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■ 鉄道紀行 ■

第4回


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2月23日(木)
 いいかげん、この朝食にはもう飽きた。小さ目の食パンにバターとジャムを塗るか、ハムとチーズを挟んで食べるか、その違いだけなんだよね。ご飯と味噌汁と海苔と卵と焼き魚が食べたい!

 さて、今日の予定はまだはっきり決まらない。やっぱり船でスタバンゲル(Stavanger)へ行こうかな。いちおう、そういうことにして港へ行く。トーマス・クックの時刻表には次の船は13時00分発となっているが、港の表示は13時30分発。案内所で予約がいらないことを確かめてから、またまたベルゲンの街へ。今日はもしかしたらと思って青空市場へ行ってみたけど、やっぱりほとんど店がない。そのかわり日本人女の子2人組に会った。これから列車でオスロへ行くとのこと。数分間思いっきり悩んだけど、やっぱり船に乗ることにしてその2人と別れた。
 次に街外れの水族館へ。そんなに広くはないんだけど、英語の説明を辞書と首っ引きで読むからけっこう時間がかかる。もうやめた! 魚の顔だけ見ておこう。
乗船券

 そろそろ時間だ。街中へ戻り、両替と、昼食用のパンを買って港へ。スタバンゲルまでの乗船券を買う。学割で、と言って国際学生証を見せたら半額になった。186NOK(約3,700円)也。

 なぜボクが女の子を振って(?)までもこの船にこだわったかというと、どうしても海上からフィヨルドを見たかったからなのだ。スタバンゲルはベルゲンから南へ160kmの所にある。その間、フィヨルドによってできた島をぬいながら行くのだ。これは思いっきり期待できる。

 定刻の出航。100人乗りぐらいの高速船だが、中には売店もある。乗船率は50%ぐらいかな。左側にはフィヨルドの海岸船が続いている。時には右側にも。もちろん、岩肌には雪。その上、この船けっこう飛ばすから、景色が次々と移り変わる。なかなかよろしいんじゃない?と思ってたら船が揺れ始めた。それでもスピードは落ちない。しぶきもすごくて、一瞬、窓の外が水だらけになる。
 そうこうするうち、いくつか目の寄港地に着いた。けっこう降りるんだな。あれ? 残るのは2、3人か。あれ、ボクだけ?と思ってたら売店の女の人が、
"Do you speak English?"
そして、ここであのバスに乗り換えろと外を指差した。なるほど。
 このバスからの景色がまた良かった。時には海岸を、時には牧場の中を、約1時間走った。そして、16時00分、ハウゲスン(Haugesund)という所からは再び船に。さっきのより古い感じ。ところが、である。この船がまた飛ばす飛ばす。荒波もなんのその。おかげで売店の皿は割れるは女性は悲鳴を上げるは、とにかくすごい。このまま船が転覆したら、日本のニュースで、
「なお、この船には日本人観光客が1人乗っていた模様です。」
なんて言われるんだろうな。とうとうボクも有名人か。しかし、幸か不幸か、船は無事に、しかも定刻通り17時55分、スタバンゲルに到着した。
 港から駅までは3回も道を聞いた。天井が高く広い駅舎には、蒸気機関車が展示されていた。ここから22時00分発のオスロ行きの夜行に乗る。1等寝台車、2等寝台車、1等車、2等車、荷物車から成る快速列車である。

2月24日(金)
 大合唱で目を覚ます。列車はまだ走っている。夜中だ。何なんだ、こいつらは?学生の団体みたいだけど、何の歌かでっかい声で歌っている。しかもこの団体、真夜中の途中駅で降りていったのだ。駅の周りに明かりはない。車内は静けさを取り戻した。夢でも見ていたのだろうか。ボクは再び眠りに落ちた。
 朝7時13分、3日ぶりにオスロに戻って来た。今日のオスロも晴れている。今日はこのまま8時20分発の快速オンダルスネス(Andalsnes)行きに乗り換える。この列車も乗車率がいい。
 ところで、NSBの車両に乗る度に思うんだけど、どうも窓と座席の配置がずれてる。日本でもアコモ改造なんかでボックス式の座席を2人掛けに変えた車両がそういう感じだ。運が悪いと窓と窓の間の座席が当たってしまい、悲惨なことになる。
オンダルスネス駅にて
 さて、今日はまともな座席が当たり、ノルウェーの森の中を行く景色を眺めているうちに、13時08分、ドンボス(Dombas)に着いた。ここで電気機関車をディーゼル機関車に変え、支線に入る。ここからはフィヨルドに沿って海の方へ向かう。
 少し長めのトンネルを抜けると、列車は空中に投げ出されるようにフィヨルドの崖の上に出た。うーん、演出効果抜群!
 終点のオンダルスネスには定刻14時42分に着いた。ここはオスロから北西へ450kmほどの所。今日はここから西へ120kmの海岸にあるオーレスン(Alesund)まで行く。接続のバスがプラットホームにまで入って待っていてくれた。14時50分発。
 初めは右側にロムスダール(Romsdals)・フィヨルドが見えているが、山を越えると左側にガイランゲル(Geiramger)・フィヨルドが見えるようになる。このフィヨルドが外海とつながっている所にあるのがオーレスンである。17時10分に到着。
 ガイドブックに「セントルム・ホスピッツ(Centrum Hospits)というホテルが載っているが、場所がわからない。通りすがりの人に聞くと、知り合いの車に乗せてってやるという。変な所に連れて行かれるのか?と思ったけど、5分ぐらいで目的のホテルに着いた。
"Thank you very much!"
とにこやかに言って日本人のさわやかさを印象付け、その車を降りた。

(つづく)

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