このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

2010年3月版、「成田スカイアクセス」の現況

成田高速鉄道アクセス (成田スカイアクセス/成田新高速鉄道)の工事の様子について過去分は下記の通りご紹介しております。

2005年8月
2006年8月
2006年12月
2007年8月
2007年12月

2008年6月

2008年9月
2008年12月
2009年3月
2009年6月
2009年9月
2009年12月
2010年1月

2009年度第4四半期の「年次報告書」となる3月時点での現況です。
前回の四半期報告で「成田スカイアクセス」の愛称発表と停車駅、上限運賃の発表があり、1月の臨時報告では空港2駅の分離工事と大きく動きましたが、年度末を迎え、さらに事態は大きく動きました。
2月19日、「成田スカイアクセス」の開業は2010年7月17日と正式に発表になり、実施運賃も発表になりました。
そして3月13日から各種走行試験の試運転がついに新線区間で始まり、引き続いて3月25日からは習熟運転が始まっています。
これまで長年建設の進捗をレポートしてきた沿線に、遂に電車が疾走するようになったのです。

160km運転

※写真は2010年3月、4月撮影

※成田新高速の進捗に関しては下記もご参照ください。

2005年8月
2006年8月
2006年12月
2007年8月
2007年12月

2008年6月

2008年9月
2008年12月
2009年3月
2009年6月
2009年9月
2009年12月
2010年1月
2010年6月
2010年7月

なお、図表を入れることも検討したのですが、時間的な都合もあり、従前どおりの体裁とさせて頂いております。


●試運転が始まった
2010年3月13日、印旛日本医大と空港第2ビル間の「成田スカイアクセス」の新線区間における試運転が始まりました。
当初は各種走行試験と言う触れ込みで、3月21日までの間実施されたその試運転はささやかなものであり、昼過ぎには線路を閉鎖して終了と言うケースもありました。

引き続いて3月25日からは乗務員習熟運転として始まった試運転は、一転して本格的なものであり、9時頃から17時頃まで(一部21時頃まで)の間、短い時は10分程度の間隔、長くても40分程度と、極めて本格的と言うか実戦的な試運転になっています。

吉高西高架橋を行く新3050系(後方が成田空港)

満を持しての習熟運転というと1973年の空港線を思い出す話ですが、あの当時は反対派のテロに阻まれて中止に追い込まれ、かつ開港が大幅にずれ込んで1978年になったという苦い思い出でもあります。

足元の習熟運転は、新AE系の投入もあるやには聞いていますが、私が訪問した時には一般特急に投入される新3050系と、京成の一般車の中では最新の新3000系が運用に就いており、4編成ほどで既存の北総線区間も含めて運用されています。

なお、新3000系については7月の開業時に運用につくかは不明ですが、1編成しかない虎の子の8連と、開業後は運用につくとは考えにくい6連が投入されていることが目立ちます。
そういう意味では目新しさについ今後の主役になる新AE系や新3050系を追うのも良いですが、スカイアクセスを行く新3000系の姿は今だけの姿かもしれないわけで、今だけの一コマといえます。

●都心側ターミナルなどの様子
京成上野、日暮里とスカイアクセス対応の発車案内器が姿を見せています。
3月31日には開業までの「カウントダウン」ボードもお目見えしており、いよいよ開業が近付いた感を強くします。

カウントダウンボード(日暮里)

日暮里の場合、改札口には5個列車まで対応の案内器があり、これは京成線経由、スカイアクセス経由を「経由」欄で識別するようですが、JR線からの通路の突き当たりに位置する仕切りには、左が京成線、右がスカイアクセスの案内器がお目見えしています。(スカイアクセス側は覆いで隠されています)
3個列車ずつの情報を示していますが、図示式の停車駅案内が出せるのが特徴です。

時計を挟んで右側はスカイアクセス用?

重層化され一般列車とライナーの乗車ホームが分離された日暮里ですが、コンコースから中間改札経由でライナー専用ホームへ向かう、もしくは中間改札は通らずに一般列車ホームに向かうと言うことがなかなか理解されていないようで、乗り場が違うことを注意する掲示をあちこちに目にします。

ここは一般列車乗り場(日暮里)

日暮里で見ていて気がついたのですが、もう一つの難点はJR線との中間改札の自動改札です。
見ているとライナーから降車してきた客のほとんど全員と言っていいレベルが1回で通過できないという状況です。

JR線のきっぷが無いと通れない、というところに、乗車券ではなく特急券を通してしまったりと言うありさまですが、「まずJR線の乗車券、ついで京成のきっぷ」という「手順」の順守を乗客に求めることに無理はないのか。
新幹線の連絡改札のように、取り敢えず全部突っ込んでください、正しければ返すきっぷは吐き出します、というシステムのほうが圧倒的に便利なのですが、今後「日本の玄関口」となるやもしれぬ駅の対応として、これは不親切と言えます。

京成上野の様子も見てみましたが、3個列車ずつ京成線とスカイアクセスの案内をする案内器がコンコースに設置されていますが、さすがにスカイアクセスの表示は出せないのか、空港第2ビルのようにシールで隠されています。
また、ホームにはLCDの発車案内器も出来ました。

京成上野のコンコース

ついでに都営線方面からの流動が合流する青砥もLCDの新型発車案内器に交換されていますが、下りホームはこれまでのホーム別から両方合わせて3個列車の表示に切り替わりました。
どっちが先発かが一目瞭然で見やすい反面、複々線区間を控えて3個列車だと、青砥止まり、高砂止まりが頻発する朝夕は、次のスカイアクセス、次の本線特急が表示できない時間帯がありそうで、別途次のスカイアクセス、本線を分かるような表示が必要です。

「当駅どまり」に加えて「高砂」が並ぶのか(青砥)

ちなみにこの新型発車案内器ですが、特急券の要否や空港第2ビル、成田空港の到着時刻の表示もしており、芸が細かすぎるきらいはありますが、情報提供量は見た目よりも多いです。

特急券の要否に空港2駅の到着時刻も(青砥)


●北総線内の様子
高砂の金町線分離工事もホーム部分はほぼ出来上がった格好。あとは地上へのアプローチ部分の完成だけですが、下り線と被る格好になっており、下り線を使用しない単線運行に切り替える必要があります。

高砂の新ホームとコンコース

北総線内では新鎌ヶ谷以東を見てみました。
発車案内器には「印旛日本医大方面」の「方面」からシールが貼られ、よく見ると「印旛日本医大、成田空港方面」と言う表示になるように目隠しされています。

目を惹くのが4番線の車掌用のモニター周り。大きなカバーというか板が背後を覆っていますが、何のためでしょう。このモニターを見る車掌は東方向を見るわけで、防眩対応と言うのにも見えません。

大きな板が気になる(後方が成田空港)

ニュータウンエリアに入って最初の目立った改良ポイントは小室ですが、今回訪問した時の電車は副本線に入線しました。
いわゆる錆取りが必要なので、当該運用がその任に当たっていたのかもしれませんが、予想外でした。

小室駅副本線に入線(後方が成田空港)

NT中央からは北総線を挟む堀割区間における北千葉道路の工事もかなり進んでいます。
厳密には北千葉道路の専用部用地を使ったR464のバイパス整備ですが、これまで地平面のR464から掘割の北総線までの間は未利用地だったため、自然な斜面に近い状態だったものを、擁壁を工事して専用部を確保する感じで工事が進捗しています。

擁壁の工事(左が成田空港)

この工事、特に現状渋滞が厳しい草深交差点あたりから「ジョイフル渋滞」が目立つ印西牧の原あたりまでの対策がメインです。

●印旛日本医大
習熟運転が始まってからは、既存区間も「試運転」の張り紙を前面と側面に出した編成が走り回っています。一般特急の運用をイメージしているのか、NT中央や印旛日本医大で少し停車していますが、駅間の最高速度は120km運転なのか、心なしか速く感じます。

既存区間の終点になる印旛日本医大は、「終点」ゆえ通過電車がありえないはずですが、スカイアクセスの試運転開始により、通過運転もはじまったこともあり、構内の張り紙、放送で繰り返し注意を喚起しています。(これは他の駅でも同様)

ここも発車案内器は「成田空港方面」(ただしシールで目隠し)の設置が済んでおり、成田空港方の6灯式信号機も運用を開始しています。

「成田空港方面」に変身する日は

ここ印旛日本医大が「北総線」との境界になることから、ATSや列車無線の切り替えに絡む表示も目に付きます。そして京成流の種別ごとの最高速度を示した表記もお目見えです。

上野方はこんな感じ

これこそがスカイアクセス最大の目玉の「見える化」です。上野方面は「AE130」「特急120」と、これでもこれまでよりスカイライナーで20km、一般特急で15km優速ですが、やはり目を惹くのはトップの写真でもある成田空港側の表記です。

特急こそ「特急120」ですが、スカイライナーは「AE160」、そう、新幹線以外の日本の鉄道ではほくほく線と並んで最高速度を誇る新AE系の160km運転を示しています。
掘割に蓋をした駅前広場の影で薄暗いのが残念ですが、日本の鉄道界に君臨する証しが今ここに現れました。

このほかATSの切り替え表示(C-ATS→一号型)も


●松虫かいわい
試運転が始まってからは現金なもので沿線の人出も格段に増えました。

とはいえ既存の交通機関がない、あるにはあるが分かりづらく、クルマで行くにしてもR464などからのアプローチが分かりづらい現状ゆえ、「絵になる」印旛沼のほとりにまで出かける人は少なく、もっぱら印旛日本医大から松虫高架橋付近、行ってもR464と交差する瀬戸付近までといった感じです。

これまでもお手軽なポイントとして人気?なのはニュータウン萩原線と交差する箇所だったのですが、スカイアクセスに続き北千葉道路の工事が進み、松虫姫公園の線路際の方の工事が完了した際に、これまで草むらだった掘割の際が何と遊歩道になりました。

線路を見下ろす遊歩道(後方が京成上野)

これは印旛日本医大駅を発着する電車を見下ろす絶好のスポットで、北千葉道路の用地が入るために逆に編成全体の見通しが利くため、このあと撮り鉄諸氏のたまり場になりそうです。

ちなみに習熟運転に先立つ各種走行試験の段階で訪問した際には、このあたりでスカイアクセス本線に枕木を組み合わせた障害物?を置いて線路閉鎖としていました。

足下の工事は北千葉道路のそれですが、瀬戸のR464との交差までは線路を挟む道路の構造もかなりはっきりしてきました。ニュータウン萩原線までの区間はスカイアクセスと同時開業も可能な勢いであり、早期に開通してほしいです。

鎌苅北から僅かな区間ですが、ニュータウン萩原線の開通以降目立ってきたいには野の生活道路を通る通過流動の分離が図れますし、ニュータウン萩原線との交差点では甚兵衛大橋方面は左折、酒々井、佐倉方面は右折(もしくは鎌苅北で流出)と分離できることから、右折オンリーだった鎌苅北交差点の渋滞解消にもつながります。

●瀬戸・吉高
松虫高架橋手前の「俯瞰ポイント」ですが、北千葉道路用の擁壁が高く、見通しが思ったより利きません。成田空港方は見通しが利きますが、こちらも北千葉道路の橋桁が完成するとかなりイメージが変わりそうです。

新3000系6連がゆく(後方が成田空港)

6灯式信号機の現示は青1灯で、新AE系の160km運転時に表示される青2灯のGG信号は新AE系走行時のみの表示のようです。

道路が出来れば数分で着きそうな区間を迂回して瀬戸へ。台地の鞍部を行くR464に対し、スカイアクセスは鞍部をトンネルで抜けています。北千葉道路は前後を坂道として平面交差しますが、将来的にはトンネルで抜ける本線ができるのでしょう。

意外と長い土被り(後方が京成上野)

瀬戸の北総自動車学校脇の交差部分は、工事中はR464からすぐ線路が見下ろせたんですが、R464からちょっとした広場が取れるくらいまで土被りが出来、意外と見通しが利きません。ただ、北千葉道路の西行きアプローチになるであろう空間(工事車両の出入りに使用)からは印旛日本医大駅の尖塔に向かう新線が見通せますし、反対側も捷水路に向かってカーブを切る高架橋が見えることには変わりがありません。

瀬戸から印旛日本医大方向を見る

ここから捷水路までの区間は台地を抜けて案能橋までショートカット。
警備員に「桜ですか?」と聞かれたように、このあたりは吉高の大桜で名高く、この時期は臨時駐車場を設置したり、狭い地道を一方通行にして対応しています。

吉高付近(左手が成田空港)

この沿道から何箇所か台地の縁にアプローチして吉高西高架橋を俯瞰できますが、厳密には林や畑の際の未利用地などに踏み入ってのポイント、これまでは取り立てて問題にもならなかった行為ですが、「撮影地」とされるとそうもいえないことになるのでしょうね。

吉高西高架橋から瀬戸方向(後方が京成上野)


●印旛沼のほとり
案能橋で再びスカイアクセスに出会います。

北千葉道路の進捗は未だし(後方が成田空港)

強風時45km制限の警戒標が取り付けられていますが、訪問時は20m近い強風が吹き荒れており、案能橋でカメラを構えた瞬間、捷水路に吹き飛ばされそうになりました。このあと甚兵衛大橋では歩道がなくクルマすれすれのところを歩くシチュエーションで、突風に吹かれた瞬間に接触事故になりかねず、クルマが来るたびに欄干を握り締めて立ち止まってましたが、これくらいの天候だと速度規制になるのでしょうね。

印旛捷水路橋梁にとりつけられた強風警戒標

田んぼを貫くイメージの強い区間ですが、防音壁がそれなりに付けられており、地平から高架橋を行くスカイアクセスの列車を撮影しようとすると、意外と見えないことに気がつきました。

下から見上げるとこんな感じ(後方が成田空港)

甚兵衛大橋へ向かう自転車道から捷水路越しにスカイアクセスの線路を見やりますが、自転車道沿いに桜の若木が植樹されており、数年後には桜とスカイアクセスという風景が楽しめそうです。

桜の植樹も(左後方が成田空港)

ちなみに印旛捷水路橋梁付近からは遥か彼方の松崎の台地に吸い込まれるまで伸びる高架橋が望めます。

甚兵衛大橋の先の交差地点で北千葉道路と平面交差しますが、北千葉道路用の橋脚も見えてきました。印旛沼橋梁の北千葉道路部分の工事はあまり進捗しているように見えませんが。

甚兵衛大橋東詰付近(左手が京成上野)

最近の訪問では交差地点の手前でスカイアクセスに並行する地道に入っていましたが、今回は台方の交差点(スリーエフとラーメン屋があるところ)まで進みます。目的地はさらに宗吾方面に進んで、印旛沼水産センターですが、何も名物のウナギを食するというわけではありません。

実はここの経営主である印旛沼漁協の建物に「成田新高速、北千葉道路インフォメーションセンター」が併設されているのです。前々から気にはなっていましたが、実は今回が初訪問というバツの悪い結果となっています。しかも走破したときには漁協の総会のため休館という間の悪さもあり、後日再訪してようやくレポートできました。

インフォメーションセンター

スリッパに履き替えて入る館内は展示コーナーと映像を見たり出来る小ホールの2間とささやか。常駐の係員はおらず、カウンターに記帳コーナーがあるだけです。
カウンターには成田新高速プロジェクトの概要を記したパンフレットが置いてあり、あとはパネル展示が中心。印旛沼橋梁と成田湯川駅の模型と、中央のソファーがあるエリアに高速走行対応の架線の実寸大サンプルがあるのが特筆事項でしょうか。

ただ、パネルといっても馬鹿にはできず、平面図に記されたルートならびに構造物の記載は特に北千葉道路の押畑以東のルート探索において重要なデータであり、小粒ながら光る施設といえます。

館内。右手前に架線サンプル


●成田湯川へ
台方に戻り、甚兵衛機場を経て歩きます。
甚兵衛機場の東側、排水路を渡る区間は北千葉道路の橋脚が出来ています。

甚兵衛機場付近(後方が京成上野)

松崎への道路との交差地点手前、北千葉道路が線路をサンドイッチする形態から北側に併走する形態に変わるあたり、道路の基盤も見えてきています。

北側へのクロスへ向かう道路(後方が成田空港)

ここから松崎トンネルに向かう高架橋に付き合うと徒歩ルートが大迂回になります。別の日にクルマで回ったこともあり、走破時には高架橋と分かれて台地に上がる道に向かいました。
ちなみに松崎への高架橋に並行する北千葉道路は、2008年2月に千葉県都市計画審議会が完全な地平でなく盛土構造への変更を許可しており、交差する農道がことごとく函渠構造で交差するようになっており、その工事で農道が軒並み迂回させられています。

農道をまたぐ函渠の工事(右手が成田空港)

台地に上がり、成田ニュータウンの外縁部を歩きます。ところどころ平野が見通せて印旛沼方向へ伸びる高架線が見えるのですが、台地の縁にアプローチできる箇所は意外とないものです。吉高付近と違い、畑や墓地、アパートの駐車場と、普通なら分け入ってもあまり何も言われそうにない箇所とも言えないのがネックです。

松崎トンネルの真上(右手が成田空港)

松崎トンネルのところ、下小代方面への道路との交差地点は仮設構造から復旧しています。開削工法のトンネルも埋め戻されており、眺めが一変しています。今後は北千葉道路のトンネル工事が始まるはずですが、どうなるのでしょうか。

完成して埋め戻されました(後方が成田空港)

r18旧道に入り、成田湯川駅を見下ろすポイントに転進、と思ったら、駅側を工事しており、道路は内陸側を迂回しています。これは困った話で、成田湯川駅の様子が分かりません。
その先の蕎麦屋の駐車場からも見通しが利きますが、駅構内の配線は見えず、駅前広場などの様子を見るだけなので、唯一のビューポイントの「閉鎖」には参りました。

絶好のビューポイントが(左手が成田湯川駅)


●成田湯川から土屋へ
台地を下りて成田ニュータウンの外周道路に合流し、成田湯川駅への取り付け道路へ。
前回、台地を削って拡幅の兆しをレポートしましたが、歩道付きの2車線道路が姿を見せていました。しゃれた街灯も用意され、ニュータウンの新しい玄関口としての整備が進んでいます。

アプローチ道路も見えてきました(後方が成田湯川駅)

蕎麦屋の駐車場から遠望し、望遠で撮った写真をさらに拡大して判読したのですが、成田湯川駅の駅名標は青いラインの入った京成タイプのものです。
左肩にラインカラー?のオレンジのワンポイントが入り、英中韓の3ヶ国語での補助表記入りです。

駅名標(望遠+拡大なので粗いのはご容赦)

なお、駅前ですが、蕎麦屋の西側に当たる台地の下を斜面より掘り込んでいる工事が目に付きましたが、何をするのでしょうか。

そして駅前広場は作業中のため早々に立ち去り、大谷津へ。
山口押畑高架橋も完成しており、北千葉道路と成田ニュータウンの南北幹線道路の延長部分になる都市計画道路との交差施設が工事中です。

都市計画道路の工事も進む(左手が成田空港)

成田線の築堤がそのままなので、都市計画道路の開通にはまだ間があるようですが、北千葉道路とのランプに、その先r18バイパスに向かう間にある丘陵が切り崩されている様子を見ると、3ヶ月でかなり進捗した印象です。

そして大谷津に向かいますが、スカイアクセスの高架橋に並行する北千葉道路の橋脚がバラエティに富んでいます。r18との交差は北千葉道路がオーバーパスですが、成田湯川方面から下り勾配で来て、大谷津運動公園はトンネルで抜ける予定なのに、ここでいったん高さを確保してもう一度下がるというのは不可解な構造です。
特にr18バイパスを挟んで東側の橋脚(成田空港方)と西側(上野方)の橋脚をみると、東側のほうが高いようにも見えるわけで、そこから再度「地下」へ潜るのですから。

左側(東側)の橋脚のほうが高そう(左手が成田空港)

大谷津運動公園内からR408に掛けての区間は完成したスカイアクセス側に対し、北千葉道路は音なしの構え。ただしR408との交点は民家も立ち退き、かなりすっきりした感じです。
都市計画では押畑が終点ですが、用地は成田線の築堤に向かって明らかに伸びており、成田JCTまでの区間も遠からず着工しそうです。(R408から成田JCTまでは計画決定が2年遅い)

R408から土屋方面に伸びる北千葉道路用地


●空港線から空港2駅の様子
土屋に着き、さすがにこの先はセキュリティも厳しく、かつ足も限界なので、バスで成田駅に出て電車で空港に向かいます。

かつての根古屋信号所付近(後方が京成上野)

スカイアクセスの様子をチェックするために、1時間に1本の「エアポート成田」を待ち、並行するスカイアクセスの様子を見ると、当然ですが完成しています。
新根古屋信号所も出来上がってますが、かつての根古屋、今の堀ノ内信号所と比べ、編成が短いせいでしょうか、小ぶりに見えます。
なお、安全側線が無いため交換列車(退避側)が入線する際に速度規制がかかりそうなのは成田湯川と同様に問題と言えます。

新根古屋信号所(後方が京成上野)

そして空港第2ビル、成田空港の両駅をJR線側から見ます。
空港第2ビル駅のホーム延長工事はほぼ完成。これで下りホームはスカイアクセス、京成線の縦列分離はホーム階に関しては無理なく出来そうです。

柵ではなく「壁」が出来ました

成田空港駅は例の「分離柵」の位置になんと「柵」ではなく、天井まで塞ぐ「壁」が登場しました。
この位置に奥のホームへの入線用の信号機があり、この状態で分離完成となるのでしょうか。

壁の手前から向こう側を見ると

新設されたホームも壁の向こうですし、なぜにここまで壁で仕切って見通しを敢えて悪くするのでしょうか。

現行の京成線ホーム側を見る

コンコースの様子は1月の段階とあまり変わりません。ただし上野方の階段やEV周りに工事養生用の柵ができており、何か工事を追加するのでしょうか。

工事柵が目立つコンコース

中間改札が出来ると目されるあたりの様子はそのまま。床のテープもそのままです。
改札周りはあまり変化がありません。スカイアクセス対応の発車案内器もありますが、目隠し状態です。

左側がスカイアクセス経由の案内になる?

大きな変化というか「ご開帳」は、新設ホームへの通路。工事用の柵で目隠しされている、と思いきや、背が中途半端に低く、上から奥の様子が伺えます。
ラインカラー?のオレンジを用いた表示には「成田スカイアクセス線」「1番線」「一般電車」とあり、新設ホームからはスカイライナーではなく一般特急が出るようです。なお、「北総線・日暮里・上野・押上・都営浅草線・京急線方面」とあり、押上以降はフォントを下げていることから、都交方面の一般電車もありますが、メインは上野行きのようです。

スカイアクセス一般電車は新設の1番線から

これは予想外でしたが、そうなるとスカイライナーは京成線電車の発着する奥のホームに発着することになります。しかしそれだと、もし万が一前方に京成線電車が縦列停車して、しかも車両故障とでもなったら、雪隠詰めになりそうですが、大丈夫なんでしょうか。

1番線へのコンコース

空港第2ビル駅に戻って観察すると、京成のカウンターの位置がずれています。
さらに気になる構造として、改札を抜けたところに、改札脇の事務室の後ろに回りこむような通路らしき存在が準備されています。これはどういう用途なのでしょうか。

工事柵の向こうの空間は何?

なおスカイアクセス対応の発車案内器は「足」だけ生えた状態で未設置でした。

スカイアクセス経由の案内器は「足」だけの状態

そしてコンコースはJR線降車客が京成コンコースを横断するという窮屈なレイアウトですが、京成側の改札周りに変化です。
従来は改札がただ並んでいるだけという感じだったのが、ちょっとしたブースと精算機のスペースが出来ており、左から京成、カウンター、JR、京成と言う配分。これはカウンターのあたりに中間改札を設け、スカイアクセス側からは左、京成線側からは右の改札を使うようにするように見えます。

ブースを挟んで改札機が並ぶ(左手が改札口)

なおホームの分離柵対応の進捗は見つかりませんでした。

●信号の謎
さて気になったのは信号関係です。

空港第2ビル駅に対し、スカイアクセスからは1番線、2番線の両方に進入可能な現示を持つ信号が新根古屋側に見えました。成田空港駅からも1番線、2番線の両方に進入可能であり、1番線からは京成線、スカイアクセス両方へ出発可能、2番線からもスカイアクセスへの出発信号機があります。
しかし1番線から下り線への出発信号機が無く、2番線からは構造上京成線上りへの出発は出来ません。

下り2番線の出発信号機(後方が京成上野)

つまり、1番線(上り線)はスカイアクセス下り列車の到着が可能。上り列車は京成、スカイアクセスとも可能だが、下り成田空港駅への出発が出来ない。2番線(下り線)は下り列車に加え、成田空港駅からの上り列車が入線可能。上り列車はスカイアクセスのみ出発可能、となります。

この信号設備を活用して上り列車はスカイアクセス一般列車のみ2番線発車とし、スカイライナーは2両ドアカットとすれば分離用の対応は最小限になるのですが、上り2番線の分離柵の予定位置は本線用を2両カットする位置になっており、いったいどうなるのか、気になります。

●いよいよ最終段階
ダイヤも都心−空港36分!という漠然としたレベルから、だんだんと具体的な姿が見えてきています。

チラシが3月27日に開催されたほくそう春まつりの会場で配布されていたようですが、「新しい特急電車を増発することにより、都心方面の電車が平日で約3割、土休日で約4割増えます」というスカイアクセス経由一般特急の増加分を示す表現から、一般特急は基本40分ヘッド。さらに「ご利用の多い時間帯については、新鎌ケ谷(一部東松戸)で
新しい特急電車へのお乗り換えにより、西白井、白井、小室、 印西牧の原の各駅と都心との所要時分も短縮されます」という表現から、一般特急が20分ヘッドになるか、北総線が10分ヘッドになる時間帯でない限り、新鎌ヶ谷、東松戸における緩急接続も基本的には無いということが推測できます。

このあたりは「期待外れ」の声も大きいのですが、一般特急の現状を見ると、高砂以西から空港2駅までの乗客と言うよりも、千葉県内から空港2駅の利用に支えられているうえに、成田以西から都心方向の需要が非常に大きいわけで、そうなると京成線経由の特急は最悪でも現状維持が大前提です。
一方でスカイアクセス経由の一般特急を頻発した場合、北総線内および東松戸、新鎌ヶ谷での集客に賭けるわけですが、京成線ほどの中間駅需要は期待できず、かつ北総線内は輸送力過剰なところに、現在の需要を北総線列車と分け合う、というよりも一般特急に偏重して集客することになります。

印旛沼橋梁を行く試運転列車(右手が京成上野)

北総線内−都心方向の利用においては、北総線の運賃収入になるわけで、「京成成田空港線」は混んでいるのに収入が帰属しない、「北総線」は見た目はガラガラなのに収入が帰属する、ということになり、京成にとってデメリットだけが目立つ結果も予想されます。

収入や運賃問題では、ここでは詳説をしませんが、例の「5%値下げ」で合意したはずの白井市が、割引原資を織り込んだ予算案を市議会が否決するなど波乱含みです。特にこの値下げ案は通学定期において従前の2市2村での補助と同レベルとなる25%の割引となっていただけに、家計を直撃しかねません。

<2010年4月5日訂補>

白井市議会もさすがに通学定期まで巻き添えにすることは避けたようで、7月16日までの期間限定で実施する補正予算案を可決しており、スカイアクセス開業までは現状の割引が維持されています。ただし、7月17日以降がどうなるか、また、同じように見えて実は違う予算措置による「割引」が成立するのか、予断を許しません。


正式発表まではまだ時間がありますが、こうした推論通りのダイヤなのか、それともどんでん返しと言うかサプライズはあるのか。
次回のレポート、そして開業後のルポがどのようなものになるのか。いよいよ足掛け6年越しのレポートも最終段階を迎えました。

開業告知の宣伝も大々的に始まりました






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