このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

みい子 の ひとり言

徳島県シルバー大学校 意見発表

自薦・他薦で持ち時間8分間・テーマは「生き甲斐について
長い間、各分野で活躍されていた方達の個性あふれるスピーチです。
(敬称略)

近藤 栄克 谷本 惣平 重本 隆博 市村 素子
野崎 陽子 村本 裕子 妹尾美代子 新居すみ子
        生き甲斐について  野崎 陽子
 「あなたの生き甲斐は何ですか」って尋ねられても、「はて?私の生き甲斐は何だろう」と考えてしまいます。私は高校の教員をしていましたので、在職中は学校の為、生徒の為に自分の全力を尽くすことに一生懸命であったような気がします。自分の担任している生徒や、教えている生徒一人一人がそれぞれに目標を持っていましたから、それを達成させる手伝いをし、生徒達が将来幸せになる事が、当時の私の幸せ、即ち「生き甲斐」だったように今、考えております。
私の長女が2歳のときにハシカに罹って、40度位の高熱があっても、主人の母にその子供を託して、4泊5日の修学旅行に参りました。その時に主人の母は「鬼嫁」のような言葉で修学旅行に行く私を見送ってくれました。今のように携帯の無い時代でしたから、心配をしながら次の宿舎に着くまで電話も出来ません。そのような状態で修学旅行から帰ってきたら長女のハシカは治っておりました。このように娘には母親らしい事は何もしてやる事も出来ず、姑にはお世話になりましたが、それ程、私は学校の為に全力を尽くす事が生き甲斐であったと思います。

 退職をして一年少々経過しましたが、最初の1,2ヶ月の間はポカンとしている時期もありました。その時に友達が「シルバー大学へ行ったらどうですか」と薦めてくれた事で空白の時間を埋める目的で入学をさせて頂きました。その他にも書道の練習、被服のリホーム教室に通ったり、若い頃から大好きだった温泉巡りを夫と共に、県内外、方々へ回る事でかなり空白の時間を埋める事が出来ました。

 「人は見かけによらない」とよく云いますが私もそういった一人だと思います。私にも少し特技めいたものがあります。それは料理をする事です。フランス料理とかイタリア料理といった本格的なものは何も作れませんが・・・ですから退職したら、調理師学校へ行き、一日限定何個という美味しいお弁当屋を開きたいと思った事もありますが、年が年ですから今更調理師学校へも行けないのでその夢は消滅してしまいました。

 私には変わった友人がたくさんおります。彼女達は月に2回ほど私の家に来ます。そして野菜を中心にした夕食を食べる習慣が出来てしまいました。彼女達はとっても誉め上手でポテトサラダは逸品だとか、グリーンピースご飯は天下一品だとか云って私を持ち上げてくれるものですから、私もますますいい気になって、彼女達に食べてもらうのですが、私達夫婦で名付けた年金鍋とか年金焼きとか云う珍品料理も登場させます。勿論ここで使う野菜は私達夫婦で作ったものです。私達の野菜作りは家庭菜園の域を超えているかも知れません。特に、秋・冬野菜などは数えてみたら20種類を越えるほど作っていました。勿論、農薬などは殆ど使わずに栽培しています。

 野菜類を使った加工食品作りも私の大切な仕事です。大根の収穫時にはタクアンを漬けたり、千切り大根作りに精を出します。千切り大根も切る大きさを変えて何種類も作り用途別に調理方法も変えて楽しんでいます。とても美味しいものです。加工食品作りは楽しいものです。冬場には野菜を使った漬物、ユズを使ったユズ味噌作りにも励みます。夫の友人が7,8人ユズ味噌作りに一晩泊まりでやって来ます。勿論講師は私です。とっても評判が良くて鼻高々の作品です。ユズ味噌を使った料理も考案中です。春から夏にかけてはジャム作りに精を出します。甘夏や夏みかんのマーマレード、アンズやスモモ、イチジクのジャム作り、勿論すべて家で取れる果物です。昨日もマーマレードを作りました。皆さんに差し上げて、誉めて下さるのが励みで、いろんな工夫をし、改良を重ねていきたいと思っています。梅干しやラッキョ漬け、その他果実酒も作らなければならないので、これからの季節は大忙しです。
昭和61年頃に作った梅酒がありますが芳醇で何とも云えない味わいです。ずらりと並んだ果実酒のビンを並べて悦に入っている私の姿を想像してみて下さい。もしかしたら、このような事が私のささやかな生き甲斐なのかも知れないと最近つくづく思えるようになってきました。

 夫も退職して私と一緒に農作業をしてくれます。と云っても夫が主で私が従ですが、私があれをして、これをしてと命令を出すのは私です。(笑) 
夫の山芋作り、自然薯と云いますが、とっても上手で私もよく自慢します。夫が丹精こめて作った山芋は私が勝手に持ち出して人に差し上げて喜んで頂いております。先程申し上げた年金焼きはこの山芋を使った料理です。山芋を摺って鉄板の上で焼いて鰹節と醤油をかけるだけの簡単料理ですが、非常に消化が良くて栄養万点、美味しいのですが、何故、年金焼きと云うと私達が年金をもらっているから適当に付けた名前であって他意はありません。

 野菜つくりの他に、花作りも精を出しています。家の前の畑には300株以上もあると思いますが花菖蒲の蕾が出番を待っています。この菖蒲の草取りがとても厄介なもので、今年も2週間かかり、振り返ってみると始め取ったところから新しい草が生えているといった果てしないいたちごっこを繰り返しておりますが、花が咲いた時の美しさを思うと、無駄ないたちごっこの苦労が報われてほっとさせられる気分になります。近所の老人が花見に来てくれるのも楽しみの一つです。見に来てくれて綺麗だなあ、綺麗だなあ、と云ってくれたらお茶の一つも差し上げて一緒に鑑賞するのも幸せな時間です。

 花と云えば、夫が珍しい花を咲かせました。「トビカズラ」と云って日本でも熊本県の相良寺(あいらじ)と云う処で唯一自生しているそうですが、その花が見事に咲きました。毎日、毎日、朝・昼・夕の水遣りは大変な努力を必要としました。このような(花を持参して回覧)美しい花を夫と協力して来年も、もっともっと咲かせたいと思う事も楽しみの一つです。
この花の事をどこで聞きつけたのか、毎日放送が取材に来てくれて、「みの・もんた」の朝のテレビで放映された事で、一躍有名になり近所の人たちが大勢見に来てくれました。これには白い花もあると聞いているので来年はそれも咲かせて見たいと思っていますがこのような事が私を幸せな気分にしてくれます。

 先に申しました私の友人が私の家のリフォームを薦めてくれています。部屋を改造して私の作ったご飯を食べさせる部屋を作ったらいいと云うのです。庭の景色や池が見える部屋に改装したらご飯がもっと美味しく食べられるからと云いますが、私は3分は乗り気で後の7分は、そんなことはとても無理だと笑い飛ばしています。

 下の娘が「お母さん、あと40年は生きて下さいよ」と云いますが、40年後の私は100才になるので無理かなと思っていますが、このような娘や、私の命令をよく聞いてくれる優しい夫や、面白い友人に支えられながら、これからの人生を歩んでいきたいと思いますが、ささやかな日常の中に幸せを見つけ、夫や周りの人達を幸せな気分にさせてあげる事が、私の生き甲斐だと思います。

上へ
 

トップページへ プロフィール シルバー大学校 シルバー大学院
みい子のエッセイ集 素敵な友達 うちのワンちゃん 虹の会 会報誌
庭の四季 一人旅日記 下垂体腫瘍手術記 リンク集
パソコンSITAクラブ

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください