このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

11月1日は
『やっぱ  焼酎じゃNIGHT』
11月1日といえば、当然皆様ご存知の通り。全国一円、「本格焼酎の日」でございます。

県内では例年、大手の蔵元が「日頃のご愛顧感謝」、「新酒のお披露目」といった様な目的で蔵元開放を大々的に行ってはおりますが、県下多数の中小の蔵元に目を向けたときには、酒造組合主催の・・・という形でしか無かったと思います。それも、関係者に限ってというか、飲み手と造り手が直接交流できる場・・・ではないかと。数年前にはちょうどこの時期に開催される 宮崎神宮大祭の中の催事 の一つとして、振る舞い酒がなされたことがありましたが、全国的な風潮もあってか、いつの間にか無くなってしまいました。

だが、今年、「
焼酎生産県がそんなことじゃいかん!!」といくつかの蔵元、そして料飲店さんが立ち上がったというのだ。さすがに消費者に広くオープン・・・・というわけにはいかないが、参加者と一体となって「本格焼酎の日」を祝おうじゃないか・・・という事でいきなりの開催が決まったらしい。

そのような事を企んだ蔵元といえば、県北から“ 黒木本店 ”、“
渡邊酒造場”、“ 柳田酒造 ”、“ 京屋酒造 ”、“小玉醸造”の5蔵である。このラインナップをご覧いただければおわかりになるが、今日の宮崎焼酎を代表する個性ある蔵元だ。先のブームの前から、そしてブームを経て全国に多くのファンを有している蔵元である。こういう主張ある蔵元がタッグを組むのだから、当然当日の状況というのはこの項のtopの画像の様になる。

う〜む・・・。宮崎の焼酎は圧倒的ジャマイカ・・・。
これが当日のチケットなのですが、参加人員については非常に厳しいところを無理を言って紛れ込ませていただきました。

準備は万全で当日に望むはずだったのですが、こういう時に限って県内の山奥への日帰り出張が入る・・・。
圧倒的集中力で仕事を終え、何とか時間までには宮崎市に戻ることができたのは言うまでもない。人間、やればできるのだ(爆)。
というわけで、会場である“いもや”へと向かう。

このお店は宮崎の焼酎を数多く揃える言わば“最前線”なお店。階段を上って入る店内は落ち着いており、隠れ家的な雰囲気が県外観光客にもウケている有名店だ。そこを貸し切ってしまうと言うから、なんだかとってもすごいことなのです。
まずは酒造組合の会長でもある 京屋酒造渡邊眞一郎社長の挨拶から会が始まる。

続いて、この会の発案の一人である東京の料理研究家の方が挨拶をされたが、県民の場合、どうしても生活酒の域を出ない焼酎ですから、こういう有意義な場を持つ・・・という発想に乏しかったりする。
そげな事を言ってしまうと、見事なまでにブーメランな感じで自分に返ってくるのがちょっと切なくなったりするのだが・・・。

参加された各蔵元さんの自己紹介を聞きながら、その様なことを考えていたのだった。
そして、待ちに待った乾杯!

各々焼酎の入ったグラスを手に持ち、高く突き出す。これから2時間ちょっとの至福の時間である。まずは目の前に置かれた“カツオの焼き切り(宮崎の漁港料理で、カツオのタタキだと考えてください)”に箸を伸ばそうではないか。その後もお店の方が間髪入れずにおいしい料理を運んできてくださる。お手製の“にがり豆腐”、“地鶏炭火焼き”、“豚のスペアリブ”・・・。
このように卓上はウハウハ・・・なのだが、なんとこの会!ジャズの生演奏を聞きながら焼酎と料理、会話を楽しめるのであった。

『Georgia on my mind』、『Fly Me To The Moon』・・・といったスタンダードナンバーが流れる中、酔いはますます回っていく。
これには仕掛けがあって、トロンボーンの奏者でもある 黒木本店 黒木敏之社長が演奏に参加されたり、バンドの『Georgia on my mind』の演奏に合わせて、「木城じゃぁ 木城じゃぁ・・・」と同蔵の一つの側面とも言える 尾鈴山蒸留所 がある 木城町 への強烈な郷土愛の曲『Kijyo on my mind(てへ。勝手に付けましたw)』を歌い上げるなど、大きな盛り上がりを見せたのでした。

あ、画像の左端に黒木社長が写ってますね。
さて、良い感じで回ってきた焼酎の酔い、バンドの生演奏でゆらりゆらり・・・と揺れる店内なのですが、盃が進むにつれてそれぞれ席を立って・・・と会を楽しまれておりました。

蔵元の方々は店内のあちこちにできた人の集まりに腰をかけ、談笑に興じられておるようです。じゃぁ私も・・・と焼酎のグラスとカメラを持って席を立つ。
まず突入したのはヨカニセの集団。

渡邊酒造場渡邊幸一朗専務 柳田酒造 柳田正社長

幸一朗専務からは「寝ないで記録をした!!」と叱責を食らったのであるが(爆)、じゃないとこうしてコンテンツにまとめられてないですわ。渡邊酒造場もこの当日に今年の甘藷焼酎の仕込みを終えられたそうです。おつかれさまでした。

そして、柳田“
社長”。同蔵は今年8月に大きな体制の動きがあり、柳田正さんは正式に社長に就任した。会に持ち込まれていた“ 赤鹿毛 ”、“ 青鹿毛 ”に加え、現在進行形で宮崎県に昔からあった“ ミヤザキハダカ ”という在来麦の復活プロジェクトが進んでいる。これについては折を見て紹介させていただきたいが、霧島連山の袂にある高原町の集落営農法人“はなどう”とタッグを組んでのプロジェクト。そういえば、ぼちぼち種まきの季節が近づいてきたよ。
そして、日本酒に詳しい方ならこの画像を見て「おっ!?」と思われたかも知れない。

単に宮崎が好きだから・・・という理由で飛び入り参加をされた福井県は 黒龍酒造 水野直人社長である。画像の笑顔の通り、その人柄が推して量られるのであるが、その心意気に完敗であった。

そういえば北陸地方にはなかなか縁が無い。一度訪れてみたい土地なのであるが、その際は是非ともお邪魔させてください。
続いて行きますよ〜。

京屋酒造渡邊眞一郎社長です。ちょっとご尊顔がぶれ気味なのは照明の関係もあるのでご容赦下さい。

以前拙サイトでも紹介させていただいた事のある“ かね京かんろ ”をお持ちいただいたが、色々お話を伺ったところ、酒造組合として喫緊の問題が焼酎粕の処理だそうでして、特に中小蔵でその問題は顕著なのだという。

宮崎県内では大手を始め、その対処策がいくつか進められてはいるのだが、まだまだ行政的な努力というものが必要なのだろうか。一番簡単なのは“そのまま給与”が可能な家畜飼料への活用だろうが、それでもゼロ投資が可能かといえばそうではない。

色々と考えられる意見交換でした。
黒木本店 黒木敏之社長

このところは高鍋商工会議所の会頭として、地元有志が開山した高鍋大師(ユニークな石仏が立ち並ぶ霊場です)にスポットライトを当てたり、同地域で多くの観光客を集める「鍋合戦」を主催する“ ひがしこゆ観光ネットワーク ”の会長としても地元新聞紙上を賑わせていらっしゃる。

後者については、当初は児湯郡5町それぞれが地域の食材を集めた自慢の鍋を披露、その覇権を競い合うイベントであったが、今年(11/14だとか)は遠く北海道からの参戦もあるとか。2008年に始まったばかりのイベントであるが、その広がりの速さには驚愕する。

氏の営む黒木本店の方はというと、以前から農業生産法人“甦る大地の会”が同蔵が使用する甘藷、米、麦の栽培を手がけていた。
そういう農と焼酎を結びつける活動については先鋭的な蔵であるが、近頃一部が法施行された米のトレーサビリティについても敏感に反応しており、地域を巻き込んだ取り組みをされている。

つまりは、畜産地帯(ううっ・・・、かの災禍の後ではこの表現は非常に切ない)である児湯郡の立地条件を活かして、転作作物として重要な地位を占めている飼料用稲の活用に着目したのである。飼料用稲については稲わらとしての活用はもちろん、稲穂に実入りが始まったばかりの乳熟期に刈り取りを行ってサイレージとして牛に給与するというのが一般的な利用方法であった。WCS(ホールクロップサイレージ)という言葉がある通り、稲もみについても茎葉部と共に牛に給与されていたのである。

国の転作奨励事業とのバッティングなど種々の問題を乗り越えなければならない・・・という様なストレスはあったと思われるが、地元に眠る資源への着目、地域との連携という点において「飼料稲=原料米」という同蔵の取り組みは、畜産屋の自分にとっては衝撃的。

活用については「研究中」とのことであったが、飼料稲というのは多収という点に着目して長粒種を品種育成してきた経緯がある。焼酎原料には製麹の観点から同じ長粒種であるタイ米を使用してきた。相性が悪い訳がないだろう。今後の展開が楽しみだ。
最後は小玉醸造金丸潤平杜氏。ちょうど“ 弐年貯蔵酒 宮路 ”をお持ちであったので、いぢきたなくもグラスを持ってお近づきさせていただいたのだ(自爆)。グラス並々・・・と注いでもらったのであるが、苦笑いをされてしまったのは言うまでもありません。自業自得です。すみませんです。

両側に写っているのは取引をされている酒販店の方だったと思う・・・。東京の酒販店“ 長野屋 ”さんなど、多くの方が潤平さんを取り囲み、それに満面の笑顔で応えられていたお姿が印象的だった。
いやはや。飲んだし食べた・・・。そして宴席は一気にクライマックスへと向かうのである。

この日、この時、この瞬間のために起こされた曲“やっぱ焼酎じゃNight!!”を主催した蔵元がビートに乗りまくって歌い上げるのである。

『宵闇、夕闇、だれやみ、今夜も一杯、
 芋、麦、米、そば、お湯割り、ロックに水割り
 やっぱ焼酎じゃNight
 呑むんだったら焼酎
 やっぱ焼酎じゃNight

 焼酎くれ、飲んだくれ、呑み助 焼酎三昧、
 おかげで健康、健やか、楽しい毎日
 やっぱ焼酎じゃNight
 飲むんだったら焼酎
 やっぱ焼酎
 やっぱ焼酎
 やっぱ焼酎じゃNight

 お酒もいろいろあるけど、やっぱり焼酎
 旨くて、さわやか、国民酒、
 おまけに安くて、家庭も円満

 オーカモン!!

 やっぱ焼酎じゃNight
 呑むんだったら焼酎
 やっぱ焼酎じゃNight

 老若男女もご近所も 社長も先生も
 焼酎飲んで語れば
 みんな幸せ 人類みな兄弟

 焼酎は地球を救う 世界のお酒さ
 酔いざめさわやか 素敵、心も晴れ晴れ
 やっぱ焼酎じゃNight
 呑むんだったら焼酎
 やっぱ焼酎じゃNight』


熱を帯びた店内の空気。当然ながらアンコールの声がかかり、全ての参加者もコーラスに加わる。

いや。この瞬間、『焼酎は地球を救う』と言うことが実際に起こりうる事項ではないか・・・と本気に思ってしまった。

それにしても楽しいイベントであった。心の底から笑いましたよ。継続は何とやら・・・と言いますし、是非とも定番化して欲しいです。

さぁて、ご唱和を!

やっぱ焼酎じゃNight!!』 
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(10.11.10)

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