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榎本星布

『蝶の日かげ』


寛政12年(1800年)秋、 星布芭蕉句碑 を建立した記念集。

芭蕉句碑


蝶の飛ふはかり野中の日かけかな

寛政十二庚申歳 八月上浣日建之 松原菴星布

同年12月、子息喚之没。

享和元年(1801年)8月、李好刊。 重厚 序。光廸跋。

女もすなる俳諧歌に生涯心を委ね、終に宗匠のひとりと呼ばるゝ松原庵星布その道の冥加をつくなはんとて、蝶のとふはかり野中に芭蕉翁の日影塚をいとなミ、あさよさに誰かれかわるかわる 菜畑に花見かほなる雀かなおきよおきよワか友にせんぬる胡蝶 とうち吟しつゝ、 さまさまのことおもひ出て長き日をさいつりたらぬ雲雀かな と草履のしりおりてかへる、あくれハまた はつさくらさいわいけふハよき日かな 、命ふふくなかに活きたるさくらと興に乗して、 ひはりよりうへにやすろふかけらふの我かたにつくかみこひとつぬひてうしろにおひぬ 、ある時ハ懸にくらくいはらをつかミ、 いなつまにさとらぬ人 をうらやミ、 やかて死ぬ気色もしらすものいへハ唇寒し となんと祖翁の吟を称名に擬してかの法会をいとなむものハ、星布か子喚之の男とそいふなるめり。

重 厚

ねかひ得し秋の日影や碑の面
   星布




 信戸倉
梅に来て月出る間を老にけり
    乕杖

 武妻沼
長閑さやうこくともなき江の柳
    角浪

 信上田
野こしする人のうしろや春の風
   雲帯

 信上田
家々や十ツゝ十もつはめの子
    如毛

 江戸
春の水春のさゝなみいつこまて
    完来

 信上田
富士のやま花より花をはなれたり
   麦二

鷹それて桜を恋のはしめ哉
   星布

 甲藤田
なてしこにはけしき日かけかかる哉
   可都里

 武妻沼
おもふ夜や衣かへせハ飛ほたる
    五渡

 上毛草津
捨鶏ハ柳に寝たり夏の月
    露白

 武飯能
短夜や漏刻既に暁の月
   轍之

 相大山
葉桜に世を捨心くらへけり
   宜(ママ)

 武八王子亡人
花ハむかし世ハミな月の臺なり
    喚之

 奥本宮
名月や西に東に北の人
   冥々

   むさし野にあそひて

 江都
暁を野ら巣ならめのちの月
   牛(ママ)

 尾名古屋
いくほとの世をあさ顔の松の枝
    士朗

 上毛小保方
つくつくとかしこまりけりけさの秋
   詠帰

 江都
秋ハたゝその日かきりの花もさく
   其堂

 奥本宮
啼なから蝉なかれけり秋の水
   露秀

雪の柳日すから鳥の影見せす
    重厚

 相大磯
翌をまつ匂ひをのこせ帰花
    葛三

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