このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
4時間遅れの寝台列車を降り、降り立ったのはポーランド、ポズナン中央駅のホーム。図太い鉄骨が支える屋根の下、華やかさはないが待ち客が多く賑やかだった。さて、4時間遅れのせいで、乗換え予定の列車はとっくの昔に出てしまった。ならば次の列車と調べてみると発車まで2時間ある。せっかくだから街に出てみよう。 | ||||||||||||
終点、ヴォルシュティンに近づいた。この駅に蒸気機関車の車庫、ヴォルシュティン機関区が隣接している。駅構内に入るとその扇形の機関庫が見え、留置線には錆びた蒸気機関車が何両も放置されていた。ヴォルシュティン到着。列車を降り、はやる気持ちを押さえて、まずはホテルへ。ホテルまでの道の途中、地元のおっさんに捕まり、言葉が分からないことなどどうでもいいかのように話し掛けてくる。蒸気機関車を見に来たことだけは理解してくれたようだ。チェックインして機関庫に向かう。機関庫は博物館になっているのだが、この時間では閉館しているはずだから、様子だけでもと思い行ってみた。機関庫までは錆びた機関車の横を歩く。西日に照らされた巨大な鉄の塊が横たわる姿は、鉄道マニアにとっては何とも言い難い物悲しさはある。しかし、そんな赤錆びた機関車に連なって、美しく化粧した機関車もいた。保存活動もちゃんと行っている。機関庫に着いた。門は開けっ放しで誰もいない。叱られたらその時だと思い、こっそり入った。ポズナンでは姿を現してくれなかった蒸気機関車がここで休んでいた。10両程入る庫に機関車がぎっしり詰まり、うち3両に火が入っていた。やはり、ここヴォルシュティンの蒸機は現役だった。こっそり入ったつもりだったが、結局堂々とシャッターを切る。職員らしい人が通ったが、「ハロー」と言ったらおとがめなしだった。今日はもう動かない。ならば明日の朝を楽しみにして引き揚げる。
翌朝、4:30起床、5:00チェックアウト。朝食が用意できないからといって、サンドイッチを作っておいてくれた。本当に嬉しい。こんな早朝の出発で、優しいおかみさんには申し訳ないと思う。明けきらぬ道を駅へと急ぐ。踏切から駅構内を見て、心の中で歓声をあげる。空高く灰色の煙を噴き上げた蒸気機関車が発車を待っていた。重いスーツケースを引きずって機関車に近づく。全長20メートルの標準軌大型蒸気機関車のOL49型。全身のあちらこちらから漏れる白い蒸気が、ひんやりした朝の空気に引き立てられて、煙突の煙とともに機関車を包む。ボイラーは現役の垢にまみれているが、下回りはピカピカに磨かれ、機関助士が油を差している。5:27発、ポズナン行き。まもなく発車である。
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