このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください
建部巣兆
巣兆の句
霜の聲閑屋の槌をうらみ哉
『潮来集』
かへるさに松風きゝぬ花の山
『衣更着集』
関の戸にほのほの見ゆる糸瓜かな
『春秋稿』（第六編）
我宿ハさくら紅葉のひと木哉
『春秋稿』（第六編）
しはしとて袴おしぬくこたつ哉
『はなのつと』
芹生にてせり田持ちたし春の雨
あたら菊をつますは花に笑れん
『春秋稿』（編次外）
晨明の月より春ハまたれけり
『黒祢宜』
芹生にて芹田もちたし春の雨
『波羅都々美』
夏の菊皆露かげに咲にけり
『ななしどり』
ひたひたと田にはしりこむ清水かな
『つきよほとけ』
いくとせも花に風ふく桜かな
『風やらい』
鶯の屋根から下る畠哉
『享和句帖』（享和３年５月）
柞原薪こるなり秋の暮
帆かけ舟朝から見えてはなの山
『鶴芝』
とくとくの水より青き若葉哉
『むぐらのおく』
いくとせも花に風吹櫻かな
『寢覺の雉子』
さお姫の野道にたてる小はたかな
『有磯蓑』
馬かりて伊香保へゆかんあやめかな
『頓写のあと』
煤竹もたわめば雪の雀かな
『続雪まろげ』
みかさと申宮城野に遊て
木の下やいかさまこゝは蝉ところ
『おくの海集』
高ミから見ればはたらく案山子哉
『曽良句碑建立句集』
稲かけし老木の数や帰花
『萍日記』
花桶もいたゝきなれし清水哉
『苔むしろ』
あし鴨の寝るより外はなかるべし
『繋橋』
大竹に珠数ひつかけし時雨かな
『しぐれ会』（文化５年刊）
啼け聞ふ木曽の檜笠で時鳥
『玉の春』
湯車の米にもなれて今朝の秋
『古今綾嚢』
冬枯のなつかしき名や蓮台野
『しぐれ会』（文化６年刊）
時雨るゝや火鉢の灰も山の形
り
『遠ほととぎす』
涼むなりかねつき坊が青むしろ
『菫草』
爺婆ゝの有がたくなる木葉哉
『物の名』
こそこそと夜舟にほどく粽かな
『続草枕』
はせを忌や笑ひあふたる破れ傘
『しぐれ会』（文化７年刊）
曲りこむ藪の綾瀬や行螢
『物見塚記』
古郷やとうふ屋出来て春雨
時鳥まだ見に来ずや角田川
『随斎筆記』
舟曳や五人見事に梅を嗅
『
俳諧
道中双六』
遠くから見てもおかれぬ桜かな
二年子の大根の原やなく雲雀
『名なし草紙』
はつ河豚や無尽取たるもどり足
『なにぶくろ』
ほし葉
（ママ）
釣壁をたゝけはかさかさと
『栞集』
手拭で狐つらふ
（う）
ぞ花の山
『株番』
蓮の根の穴から寒し彼岸過
『信濃札』
うそ鳴や花の霞の山中に
『木槿集』
梵論の行ふもとしづかに落葉哉
『世美冢』
名月や小嶋の海人の菜つミ舟
『青かげ』
谷へはく箒の先やほとゝぎす
『三韓人』
見し人の鍋かいて居る清水哉
『的申集』
御寝ならば裾になりなん嶺の月
訪るゝも訪ふも狭筵月一夜
『さらしな記行』
朝露や鶴のふみこむ藤ばかま
『小夜の月』
春は猶曙に来る片鶉
『阿夫利雲』
菜の花や染て見たひは不二の山
『雪のかつら』
萩咲て夫婦のこことかくれけり
『しをに集』
芦鴨の寝るより外はなかるへし
『わすれす山』
時鳥まだ見に来ずやすみだ川
酒のみをみしるや雪の都鳥
『墨多川集』
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