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除風

『千句塚』 (除風編)

 宝永元年(1704年)7月15日、除風 が南瓜庵の傍らに 「千句塚」 を建立した記念集。



宝永元年(1704年)、『千句塚』(除風編)刊。 許六 序。自跋。

世にふるの短尺を納めては 発句塚 を築き、あはれはかなき雨笠を葬りては 笠塚 の号をもふく。 尾花塚しくれつか ・芭蕉塚 ・ 翁塚 。中国のかたにも其の沙汰あるへしとて、備中の国に一基を設け、千句塚といふ。

   巻頭
 下庄

春もやゝ気色とゝのふ月と梅


   門のさゝれし道の古草
 除風



   第二
 倉敷

古池や蛙飛こむ水の音


   窓のあかりは月の朧夜
 露堂



   第三
 舟尾

花の陰うたひに似たる旅ね哉


   されは蝶ともならぬ暮相
 舎羅



   第四
 備前
下津井

郭公声よこたふや水のうへ


   くもりに深し麦のあからみ
 露堂



   第五
西阿知

卯のはなや闇き柳の及ひこし


   鍬にかたふく夏の日のかけ
 除風



   第六
 作州
久世

文月や六日も常の夜にハ似す


   あらしもさすかにふき稲つま
 舎羅



   第七
 足守
鴨方

雲おりおり人をやすむる月見かな


   酔をふかれにはまの松風
 露堂



   第八
 備前
岡山

ゐのししもともにふかるゝ野分哉


   山のこなたにひとり残月
 除風



   第九
 倉敷

初雪や掛かゝりたるはしの上


   馬もすゝます冬の藪陰
 除風



   第十
 井原

蛤蜊のいける甲斐あれ年の暮


   はらへと煤に染る夜の中
 舎羅



   追加
 除風

眼をこゝに開く仏や千々の花

   それもおもひの玉かしら露
 盤孤



しほミても命長しや菊の底
    素堂

さりたまふ世に月花のやとり哉
    杉風

備中のつちにも今か秋の月
    惟然

草の穂のいつれ何国の野も山
    諷竹

塚ぬしの数寄や茶つけに蔦紅葉
    露川

ふゆかれを見たてゝ墳の有所
    涼兔

かれぬ間に問やとはれや菊
   智月

咲みたす草のひかりやつかのうへ
   吾仲

わか笠を塚に帰たるしくれ哉
   寸木

かれわたる草はなになに千句塚
   梅員

その魂をやとす芭蕉のまき葉哉
   野水

   旧里の園の中に三草の種をとると
   いふ芭蕉翁の自筆の三章高世か所
   持せるを題して追善の志を述

言の葉の千々や蓮も芋の種
   高吉

目を潜るたねやなミたの番椒
   未賀

世は風になれやなれなれ茄子種
   高世

その筋をつたふて露にかしこまり
   盤孤

忍ふ草によるやあらゆる虫なと
   露堂

言の葉の千束はたれか錦塚
    李由

其枝の千あり菊の葉の雫
    洒堂

月花に啼や千声の塚の魂
    許六

花紅葉月雪坊主やら男やら狐
やら狸やら武士町人遊女夜発の
輩異類異形のむすけらまてもなく
物は声を呑したふものは涎をひく
一詠一唱玉なり金かたへ龍吟し雲
おこるやつかれもその尾について何と
そ侍るへきこゝろさしなんあれと
ねかハの鼓ほちほちと
   出したはかりのこゝちしてやみぬ
   
反故とはならぬ色葉や塚

南瓜菴のほとりにミつから鍬取て一
基を設け千句塚と名つくる事ひと
とせ東武深川の結縁ありてその恩
を荷ふて恩をほうしてその恩をほうし
恩をしのふにところところの好士を招き
翁の句を百々のはしめにかふらしめ千句
のいとなミ終ミてゝ是を封し土を覆ひ
たれハ師のたましゐなんそ爰にきたら
さらむとしハ宝永のはしめ申の文月
中の五日わかこのいほにめうかあらせ玉へや
      敬白
   吉備南瓜菴除風居士

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