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子日庵一草
『潮來集』(一艸編)
潮來集巻之一 | |||
懐旧之誹諧(ママ) | |||
旅人と我名呼連んは津時雨 | |||
鳥はすみかに籠る冬艸 | 一草 | ||
歸路に自隼を訪ふとありし | |||
鹿島紀行
の言葉を聞きて | |||
自隼 | |||
塒せよ藁ほす宿の友雀 | |||
秋を込たるくねのさし杉 | 桃青 | ||
月見んと汐ひき登る船留て |
曽良
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日はあり鐘のちさく聞ゆる | 一草 | ||
潮來集巻之二 | |||
冬 | |||
江都 | |||
時雨しと浦人申くもりかな |
長翠
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夜の雨はしめ終をしくれけり |
白雄
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山はしくれ大根引へく野になりぬ |
也有
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時雨ねは鳥は寝られて浦の家 | 一草 | ||
象潟
蚶満寺
にて | |||
古人 | |||
志くるれは蚶ころひけり石の間 |
美丸
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古人 | |||
三日の月しくるゝ雲になくひ鳬 |
路丸
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南部 | |||
時雨きや篠にこほるゝ蔓さゝけ |
扣角
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秋田 | |||
振そむる雪や闇より松の形 |
五明
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雪の夜や焼火に動く壁の煤 | 一草 | ||
上野の旅行に
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馬士の家にひかれてきたり雪の暮 |
存阿
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江都 | |||
霜の月山の中里さしおろし |
みち彦
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ゝ | |||
人を見てまた眠りけり霜の靏 | 宗讃
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ゝ | |||
木さゝけにいさよふ霜の朝日かな |
葛三
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江都 | |||
霜の聲閑屋の槌をうらみ哉 |
巣兆
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鴫立沢 | |||
霜の原二人となりてなかめけり |
柴居
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下総 | |||
龍謄の風にうこきぬ原の霜 |
雨塘
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江都 | |||
簑虫の身のあせもせて歸り花 |
成美
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京 | |||
月うつる影かくしけり紙衾 |
闌更
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こからしや二葉吹わる岡の麥 |
青蘿
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尾張 | |||
凩に隣のほしき日暮かな | 臥央
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白石 | |||
榾の火に影なくなりぬ壁の月 |
乙二
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南部 | |||
桐火桶人來て閑を奪ひたり |
素郷
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仙台 | |||
打はこそ鳴とこたゆれはち叩 |
白居
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潮來集巻之三 | |||
夏 | |||
十日ほと淡路をさらす時鳥 |
暁台
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八王子 | |||
木懈に雨はこふ音やほとときす |
星布
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仙台 | |||
しつまりて待や遠音の杜宇 | 巣居
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みしか夜や芒生そう垣のひま |
蕪村
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鎌倉女 | |||
短夜に稗蒸ひまの夢もかな | 仙鳥 | ||
八王子 | |||
螢ひとつ秋しる夜半に似たる哉 |
喚之
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江都 | |||
背くゝまり花見て廻る牡丹かな | 亀文
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常陸 | |||
日の沈む上に月ありかきつはた |
翠兄
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京 | |||
明星に花立すさむ葵かな |
丈左
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武吹上 | |||
琴うちか宿なる桐も花咲し | 喬駟
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上毛 | |||
手すさみに作りしさゝけ長きかな | 如寉
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大阪 | |||
罌粟いろいろ散には品もなかりけり |
二柳
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尾張 | |||
植て去る山田を鹿の通りけり |
士朗
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すこやかにかはゆかりける
成美
の | |||
小娘のあはたゝしくうせて | |||
二七日はかりに申つかはす | |||
合歓の夕その子とゝきし枝やそも |
みち彦
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古人 | |||
火串のみ見へて月なき山の形 |
輦砂
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みちのおく名取の里に名のみ | |||
残りし
藤中将の墳
にて | |||
西上人のかたみとそ見ると | |||
詠ける草のほとりに立よりて | |||
たち葉折葉しるしの芒さみたるゝ | 一草
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京 | |||
夕風に流れ咲する花藻哉 | 百池 | ||
武八幡山 | |||
白雨や月になる夜の捲すたれ | 涼化 | ||
信中 | |||
夕たちや山わかれせし鷹二つ | 柳荘
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甲府 | |||
涼しさやふたゝひむかふ結ひ雲 |
可都里
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古人 | |||
手を伸て老をおとろく蓮かな |
來翁
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秋田 | |||
かゝる日を花にたもてり夏の草 | 渭虹
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潮來集巻之四 | |||
秋 | |||
南部 | |||
朝かほの夫さへ風に裂れたり |
鷄路
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京 | |||
遠里や稲葉の末の揚燈籠 |
蝶夢
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鮫洲松原庵にて | |||
むかひ火や上総へむけは月の出 |
鳥酔 | ||
蜘の巣の夕霞淋し羅生門 |
重厚 | ||
本宮 | |||
浅氣生や露の上ゆく図両 |
冥々
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江都 | |||
笈の灯の虫にけされて松の月 | 菊明
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越後 | |||
けふの月見つめてしはし露けり |
桃路
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姨山
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童のこよひのさらしなや西上人 | |||
旅寝をしたひまさに祖翁の | |||
面かけをかなしふ | |||
人かはり月をすかたの秋の山 |
長翠
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信中 | |||
月清しけふの命のやすからて | 雲帯
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古人 | |||
唯一羽夜さむのからす鳴にけり | 西奴
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尾張 | |||
物のあはれしれはそ秋の寝覚から | 羅城
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江都 | |||
遊く雲や狗蓼さそふ秋の水 |
烏明
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ゝ | |||
はつ汐や篝火こゆる都鳥 |
完來
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(※「篝」=「竹」+「冊) | |||
高館
にて | |||
山そひへ川なかれたり秋の風 |
蓼太
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下総 | |||
利酒のきゝ巡りたり秋のくれ | 既酔
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僧 | |||
野菌やくけふりなりけり秋の暮 | 遲月
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信中 | |||
鴫立てのち鴫と知る夕かな |
麥二
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近江 | |||
三井寺の兒髪そりて後の月 |
沂風
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潮來集巻之五 | |||
春 | |||
萬歳の烏帽子はつれの白髪哉 |
雨什
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武毛呂 | |||
はるさめや家に鼠のふへ安き |
碩布
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駿河 | |||
はるかせや雲ほし気にそ裸不二 |
官鼠
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小田の蛙鳴尽してやもとの水 |
平角
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みち彦 | |||
梅さくらあゐさくも桃の手から哉 | 妻 | ||
人恋し灯と母しころを櫻ちる |
白雄
| ||
やよひも廿日阿まり
巣兆
か | |||
千住の栖を訪ひて花の名殘をおしむ | |||
蜂蝶淺草のかね耳をかかして | |||
日のかたふくまて物かたりす | |||
ゆく春や奥街道を窓のまへ |
成美
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