このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

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谷川岳


谷川岳 たにがわだけ  登山事故死亡者No.1
標高:1977メートル  所在地:群馬県みなかみ町/新潟県湯沢町  登山適期:6月中旬〜10月下旬 日帰り可能 最寄駅:土合駅      
登山レベル:5



日本のみならず世界で一番死亡者の多い山。これが谷川岳の実態である。
昭和6年の統計開始から実に800人弱の死亡者を出しており、ヒマラヤの8000メートル超えの14座の死亡者の合計である637人を遥かに超えている。この記録は奇しくもギネスブックに登録されている。
今回はそんな谷川岳の紹介です。



登山口はいくつかあるが、最もポピュラーなロープウェーを使うコースを選択。最初計画を練っていたときはこのコースを使う予定は無かったが、事前の調べで死亡者数が多いなどちょっと恐ろしい印象があったので念には念を入れて無難なコースを選定したのだった。
ところで山頂駅に貼ってあったのが右のポスター。「なつこ」って誰だ?



ロープウェーの山頂駅は有名な「谷川岳天神平スキー場」のゲレンデとなっており開放的な雰囲気が広がっている。
ちょっと遠回りになるがせっかくだからリフトに乗ってゲレンデのトップに行ってみることにした。



リフト上からはゲレンデの全容が見える。このスキー場は個人的にはあまり好みではない。最長滑走距離は1キロもないのであっという間に終わってしまう。雰囲気を楽しみたい人や初級者が練習するのには適しているかもしれない。


リフトの山頂駅のほうはこのように鳥居があったり湧き水が湧いていたりする。ちょっと不思議に思ったのが「なぜ山頂に湧き水が?」という点。
普通湧き水は降った雨が地下に浸透して地表に出てくることで湧き水となるが、このように山頂に湧いているパターンは見たことがない。
いったいどんなメカニズムで湧いているんでしょう?それともただの人工的な組み上げなのか?



さあ、ここからが登山の本番。最初は草木が生い茂ったトンネルのようになった道を進みます。このあたりはまだ土の道なのでとても歩きやすい。


途中ちょっと危険な箇所もあるがまだまだ序盤。このくらいの道は八ヶ岳や 宝剣岳 の足元にも及ばない。
ここを通り過ぎると休憩所があるが、なんだか人がいっぱいであまり休めなかった。ここは百名山だし夏休み中だし都心からも近いのでしょうがない。



途中二箇所くらいこういった勾配のキツい崖がある。たいした訳ではないが人が多いのでむしろ危険を感じた。落石が心配です。


頂上に近づけば近づくほど景色がよくなってくる。ちなみにここは中央分水嶺でもあるので天候の変化が激しい。
このことも事故や遭難の多さに関係しているという。



いろいろと分岐があるので注意して進めなければならない、私の場合は事前に出かける前に地形図を印刷して持ち歩いているので大丈夫。
現地にも無料の地図が置いてあることがあるし看板があって大体わかるようにはなっている。
ここのように有名な山ならいいがマイナーな
荒島岳 のような場合は看板も地図人もいないので迷いやすい。あの山では実際に迷ってしまった(^^ゞ


さすが分水嶺だけあって早速天候に異変が! ここの尾根より左に降った雨は日本海に流れ、右に降った雨は太平洋に流れます。
このような場所のことを分水嶺と言って日本海と太平洋を分かつ尾根のことは「中央分水嶺と呼ばれて本州を縦断している。



あまり良い景観ではないがこの二つの写真が谷川岳の山頂です。谷川岳の山頂は実は「トマの耳」と「オキの耳」という二つの耳に分かれている。
山頂部分は人でごった返していた。しょうがないので時間の許す限り向こうの山に行ってみることにした。これが大当たり、意外な絶景に出会うことに出来た。



県境の尾根伝いに進んでいくと両側にそれぞれの味のある絶景を見ることができる。上の写真は群馬県側の一の倉沢付近です。


このあたりが一の倉沢です。ここが劔岳や穂高岳と並び日本の三大岩場でありロッククライマーの聖地と呼ばれる。
確かにこれはロッククライマーの事故が多そうな場所である。



ちなみにこちら側は新潟県側の景色です。こっちはこっちで穏やかな谷が広がっておりとても開放的な気分になります。
でもちょうど私の立っている足元深くにはいくつものトンネルが関越トンネルとして地中を貫いている。なんだか不思議な気持ちになる。
ちなみにこの地下にある関越自動車道の関越トンネルは車道トンネルとしては日本一の長さを誇る、10キロ以上のトンネルです。



あまりに綺麗な写真だったので最大級の大ゴマを使ってしまった。この谷もまた氷河が削り取ってできたものでしょうか?下の方には残雪っぽい白いものが見えますがちゃんとした雪です。



9月4日なのに雪が残っていることにちょっと感動しました。



途中、気になる穴を発見した。「ノゾキ」と書かれた木札の横には直径50センチほどの穴があいており、草木が生い茂っているものの首を突っ込むと一の倉沢の絶景が見える。でもわざわざこうして見なくても普通に見たほうがいい。



新潟県側         群馬県側



一の倉沢の断崖絶壁です。この険しい崖に何人もの人が挑み、命を落としました。なんだかそう思うとちょと怖い気がする。死亡現場なわけです。
ちょっと見づらいかもしれませんが上の左の写真の中央部分の暗くなっているところに登山者が残したザイルが見えました。普通ロッククライマーは登り終えたあとザイルをそのまま置き去りにすることはありません。つまりこのザイルは登っている途中に滑落してそのままになっているものなのかもしれません。



谷川岳宙吊り遺体収容事件


ロープに絡まり宙吊りとなった遺体を救出しようとしたが、救助隊があまりの地形の険しさから近づくことができず、自衛隊の狙撃チームによる一斉射撃でロープを切断し遺体を回収したという事件。




30年ぶりに見つかった遺体


昭和18年に遭難して行方がわからなくなっていた登山者だが、当時は遺体が見つからずとうとう家族のもとへ帰ることなく捜査が中断された。


しかしそれから30年たった昭和48年に、とある登山者により偶然白骨化した遺体が発見される。ポケットに残っていた10銭硬貨や所有物から30年前に行方不明となった人物のものだと断定された。




帰りは来た時と同じ道を通るのが嫌だったので別の道を選んだ。
看板に「初心者下山不向き」とか「中級者以上」「健脚者向き」とか書かれていて脅かされたがもういいかげん自分は初心者ではないだろうということでこの道に挑戦。ちなみに右の写真に映る後輩は登山は3回目だがあふれんばかりの体力と若さ故、なにも心配はいらなかった。



最初はどこが中級者向けなんだ?と思っていたが途中から本性を現してきた。危険度が高いのだ。


全体的に道が狭く、両側は切り立った崖であり、岩場がツルツルしていて滑りやすい。一見しただけだと分からないがあまり整備が行き届いていないというか自然のまま人間が踏み固めて自然に出来上がったかのような道であった。

登りよりも下りの方が疲れた山でした。
登りも下りもロープウェーを使えばそれほど大変な山ではないと思います。でも天候の急変には注意が必要なので装備はしっかりと。
そしてロッククライマー以外は一の倉沢には足を踏み入れてはいけません(^^ゞ





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