このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

向井去来



去来の句

柿主や梢はちかきあらし山

続みなしぐり の撰びにもれ侍りしに、首尾年ありて、此集の人足にくはゝり侍る

鴨啼や弓矢を捨て十余年
   去来


 ひみといふ山かけにて
   卯七に別て

君か手もましる成へし花薄


青柳や覆ひ重るいと桜

駒牽の木曾や出らん三ヶの月


元日は士つかふたる顔もせず


俵物に年とらするや牡丹土


小袖ほす尼なつかしや窓の花

   長崎にて

見し人も孫子になりて墓参


岩ばなやこゝにもひとり月の客


   長崎へ赴く道中

世を海に高飛したる水鶏哉


名月や縁とりまはす黍のから

   山野に逍遥して

岩はなや爰にも月の客独


山家にて魚喰ふうへに早稲の飯


岩はなや爰にも月の客ひとり


萬歳や左右(さう)にひらいて松の陰


一畦はしばし啼やむ蛙哉


卯の華のたえ間叩かん闇の門


応々といへとたゝくや雪の門


花もりやしろきかしらをつきあはせ


しる人にあはしあはしと花見哉


秋風やしら木の弓に弦はらん


尾頭のこゝろもとなき生海鼠

応々といへとたゝくや雪の門


   洛東眞如堂にして善光寺如來開帳の時

涼しくも野山にみつる念佛哉

駒ひきの木曾や出らむ三ヶの月

   讀甲陽軍鑑

あら蕎麥のしなのゝ武士は眞ぶし哉


手をはなつ中に落けり朧月

散り籠る華や槃若の紙の色

五月雨の尻をくゝるや稲光


名月や向ひの梯屋照らさるゝ


兄弟の顔見合すや不如帰


可南の句

塩かきの夜は声ちかしほとゝぎす


菊の花見に来てゐるかいしたゝき


麦の穂に追かへさるゝ胡蝶かな


行春のうしろ便や藤の花


麥の穂におはるゝ蝶のみたれ哉


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