このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
「成田スカイアクセス」、開業直前の状況
成田高速鉄道アクセス
(成田スカイアクセス/成田新高速鉄道)の工事の様子について過去分は下記の通りご紹介しております。
2005年8月
2006年8月
2006年12月
2007年8月
2007年12月
2008年6月
2008年9月
2008年12月
2009年3月
2009年6月
2009年9月
2009年12月
2010年1月
2010年3月
2010年7月17日の開業まであと半月余りになった2010年度第1四半期段階の現況、というか、開業直前情報です。
習熟運転も当たり前の風景となり、ダイヤ改正の骨子も発表され、さらには北総線、スカイアクセス線のダイヤも発表されました。周知が今一つのように思えていた部分も、TVCMの放映やメディア対象の試乗会のニュースが流れることで徐々に浸透してきているようです。
空港2駅の京成本線、スカイアクセスの分離工事も形が見えてきており、後は開業を待つだけ、と言うところにまで来たのです。
2005年夏からお伝えしてきた工事の状況も今回が最終回。今後は開業後のレポートと、折にふれての北千葉道路のレポートとなります。
新しい主役 |
※写真は2010年6月撮影
※成田新高速の進捗に関しては下記もご参照ください。
2005年8月
2006年8月
2006年12月
2007年8月
2007年12月
2008年6月
2008年9月
2008年12月
2009年3月
2009年6月
2009年9月
2009年12月
2010年1月
2010年3月
2010年7月
●開業へのカウントダウン
2010年3月31日に「カウントダウンボード」がお目見えしましたが、「7月17日」の時を刻むにつれ、新線、新ダイヤの仔細が薄皮を剥ぐように明らかになって来ました。
開業宣伝。一般列車は3050系も。スカイライナーは「36分」を前面に |
特に衝撃だったのは5月27日のダイヤ改正の発表。
「スカイライナー」は後述する本線有料特急の設定の関係上、20−40分ヘッドの毎時2本の設定。さらにスカイアクセス経由の一般特急「アクセス特急」が、羽田空港−成田空港を基準として設定されました。
そして京成本線経由の有料特急として「シティライナー」が日中を中心に毎時1本存続することになりましたが、京成電鉄の歴史の中でも最大級のダイヤ改正となるようです。
ライナー券前売りには「シティライナー」の文字も |
実はそれに先立ち、5月16日に京急蒲田駅上り線高架の完成に伴う京急線のダイヤ改正があり、京成線もかなりダイヤが変動しているのですが、京急はどうやらこの段階で7月17日改正を織り込んでいたようです。
●連日の習熟運転
もはや沿線で新型車両の姿を見ない日は無いわけで、「実戦さながら」どころか時間帯によっては新ダイヤよりも密度の濃い習熟運転が繰り広げられています。
通過列車が続々と(千葉NT中央) |
これまで存在しなかった通過電車の頻発に、各駅では警備員を配置して通過電車に注意を促していますが、改正後は通過電車がデフォルトになるので、どこかのタイミングで配置を止めるのでしょうが、どういう基準で止めるのかが気になります。
警備員が監視(千葉NT中央。後方が京成上野) |
新線区間の田園風景を貫く高架橋を行く姿も絵になりますが、改めて感心したのが千葉ニュータウンエリアの堀割区間を走る新型スカイライナーの姿の美しさ。
思えばこの手のニュータウン新線は京成千原線、泉北高速線、神戸電鉄公園都市線などの例がありますが、そこを走るのは通勤電車であり、「未来都市」を志向した感のあるニュータウン新線を特急電車が疾走すると言うのは本邦初とも言えます。
ニュータウンを行く(左後方が成田空港) |
厳密には北総鉄道ではなく京成電鉄成田空港線という第3種路線の扱いなんですが、「アクセス特急」停車駅においては純粋な増発でもあり、「北総線に新しい特急電車がデビュー」と大きく宣伝しています。
実際、都心への所要時間が千葉ニュータウン中央からだと日中で17分の短縮と、1時間弱の所要時間の短縮としては非常に大きく、まさに革命的な出来事と言えますが、一方で北総のリリースにもあるように、普通列車は「スカイライナー」「アクセス特急」の退避が入ることで所要時間が伸びています。
「北総線に新しい特急電車がデビュー」(千葉NT中央) |
●新線区間を見る
習熟運転の本格化に伴い、印旛日本医大駅では上りホームに直接入線して折り返せなくなるケースが増えており、成田空港方の引き上げ線を使用するケースが増えています。
引上線に入る折り返し電車(後方が成田空港) |
後は瀬戸までの北千葉道路の工事が本格化したくらいで、松虫高架橋の下部工事が目立っています。
工事が進む松虫高架橋(右後方が成田空港) |
そうしたなか、瀬戸ではR464との交差地点に測量当初に設置された紅白だんだらの標柱が未だに残っており、工事があらかた終わった土地に立つその姿はこれまでの日々を思い出させるものになっています。
標柱だけは変わらず(後方が成田空港) |
印旛捷水路付近も北千葉道路の工事が徐々に進捗しています。
印旛捷水路付近(後方が京成上野) |
甚兵衛大橋の先のR464との交差地点の整備も進んでいますし、これまで歩道が無く危ない思いをしていたR464にもようやく歩道設置区間が出来るようですが、甚兵衛大橋はそのままのようです。
R464との交差地点(左手が成田空港) | R464の歩道設置工事(甚兵衛公園付近) |
北印旛沼の湖面に映えるアーチ状の橋桁も、凸型の橋脚を共有する北千葉道路が脇を固めるようになればまた違った眺めになるわけで、今のすっきりした風景は期間限定のものとなります。
今だけの光景?(右後方が京成上野) |
なお北千葉道路の工事と言うと、千葉ニュータウン中央−印西牧の原付近の専用部用地の整備もありますが、自然斜面を掘って擁壁を作って用地を確保しているなか、堀割をまたぐ高架橋の部分をよく見ると、高架橋の起点は専用部の存在を織り込んで設置されており、自然斜面からかなり奥まったところに擁壁が見えます。
斜面の奥に用意されていた擁壁 |
●八代付近〜松崎トンネル
このあたりは北千葉道路の工事がメインです。
農道をまたぐ函渠の工事もほぼ終わり、農道が将来の北千葉道路をくぐるようになっています。
そして盛土構造のベースも姿を見せている区間がところどころにあります。
函渠が完成(右後方が京成上野) |
2本並んだ橋脚が立つだけだった松崎トンネルへのアプローチも進捗して、松崎トンネルのレベルに取り付く橋脚や、トンネル本体につながる堀割の工事も進んでいます。
松崎トンネルへのアプローチ(左後方が成田空港) |
台地の上に上がると、トンネル本体の部分は鉄道側の工事のように道路を仮設構造にするまでには至っていませんが、その前後の区間はかなり進捗しています。
道路は変わらず(右手が成田空港) | その前後の工事は進んでいる(後方が京成上野) |
ただ、松崎トンネルを抜けた後、成田湯川駅裏手の工事は橋脚が立つのみと言うのは従前と同じです。
なお、このあたりの橋脚の銘板を見ると、名称は「松崎跨線橋」、工事名称は「成田高速線 成田ニュータウン北駅高架橋」とありました。
裏手から松崎トンネルを見る(後方が京成上野) |
●成田湯川駅
今回大きな変化と言うとここでしょう。
駅前広場の整備もほぼ終わり、駅裏手の踏切へ向かう道路の復旧工事くらいでしょうか。裏手の広場(旧湯川車庫用地)は北千葉道路工事関連で使うでしょうし。
蕎麦屋から俯瞰した成田湯川駅全貌(右手が成田空港) |
その千葉交通湯川車庫ですが、駅前広場の前面にバス待機場として「復活」していますが、露天かつ舗装も未だしの状況では駅前の風景としてマイナスとも言えるわけで、今後どうするのか。
復帰にしてはあまりにもお寒い感じを見ると、北千葉道路の工事完成後に、駅裏に戻るのかもしれません。
駅前の千葉交通待機場(後方が成田空港) |
駅前広場はささやかなもの。本線を挟んで相対式の副本線がある新幹線スタイルの駅は重厚です。
建物側面の「成田湯川駅」の表示は12月のレポートでご紹介しましたが、開業前なのでシャッターが閉まっている入口の前には京成スタイルの駅名標識が下がっています。
駅のエントランス。時刻表類は右手に |
その右手の壁面には停車駅案内と時刻表があります。
地元へのサービスなのか早々と「公開」されたこの時刻表が新ダイヤの骨格に関していろいろ論議を呼んだわけですが、訪問した時には地元の人が数人立ってスカイアクセス談議の真っ最中でした。
やはり気になるのは本数の少なさのようで、これなら成田に出ると言うのが一同の結論のようでした。
不思議なのは上りの時刻表が「紙貼り」だったこと。地元の方が大胆にもテープを剥がして下の「本設」を見てましたが、どうも差異が無いようで、どこか細かい誤植のようです。
駅前広場を見る(右後方が成田空港) |
停車駅案内を見ると、なんとも種類のにぎやかなこと。
ライナー4種以外に、(飛)アクセス特急、アクセス特急、快特、特急、通勤特急、(飛)快速、快速、急行、普通の9種類。北総線内に特急と急行があり、停車駅は現行通りなので残るようです。また(飛)快速もあることからこれも残るようです。
あと、停車駅案内では上野からスカイアクセス経由空港までが直線で(「成田スカイアクセス線」)、都交と本線(「京成本線・Keisei Main Line」)が「π」の字のように伸びています。成田側では本線がもう一度上に来て空港に入りますが、ライナー系が別掲なので、線の多い本線系が優勢に見えます。
目新しいのは種別を「色」で表示していること。なんのこっちゃと思うでしょうが、種別凡例のところに、「みどり」「あか」「そらいろ」「あお」「オレンジ」「ピンク」「くろ」と、種別カラーの色名が書いてあるのです。
「みどり」は快特、「あか」は特急、「そらいろ」は通特、「あお」は急行、「オレンジ」は(飛)アクセス特急、アクセス特急、「ピンク」は(飛)快速、快速、「くろ」は普通です。
我孫子線との交差(左手が成田空港) |
●土屋付近〜空港第2ビル
このあと大谷津付近の進捗はあまり変わっていません。大谷津運動公園を北千葉道路がどう抜けるかは見えません。R408との交点は、大谷津側の竹林などが刈り払われた印象ですが、工事に着手したとは言い難い状況です。
R408との交差地点(後方が京成上野) |
土屋の既存高架との接続部付近ですが、十二分にある高架の幅を活かして保線用の引き込み線が設けてあることに気が付きました。
土屋の既存高架終端付近(後方が京成上野) |
スカイアクセス側の新根古屋、JR側の堀之内の両信号所を過ぎるといよいよ空港第2ビルです。
スカイアクセス下り線の場内信号は下り線用、上り線用の2基用意されており、下りホームの上り方出発信号機と「AE160/特急120」の表示と併せて、空港第2ビル折り返しを想定した信号設備になっています。
上りホームの速度表示とGG信号(後方が京成上野) |
上りホームには下り列車用の停止目標が設置されていることを確認しましたが(トップの写真にも4連の停止目標が見えます)、分離を想定して本線側、スカイアクセス側の両方に設置されています。
しかし下り方への出発信号機がなく、折り返し専用の設備のようにも見える半面、成田空港方ホーム先端の先にC-ATS用のA点があることから、成田空港方面への盲進を防止したものなのか、その先に出発信号機を新設するのか、気になるところです。
上りホームにある下り列車用の停止目標 (右下に8連。中央にAE用) |
一方で成田空港から空港第2ビルに向かう際の場内信号に、上りホーム供用開始後は見られた矢印の表示がどうも見られず、下りホームへの上り列車進入は想定外になっているのでしょうか。
●空港第2ビルの分離対策
新ダイヤの案内で、公式に空港2駅は中間改札を設置してスカイアクセス経由と本線経由を峻別することが発表されています。
このための工事ですが、壁で仕切られた成田空港駅と比べて進捗が遅れていた空港第2ビル駅ですが、7月3日から分離を想定した停車位置に変更され、スカイアクセス使用ゾーンが仕切られます。
下りホームの分離位置 |
下りホームの中央部を仕切り、例の装飾のない「門」も仕切るようです。
一方上りホームも分離するのですが、今回の変更を伝えるポスターの図面をよく見ると、微妙な表現の違いがあります。
微妙な表現の差異に注目 |
つまり、下りホームと「門」は「分離柵」とあり、上りホームは「仮囲」とあるのです。
コンコース部分のスカイアクセス側ホームへのES、EV等の周りも仕切るのですが、これは「仮囲」とあり、分離工事完成後は再開放して利用するので、「仮」と言うのは一目瞭然ですが、上りホームはと考えると、実はこの「仮囲」は、もともと「分離柵」のテープがある位置ではないのです。つまり、本線系統が8連全部が入れる位置に「仮に」設置するのであり、本設のそれは本線系統の6両目に出来るはずです。
この2両分の扱いですが、ドアカット機能が無い京成電車の8連組全部に設置と言うのはありえず、憶測を呼んでいましたが、どうやら非常に単純な扱いになりそうです。
ご乗車案内 |
今回の訪問で中間位置に天井から「ご乗車案内」というLED?ボードが吊り下げられていることを確認しました。その数、一般車両2両分のドア位置に相当する6ヶ所です。
おそらくスカイアクセス側でドアを開ける2両の前にこの表示機を置き、誤乗しないように呼びかけることで対応し、列車側は淡々とドアを開けると思われます。
中央部に6基並んでいます |
後はコンコースですが、中間改札の位置のゲートが立ちあがり、有人ブースも脇にあります。
空港第2ビル駅の本線用ゲート |
改札脇の戻る方向にある空間はスカイアクセス側のホームに降りるESなどで、オレンジ色も鮮やかな案内表示が見えています。これによりスカイアクセス、本線ともにEV1基、ES、階段2基が用意されています。
スカイアクセス線ホームへの案内 |
●成田空港駅の分離対策
そして成田空港駅です。
分離壁の向こうのホームはこんな感じ |
空港第2ビル駅ともども、スカイアクセスはオレンジ、本線は青のゲートを通るように誘導することが分かります。
改札から見た感じ | アクセス特急用ホームへはこんな感じ |
コンコースは空港第2ビルよりも広く、かつ「アクセス特急」乗り場が新設のホームなので、その分岐で惑わないように仕掛けがあるようです。
左アクセス特急、直進本線のポイントはこんな感じ |
中間改札には青のゲートと言うのは空港第2ビルと同じ。有人ブースらしき構造物もお目見えしています。
ちなみに公式サイトで紹介された中間改札の位置がもう少し改札寄りだったのですが、現地を見ると最初に床面にテーピングされた位置から変わっておらず、公式のそれがやや勇み足のようです。
本線用ゲートはこのあたり |
新設の1番線の表示ですが、「アクセス特急」の文字が追加されましたが、「羽田空港」の文字はなし。
京成の各駅で配布されている新ダイヤを案内するパンフレットを見ても、上野・日暮里との間の時刻しか紹介していないため、アクセス特急は「青砥乗り換え」としての紹介であり、「目玉」になっているはずの都交、羽田空港乗り入れが黙殺されているのはどうしてなんでしょうか。
アクセス特急(Access Express)の文字が追加 |
JR線ホームから見える終端側のスカイアクセスホームですが、オレンジ色の表示類が掲出されています。京成スタイルのオレンジ色の駅名標も目新しいですが、「スカイライナー」の案内が専用ロゴを用いているのも気合が入っています。
駅名標 | 方面表示。スカイライナーは専用ロゴで |
ただ、こうなると旧AE系からの現行ロゴが見納めになるわけで、35年以上親しんできたものだけに、一抹の寂しさを感じます。
消えゆく旧ロゴ |
●その他
新鎌ヶ谷でスカイアクセスと接続する新京成は、同じく7月17日にダイヤ改正を行います。
800系の引退、朝ラッシュ時の減便と言った淋しい話題もある中、スカイアクセス連絡にかなり力を入れており、「スカイアクセスの翼です」とスカイアクセスと新鎌ヶ谷で交差する自社路線を両翼のように描いて「翼」をアピールしています。
「ACCESS GUIDE」と銘打った沿線案内も新たに発行しており、かなり気合が入っています。
新京成の宣伝 |
なお、関連工事とも言える金町線の分離分断化については、
別稿
の通りダイヤ改正に先立つ7月5日から実施されることになっています。
足掛け6年にわたり追ってきた「成田新高速/成田スカイアクセス」の進捗レポートも、15回目を迎える今回でいったん終了です。
7月17日の開業の様子は追ってレポートしますし、北千葉道路に関しても折にふれてご紹介する予定ですが、開業までのあれこれをご紹介すると言うのは、今回が最後となります。
これまで多くの皆様にご覧頂いたことを感謝するとともに、構成等色々ご意見やお叱りを頂いた点については満足に対応することも出来ず、ご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。
サイトに掲載しただけで550枚あまりの写真は、このほかその数倍に上るものがあるので、これらについてはどこかで定点観測のようなまとめ的なご紹介ができる機会があればと思っておりますが、現時点ではしばらく着手出来ないので、気長にお待ちいただければと思います。
重ねまして、これまでのこのコーナーのご愛顧につき、ありがとうございました。
このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |