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「成田スカイアクセス」臨時報告書
2010年1月、空港2駅分離工事の現況

成田高速鉄道アクセス (成田スカイアクセス/成田新高速鉄道)の工事の様子について過去分は下記の通りご紹介しております。

2005年8月
2006年8月
2006年12月
2007年8月
2007年12月

2008年6月

2008年9月
2008年12月
2009年3月
2009年6月
2009年9月
2009年12月

通常は四半期ごとの「四半期報告書」をお送りしていますが、今月お送りした2009年12月時点での現況が大きく動きました。
4月に発行予定の2010年3月時点での現況に織り込む形でもいいのですが、内容が内容だけに、今回「臨時報告書」としてお送りします。

ここで分離

※特記なき写真は2010年1月撮影

※成田新高速の進捗に関しては下記もご参照ください。

2005年8月
2006年8月
2006年12月
2007年8月
2007年12月

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2008年9月
2008年12月
2009年3月
2009年6月
2009年9月
2009年12月
2010年3月
2010年6月
2010年7月


●はじまりは1通のプレスリリース
2009年12月時点での現況では、11月14日の空港第2ビル駅の新ホーム開業と、12月16日の「成田スカイアクセス」の運賃体系の発表、そして白井市議会議員による空港2駅の「分離」情報についてお送りしました。

その際に成田空港駅の「分離」に関しては、既存の1面2線と、新設される1面1線を分離するのでは、と言う前提で議論を組み立てていましたが、それが大きな誤りだったことが判明したのです。

成田空港駅の「分離」がどうなるかを決定的にしたのは、1月20日のこの プレスリリース です。
2月21日から列車の停止位置を京成上野側に寄せて、終端側を工事区画として締め切るというものです。

これはあからさまに「縦列停車」による分離を示唆しており、空港第2ビル駅と同様、縦列停車による分離となることはもはや疑いの無いところです。

成田空港駅に関してはプレスリリースされたことで、分離への工事がオンスケジュール化されたといえるため、さっそく現地を見てみました。
そして、空港2駅の分離がどのようなものになるか、かなりはっきりと見えてきたのです。

●成田空港駅の信号機
まず向かったのは終点の成田空港駅です。
空港第2ビル駅上り線ホーム開業の際はわずか4日前の発表であり、案内その他も含めてかなり混乱したこともあり、今回はかなり前広の案内となっています。

まずはホームに降り立ち、情報を頂いていたホーム中央付近の信号を確認しました。
普通の信号機と入換信号機でしょうか、まだカバーが掛かっていますが、ホーム中央付近に背中合わせで2組設置されています。

ホーム中央付近に信号機

そうなるとホーム上野方と終端側でそれぞれ1つの閉塞と言うことでしょうか。そして誘導はホーム上での入れ替えに使うのか。
前のレポートで「成田スカイアクセス」と本線をどうやって入れ替えるか、と言う問題提起をしましたが、縦列ならホーム上の前後移動で可能になります。

終端側の延伸もはっきり

もともと18m8連には余裕が非常にあるホーム長でしたが、縦列停車の施行に合わせて20m15連のJR側と同じ長さ、いや、終端側はJR側すら準備だけの部分でしょうか、さらに少し伸ばしています。

上野方の延伸部

それでも新設ホームは見えないままで、上野方先端部で新設ホームへの分岐が見えますが、2番線先端部と干渉しそうなくらいに窮屈な分岐です。

新設ホームへの分岐


●分離箇所を確認
両端の延長工事を見て、いよいよじっくりとホームを観察します。
3箇所ある階段、ESのうち、改札口に近い一番終端寄りの階段、ESが「閉鎖」されますが、ここが「成田スカイアクセス」になるのでしょうか。
縦列停車なら空港第2ビルと同じであり、空港第2ビルが「成田スカイアクセス」は成田空港側と言う情報があるので、成田空港も同じく終端側に入ると思われます。

工事個所として仕切られるのは2番目の階段、ESの横。売店があるあたりですが、確かに1番線、2番線ともこのあたりに信号機があり、ここで区分されることがよくわかります。

分離柵の文字

そしてついに発見です。
ホームに、ホームを横切って貼られた黄色いテープ。そしてその隅に書かれた「分離柵」の文字。このラインに分離柵が設置されるということです。

ここが「分離柵」のライン(1番線側)

2番目の階段、ESに仕切られてホームが二分されていますが、両側ともにテープと「分離柵」の文字を確認しました。

2番線側はここ。「分離柵」の文字はトップの写真


●コンコースの様子
エスカレーターでコンコースに上がります。
これまでEVは終端寄りの1基だったのが、縦列停車による分離と言うことで上野側に1基増設されています。これは空港第2ビル駅も一緒であり、こちらは上野側が既設なので、成田空港側に増設されています。(両駅とも現時点は工事中)

成田空港駅もこの工事を見落としており、これを見ていれば縦列停車の可能性に気が付いていたかもしれません。

さて、分離柵の位置を考えると、3箇所の階段、ESのうち終端側の1箇所が「成田スカイアクセス」に割り振られるため、コンコースに設置されるはずの中間改札は真ん中の階段、ESの上り口の改札側になります。

その前提でコンコースを見ると、真ん中の階段、ESの上り口のすぐ先の床面にテープを見つけました。
ホームのように一直線にはなっていませんが、自動改札機を考慮したのでしょうか、ある程度の幅を持たせて位置を示しています。
さらにJR側とを仕切る柵のところはさらに幅を持たせた区画を示しており、ここに有人ブースを置くようです。

有人ブースの予定地?

ここから改札寄りは「成田スカイアクセス」側の領土になりますが、新設ホームとの通路になると思しき区画はその部分にあります。
新設ホーム側にも中間改札を置いて縦列停車にする可能性は皆無ではありませんが、新設ホームと既設ホームの本線経由部分がラッチ内移動できなくなるので、新設ホームは「成田スカイアクセス」専用と思われます。

通路を横切る中間改札予定地

これは上野方の既設ホーム終端付近では新設ホームがまだないこと。終端側にそんなに延長している様子がないことも勘案しての推測ですが、さらに言えばスカイライナー専用ホームになると考えられます。

拙サイトのリンク先の矢切さんのサイト 「ダイヤと交通論」「成田新高速鉄道資料室」 にある想定ダイヤでは、スカイライナーが20分ヘッドの前提で上下のスカイライナーが空港第2ビルで交換するパターンになっており、成田空港での折り返しは14分程度と現状より5分ほど短いですが、そんなに無理はありません。
また、既設ホームの終端側に入れると、状況によっては「雪隠詰め」になってしまうので、新設ホームを専用ホームとしての発着が無難でしょう。

既設ホームには石を刻んだ乗り場案内が埋め込まれていますが、この地味ながらもゴージャスな設備もあと半年ほどでお役御免です。

石を刻んだ床面の案内


●空港第2ビル駅
こんどは空港第2ビル駅を見てみましょう。
上りホーム開業後、結構見ているはずなのに行くたびに何らかの変化はあるので大変です。

下りホームの前後で進む延伸工事はJR側と長さを揃える(成田空港駅のように若干伸びるかも)程度のようで、下りホームは完全に縦列停車による分離が出来そうです。

JR側も信号設備を新設

成田空港駅と違い、「停車位置の違い」で対応するようで、ホーム中央付近に信号設備は見当たりません。
ただJR側に信号設備のようなものが背中合わせで設置されています。
下りホームのホーム中央付近の端部に、一般列車の停止目標とAE車の停止目標を設置するのか、テープに絵を入れた表示が貼ってあります。

左は◇にS、右は◇にAE

そして見つけました。ホーム事務所ての上野寄りのホーム上に黄色いテープ。ここが分離柵の位置と思われますが、成田空港駅と違い「分離柵」の文字はありませんでした。

下りホームを横切るテープ

上りホームに回ってみて、さて果たして分離柵はどこに設置するのか。それによって空港第2ビル駅での「ドアカット」がどちらになるかが決まります。
そして衝撃的な結論です。現在AE系の先頭車停止位置の先にある「漆の門」(真ん中上野方の階段、ESを降りたところにある赤色のゲート)の成田空港寄りの壁面と床にピンポイントにテープがありました。
※当初発表時に「真ん中」としてましたが、「漆の門」へ降りてくる階段、ESはいちばん上野方のものです。おわびして訂正します。

柱にある黄色いテープがそれです

床のそれは「柵」の文字。壁面は「柵天端」とあり、H1200とあることから1200mm、つまり1m20cmの高さの柵が設置されるようです。
上野方が本線の停車位置の場合、本線経由列車の前から7両目、8両目の2両は「成田スカイアクセス」側に停車します。つまり、ドア扱いできないのです。

高さ120cm(上記の写真のテープ拡大)

14両分しかないホームゆえ、分離したら絶対にドアカットしかないことは分かってましたが、一般列車は高速対応と言うことで編成が限定でき、スカイライナーも指定席の割り振りで対応できることから、「成田スカイアクセス」側がドアカット対応にすると想定していたのですが、本線側がドアカットとなるとどうするのでしょうか。

京成、そして都交、京急と乗り入れる編成に対し、今ある8連組全部(京急の2000系、2100系は除く)にドアカット機能を付けるか、成田空港対応編成、という運用に縛りを生じさせる限定対応にするかのどちらかの対応が必須になるのです。

●「門」が示す本格運用時の姿
これも今まで気がつかなかったのが迂闊としか言いようがありませんが、全部で10箇所ある上下ホーム間の「門」のなかに分離を想定した設備が実はあったのです。

上述のように上下ホームの「分離」位置は確認できました。
しかし、そうなると真ん中のESで降り立った場所が上下線で所属が違うのです。下り線は本線、上り線は「成田スカイアクセス」に属するため、このESはどちらかしか使えないことになります。

前回ご紹介した白井市議会議員のレポートによると、コンコースの分離位置はJR側からの中間改札の上野方。まさにここに真ん中のESの降り口があるのでですが、今回見た感じではテープがなく、場所の特定はできなかったのですが、この降り口の終端側にすると出口改札との距離が近すぎ、「成田スカイアクセス」への階段、ESが改札から来てUターン側にあるだけになるなど問題が多く、中間改札は降り口の上野方に置き、真ん中のESは「成田スカイアクセス」に割り振られそうです。

そうなると降りた場所からは上りホームにしかアクセスできません。前回のルポではこの場所は上下とも本線経由なので、幅員に余裕のある下りホームに通路を設置か?と推測しましたが、上りホームが「成田スカイアクセス」側になるのでそのまま流せます。
ただ下り「成田スカイアクセス」列車からの降車客は厄介で、成田空港寄りの階段、ESを使うか、上りホーム経由で回り込んで真ん中のESを使うかになります。

そして「門」が示していた謎ときですが、赤色が鮮やかな「漆の門」など意匠を凝らしたデザインがある中、真ん中のESが降り立ったところの「門」のみ何の装飾もなかったのです。

唯一装飾のない「門」

構造は「分離」を想定してませんが、仕上げの段階に至るどこかで「分離」が決まり、この「門」は閉鎖される、というか、「門」ではなく単なるESからの通路になるので、「門」としての装飾を控えたというように見て取れます。

●その他
ドアカットは必至とはいえ、本線経由列車の最後部は厳として存在するので、その辺りの上りホーム天井部に何かを設置する準備がなされています。

8連最後尾付近の天井

前回あれこれ推測した発車案内器ですが、成田空港駅にも同タイプのものが設置されました。
しかし、その表示は従来と同じ「成田・船橋・日暮里・上野・都営浅草線・京急線方面」になっています。
「経由」と思しきあたりにシールが貼ってありますが、空港第2ビル駅と違い半年後に取り換える気か、と思いながら空港第2ビル駅に移動したら、なんとここも成田空港駅と同タイプになっています。

全面シールで隠しちゃった...

キツネにつままれた気分で帰宅後撮った写真をよく見て、前回の写真と比較して見ると、どうもシールを全面的に貼ったようです。
オレンジのラインカラーともども7月までお預けになってしまったわけですが、前回はシールの下は「羽田空港」ではと思ったのですが、分離が確定的になったことで考えると、「船橋経由」「for Funabashi,」が一番妥当な気がしてきました。

「羽田空港」は「成田スカイアクセス」の案内に記載。ラインカラーは新3050系のカラーリングと同じ青系統とみましたが、どうでしょうか。

設置当初はこうだった(2009年12月撮影)

最後に、「成田スカイアクセス」用の車両ですが、新3050系3編成は変わらずの模様ですが、新AE系の3編成目が宗吾にいることを現認しました。2編成はこれまで第1編成が潜んでいた車庫の本線側に出て仲良く並んでいます。
日没後の列車で帰ったのですが、宗吾で見ると何かの試験でしょうか、尾灯や室内灯が点けられていました。

2編成並んだ新AE系


以上、2010年1月下旬における「分離」の決定的な証拠が確認された空港2駅の様子を中心とした「臨時報告書」でした。




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