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真夏のお四国・乗りつぶし旅
JR全線完全乗車を達成した1998年は、1月に北海道・4月に中国地方・4月下旬〜5月に北陸地区を乗りつぶし(このHP上にすでに 紀行文 を掲載)、5〜7月中にも関東地区のJR東日本の残存路線をちまちまと乗りつぶすという「最後の追い込み」でものすごく気合が入っており、あとは四国・九州とわずかのJR東日本路線(冬にならないと営業は始まらないガーラ湯沢線など)ということになった。では四国・九州を片付けよう!ということになったが、ひと夏で四国と九州両方はなにせ遠方なのでなかなか資金的にはきつい。では四国は青春18きっぷでやろうか!と思いついた。これなら(各駅停車の旅なので)たいへんな長旅になるけど、1日たった2300円で超安上がり。九州はもっと遠いのでさすがに「まともな」周遊きっぷでやろうと決意。さっそく四国乗りつぶしのプランを何日かかけて作成。実際に計画を練ってみると、青春18の旅ではかなり不便になる場所も多いので、夜行フェリーとか高速バスも組み合わせてのプランがベストということになった。それでも交通費は合計で約12000円くらい。超格安だと思う。これで甲府から片道約千キロのところへ旅ができ、さらに帰ってこれてしまうのだから!
*ほとんど移動だけの初日[1998年8月1日]
旅程:甲府9:54—中央本線—松本—中央本線—中津川—中央本線—名古屋—関西本線—四日市—関西本線—亀山—関西本線—柘植(つげ)—草津線—草津—東海道本線—21:19大阪—大阪環状線・地下鉄・ニュートラム—大阪南港
大阪南港23:20—(甲浦・土佐清水(あしずり港)ゆきフェリーで船中泊)・・翌日へ
青春18きっぷで西を目指すには、東海道本線の夜行快速「ムーンライトながら」または増発版の臨時大垣行き夜行に乗ると最も効率がよい。しかし私はいつも利用不可能。別に甲府に住んでいるからが理由ではなく、いつも夜勤明けで出発するから。ムーンライトながら号が走っている時間帯には、まだ私も仕事をしている。だいたい朝5時頃に仕事が終わり、その後にやっと旅に出れる。これは仕方がないこと。というわけで、今回も昼間の各駅停車をえんえんと乗り継いでまずは大阪を目指す。大阪を深夜に出る四国ゆきフェリーに乗れればよいので、各駅停車でも時間的には超余裕で、名古屋からわざわざ関西本線・草津線経由にして時間調整をする。草津線は7両で意外に長かった。大阪駅からは地下鉄などの市内交通を乗り継いで大阪南港へ。結局、ほぼ移動のみで終わってしまったがまあいい。もともと夜勤明け(=建前上、勤務日)なので、別に貴重な公休日を無駄に過ごしたというわけでもなく、またたとえ甲府から朝一番の列車で一気に最短経路で四国を目指しても、四国入りは日が暮れる頃で一つの路線も明るいうちに踏破できなく、無意味。宿泊費をかけて1泊して翌朝ようやく踏破チャレンジできることになる。それならのんびり出発して、目的地に早朝到着の夜行フェリーや夜行列車につなげた方がずっと効率的。各駅停車しか使えない青春18の旅とは、こんなもの。とにかく時間がかかるのだ。
*2日目・四国の東南端から西端までのんびり鈍行紀行。[1998年8月2日]
四国内のみで走っている121系電車
旅程:(大阪南港から)——04:20甲浦港・・(徒歩30分)・・甲浦駅
甲浦6:36—阿佐海岸鉄道—牟岐—牟岐線—徳島—高徳線—高松—予讃線—観音寺—予讃線—松山—予讃線・内子線—宇和島 宇和島ユースホステル泊。
釣り客らで好乗船率の土佐清水あしずり港行きフェリーでたった5時間ほどの仮眠後、甲浦港(かんのうらこう・高知県東洋町)に接岸し下船。夏でもまだまだ夜は明けない早朝4時すぎの港町がにわかに活気づく。フェリーはたった10分で土佐清水に向け再び出港していったが、港は釣り人が準備を始めたり、フェリー接続の高知行きバスが出ていったりと賑やか。こんな時間なのにもう一部のお店も開いている。さすが。私はそこから2キロも離れた所にある、阿佐海岸鉄道の甲浦駅へ徒歩で向かう。駅への案内看板があって迷うことはないけど、ふだんは2キロも歩くことはないのでけっこうくたびれてやっとこさで駅へ。完全な町外れでなぜこんな所に?港の近くに造れなかったのか?と思う。しかしこの鉄道は今の所は甲浦が始点・終点だが、将来的にはずっと西へ伸びて建設中のとさくろしお鉄道と接続し高知市まで達することになっている。そのため町の中心・甲浦港の方へ寄ると線形が悪くなるのだろう。今時点では非常に不便だけど。
今回の四国乗りつぶしの四国内の起点は、ここ甲浦。JRではなく第三セクターの新線・阿佐海岸鉄道の駅である。四国の東南端に位置する行き止りの駅で、夜行フェリーでうまくアプローチできて効率がよい。阿佐海岸鉄道は第三セクター線なのでJR踏破が目的の旅には別に乗らなくてもいいのだが、これに乗ると2駅でJR牟岐線の海部に至る。ここから片道乗車のみで牟岐線を踏破できるのである。アプローチもJRにすると、牟岐でおり返さないといけない。
さて、甲浦発の一番列車は6時36分、よって5時すぎに駅に着いて1時間半もホーム上でなんとかヒマをつぶす。6時30分ころに回送で入線、さっそく乗りこむがもちろん私の貸し切り。こんな町外れでは、乗る必要がある人は本当に僅かであろう。クルマに乗れないのならバスに乗ればいいし、それに甲浦の次の駅は県境を越えた徳島県である。それほど越境した交流があるとは思えない。いまのところ存在意義は薄い阿佐海岸鉄道である。(たぶん、甲浦駅の乗降は1日300人に満たないと思われる。)高知まで達すれば利用者が激増するかもしれないけど。ともあれ、発車。夏休みの朝のせいか徳島県に入った次の宍喰でも乗車なし。その次はJR牟岐線と接続する海部(かいふ)であり、そこで阿佐海岸鉄道はおしまい。8.5キロのミニ鉄道の旅であった。
海部では2分接続で牟岐線の徳島行き普通列車が発車。よっていったん下車するヒマはまったくなかった。少々残念。青春18きっぷはここから使用するので車掌に頼んで日付を入れてもらう。車両はキハ47の2両。四国内では比較的珍しいディーゼルカーだ。夜行フェリーの疲れでウトウト。トンネルが意外に多く思ったほど海が見える路線ではないようだ。駅ごとに通勤客が増えて、軽いラッシュのようになり、9時1分徳島着。クルマでは2回来たことがあるけど、鉄道では初めての徳島県の県庁所在地。真夏の日差しのせいか、とても明るい雰囲気の街。南国・九州の鹿児島とか宮崎と似たような印象で、フェニックスがよく似合う。駅構内はディーゼルカーのエンジン音が響いてわりあいソウゾウしい。
駅構内で手作りパンをゲットして9時42分、高徳線の高松行きで徳島をあとにする。新型車キハ1000の2両で、電車と遜色ない強烈な加速にびっくり。よほど強力なエンジンを搭載し、しかも粘着力に優れ空転が少ない工夫をしているのだろう。座席もとてもゆったりしていて、好印象を受ける。でも、高松までは74キロの道のりに2時間14分もかかった。車両性能のわりには超鈍速。ずっと単線のせいで各所で交換待ちをするため。仕方あるまい。
高松ではやはり讃岐うどんを賞味。駅構内の立ち食いでもなかなかの味。そしてマリンライナーで坂出へ。ここからはひたすら予讃線の鈍行(各駅停車)で西進。新型車ばかりで冷房の効きもよく、しかも空いているので乗っているだけではけっこう快適だが、こま切れ列車が多くて乗り換えるたびに冷房のない暑〜い駅で20〜30分待たないといけないのが難点。四国の夏はもちろん猛暑で、そういう乗り換え駅ごとにアイスを求める。高松から3回乗り換えて松山へ。さらに予讃線を西進、宇和島を目指す。鉄道地図を見ればわかるが、松山の西・向井原から伊予大洲まで予讃線は2つのルートを持っている。伊予長浜を経由して海沿いをゆくのが以前乗ったことがある旧線で、山側をゆくのがメインの新線で内子から新谷までは内子線となる。今回はもちろん山側ルートを乗らないといけない。ロングシートの小型車キハ32の2両で、夕ラッシュで少々混んでいる。松山から24分で向井原、ここからいよいよ新線だ。とたんに直線とトンネルが続く新規格の線形に変わり、キハ32も最高速度の95キロ運転が続く。山の中でも駅ごとに意外に乗降りが多い。内子から新谷までは内子線。この区間は昔からあったのでゆるいカーブがつづく。新谷からは1駅だけまた新線になり、駅間で旧線と合流して伊予大洲へ。これで予讃線と内子線を踏破した。さらにここから特急に乗り(理由は後述)40分列車に揺られて宇和島へ。高松からはるか300キロの四国の果て、鈍行で来ればさすがに「はるばる」という感じだ。郊外にあるユースホステルを予約してあるので、夕飯をスーパーで買ってタクシーで向かった。駅からユースまで約3キロ・870円也。
*3日目・中村のトンボ館とトロッコ列車をエンジョイ。[1998年8月3日]
3日目はじつはJRの新規踏破はなく、最近の(踏破に熱中している)旅では珍しく遊んでしまった。第三セクターの土佐くろしお鉄道を踏破したのみ。あとは観光と翌日へのアプローチであった。甲府からはとても行きずらい遠方の地域で行く機会が少ないので、観光をしてもよかろうと考えたのである。
朝8時ユースホステルを出て、歩いて宇和島駅を目指す。ユースは市街地を見渡せる高台にあり、駅に行くにはずっと下りなので楽なはずと思ったのである。実際その通りで、しかも歩行者専用の遊歩道があってタクシーよりも大幅にショーカット。駅まで自動車が通れる道の約半分、1.5キロほどで20分かからずに行けた。だが、今日は宇和島から鉄道に乗らずにバスで宿毛(すくも・高知県宿毛市)を目指す。バスターミナルは駅から少し離れており、場所を通りかかったOLさんに尋ねたら一瞬警戒されたが(ナンパと思ったの?まさかあ。)、質問内容が理解できると親切に教えてくれた。そして観光バス並みの仕様の宇和島自動車のバスで国道56号を快走。日本一周でも走ったことがある南国の快適な道。宇和島から約2時間で宿毛駅到着。
なお、本日は青春18きっぷを使わない。「四万十・宇和海フリーきっぷ」というJR四国独自のフリーきっぷ。大ざっぱに書くと、片道乗車券の変形というべきタイプのきっぷで、基本は松山から高知までの特急に乗れるJR券だが、途中の宇和島・窪川間にフリー区間が設定され、この中ではJR予土線・土佐くろしお鉄道および宇和島〜宿毛間のバス(宇和島自動車)に乗り放題。昨日のうちに徳島駅で購入し、特典をさっそく生かして伊予大洲〜宇和島間を特急「宇和海」に乗っている。そして宇和島からバスに乗って宿毛までこのきっぷで乗ったのである。4800円と安いし、お得でなかなかのアイデア商品である。このあたりを観光するにはピッタリで、けっこう人気商品だと思う。
宿毛からは開通してまだ日が浅い土佐くろしお鉄道宿毛線で中村へ。トンネルの多い新線で、並行する国道に比べて大幅にショートカットして速いらしく、利用者が予想以上に多い。1両のディーゼルカーに100人以上の乗客を詰めこんで快走。中村まではわずか27分。以前はバスで1時間かかったので確かに速い。
中村では駅前でレンタチャリを借り、南国の強い日照りの中を4キロ先のトンボ館に向けて急いで駆けた。列車の乗り継ぎ時間の1時間40分の間に見学しようという魂胆である。中村市のトンボ館はじつは長い間の憧れであった。以前、日本一周の時に通ったことがあり、すばらしい外観に感動した。あいにく閉館期間中で見学ができず、いつの日かまたと思っていたのである。こんどはもちろん夏休み中なので開館中。入場料420円也。予想通りにすばらしい施設で、トンボの標本や生態のジオラマはもちろんのこと、チョウやガの充実した標本などもある。水生動物・植物を実際に飼育している水槽もある。そして屋外にはトンボが集まる湿地の広場もある。行ってみるとトンボに好適の環境なのか、自然のトンボが空から降りてきて集まってゆうゆうと飛び交っている。私は鉄道マニアだけど、大学では農学をやったので生物にもとても興味があり、この手の博物館・科学館は大好き。本当に来てよかった。しかし1時間ちょっとではじっくり見れなかった。列車を1本遅らすわけにゆかずにギリギリまで粘った後、またレンタチャリを猛スピードで飛ばして中村駅へ。時間が恨めしく思った。またまた来るのがよろしいか・・。(トンボ館についての詳しい情報はここの 直通リンク でどうぞ。)
あっという間の1時間40分、チャリを返して中村駅に駆け込み、発車3分前の列車へ。土佐くろしお鉄道中村線にて窪川まで移動。窪川ではJR予土線のトロッコ列車「清流しまんと号」がお待ちかね。予土線は高校時代に乗ったことがあるけど、その後に登場した名物のトロッコ列車に乗りたくなって来た。今回は予土線で宇和島に抜けずに、江川崎でトロッコを下車、上りの普通列車でおり返して再び窪川に戻ってくるプランである。「清流しまんと号」はロングシートのキハ54の1両に貨車改造のトロッコがぶらさがった2両編成。始発の窪川ではトロッコに乗せてもらえなく、途中の十川(とおかわ)—江川崎間だけ乗車可となっているのでまずはキハのロングシートに座る。最初から乗れないのは、乗客を乗せたトロッコでは高速運転ができずに最高45キロしか出せなくて、大幅にダイヤが変わっていろいろと支障が出るため。それはいいとしてもせっかくの四万十川を眺めるのにロングシートなのは不便で興ざめ。夏の観光シーズンだけでも他の線のクロスシート車とそっくり入れ替えて運用できたらいいのに、と思った。同じ考えの方も多かろう。
窪川から四万十川沿いに北上し、約40分で十川。アロハシャツを着た車掌のアナウンスでトロッコ券を持った客がぞろぞろとトロッコ車へ移動。そして走り出す。本日はトロッコ車ほぼ満席。落石等から乗客を守る屋根と側面の鉄枠はあるが、窓ガラスが全くなく、本当にフルオープンなので時速40キロ位でノンビリ走っても列車風がけっこう入ってきて涼しい。並行する四万十川に目をやると河原でたくさんの人がキャンプや川遊びをやっていて、こちらに手を振る人も多い。「日本最後の清流」として大人気の四万十川である。河原の人々はずっと途切れることがなく、交通不便なこの場所によくぞ来るものだ。半家(はげ!)という変わった駅名の駅に停車。子供は面白がって「ハゲ!ハゲ!」と叫ぶ。そして走りだし、いくつかのトンネルを抜けて冷風を浴び、江川崎に到着。列車はこの先宇和島まで行くがトロッコ乗車区間はここまで。二十数分しかトロッコに乗れないのはちょっと短すぎて残念だ。トロッコ車の客は再びキハへ移動し、私はここで下車した。
駅前の小さな商店でパンを買い、20分ほど待って上り窪川行きがやって来た。またしてもロングシートのキハ54の単行。こんどはトロッコを連結していないせいか運ちゃんひとりのワンマン運転で、車掌が陣取る後部運転台付近には山登りやキャンプをしてきた若者の大量の荷物が積み上げられている。いかにもレジャーの列車という感じで、地元の人は肩身が狭そうだ。空席をなんとか見つけて座り、荷物を大量に積んだまま1時間走って窪川着。私は土佐くろしお鉄道の特急に乗ってさっきトンボ館で遊んだ中村へまた向かった。本日は高知市内に宿泊するつもりで、窪川から高知までは特急で1時間あれば着いてしまう。まだ日の暮れない夕方6時前で、時間的に余裕なのでいったん逆方向の中村へ向かい、温泉を目指した。中村駅より500メートルほどの場所に「かんぽの宿」がある。ここには天然温泉があり、400円で日帰り入浴可。さらりとしていいお湯で1時間ほどノンビリ浸かり、また中村駅に戻って中村19:00発の特急「しまんと18号」で高知へ。もちろん例のフリーきっぷなので特急料金不要。めったに乗らない振り子式車両のせいか珍しく車酔いしそうになった。高知に20:39到着。駅前には宿が少ないので路面電車で繁華街に向かい、その中のカプセルホテルに投宿。明日は5時前に出るので通常のホテルではもったいなく、3000円のカプセルで充分だ。
*最終日4日目・高知から徳島・明石海峡大橋経由で甲府までノンビリ帰る。[1998年8月4日]
最終日。近頃では稀な早起き、カプセルをなんと早朝の4時50分に出て、高知5:22発の土讃線・阿波池田行き普通に乗りこむ。夏なので夜は明けているけどこんな早朝では高知の街はまだ起きていなくて静か。キハ28・58の「急行編成」の2両の阿波池田行きがもうもうとエンジンを唸らせて発車。早朝でさすがに乗客は数人だけ。青春18きっぷ利用の私にとってはこの列車が高知から甲府へ1日で到達できる唯一の列車で貴重。土佐山田から阿波池田まではずっと四国山地を縦断する山越えの区間で、急カーブと急勾配が約70キロにわたって連続する全国でも有数の難路。わが列車はここを2時間もかけてようやく克服するけど、最近の特急はこんな難路でも平均速度80キロ以上で駆け、鉄道技術の進歩を知ることができよう。それにしても昨日乗ったようなトロッコ列車をこの土讃線の大歩危付近に走らせたらもっと面白そう。スリルは四万十川の2,3倍はありそうだ。(その後実現されている。)
阿波池田7:51着。徳島線の徳島行きが隣りのホームに待っており、わずか1分接続で発車。こんどは新型キハ1000の2両で、吉野川づたいに比較的平坦な鉄路を快走。土讃線のキハ28・58と入れ替えたら?と思う。穴吹あたりからは吉野川が下流になって、谷から平野に変わり、肥沃そうな農地や人家がぐっと増える。徳島市のベットタウンでもあるのだろう。そして都会的風景になった佐古(さこ)で下車した。1つ先は徳島だが、ここは徳島線と高徳線の分岐合流駅となっているため、自分ルール通り敬意を表して下車。本当は阿波池田側も、徳島線と土讃線の分岐合流駅である佃(つくだ)でいったん下車すればよかったのだが、そちらは時間的に無理であった。
佐古は真新しい高架駅。ここで徳島には行かずに約20分待って逆方向の鳴門行きに乗車。これで鳴門(なると)まで行って鳴門線を踏破すれば、JR四国線完全踏破ということになる。いよいよ大詰め。キハ47が2両でノコノコやってきた。3駅先の池谷(いけのたに)までは高徳線を走る。池谷から鳴門線。1分停車のため残念ながら分岐駅でいったん下車できず。わりあいごみごみした路地のような所を最高70キロくらいで地道に走る。そして教会前という、市内電車の停留所名のような駅を過ぎ、10:39に鳴門到着。やったー、無事JR四国線を完全乗車!これであとは甲府に帰るのみ。
鳴門線は行き止り線であるが、私はおり返さず、このまま東進する。鳴門駅の観光案内所で高速鳴門バス停(鳴門撫養)の場所を教えてもらう。約2キロなので歩くのはしんどく、市内バスを待つ。意外にも5分後にバスがあった。3つか4つ先になると、大鳴門橋の下に来てああここかとすぐに分かった。そして道路脇には鳴門競艇の大駐車場。競艇の開催日にはちゃっかりとタダの臨時バスに乗ってもよさそうだ。
1998年に明石海峡大橋が開通し、淡路島内にも立派な高速道路が全通して既存の大鳴門橋と結ばれ、大阪・神戸〜明石海峡大橋〜淡路島〜徳島間は道路交通における本州四国間連絡のメインルートとなった。鉄道が開通しなかったのが残念ではあるが。しかしこのルートには高速バスが5分〜10分間隔で頻繁に走っていて、クルマがなくても大変便利である。多くは大阪・神戸・舞子〜徳島間の高速バスであり、その全てがここ鳴門撫養(なるとむや)に停車。市街地から離れた高速道路上のバス停なのだが、高速バスの頻繁さがウケて利用者が多い。私がそこに行った時も30人以上がバスを待っていた。高速道路の下には、下車客目当てのタクシーまで数台も待機。こんな光景はかなり珍しい。
10分も待つこともなく、学園都市駅(兵庫県神戸市)行きの高速バスがやってきた。30人も待っていても、乗ったのは私と他に2人だけ。みな大阪行きを待っているらしい。キップは乗車時に買える。しかし、舞子(兵庫県神戸市)まで乗車距離80キロ程度なのに、2450円とかなり高い。明石海峡大橋の通行料が高額なのだろうか。頻繁で便利だがもう少し安いといいのにと思った。さて、バスはすぐに大鳴門橋を渡り、淡路島へ。島内ノンストップで駆け抜け、40分くらいで明石海峡大橋にさしかった。6車線なのでだいぶ大きな橋で、周囲の海(明石海峡)を圧倒。だいぶ高い所に架かっているようで、かなり大きいはずの橋の下を通過する貨物船がずいぶん小さく見える。なんとも、空を飛んでいるようだ。よくぞ造ったものだ。
明石海峡の本土側に渡ってすぐが高速舞子バス停。ここで下車。すぐ直下がJR山陽本線と山陽電鉄の舞子駅。ただし位置は本当に直下だが、橋がとても高い所に架かっているので地平の駅に降りるまでエスカレーターなどで数分もかかる。デパートの10階から1階に降りるような感じ。やっとこさ舞子駅へ。
舞子からはもちろん青春18きっぷの鈍行列車乗り継ぎ旅。舞子から京都まで快速列車でゆき、京都で約2時間の大休憩。朝がだいぶ早かったのでこんな時間が取れる。駅ビル10階のゲームセンターに直行。「電車でGO!」に1時間半もはまった。自宅のゲーム機でやるよりも、ゲーセンでみんなに見て注目してもらうの方がずっと楽しい。そして京都16:05発の新快速で帰路へ。名古屋・塩尻経由で4回のりかえて甲府23:41着。高知から約800キロもの旅路なのだが、大休憩をしたりしてずっと乗り詰めでなかったせいかあまり疲れなかった。(終)
(1)最初は身近な東海地方へ。 (高山本線・名松線) (2)関西・山陰ウルトラ乗りつぶし旅 (福知山線以下12線) 前編 (3)関西・山陰ウルトラ乗りつぶし旅 後編(木次線・山陰本線など) (4)東北・落ち穂拾い紀行(釜石線・利府支線・石巻線ほか) (5)北陸地区完全踏破・周遊きっぷ初使用の旅(北陸本線ほか) (7)冬の北海道・最後の4線乗りつぶし(日高本線・石勝線ほか) (8)九州踏破の旅・写真館(後藤寺線・指宿枕崎線など) (9)最後の4線踏破、国鉄・JR線全線完乗の日
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