすん(麦)” |
■鶏肉加工品
・(株)岡崎エッグ
“赤どり炭火焼”
・(資)ケイアイコーポレーション
“みやざき地頭鶏炭火焼”
・(有)竹森商事
“鶏からあげ 日向夏こしょう味” |
・(株)中尾工業(ぶり鶏の中尾)
“ぶり鶏の炭火焼”
・(有)中村養鶏
“みやざき地頭鶏の塩焼” |
というわけで、当イベントの案内人を務められる
早川しょうゆ・みそ(株)
の早川社長より会の趣旨とルール説明がある。
焼酎と鶏の評価はブラインド方式となっていて、製造者オススメの状態で提供されるという。我々参加者は気の向くままにがっつき自分なりの優劣をつけていくわけだ。
だがしかし、評価の時間は長くない。16銘柄の焼酎と5社の鶏肉を味わい尽くせるか・・・。さらにその中でカメラのファインダーを覗くというハンデを自ら負ってしまっているので、忙しいことこの上ないではないか(爆)。 というわけでして、参加者それぞれに渡されるお盆の上にチェイサーを載せつつ、焼酎の並んだテーブルへといそいそと向かったのであった。
各銘柄には番号が振られていて、その番号が振られた紙コップに焼酎を注いでもらう。
焼酎は上記の通り、蔵が一番「美味い!」と思う状態で供される。ロック、水割り、お湯割り・・・。ブラインドではあるがいろいろ判断する材料になる。
普段の見慣れている銘柄があれば、即時に「おっ!?」となってしまうので面白い。中には「あれ・・・だと思うが、いや、ちょっと違うような気がするし・・・。」と大いに迷う事もある。ブラインドの醍醐味はこういう処にあるのだろう。
こんな感じで16銘柄のコップを並べるわけだから、お盆の上は収拾がつかない状態である。
しかも、途中に40度、36度という危険物な原酒系の物も含まれているから、酔いの進みに併せて味覚は麻痺する一方だ。しかも、味音痴なせいで何度もコップを行ったり来たりしたりするものだから、ますます混乱。
私は4銘柄づつ挑んでみたのであるが、そんな感じでマイペースに楽しんでいたところ、「そろそろよろしいでしょうか?」という非情な場内アナウンスが流れるではないか・・・。
ひえぇぇぇぇぇ・・・。
鶏製品を確保してきましたよ。
で、いきなり正解を明かしますけれども、一番手前から時計回りに“みやざき地頭鶏炭火焼”、“ぶり鶏の炭火焼”、“鶏からあげ 日向夏こしょう味”、“赤どり炭火焼”、“みやざき地頭鶏の塩焼”。いずれも市内の国道10号線沿いにある“道の駅 都城”で買い求めた物。真空パック売りであるから、土産物としても重宝する。
さて、私の感想であるが、県畜産物のフラッグシップとも言える
みやざき地頭鶏
も良い味であった。だが、風味、脂、歯ごたえ・・・とそれ以上に印象に残ったのが“ぶり鶏”。思わず「へぇ、面白い。」と唸ってしまった。
後ほど生産者より参加者に挨拶があった。“ぶり鶏”とは横斑プリマスロックという品種のことを指します。ちょっと前まで農家の庭先で放し飼いにされていた鶏だそうで、そういえば仕事で外勤をした際、たまにケージの中に見かける事がありますよ。
実は宮崎大学に家畜繁殖学のゼミがあるのですが、そこで飼われていたのがこの品種の♂でした。何のために飼われていたかと申しますと精液を採るためだけでして・・・。 (08.10.19)
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