このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

 
 
 
 

留置線の客車たち

博物館の片隅で、人知れず佇む文化財級の貴重車両!
機車車両陳列館の正面向かい側に留置線があり、そこには2編成の客車が留置してあります。
 
☆朗報! これらの屋外留置車輌は、2006年11月ごろ機車車輌陳列館に収蔵されました!
☆RW50340
☆RW50340

☆「専運車」を間近に見られる!
 
留置してある車両のうち1編成は、
屋上にずらりと並んだ空調装置や3軸ボギー台車が特徴的な、
初期型の25型客車を基本に製造された要人専用車「専運車」です。
本運転では撮影さえ制限されてしまいますが、
ここではすぐそばまで行って
外観のディテールを観察することができます。

☆RW50340(車端部)
☆RW50340(車端部)

車端部のアップです。
3軸ボギー台車を履いています。
車号の表記は形式番号無しの車番表記のみ。
これは鉄道部直属の特別車両特有の表記方法です。
 
また、妻面に記された所属表記は「部」の一文字のみ。
鉄道部直属の証です。

☆旧型車両の編成です。一番手前の車両がかなり怪しげです。
☆旧型車両の編成です。一番手前の車両がかなり怪しげです。

☆「あなたは!」・・・
 
25型改の「専運車」と並んでもう1編成留置してありますが、
こちらの車両はなかなかの貴重品&謎多き旧型の車両が並んでいます。
 
私はこの編成を見たときから、
なんとなく心の中に気になるものを感じていました。
特に一番手前の車両のフォルムや雰囲気に惹かれて、
知らず知らずのうちにこの車両に一歩一歩近づいて行きました。
そして、反対側の車端部が見えたときに「はっ」としたのです。
 

☆元満鉄の寝台展望車「テンイネ」型 (GW97349)
☆元満鉄の寝台展望車「テンイネ」型 (GW97349)

「こ、この車両は!」
 
思わず声に出てしまった私の前に見えたその車端部のフォルムに、
私は一瞬呆然としてしまいました。
 
私の目の前に現れたその車両は、
元南満州鉄道(満鉄)の寝台展望車「テンイネ」型だったのです。
 
満鉄の列車といえば、
大陸の大地を時速130Km/hで爆走していた
超特急「あじあ号」があまりにも有名ですが、
昼行の「あじあ号」と時代を同じくして
満鉄の夜行特急列車として活躍していたのが、
この寝台展望車「テンイネ」型だったのです。
 
 

☆元満鉄の寝台展望車「テンイネ」型 (GW97349)
☆元満鉄の寝台展望車「テンイネ」型 (GW97349)

展望デッキ側車端部のアップです。
3軸ボギー台車装備です。

☆もう1輌現れた「テンイネ」型寝台展望車! (GW97347)
☆もう1輌現れた「テンイネ」型寝台展望車! (GW97347)

そして、また何かに惹かれるようにこの編成の終端まで行ってみると、
なんと、「テンイネ」型がもう一両現れたのです!
 

☆展望デッキの正面から
☆展望デッキの正面から

こちらの車両は展望デッキ側に連結されている車両は無く、
展望デッキのアップを押さえることができました。
 
大陸の紅く大きな夕日に送られて、
かつて満鉄の花形夜行列車の最後尾を飾った「テンイネ」型。
戦後中国に接収されて公務車として運用されたようですが、
その流転の人生がどのようなものだったのかは謎です。
 
今、この地にただ無言で佇む彼は、いったい何を思っているのでしょう。
一日も早く、きちんとした形で保存・展示されることを願うばかりです。
 

RW50544
RW50544

☆誰がための専運車?
 
元満鉄の「テンイネ」型に挟まれて留置してある車両も見逃せません。
このうち食堂車はCA18型ですが、
他の車両は全て鉄道部直属の特別車両となっており、
こちらも非常に興味深い車両がそろっています。
 
こちらはRW50544です。

YW60959
YW60959

さらりと写真を見ただけでも
非常に興味をそそられる車両が揃ってます。
 
こちらはYW60959です。
 
硬臥車ですが、窓の配置が不規則で、
特別車両の雰囲気を醸し出しています。

RW50349
RW50349

RW50349です。
 
この窓配置を見る限り、
寝室や執務室を備えているように見受けられ、
内部の構造が非常に気になります。

CA18 90418
CA18 90418

CA18 90418です。
 
編成中唯一、車号表記が一般車と同じく、
形式番号が付けられています。

YZ21519
YZ21519

YZ21519です。
 
なんでもない硬座車にも見えますが、
微妙な窓配置と屋根上のダクト類が怪しげです。

YZ21512
YZ21512

YZ21512です。
 
天井に張られたケーブルが何なのでしょうか?
特別な無線通信が可能な車両なのでしょうか・・・・・?

XL3370
XL3370

XL3370です。
 
側面や屋根上のエアーダクトが目立ちます。
給電用の発電エンジンが搭載されているのでしょうか?

XL3813
XL3813

これらの車両の中で特に注目したいのは、
3両ある行李車のうちの2両、XL3813とXL3373です。
この2両の行李車の側面中央部には
大きな開口部分と思われる切込みが入っており、
大きな特徴となっています。
 
こちらはXL3813です。

XL3373
XL3373

XL3373です。
 
上の写真のXL3813同様、
側面中央部に大きな開口部分と思われる切込みが入ってます。

XL3373 
XL3373 

開口部と思われる部分のアップです。
 
以前、毛沢東の専用列車には、
目的地で使用する専用の自動車を搭載する車両が連結されていたと聞いたことがありますが、
この車両がそうなのでしょうか?
となると、「テンイネ」型に挟まれて留置してあるこれらの車両は
「毛沢東専運車」の車両なのでしょうか?
 
しかし、「毛沢東専運車」の車両は
人民解放軍の倉庫に保管されているという話を聞いたことがあります。
これらの車両がどのような任務に就いていたかというのも全くの謎です。
 

☆留置線に並ぶ所属表記「部」の車両たち
☆留置線に並ぶ所属表記「部」の車両たち

☆これからどうなるのか・・・?
 
この車両たちが一体これからどのような運命を辿るのか、
われわれ鉄ちゃんにとっては非常に気になります。
この留置線に留置されている車両は
どれも貴重な車両であると思われますので、
このまま朽ち果ててしまうのはあまりにも惜しいです。
せっかく博物館の敷地内の留置線まで辿りついた車両たちなのですから、
風雨にさらされる雨ざらしの状態を一日も早く解消し、
きちんとした形で保存される事を切に願うばかりです。
 
☆朗報!
冒頭でもお知らせしましたが、これらの屋外留置車輌は、
2006年11月ごろ機車車輌陳列館に収蔵されました!
 
 

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